駄目か、と彼は思った。
ここで死ぬか、と諦めもついた。
崩れゆく神殿から、心臓が本当に張り裂けそうな程必死に走り、虚無に呑まれる事から男は逃げる。
あと一歩の所で、足場が崩落する。足が地に付くと言う安心感が、彼から一切奪われ、彼は、空中に投げ出された。
虚無の暗黒は、大口を開けて彼を呑まんと待ち受けている。
死にたくない。男はどこにでもいる有り触れた一つの命。そう思わない筈がない。
死ぬ事は確かに怖いのだが、何故か、自分の身体に恐怖の念が芽吹いていない事を彼は感じていた。
ここまで頑張って、敵も大層頑張ったんだ。仕方がないさ、と諦めているのかもしれない。それじゃ駄目だと、心の片隅で彼は思った。
生きたい。そんな、当たり前の感覚に従い、彼は、手を伸ばした。
――『
藤丸立香』の手は、数多の特異点を巡る戦いで、常に立香の傍で彼を護る盾となっていた後輩の手ではなく。
十二の星座を、その手でしっかりと掴んでいた。それはまるで、彼の所属していた組織が意味する所を、暗示しているかのようで――――
◆
つくづく、悪運だけは強いらしいと、立香は思った。
両手。ちゃんとある。腕。勿論繋がっている。脚。足踏みして見ても異常はない。胴体。あれだけ全力疾走した後なのに、嘘の如く体調が良い。
そう、自分は生きている!! 立香はその事を、肌で実感する。深呼吸を以って確信する。胸に手を当て、鼓動を刻む心臓のリズムを感じて体感する。
比喩抜きで、命が幾つあっても、身体が何十個とあっても足りない程厳しかったあの死闘を、立香は生き延びる事が出来たのである。これを、埒外の幸運と呼ばずして、何と呼ぼう。
だが、立香の幸運は、時間神殿から生き延びられた、と言うこの時点で既に使い果たされてしまったようである。
頂点まで行けば、後は下がるのみ。立香の場合はそれを、ジェットコースターを地で行く様な速度で体現してしまった。
――『聖杯戦争』。それが、今立香の回りを取り巻く状況である。知らない言葉ではない。と言うより、立香自身も、無関係の言葉ではない。
今まで彼と、彼が所属するカルデアのスタッフやサーヴァント達が取り組まねばならなかった、グランドオーダーの一件。その全ての基点の一つが、冬木での聖杯戦争であったのだから。
願いが叶うと言う万能の願望器を求めて、七騎七クラスのサーヴァントを駆使して戦う戦争。概要はそんな所だとは、立香も聞いている。
そして実は、その万能の願望器と言う人参自体が、実は嘘っぱちも良い所で、本当は聖杯なんて現れず、勝者の前に現れるのは一種の『地球破壊爆弾』、
に相当する詐欺同然の代物である事も、カルデアに召喚されたあるサーヴァントの口から明らかにされている。
それに今、立香は巻き込まれている。しかも、『正当な参加者の一人として』、だ。
「はぁ……」
と、幸せも何も全部逃げ出してしまいそうな程、重苦しい溜息を一つ吐く立香。心労が、如実にこの一息に現れていた。
気が重いとは、この事だ。自分達と、ゲーティアへとつなぐ架け橋となり、バトンを繋いだ多くの英霊達――そして、ロマンとの別れ。
あの、自分の人生が何周分あっても足りない程の壮絶な別れと戦いから間髪入れずに、今度は正真正銘の聖杯戦争である。気が滅入らぬ筈がなかった。
その上、聖杯戦争の行われる場所である。冬木市。知らない場所ではない。と言うより立香自身も、この地を二度も訪れている。
尤も、一度目は火の海と化していて観光どころではなく、二度目は二〇一六年よりも過去の冬木である。今の冬木を直接訪れた訳ではない。
どちらにしても立香は、カルデアにやって来る前までは、足を踏む事すらなかった冬木の町とは、並々ならぬ因縁があるらしかった。
「おう、どうした。我が朋友、我が愛弟子。当世における、我が主(マスター)よ」
と、夜の冬木大橋を土手の下から眺める立香の、ブルーな態度を見かねてか、古風な語り口の女性が言葉を紡いだ。
