今、『成すべき事』は
「はぁ・・・はぁ・・・どこにいるんですか・・・ウルベさん・・!」
蒼い龍のような機体に襲われ、宗介の言葉どおり、シンジはウルベを探しながら南下していた。
(今この瞬間にも宗介さんはあの龍の機体と戦ってるんだ・・・)
筋肉痛の痛みよりもまずシンジの心には不安が渦巻いていた。
「宗介さんならきっと大丈夫・・・」
そうは言ってみるものの、不安は薄まるどころか濃く、そして大きくなっていった。
必死に不安を振り払いながら南下していくシンジ。
少ししてシンジはあることに気づいた。
北の空が・・・赤い。
「森が・・・燃えてるの?」
森が燃えるなど戦闘以外に考えられなかった。
胃がキリキリと縮んでいく。
今まで何とか抑えていた不安が急速に巨大化していった。
不安に支配されたシンジの頭に浮かび上がるもの。
それは・・・宗介の死。
ついさっきまでともに行動していた人物の死。
ゼンガーの死を乗り越えたとはいえ、シンジは宗介の死を感じて冷静でいられるほどの心はまだ持っていなかった。
「戻らなきゃ!宗介さんを助けに行かないと!」
シンジはそういうと慌てて大雷鳳を北へ向かわせようとする。
が、
「うわぁ!!」
どういうわけか大雷鳳は無様にしりもちをついた。
周りを見てみるとマフラーが木に引っかかっている。
「何やってるんだよ!宗介さんにも周りを良く見て行動しろって言われ・・・」
そこまで言うとシンジは口をつぐんだ。
宗介の言葉が頭に響いてくる。
『戦場では一兵卒の行動が全滅か生存かを分けることもある。自分の与えられた任務を遂行しろ!』
その言葉で不安が消えたわけではない。
しかし、パニック状態だったシンジに冷静さと、そして今すべきことを思い出させてくれた。
(今しなきゃいけないこと・・・)
それはウルベと連絡をとり、宗介のいった合流地点を目指すこと。
それが宗介の言った「任務」だった。
シンジは唇を噛み締めると、木に引っかかっていたマフラーをほどき大雷鳳は燃えている森に背を向けた。
「宗介さん・・・僕、与えられた事を必ずやり遂げます。だから・・・宗介さんも・・・」
そこまで言うとシンジは、大雷鳳は南へ走り出した。
与えられた「任務」をこなすために。
宗介もまた生きて合流するという「任務」をこなしてくれると信じて。
【碇シンジ :大雷鳳(第三次スーパーロボット大戦α)
パイロット状態:良好(おなかいっぱい・若干不安に駆られている)。全身に筋肉痛
機体状態:右腕消失。装甲は全体的軽傷(行動に支障なし)。背面装甲に亀裂あり。
現在位置:H-5
第1行動方針:ウルベと合流し、宗介との合流地点へ向かう
第2行動方針:アスカと合流して、守る
最終行動方針:生き抜く
備考1:奇妙な実(アニムスの実?)を所持】
最終更新:2008年05月30日 16:33