【戦争準備状況編】
作:歩露(PL:ほろ)
リンクゲートが閉じると知ってビビる国民。
「どうしよう、芥さん。負けられなくなっちゃったよ」
「元々勝つつもりだから関係ないよ」
「元々勝つつもりだから関係ないよ」
芥辺境藩国防衛戦会議より
芥辺境藩国は負けた。
見事に根源種族艦に吹っ飛ばされた。
見事に根源種族艦に吹っ飛ばされた。
なんとかかんとか、エースの方々を初めとする多くの方の助力により、滅亡を免れることはできた。
だけど国民は(少なくともリアルでは)、この敗北を忘れていなかった。
忘れていなかったのだった。
だけど国民は(少なくともリアルでは)、この敗北を忘れていなかった。
忘れていなかったのだった。
新・芥辺境藩国物語 戦争準備状況編 文責:歩露(ほろ)
どたたたた、と摂政が藩王の遊戯室(兼執務室)に飛び込んできた。
遊戯室には内線がつながっていないのだ。藩王のわがままである。
「藩王! 大変です! って、何呑気に猫積みやってるんですか! 今は仕事中のはずでしょう!」
「あ、ははは、つい。で、何が大変なんだい」
芥辺境藩国一の人気おもちゃである猫積みを横にどかし、藩王は聞き返した。
はっと我に返る摂政。震える声を抑え、
「先ほど連絡がありました。要塞艦が現れたそうです。尚書省は戦時動員を開始しました」
要塞艦は、判定が覆る前の戦闘で、芥辺境藩国をさんざんに蹂躙していた。
藩王の笑顔が消えた。
遊戯室には内線がつながっていないのだ。藩王のわがままである。
「藩王! 大変です! って、何呑気に猫積みやってるんですか! 今は仕事中のはずでしょう!」
「あ、ははは、つい。で、何が大変なんだい」
芥辺境藩国一の人気おもちゃである猫積みを横にどかし、藩王は聞き返した。
はっと我に返る摂政。震える声を抑え、
「先ほど連絡がありました。要塞艦が現れたそうです。尚書省は戦時動員を開始しました」
要塞艦は、判定が覆る前の戦闘で、芥辺境藩国をさんざんに蹂躙していた。
藩王の笑顔が消えた。
忘れはしない。誰が忘れるものか。
そして、藩王は口元に余裕の笑みを浮かべ、堂々と立ち上がり、不適に言った。
「ふふん。来たか」
藩王は、壁の一部を思いっきり殴りつけ、空いた穴の中にあるスイッチを捻る。
壁が、十字型に開いた。
そこには、ただ一着のパイロットスーツが立てかけられている。
「奴らめ、性懲りもなくやってきたか。いいだろう、勝負しようじゃないか。
だが、我々は二度も滅びはしないぞ」
藩王はパイロットスーツを着ながら、静かに呟いた。
その瞳は、燃えるようであり、輝くようだった。自ら光を放っているようにすら見える。
今なら彼が藩王であることに、誰も疑いを持ちはしないだろう。
彼は芥辺境藩国藩王、荒川真介であった。
「ふふん。来たか」
藩王は、壁の一部を思いっきり殴りつけ、空いた穴の中にあるスイッチを捻る。
壁が、十字型に開いた。
そこには、ただ一着のパイロットスーツが立てかけられている。
「奴らめ、性懲りもなくやってきたか。いいだろう、勝負しようじゃないか。
だが、我々は二度も滅びはしないぞ」
藩王はパイロットスーツを着ながら、静かに呟いた。
その瞳は、燃えるようであり、輝くようだった。自ら光を放っているようにすら見える。
今なら彼が藩王であることに、誰も疑いを持ちはしないだろう。
彼は芥辺境藩国藩王、荒川真介であった。
「…あ、あの、藩王。大変申し訳ないのですが…」
「なんだい、オーマ君。君もシリアスをやりたいのかな」
「え、えーと。尚書省から通達が来てまして。10億にゃんにゃんと、燃料10万トンを提出せよ、とのことなんですが…