その方角に、立香は顔を向ける。果たせるかな、其処には、この冬木において立香の現状唯一の味方とも言うべき存在、つまり、彼のサーヴァントが佇立していた。
白いワンピースを纏った、後ろ髪を長く伸ばした美女だった。
細身でスレンダーな体型と、そのワンピースとは良くマッチングしており、まるで避暑地にでもやって来たような高貴な女性の様な趣すら、立香は感じ取る事が出来た。
だが、違う。目の前の存在は確かに、その外観だけを見れば、育ちの良さそうな、深窓の令嬢にしか映らないだろう。あらゆる教養を詰め込んだ淑女にも見えるだろう。
伊達に、多くのサーヴァントと繋がった事のある立香ではない。目の前の存在が発散させる空気は、油断を見せれば首が胴体から別たせているような、
危険な存在が放つそれである。それは、メフィストや酒呑童子などと言った、人界においては悪とされ、言葉を交わせばすぐに危険だと解るようなサーヴァントのみが放てる、『悪のオーラ』であった。
「主よ。吾輩を、その様な歴史の浅い者共と一緒にするな。吾輩は、彼奴らよりも遥かに歴史の古い大悪魔ぞ」
この、見た目麗しい容貌で、一人称が『吾輩』ときた。また、『濃い』サーヴァントらしいと立香は頭を抱えそうになる。
目の前の存在が、自分の心を何故読めるのか、と言う事については余り立香は不思議に思わない。
彼女――セイバーは、無数のスキルを自由に扱う事の出来るサーヴァントなのだ。カルデアにも、そんな存在がいた。皇帝特権を振うサーヴァント達。そして、影の国の女王、スカサハ。目の前のサーヴァントは、彼らと同じ境地にあるのだ。
「して、主よ。何が貴様を其処まで憂鬱にさせるのだ。貴様の呼び寄せた悪魔(サーヴァント)は、間違いなく最強の駒であると言うのに」
「その悪魔って所が、かな……。気乗りはしないよ」
そう、立香が此処まで気分が沈んでいるのは、聖杯戦争に強制参加させられている、と言う事もそうだが、己が手綱を握らねばならないサーヴァントの性質である。
率直に言うと、このサーヴァントは英霊どころか、反英霊にすらカテゴライズされない、規格外の存在である。
後世の風評から、悪魔としての属性を与えられたサーヴァント、メフィスト・フェレスと言う真名の英霊はカルデアにもいるが、目の前のサーヴァントは、本物の魔だ。
普通の聖杯戦争では呼び出される可能性自体が欠片程も存在しない、規格外のサーヴァント。それがどうしてか、藤丸立香のサーヴァントとなっていたのだ。
「何だ、悪魔を御す自信がないか、主よ。フフン、召喚した悪魔が吾輩で良かったな。他の悪魔なら、貴様の弱気を見るや出し抜こうと画策するものだが、吾輩は召喚者の謙虚と正直を好むぞ」
ククッ、と口の端を吊り上げ、牙を見せ付けるような笑みを浮かべて、セイバーは言葉を続けた。
「吾輩を召喚出来た幸運を泣いて喜ぶが良い。吾輩は、貴様を裏切る事はない。貴様を気に入っているのだぞ? あの人の心のない魔術王、エルサレムの星を滅ぼした貴様をな」
「――黙れ」
その言葉を受け、立香は怒気を露にした様な表情と態度で、己のセイバーを睨めつけた。
それを受けて、彼に従う悪魔のセイバーは、口の両端を吊り上げた、嗜虐的な笑みを浮かべ、向き直った。
眼球の強膜が深紅色に変色していた。どうやら今のこの状態こそが、セイバーの本性であるらしかった。
「俺に何を言おうが、それは良い。だけど、ロマンの事を馬鹿にすると、許さないぞ」
「許さなかったら、如何なると言うのだ? 我が主よ。その令呪とやらで、吾輩を抹殺して見るか?」
そう言ってセイバーは、立香の右手に刻まれた令呪に、笑みを浮かべたまま目線を投げ掛ける。
「吾輩には解っているよ、主よ。貴様がどれだけ吾輩を憎もうが、この冬木で吾輩を令呪で自害させると言う行為は、死以外の道が閉ざされると言う事を、他ならぬ貴様自身が理解していると言う事をな。貴様は、中途半端に敏い」
「……ぐっ」
図星であった。全て、図星だった。
セイバーの言う通り、彼女はこの冬木における、藤丸立香と言う一個の人間にとって唯一の剣なのである。
