海原凍子


灼熱姫に登場。
雪道コルデコットの生まれ変わりのようなものらしい。
爆美は彼女の事をイテちゃんと愛称で呼んでいる。
もしかしたら前世ほど仲が悪い訳ではないかもしれない。

彼女の与太話
+ ...
やはり来たのね・・・わたしを殺しに。あなたの中で渦巻いている、内なる熱に導か れて。いいわ。わたしもまたあなたを待っていたのよ。それも別に殺されるためでは ないんだけれどね・・・そうも言ってられないか。あなたの中で、今も熱が生み出され続けている。あなたはそれを単純なエネルギーとして物理現象に還元し、暴力と為 す。それが、あなたが得た力。激昂の具現。世界をも滅ぼす破壊力の極限。残り3分 足らずを除いた人生すべての時間と引き換えに得た魔神の恵み。たかが暴力とは言え、その価値の大きさはわたしも認めざるを得ないわ。あなたは強い。紛れも無く強い 。最強の証明もほど近くにある。その脅威を前にしてわたしは何も出来ない。あなた のような強い力はおろか、人間の平均値と比べてもかすれてしまうような力しか持ち合わせていないから。敵と戦うにも守るにも逃げるにもまるで足りていない。わたし はあなたという脅威に対して手も足も一切出ない。出せない。無力そのもの。出来る ことといえば、せめてこうやって惨めにさえずることしかない。けどわたしは死にたくない。死ぬつもりも無い。無いのよ。なぜならあなたはわたしを殺せないから。絶 対に。矛盾しているように思えるかしら。でもね。「だけど」とつなげて語り足すな らば、人ひとり殺せるかどうかも怪しいくらいのわたしが無力なら、何も知らず力を振るうことしかできないあなたもまた無力なのよ。そう、あなたは何も知らない。あ なた自分の身に起こったことさえ理解していない。その穴がある限りどんなに強くて も関係なくあなたは弱い。弱すぎる。牙の由来を知らない虎のようなもの。意思一つで弱者を蹂躙できる恍惚が、無知ゆえの恐怖を忘れさせた。恐るべきものを知るもの だけが、その恐怖に背を向けて逃れることができるというのに。知らないあなたは恐 怖を感じることも出来ずに、分からぬまま悟れぬまま理不尽に死ぬ。森村爆美・・・クリムゾネス。無火薬熱源。フレイミーズ・ハイ。膨れ上がる白熱。そんな着飾った 呼称が好みならいくらでも名乗ればいい。けどね。それでも《灼熱》は名乗らないこ とを推奨するわ。それは人間には到達できない高み物質のみならず時間をも破壊する外法の力。永久灼熱を約束する煉獄のおとぎばなし。O.T.M.領域にあなたが辿り着く ことは決して無い。敵を殺し破壊する手段を得ていながら希望も目的も無いあなたは 、目前の死を前にして何を求めるんでしょうね。どうせそんなことも構わずにただただ手に入れた力を振るい続けるばかりなのかな。自由を手に入れたあなたを拘束する ものはないけれどあなたは拘束されている。自分自身が生み出す衝動に。手に入れた 力を抑制できない。破壊するものがなくなるまで破壊をやめられない。まるで力に支配される奴隷のよう。さようなら。わたしはあなたにそれを言うために待っていたの よ。爆美。あなたは死ぬわ。わたしはあなたを殺すわ。わたしが無力であることはそ のままで。圧倒的な暴力で獲物を狩る捕食者とは違う、力とも呼びがたい抽象的な力をもってして。それは狂気の波長で精神を攪拌し、敵自身の過剰な力を暴走させて敵 を殺す邪神の呪言ともまた違う。わたしが語るのはただの言葉。有益な情報も含まれ ない飾りことば。あなたを殺す意図の見え透いた言葉。気を引かれたあなたはそれを聞く。寿命で死んでしまうまで。無力な私が最強のあなたをなぜ殺せるのか、言葉の 力は言葉では説明しきれない。千夜一夜語り明かすまでもない。もう何分たりともた たぬうちに、あなたは寿命で即死してしまうから。それを分かっていながらここまで聞き続けるあなたはもしかしてリピーター? けどここには無いわよ。