近くて遠くて
「ねえ、マシュマーさん。こうな~んにも無い所じゃ誰かに狙われたら危ないし、森に入って進まない?」
その時A-4地点からA-5地点に向う二つの影、マシュマー・セロのネッサーとミオ・サスガのボスボロットが、
危険を避けるために森の中へ移動したため、互いに仲間を求めるもの同士、余りに近くに居ながらその存在に
気付かなかったのだ。さらに、
「ミオさんの言うことも最もですね。待っているだけというのもなんですし」
ただ待っているだけ問う状態ではいけないと思ったハヤミ・ブンタが、湖の中を探索し始めてまもなく、
やはりフォッカーと遷次郎がその場所を通り過ぎてしまったのだった。
無論、両者ともその存在に気付く事は無かった。
「ブンちゃんたっだいまー!」
元気よくミオが湖に向って叫ぶ(と、言っても通信機にだが)、ほどなくしてドッゴーラが湖からでてくる。
「ああ、お帰りなさい。で、どうでした?」
「うむ、川はドッゴーラが潜れるのに十分な大きさだった、これで共に行動する事ができるというわけだ」
マシュマーがそう答えた時、ドッゴーラの手に何かがあることに気付いた、
「何だそれは?」
「ああ、これですか。ミオさんが湖に何か隠されているかもって話してたじゃないですか?
待ってるだけというのもなんでしたから、いろいろ探してみたんですよ」
ドッゴーラが手に持ったそれを地面に置く、
「すっご~い!これって日本刀じゃない!」
そう、それは日本刀だった、ただし長さは10メートル近くあった。ご丁寧に鞘まである。
「このサイズ…MS用か?どうせならビームサーベルとまではいわんが、ヒートサーベルぐらい…」
「何言ってんのよマシュマーさん!日本刀よ日本刀!武士の魂よ!」
「何、武士!ではこれが噂に聞くサムライブレードなのか!?」
武士という言葉に、目の色を変えるマシュマー、
「武士とは東洋最強の騎士!その武士が使ったとされる伝説のサムライブレードが私の目の前に!」
その反応に満足し、うんうんとうなずくミオ、
「それじゃあこれは私が使うね」
「いかん!これは騎士たる私が使ってこそ光輝くというものだ!」
これまでに無い迫力で訴えるマシュマーに、ミオはただ一言答えた、
「どうやって?」
己の機体を見るマシュマー、その手、というかヒレ。それはもう見事なまでのヒレだった。
その用途はたった一つ泳ぐ事。間違えても何かを持つようにはできてはいない。
「あの、すいませんマシュマーさん…」
「いや、ハヤミ・ブンタ。君のせいではない…」
そう言ってはいるが、意気消沈しているのは誰の目から見ても明らかだった。
「こりゃかなりの重症ね…そうだ!ブンちゃん、ちょっとこっち!」
「なんですか?」
「あのね…」
「え?それはちょっと…」
「いいからいいから、これもマシュマーさんを元気付けるためだって」
「はぁ、わかりました…でも止めたほうがいいと思いますが」
「大丈夫だって!」
「そうさ、私にはネッサーがある、バリアもついているんだぞ。十分じゃないか…ハハハ」
「ねえねえ、マシュマーさん」
後ろからミオの声が聞こえる、振り向くマシュマー
「何だ…ぶわっはっはっはっはっはっ!」
そこでマシュマーが見たものは!?
「ふんどし!」
ドッゴーラのテールラッドが、ボスボロットにまるでふんどしの様に巻きついている光景だった。
「はっはっはっはっ…って遊んどる場合か!何を考えているのだ貴様達は!!」
「いや、僕は止めたんですけどね…」
「いいじゃない、元気になったみたいだし」
…やっぱりフォッカーは幸運だったかも。
【マシュマー・セロ】支給機体:ネッサー(大空魔竜ガイキング)
機体状況:良好
パイロット状態:良好(強化による不安定さは無くなった?)
現在位置:A-5(川に沿って東へ)
第一行動方針:ハマーンと仲間を探す
最終行動方針:ハマーンを守り、主催者を打倒する
【ミオ・サスガ】支給機体:ボスボロット(マジンガーZ)
機体状況:良好 MS用の日本刀を背中に背負っている
パイロット状態:良好
現在位置:A-5(川に沿って東へ)
第一行動方針:仲間を探す
最終行動方針:主催者を打倒する
【ハヤミ・ブンタ】支給機体:ドッゴーラ(Vガンダム)
機体状況:良好
パイロット状態:良好
現在位置:A-5(川に沿って東へ):水中
第一行動方針:仲間を探す
最終行動方針:ゲームからの脱出
【時刻 17:30】
最終更新:2009年02月15日 04:41