このセイバーは悪魔ではあるが、自分の命令には従うと言うその言葉に、一切の嘘はない。悪魔でありながら、目の前の存在は義理堅いのである。
だが、このセイバーが立香は気に喰わない。悪魔にしては話が分かるが、そんな問題じゃない。
このセイバーは、彼にとって触れてはならない所を抉り出した。Dr.ロマン――今までカルデアをサポートしていてくれた、無二の存在。
多くの英霊からヘタレだチキンだと揶揄され続け、自分ですらもそう自虐し続けた男。その実誰よりも、人理焼却と言う二つと例のない大災害について、
本気で取り組み、誰よりも事態の解決に知恵を絞り続け、そして最期の最期で、命を含めた己の全てと引きかえに、立香に道を拓かせた人物。
その人物を小馬鹿にされ、激怒しない筈がなかった。恩人を、自分が殺したと言われて、憤らない筈がなかった。
「この戦いに勝った暁に、吾輩を殺して見せるか? 我が主。あの甘ちゃん王の滅びを見た、この世で一番の幸せ者よ」
「セイバーッ!!」
其処で、立香から十m程距離を取っていたセイバーが、瞬間移動かと見紛う程の速度で、彼に接近。
彼の両頬にそっと両手を当て、蠱惑的な笑みを浮かべる悪魔が、目の前にいた。短剣を思わせる犬歯が、ダイヤのように輝く。
薔薇より赤い彼女の眼球は、見続けていたら、瞳の中に宇宙に吸い込まれてしまいそうだった。誰が見ても美女である筈の目の前の少女は、間近で見てみると、疑いようもない悪魔だった。その事を今、藤丸立香は、思い知った。
「案ずるな、召喚した悪魔と共に過ごすと言う事は、召喚主と、呼ばれた悪魔の騙し合い。破滅の押し付け合いよ。呼び出した人の子に破滅させられたからと言って、それに文句を言う者は悪魔の名折れ。貴様に破滅させられたその暁には、そうさな――」
吐息が掛かりそうな程の距離で、セイバーは続けた。
「この『
アスモデウス』、嗤って貴様の勝利を祝福してやろうぞ。なぁ、我が主。我が担い手。ソロモンを破滅させたように、吾輩にも、他の人物の破局を見せておくれよ」
笑みを浮かべたまま、悪魔のセイバー、アスモデウスは、色っぽい仕草と声音で、態度で立香を挑発して見せた。
気を強く持ちながら、精いっぱいの強がりを保ちつつ、彼は、目の前の大悪魔を敵意と言う名の槍で貫く。
それが、今の立香に晴れる精一杯の虚勢である事を、この魔王は見抜いていた。
「ああ、お前はやはり面白い。吾輩を呼ぶ貴様の声に応えて、正解だった」
立香の額に、己の額を当て、密着させた状態で、アスモデウスは口を開く。
「共に地獄に堕ちようぞ。我が虜にしてやろう、藤丸立香」
「いいや、堕ちない」
クカカ、と嗤いながらアスモデウスは立香から離れた。
聖杯戦争の本開催、その数日前に交わされた、人理修復の立役者と、人類を堕落させる色欲の魔王。その会話の一連の顛末がこれであった。
【クラス】セイバー
【真名】アスモデウス
【出典】悪魔学、ソロモン72柱の伝承、トビト記
【性別】女
【身長・体重】161cm、51kg
【属性】混沌・悪
【ステータス】筋力:B 耐久:C 敏捷:B 魔力:A+ 幸運:D 宝具:B+++
【クラス別スキル】
対魔力:A
A以下の魔術は全てキャンセル。事実上、現代の魔術師ではセイバーに傷をつけられない。
騎乗:A++
騎乗の才能。獣であるのならば幻獣・神獣のものまで乗りこなせる。このランクになると竜種すら乗りこなせる。
セイバーは地獄のドラゴンに騎乗するドラゴンライダーとしての側面も有しており、その騎乗ランクは最高クラス。
【固有スキル】
乙女の敵:EX
ソロモン72柱の魔神としての枠を飛び超え、大魔王とすら称される程の大悪魔が名を連ねる程メジャーな、七つの大罪・色欲を司る悪魔としてのユニークスキル。
セイバーは女性と対峙した際、筋力と耐久と敏捷のステータスがワンランクアップし、更にこちらから仕掛ける攻撃のダメージが上昇。