何も。何度来 たって同じこと。あきらめなさい。どうせあなたは死ぬのだから。道連れに全てを壊 したければそうすればいい。でもね。あなたはその熱が、世の中に対する自分自身の怒りから生まれたとでも思っているんでしょうけどそれは大きな勘違いよ。なぜなら ばその熱は、ただの偶然に起こった現象なのだから。あなたの精神の深奥にある 最も複雑な内宇宙で純粋な極小の確率がヒットして、無尽蔵に破壊の意図を生み出す多次元ループが形成されただけなの。外からの新しい入力をまったく必要とせずに無 闇にエネルギーを肥大させ続けるそのシステムに歴史は無い。根拠の無い力なの。あ なたは何者でもない。何者にもなれない。火花のように瞬間に咲いた後はただ消えるだけ。あたかもそれまであなたなんていなかったかのように。天使も悪魔も人間もあ なたを必要としていないから、時間はあなたを殺すことをためらわない。イレギュラ ーが確認されてから修正されるまでがきっかり3分間。わたしはその確認役。あなたの死をあなたに殺されずに見届けてから帰還する。そこはあなたにとってはこの世界 以上に意味が無いところ。世界の果てを模した壁はどんな情報も通さないから。ただ わたしたちは隣接世界を誰かの妄想や夢に見立てて無意識の海を経由して伝播することで、擬似的に存在を移送することができる。この仕組みは曖昧で不透明であるがゆ えに神をも欺瞞できるところから、クラウディ・ウィンドウとも雲隠れの細道とも呼 ばれている。海原凍子として肉体を伴ってここで生きるわたしは本能的に死と苦痛を 恐れるけれど、どんな事態に陥っても外世界の夢とする逃げ道がある。イレギュラー さえいなければそれは機能するの。実を言えば、最初は爆美ちゃんも連れて向こうに 抜ける方法もあるんじゃないかっていうのも検討したんだけどね。ほんの少しだけ。でもあなたは熱すぎて細道を破壊する可能性がある。リスクが大きすぎる。お荷物と しても重すぎる。だからごめんねなの。だからさようならなの。生まれ変わったらま た会おうねなんてセンチメンタリズムすらこのシーンでは不適切。だってあなたは、誰の夢にも妄想にも残ることが出来ないから。すべてが終わった後にわたしはあなた を覚えていることが出来ない。そこには失ったという記憶を失った一抹の寂しさとし て全開で暴れ続ければいい。ただあなたにひとつ足りないものがある。それは敵。宿敵。立ち向かう先に人格を持った障害が無いことはあなたのアキレス腱になるでしょ う。ばいばい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・何なの。何なのよ。あなた。なんで死なないの・ ・・・・・・・・どうしてあなた、死んでないの?おかしいわ。約束の時間はとうに過ぎているあなたは存在し続けることができないはず。なのにあなた、3分・・・・ ・3分!3分! あああああああああああああああああ 3分3分3分3分3分3分 3分3分3分3分3分3分3分3分3分3分3分3分!それがあなたの限界だったは ず!既にこと切れて死んでいるはず!存在ごと完殺されてわたし自身ですらあなたの ことを知らなくなっているはず! なのに。あなたはここにいる。平然と。いつもの ように熱を抱えて。どうして?どうしてなのよ? 理不尽だわ。まさか・・・たどり着いたというの?Over Three Minutes領域に! なんてこと。これは酷い背約だわ! ルールに則っていない。やめてよ。こん ドサ……
を全て聞く為には時をも破壊する必要がある。



登場作品
灼熱姫


関連作品
雪道


関連人物
コルデコット


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最終更新:2012年09月01日 19:56