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*第14話【缶詰工場の怪談?】 ***作:那限逢真・三影(PL那限逢真) 絵:真道犀雅(PL:サイガ) 芥辺境藩国は国民総動員で動いていた。  人から猫から大忙しだった。  普段は定時で引き上げる吏族たちも、この時ばかりは倒れるまで働く。  幸いだったのは、こんな事もあろうかと闇星号の生産ラインを残しておいた事だ。  そして、国民がこういう事態を想定してそれらの機器の整備を怠らなかった賜物だ。  こういう、いざと言う時のための準備が出来ているのは藩王の人徳だろう。  資金もなく同時に食糧増産命令も出たために藩国の存亡は風前の灯でもあった。  それでも、誰も彼もが各々に出来る事に奔走していた。  着々と増産され、各地からかき集められる食糧。  アイドレスも局地対応による若干の仕様変更があったものの順調に進んでいた。  そんな中、いつもと変わらず総動員で動いている工場があった。  缶詰の生産工場だ。  芥辺境藩国で生産される缶詰はその美味しさで定評があった。  芥辺境藩国から輸出される品物で一・二を争うのが、各種の缶詰である。  元々キャラバンを組んで生活していた西国人は保存食の用意は生活の上で必要な事だった。  それに加え藩王・摂政の両者の「食べたい時に上手い物が喰えないのはダメ」と言う言葉から、保存食の技術だけは進んでいた。  逆に言えば、食料の生産能力の低い芥辺境藩国で、保存食の技術が成長したのは当然かもしれない。 &ref(http://s00.sakura.ne.jp/support/gallup/kadai10/photo/IMG_01_14.jpg) 「あいかわらず、忙しいなぁ……」 「まぁ、仕方ないだろ。戦時体制だし」  作業員の一人が呟く。 「まぁ、な。それより知っているか? うちの缶詰工場に、秘密の生産室があるって話」 「なんだそれ?」 「オレも、偶然知ったんだよ。この前」 ある日、ある猫士がこの工場の一室で、地下階段を見つけたときの話だ。 その時、その猫士は先輩――こいつは人間だが――を探して工場をうろついていたらしい。 新人だったその猫士はまだ見ていない部屋があったのかと、その階段を下りていったんだ。 下りていった先には、地上の生産工場と同じく缶詰の生産工場が広がっていたらしい。 ……いや、むしろ地上の工場より広かったって話だ。 ただ、違う所が一つあった。缶詰の銘柄が違ったって事だ。 うちの藩国の名物の一つは芥月バナナの缶詰だが、外見を巧妙に似せてあったらしい。 興味を持った猫士はその缶詰を空けてみた……。 「って、それだとなんだかよく分からないぞ」 「まぁ、待て。変なのは工場じゃなくて――まぁ、工場もだが――缶詰の方だったんだよ」 「なんだそりゃ?」  開けてみた猫士は驚いた。まず、何よりもその悪臭にだ。  だが、不思議と食欲をそそる匂いでもあったらしい。……矛盾しているだろ?  で、試しに一切れとって食べてみたらしい。  猫士は泣き崩れたらしい。その中身は物凄く美味かったらしい。  美味い缶詰を喰い慣れたオレたちの舌ですら、そう思わせるその中身はなんだったのか?  それは食べてみた猫士にもわからなかった。  尋ねようにも周囲に人っ子一人いない、無人工場だ。  しかたなく、生産ライン上にあるはずの原料加工場を探し始めたんだ……。 「結局、何の缶詰だったんだよ?」 「お前もせっかちだなぁ……。ちゃんとわかるよ」 「お……おう」  原料加工場はすぐに見つかった。  だが、結局はよく分からなかった。水槽に白い肉のような物が浮かんでいたって話だ。  その時、物音がした。猫士はびっくりしてそちらを振り向き、更にびっくりする事になった。  目の前にいたのは、右手には血濡れのナイフを持った黒服・黒髪の人間。  そして、その人間が左手に持っていたのは猫士の先輩だったんだよ。  あまりの事に声も出ない猫士に、そいつはこう言ったらしい。 「……お前も……か……。なら、缶詰に詰められる覚悟は、出来ているんだろうな……」  その言葉に、猫士は恐怖のあまり逃げ出した。  持っていた缶詰も投げ捨てて、その日は友人の家に転がり込んで震えていたって話だ……。 「……おい、それって、中身はもしかして……」 「ああ……人肉って奴だ……」 「そ、そんなのがこの地下にあるのか?」 「わからん。翌日その場所に行った時には何もなかったって話だしな……」 「コラ!! そこ! 忙しいんだから、休憩時間以外で休憩するな!」  班長の一喝に、あわてて仕事に戻る二人。  そして、最後にひそひそと話す。 「本当にあるのか? その缶詰?」 「ああ。あるって話だ……」  一方その頃、藩王執務室。  藩王荒川真介は激務の合間を縫って、食事をしていた。  ちなみに時間がないので、コジロー2世共々缶詰だ。 「う~ん。養殖品とは言え、美味いなぁ。ツチノコの缶詰」  コジロー2世は重々しく頷く。 「前の工場は所在ばれちゃったからなぁ……。あれ、どこに移設しよう」
