そんなわ゛かな!!



>なんかこんな絵をネットで拾いました。
+ ...

黙ってるだけで結ばれるなんて都合のいい話が無いのは分かってる。わたしはそこまで馬鹿じゃない。大好きなあの人にもっと自分を知ってもらうために、わたしはわたしの出来ることをしよう。どうすればいい? 考える。わたしは事態を甘く見ない。あの人が言ってくれた「好きだ」という言葉を頼りにラブラブ妄想を炸裂させたくなるけど、そんな鵜呑みにはしない。暴走しない。わたしは興奮するとすぐ自分の都合のいい思い込みに浸ってしまうところがある。それだけは自覚して、つとめて現実を見るようにする。わたしは危ないラブキチで終わるつもりは無い。
現状は? ……あの人が認識しているのはせいぜいわたしの存在程度。わたしはつとめて印象良く振舞っているつもりだけど、きっとあの人はわたしをただの知り合い程度にしか認識していない。そしてそれに対するわたしの理想は? 勝利条件は? ……あの人の愛を勝ち取ること。それを確かめるために、あの人からもっと確実な愛の言葉を引き出すこと。
まずはわたしのことをもっと見てもらいたい。注目してもらいたい。わたしはわたしがあの人にとって愛するに値する素晴らしい女であるという確信があるけど、それはわたしの中だけの話で、つまるところ現状は妄信でしかない。それを現実のものにするために、あの人にもっとわたしを強く印象づける必要がある。アピールだ。どうすればいい? ……そう言えばわたし、男の人にどうアピールすればいいのか、本当のところは全然分からないな……今までは自己流でやってたけど、それで酷い失敗どころか大惨事を招いてばっかりだったし…… ああ、思い出したくない。忘れよう忘れよう。そういうことを相談できる知り合いもいない。よし。本屋に行ってそういう本を買ってみよう。
買った。なんかドイツの有名な、アピールが得意な人が書いた本らしい。どれどれ。「ひとびとは我々が想像する以上に原始的である。したがって宣伝は常に単純な繰り返しでなければならない。諸問題を簡単な言葉に置き換え、識者の反対などものともせずに、その言葉を簡明な形で繰り返し繰り返し主張する者こそ、現実に影響を与えるという最終的な結果を残すことができる」
うーん。要するに、「伝えたいことが含まれた」「簡単なフレーズを作って」「何度も言えばいい」のかな。わたしがあの人に伝えたいこととは何だろう? それはわたしの存在。つまるところ、そのフレーズにわたしの名前を含めればいいということだ。だけど「わかなわかなわかな」って何度も無意味に繰り返すのはあまりに不自然に過ぎる。悪くすれば狂気のしるしと見られるかも知れない。わたしは狂人COしたいわけではない。出来れば会話の自然の流れの中でそれを言うようにしたい。どうすればいいか。普段の会話でよく繰り返されるものって何だろう。現代はボケとツッコミのコミュニケーションの時代だ。とは言っても何度も同じボケをやる訳にはいかないよね。うざすぎる。でもツッコミならどうか。臨機応変なヒネリの利いたツッコミもいいけど、「なんでやねん」みたいな定番のツッコミなら、それを何度言っても不自然じゃなかろう。わたしの目的に適う。わたしはどっちかというとツッコミだし。ということで、うまいことわたしの名前を含めた突っ込みフレーズを作ればいい訳か……。

ポク ポク ポク ポク

……閃いた! これだ! これすごい! わたしは天才なんじゃないか! これなら絶対いける! よーし作戦会議終わり! 明日が楽しみだ!
+ ...
ううう緊張する……うまくいくか心配だ。わたしはすごく馬鹿なことをしようとしているんじゃなかろうか? コラわかな、ここで弱気になってどうする! 出来るだけの準備はしたんだ、あとは自分を信じるだけだ! でもなんか汗かいてきたし、泣きたくなってきたし、ストレス溜まってまた軽く刺しちゃったし……血、飛んでないよね? 大丈夫だよね? うん、服に汚れもないしたぶん大丈夫だ。

……来た! 会話の中でボケが飛んできた! よし言うんだ! 突っ込むんだ! さりげなく、自然に…… さあ言うぞ、これであの人の注目をかっさらってやるんだ……!

   (上の画像へ)






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最終更新:2014年03月09日 23:46