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トレアン・ブレス

「ひゃあ~洞窟って結構暗いんだね…」
「…そうだな」

いつも元気なその子だけど、少し怯えたような口調で話す。
進んでいくにつれ、洞窟はどんどん暗くなっていく。
僕が魔法で明かりを点けているけど、それも自分たちの周りを照らすだけのもの。
奥の奥まではさすがに照らせない。

…やっぱり、強気でも女の子。暗闇が怖いんだ。
沈黙が続く。
僕は会話が得意なほうじゃないから、彼女が黙ると自然と無言になってしまう。

「…大丈夫?」
「ふぇっ?!」
僕から声をかけてみたら、驚いたのか彼女は小さく悲鳴を上げた。

「…大丈夫か、って聞いたんだ。そんなへっぴり腰じゃ魔物が出たとき困るだろ」
…ああ、どうしてこう僕は気が利く言葉がいえないのかな。
「え、あ、う、うん、だ、だ、だいじょぶ、だよっ!!えへへへ、ブレス君に心配されちゃったぁ」
「…もう、何でそんな嬉しそうなんだよ…うわぁっ!?!」
「ブレス君?!」

突然、地面と天が逆転した。
情けない、どうやら僕は転んだらしい。ぬかるみに足を取られたか…
びっくりしたと同時に、魔法の光も消えてしまった。

「ぶ、ぶれすくん、どこ?どこ、ぶれすくん、ふぇえぇっ」
突然の暗闇に、ルーラはかなり慌てているようで
「ま、まって、落ち着いて、僕は大丈夫だから、今明かりつけるから!」
「ふぇええんブレスくーーんっ!!」
「お、落ち着けってばっ!!!」
「ぶれすく…わぁっ!!」
「うわっ!!!」

どてーーんっ!!

ばしゃん、と水音が響く。
どうやら、慌てたルーラが僕に躓いたらしく、爽快にこけたらしい。僕のおなかの上にルーラの重みを感じる。

「…ドジ」
「ブレス君も転んだくせに~…」
「そ、そうだけど!」
「えへへ、でもよかった、ブレス君見える」
「!」

目の前にはルーラの顔。
どうやら暗闇に目が慣れたらしく、顔が確認できた。

「~~~馬鹿!お前が取り乱すからこうなったんだろ!!とりあえず、明かりつけるからどいてろ!」
「はぁ~い」

よいしょ、とルーラが僕から退く。
全く、とんだじゃじゃ馬娘だ!

…何故だか心臓のバクバクの音が止まらなかった。
全く、一人で旅するつもりだったのにおかしな旅になりそうだよ!

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最終更新:2011年08月30日 06:49