うち、全然お金足りないんです」
盛大にこける藩王。
「なんだってー! そんな馬鹿な! 今回はシリアスじゃなかったのか!」
「そ、そう言われても…。うちは何にも売りに出してないし…。
冒険で金塊とかも見つかりませんでしたし」
「なんだい、オーマ君。君もシリアスをやりたいのかな」
「え、えーと。尚書省から通達が来てまして。10億にゃんにゃんと、燃料10万トンを提出せよ、とのことなんですが…
うち、全然お金足りないんです」
盛大にこける藩王。
「なんだってー! そんな馬鹿な! 今回はシリアスじゃなかったのか!」
「そ、そう言われても…。うちは何にも売りに出してないし…。
冒険で金塊とかも見つかりませんでしたし」
こうしてシリアスは終わった。ここからはギャグです。
「ぐ、余計な事書くなー!」
「うわ、落ち着いてください! 誰と話してるんですか藩王!」
何もない空間と話を始めた藩王を押さえつけようとする摂政を振りほどこうとしつつシリアスを、
「うわ、落ち着いてください! 誰と話してるんですか藩王!」
何もない空間と話を始めた藩王を押さえつけようとする摂政を振りほどこうとしつつシリアスを、
シリアスを返せと叫ぶ藩王を摂政がナイフの柄で殴りつけた(摂政は常にナイフを持ち歩いている)。
そして秘密会議が開始された。
「で、どうしましょう、藩王。何もしないうちから滅亡の危機なんですが」
「むう、仕方ない。なんとか資金を稼がなくては。何か特産品を作って売るとか」
「とは言っても、うちは砂漠ですし」
「砂の袋詰めでも売るか」
「誰が買うんですか。少なくとも4億にゃんにゃんは出さないですって」
「じゃあ、十個に一つはドラッカー用薬物がセットになるとか」
「だから誰も買いませんって。しかも犯罪ですし」
「そうだ! 国民全員で、金の延べ棒が空から振ってくるように祈るとか!!」
「…やけにならないでください、藩王」
「だって、4億にゃんにゃんもどこから持って来いってのよー!(じたぐるばたぐる)」
「(ナイフで殴る)」
「むう、仕方ない。なんとか資金を稼がなくては。何か特産品を作って売るとか」
「とは言っても、うちは砂漠ですし」
「砂の袋詰めでも売るか」
「誰が買うんですか。少なくとも4億にゃんにゃんは出さないですって」
「じゃあ、十個に一つはドラッカー用薬物がセットになるとか」
「だから誰も買いませんって。しかも犯罪ですし」
「そうだ! 国民全員で、金の延べ棒が空から振ってくるように祈るとか!!」
「…やけにならないでください、藩王」
「だって、4億にゃんにゃんもどこから持って来いってのよー!(じたぐるばたぐる)」
「(ナイフで殴る)」
「ふう、済まないねオーマ君」
「いえ、お気持ちは理解できます」
「しかし…。実際問題どうしたものかなあ」
「地道に特産品の作成を奨励するしかないですかねえ…。…ん? これは!」
「どうしたね?」
「尚書省から新型アイドレス設計のお知らせが! しかもメカじゃー! これで一発当てましょう藩王!」
「だ、大丈夫かい、オーマ君。なんか発言が私と被ってきたよ?」
「メカが! 闇星号のリベンジができる! はあはあ、今回こそ宇宙、水中で使用可能なアイドレスを…!」
「いや、この仕様書を見る限りでは、どう考えてもそれは無理なんじゃないか。歩兵支援って書いてあるよ」
「もう出番少ないとは言わせねえー! むしろ足いらないよね宇宙仕様なら!」
「だから落ち着け!(藩王クラッシュ)」
「いえ、お気持ちは理解できます」