*【缶詰工場の怪談?】 ***作:那限逢真・三影(PL那限逢真) 絵:真道犀雅(PL:サイガ) 芥辺境藩国は国民総動員で動いていた。  人から猫から大忙しだった。  普段は定時で引き上げる吏族たちも、この時ばかりは倒れるまで働く。  幸いだったのは、こんな事もあろうかと闇星号の生産ラインを残しておいた事だ。  そして、国民がこういう事態を想定してそれらの機器の整備を怠らなかった賜物だ。  こういう、いざと言う時のための準備が出来ているのは藩王の人徳だろう。  資金もなく同時に食糧増産命令も出たために藩国の存亡は風前の灯でもあった。  それでも、誰も彼もが各々に出来る事に奔走していた。  着々と増産され、各地からかき集められる食糧。  アイドレスも局地対応による若干の仕様変更があったものの順調に進んでいた。  そんな中、いつもと変わらず総動員で動いている工場があった。  缶詰の生産工場だ。  芥辺境藩国で生産される缶詰はその美味しさで定評があった。  芥辺境藩国から輸出される品物で一・二を争うのが、各種の缶詰である。  元々キャラバンを組んで生活していた西国人は保存食の用意は生活の上で必要な事だった。  それに加え藩王・摂政の両者の「食べたい時に上手い物が喰えないのはダメ」と言う言葉から、保存食の技術だけは進んでいた。  逆に言えば、食料の生産能力の低い芥辺境藩国で、保存食の技術が成長したのは当然かもしれない。 &ref(http://s00.sakura.ne.jp/support/gallup/kadai10/photo/IMG_01_14.jpg) 「あいかわらず、忙しいなぁ……」 「まぁ、仕方ないだろ。戦時体制だし」  作業員の一人が呟く。 「まぁ、な。それより知っているか? うちの缶詰工場に、秘密の生産室があるって話」 「なんだそれ?」 「オレも、偶然知ったんだよ。この前」 ある日、ある猫士がこの工場の一室で、地下階段を見つけたときの話だ。 その時、その猫士は先輩――こいつは人間だが――を探して工場をうろついていたらしい。 新人だったその猫士はまだ見ていない部屋があったのかと、その階段を下りていったんだ。 下りていった先には、地上の生産工場と同じく缶詰の生産工場が広がっていたらしい。 ……いや、むしろ地上の工場より広かったって話だ。 ただ、違う所が一つあった。缶詰の銘柄が違ったって事だ。 うちの藩国の名物の一つは芥月バナナの缶詰だが、外見を巧妙に似せてあったらしい。 興味を持った猫士はその缶詰を空けてみた……。 「って、それだとなんだかよく分からないぞ」 「まぁ、待て。変なのは工場じゃなくて――まぁ、工場もだが――缶詰の方だったんだよ」 「なんだそりゃ?」  開けてみた猫士は驚いた。まず、何よりもその悪臭にだ。  だが、不思議と食欲をそそる匂いでもあったらしい。……矛盾しているだろ?  で、試しに一切れとって食べてみたらしい。  猫士は泣き崩れたらしい。その中身は物凄く美味かったらしい。  美味い缶詰を喰い慣れたオレたちの舌ですら、そう思わせるその中身はなんだったのか?  それは食べてみた猫士にもわからなかった。  尋ねようにも周囲に人っ子一人いない、無人工場だ。  しかたなく、生産ライン上にあるはずの原料加工場を探し始めたんだ……。 「結局、何の缶詰だったんだよ?」 「お前もせっかちだなぁ……。ちゃんとわかるよ」 「お……おう」  原料加工場はすぐに見つかった。  だが、結局はよく分からなかった。水槽に白い肉のような物が浮かんでいたって話だ。  その時、物音がした。猫士はびっくりしてそちらを振り向き、更にびっくりする事になった。  目の前にいたのは、右手には血濡れのナイフを持った黒服・黒髪の人間。  そして、その人間が左手に持っていたのは猫士の先輩だったんだよ。  あまりの事に声も出ない猫士に、そいつはこう言ったらしい。 「……お前も……か……。なら、缶詰に詰められる覚悟は、出来ているんだろうな……」  その言葉に、猫士は恐怖のあまり逃げ出した。  持っていた缶詰も投げ捨てて、その日は友人の家に転がり込んで震えていたって話だ……。 「……おい、それって、中身はもしかして……」 「ああ……人肉って奴だ……」 「そ、そんなのがこの地下にあるのか?」 「わからん。翌日その場所に行った時には何もなかったって話だしな……」 「コラ!! そこ! 忙しいんだから、休憩時間以外で休憩するな!」  班長の一喝に、あわてて仕事に戻る二人。  そして、最後にひそひそと話す。 「本当にあるのか? その缶詰?」 「ああ。あるって話だ……」  一方その頃、藩王執務室。  藩王荒川真介は激務の合間を縫って、食事をしていた。  ちなみに時間がないので、コジロー2世共々缶詰だ。 「う~ん。養殖品とは言え、美味いなぁ。ツチノコの缶詰」  コジロー2世は重々しく頷く。 「前の工場は所在ばれちゃったからなぁ……。あれ、どこに移設しよう」

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