そして、此方の使う魅了の魔術の成功率が倍以上に跳ね上がる。ありとあらゆる書物の中で、セイバーは好色な性格の持ち主として書かれ、邪淫や肉欲を何よりも好むと言う。
カリスマ:A+
大軍団を指揮・統率する才能。ここまでくると人望ではなく魔力、呪いの類である。セイバーは地獄に於いて72個もの軍団を指揮する、偉大なる大魔王である。
魔境の叡智:A+
キリスト教圏の悪魔に名を連ねる前は、悪神アンリ・マンユの配下である魔王として、そしてキリスト教圏に入っては大天使ラファエルや洗礼者ヨハネに敵対する、
悪魔の中の悪魔としての深淵たる知識。英雄が独自に所有するものを除いた大抵のスキルをC~Aランクの習熟度で発揮可能。
だがセイバーの叡智の真価は戦闘などで発揮出来るスキルではなく『知識の分野』に於いて発揮され、伝承に曰くセイバーは天文学や幾何学、数学に力学、
工芸術や地理学、機械学、果ては未来をも見通す千里眼や財宝の在り処を発見する力など、およそ彼に授けられぬ知識など存在しないレベル。これらのスキルに関しては、B~A++相当の習熟度で発揮させる事が可能。マスターですらも例外ではない。
【宝具】
『蠢動剣蟲(シャミール)』
ランク:B+++ 種別:対人・建造宝具 レンジ:1~3 最大補足:1
セイバーが有する、柄から先が、牙の生え揃った太いミミズの様な虫になっている、剣のような宝具。
この宝具こそが、ソロモン王の居城となる大神殿を築き上げるのに一役かった、世にも珍しい建造用の蟲。
その正体は、セイバーが所持する、剣身がミミズになっているこの剣である。
ミミズは、喰らった土や建造物、樹木に石等を、糞として排泄するのだが、この排泄した糞は、セイバーの望んだ性質を持った物質である。
液体や固形物は勿論の事、気体すらも作成可能で、その気になれば黄金や純銀すらも思いのまま。
また、霊的性質を秘めた物質すらも作成可能であり、対魔力等の性質が付与された金属すらもこの宝具で形成可能。
但し、これらの性質を秘めた物質を産むには、この宝具に物質を食べさせる必要があり、生物ではこの宝具の発動条件を満たさない。
加えて、この宝具は武器としては全くと言ってよい程役立たずであり、直接戦闘にはこれ以上と向かない
【Weapon】
無銘・長剣:
シャミールで創り上げた鋼を、魔境の叡智スキルで己に付与させた道具作成スキルで加工して作り上げた長剣。
セイバーは地獄にあっては『剣の王』とすら称される程剣術に堪能な魔王である。この他に、槍術にも造詣が深い。
【解説】
アスモデウスとは、地獄における有力な大魔王の一人であり、様々な伝説にその名が記されている超大物悪魔の一柱である。
一説に曰く、三千年前のペルシアで興った、ゾロアスター教に登場する、悪神アンリ・マユ支配下の大悪魔、アエーシュマにルーツがあると言われ、
これがユダヤの民に伝えられ、ユダヤ教に取り込まれた結果生まれたのが、この悪魔だと言うものが有る。
彼のソロモン王が使役したと言う72柱の魔神としても、この悪魔は列せられており、その中でも特に強力な者の一体として認識されている事が多い。
洗礼者ヨハネに敵対する悪魔であり、七つの大罪の一つである色欲を司る者であるともされ、神や天使、聖職者にとっては疑いようもない不倶戴天の大敵。
しかし一方で、気難しい性質を秘め、平気で召喚者に対して嘘を吐き、謀殺すら考える72柱の悪魔達の中では、極めて組みしやすい相手であり、
礼節を弁えた者に対しては、自身が有する数多の学問の深奥を惜しみなく授け、己の力を用いて作った魔法の指輪を気前よく与えると言う側面もある。
このアスモデウスの正体は、他の神霊達が地上にいられなくなり、世界の裏側に隠れざるを得なくなった時、
これを認められず地上の何処かへ何処かへと逃げ続けるハメになった、アンリ・マユ配下のアエーシュマ当人。
ソロモンが従える72柱の魔神であるアスモダイとは完全なる別個体であり、このアエーシュマの方が遥かにルーツが古い、オリジナルの存在である。