「しかし…。実際問題どうしたものかなあ」
「地道に特産品の作成を奨励するしかないですかねえ…。…ん? これは!」
「どうしたね?」
「尚書省から新型アイドレス設計のお知らせが! しかもメカじゃー! これで一発当てましょう藩王!」
「だ、大丈夫かい、オーマ君。なんか発言が私と被ってきたよ?」
「メカが! 闇星号のリベンジができる! はあはあ、今回こそ宇宙、水中で使用可能なアイドレスを…!」
「いや、この仕様書を見る限りでは、どう考えてもそれは無理なんじゃないか。歩兵支援って書いてあるよ」
「もう出番少ないとは言わせねえー! むしろ足いらないよね宇宙仕様なら!」
「だから落ち着け!(藩王クラッシュ)」
「取り乱してしまいました。申し訳ありません」
「いやいや、気持ちはわかる。とりあえず、足のあるやつをデザインしてくれたまえ」
「は」
「しかし、選ばれるアイドレスの数は少ない。これだけでは少し不安だな…」
「…そうですね。ん、また尚書省から連絡が来ましたね」
「今度はなんだい。あ、ひょっとして犬君たちにならってお金を配布するのかな? さすがにゃんにゃん共和国、太っ腹!
「いやいや、気持ちはわかる。とりあえず、足のあるやつをデザインしてくれたまえ」
「は」
「しかし、選ばれるアイドレスの数は少ない。これだけでは少し不安だな…」
「…そうですね。ん、また尚書省から連絡が来ましたね」
「今度はなんだい。あ、ひょっとして犬君たちにならってお金を配布するのかな? さすがにゃんにゃん共和国、太っ腹!
ああ、猫やっててよかった!」
「そんなこと誰も言ってませんよ? …ええーと、戦争準備状況の提出を求めているようですね。
「そんなこと誰も言ってませんよ? …ええーと、戦争準備状況の提出を求めているようですね。
早期提出国には報奨金が…。え、報奨金!?」
「おおっ、来たな! よし、文族を呼べ! 緊急招集だ!」
「はい! ………あれ、誰もつかまりませんよ!?」
「な、なんだってえええ! どうしてそんな!」
「…あ、冒険後の休暇を出してました」
「こ、こんな時に! ど、どうする? どうすればいい!?」
沈黙する摂政と藩王。目をぐるぐるぐるぐる回し始める。
「おおっ、来たな! よし、文族を呼べ! 緊急招集だ!」
「はい! ………あれ、誰もつかまりませんよ!?」
「な、なんだってえええ! どうしてそんな!」
「…あ、冒険後の休暇を出してました」
「こ、こんな時に! ど、どうする? どうすればいい!?」
沈黙する摂政と藩王。目をぐるぐるぐるぐる回し始める。
…はっ! その時、摂政の脳裏に黄金の閃きが走った!
「思いつきました! この会議をそのまま提出しましょう!」
「わけわからないこと思いつくね君! こんなアレな会話提出してどうするんだい!」
「まあ、そこはノリで!」
「ノリかよ! …まあ、確かに切羽詰った感は十分だが」
「でしょう!? もう、ほんと切羽詰ってるんですよ!? 締め切りまであと20分切ってるんですよ!?
「わけわからないこと思いつくね君! こんなアレな会話提出してどうするんだい!」
「まあ、そこはノリで!」
「ノリかよ! …まあ、確かに切羽詰った感は十分だが」
「でしょう!? もう、ほんと切羽詰ってるんですよ!? 締め切りまであと20分切ってるんですよ!?
締め切り今日中なの今気づいたんですよ!?」
「わ、わかった、わかったから! では、提出しよう!」
「わ、わかった、わかったから! では、提出しよう!」
こうして、わけのわからない秘密会議が、尚書省に届けられたのだった。
大丈夫かこの国。