信頼以上恋未満


頭の真上に輝く太陽と、それを無粋に覆い隠す巨大な戦艦にマイ=コバヤシはふう、とため息をついた。
馬鹿げていると思う。許せないと思う。負ける物かと思う。絶対にこのふざけたゲームを止めようと思う。
しかしそれ以上にマイは、困惑していた。覚えがあるのだ。

このハガネとくらべてもバカでかい戦艦と、あのユーゼス=ゴッツォに。
(そう、あれは昔、ずっと昔…「っぁ?!」
昔の記憶を掘り起こそうとして、マイは激しい頭痛に喘いだ。
昔――レビ=トーラーだったときの記憶の片隅にあの顔がある、はずなのだが。

「まあ、思い出せないのなら今はしょうがない、か」
桜色の髪をなでつけながらマイは現実に意識を戻す。

支給された機体は、慣れ親しんだ物だった。
彼女が主に扱っていたというわけではないが、彼女の仲間で、大切な…
そう、親友で、もうちょっと自分でもよく分からない感情を持っている相手の機体だ。
R-1。SRX計画の第1号機である。
蒼と白に塗り分けられた機体には傷一つ無く、武装はどれも新品同様。
T-LINKシステムは切ってしまった状態でも運用できるようになっているが、切る意味はないのでスイッチは入れていた。

(動くか、とどまるか。当てがないならどちらでも同じだが、どうするかな…?)
マイは仲間を捜すつもりであった。元の世界で一緒に戦っていた仲間達を。
特に…リュウセイだ。
(リュウなら、リュウと一緒なら何とかなる。きっとここから、逃げ出せる…!)


【マイ=コバヤシ 搭乗機体:R-1(超機大戦SRX) 
 現在位置: E-1 廃墟のどこか
 第一行動方針:動くかとどまるか決める。
 第二行動方針:仲間を捜す(リュウセイ優先)
 最終行動方針:ゲームを脱出する】





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最終更新:2008年06月02日 21:04