主君であるアンリ・マユは人間が自分から決別したと理解するや、すぐに裏側に隠れたが、アエーシュマはこれを許せず、生存の道を探す。
自分が生き永らえられる所を探して行く際に、己の力が矮小な物になって行き、そうした最中、ソロモンの統治するエルサレムへと到着。
其処で一時彼の王位を簒奪するが、逆に、ソロモンの神算鬼謀で王位から転落、彼にある一定期間まで服従を誓わされ、その期間中、
宮殿建設にあくせく働かされる事となる。この時アエーシュマが建造した建物こそが、ソロモン王の大神殿であった。
その後、神殿を建造し終え、刑期を満了したアエーシュマは再び逃走を行うも、行く先々で問題を起こしていた彼は遂に、神霊としての力を失った。だが、方々で起こした問題が重なりに重なり、『大悪魔・アスモデウス』としての方が有名になり、そのままイメージが固着。アエーシュマとして生き永らえる事は不可能になったが、アスモデウスとして転生する事で、新たなる生を得たのである。
当企画に於いてアスモデウスは男ではなく、女性としての召喚だが、これには訳がある。
アスモデウスは昔、資産家娘である、サラと呼ばれる大層美しい女性に憑依し、彼女の婚約者である七人の男を絞殺し、サラを自分のものにしようとした事があった。
しかし、八人目の婚約者に化けた大天使ラファエルが、アスモデウスのたくらみを見抜き、この悪魔を撃退。サラを救った。
本来アスモデウスを素の実力で召喚しようとすると、どれ程制約をかけた所で不可能に近しいレベルなのだが、今回彼は、
『サラに憑依した時の姿』を維持すると言う離れ業を以って、今回の舞台に召喚されている。
サラに憑依したのは、彼女がアスモデウスのツボの女性だったらしく、丁重に扱うつもりだったのか、彼女の処女を奪うどころか、指一本触れなかった程焦がれていた。
色欲を司る大悪魔とは言うが、実際にはかなり禁欲的でストイック。夫婦付きあいには一家言がある程の真面目な人物。
それにもかかわらず、色欲の悪魔の名を大事にしているのは、悪魔はイメージを大事にする生き物であるからと言う本人の持論の故であり、
本人としては仕方なく、それらしく振る舞ってやっているだけに過ぎない。女性好きで、犯すのも好きと言うのも、実を言うと演じているだけ。
姦淫、殺傷、強奪など、およそ悪徳と呼ばれる全ての悪を犯す事に何らの躊躇いもない、悪魔そのものの性格。
だが先述の通り召喚者に対しては真摯で、況して己を敬っているというのならば、最低限の義理は通す、真面目な性格でもある。
煽てに乗りやすく、ついつい自分の知識を教えたがる癖がある。しかも、無償。気前の良い人物だが、ラファエルとソロモンの件に関しては逆鱗である。
今回のマスター(召喚者)は、特にお気に入りらしく、ついつい入れ込んでしまう事があるようだ。
【特徴】
白いワンピースを纏った、後ろ髪を長く伸ばした、黒い瞳をした金髪の美女。
胸は平坦なスレンダー体型。地を出すと、眼球の強膜部分が血色に染まる。
【聖杯にかける願い】
サラの復活。そして、今度こそ自分の物にする
【マスター】
藤丸立香@Fate/Grand Order
【マスターとしての願い】
元の世界への帰還。己の呼び出したアスモデウスとの縁切り
【weapon】
【能力・技能】
魔術礼装・カルデア:
人理継続保障機関・カルデアのマスターに支給される魔術礼装。厳密にはweaponに表記される物。
これを装備している限り、己の魔術回路を流れる魔力を駆使して、応急処置や瞬間強化、緊急回避と言う三つのスキルを発揮させられる。
【人物背景】
七つの特異点を攻略し、魔術王の名を騙ったある獣の支配する宇宙であった時間神殿を制覇した、一人の青年。
ゲーティアを討伐し、カルデアへと帰還する際、あと一歩の所で間に合わず闇の中に落ちてゆく際の時間軸から参戦。
【方針】
様子見。アスモデウスに油断を見せてはならない。
最終更新:2017年05月20日 21:17