近くて遠くて
「では、頼んだぞフォッカー君」
「任せてください、司馬先生」
ゲームを終らせるために協力する事になったロイ・フォッカーと司馬遷次郎の二人は、移動の際にあえて
平原を移動し、アルテリオンは上空、ダイアナンは地上を行く事にした。
「君は上空で警戒していてくれ、原因は不明だがセンサーがあまり役に立たないこの状況では、
目視のほうが頼りになる。平原を進めば、めったに奇襲されるという事もないだろう」
「しかし、司馬先生。それでは貴方が危険なのでは?東の森を進んだほうが良いと思いますが」
「いや、それは逆だよフォッカー君」
反対したフォッカーを、遷次郎は生徒に講義でもするかのように話しかける。
「確かに森の中を進めば発見はされにくくなる、しかし君の機体は森の中では性能を十分に生かす事は
難しいだろう。それに私とはぐれ無いように、比較的低空の飛行になってしまう分、対空攻撃を受けやすい。
その場合、相手には君が丸見えだが、君は相手を補足できないという状況になりかねん。
私の機体は見ての通り戦闘向けとはいえん、ならば主戦力であるアルテリオンが不利な状況に陥るほうが
はるかに危険なのだよ」
「しかし、貴方の機体が破壊されれば元も子も無いのでは?」
「なに、平原を進むと行っても森から遠く離れるわけではなく、しばらくはつかず離れずの位置で進む事にする。
これなら私は森の方向にだけ警戒すれば良い、いざとなれば森に逃げ込むこともできる」
(見た目通りにただの学者じゃないって事か)
上空で警戒するフォッカーはダイアナンを見ながら、自分が想像以上に頼もしい仲間を得た幸運に感謝した。
が、実は余り幸運とも言えなかった。
【ロイ・フォッカー 搭乗機体:アルテリオン(第二次スーパーロボット大戦α)
パイロット状態:良好
機体状況:良好
現在位置:A-5からB-4に移動
第一行動方針:首輪を手に入れる(マーダーを逆に殺すか、死体から回収)
第二行動方針:ユーゼス打倒のため仲間を集める
最終行動方針:柿崎の敵を討つ、ゲームを終わらせる】
【司馬遷次郎(マシンファーザー) 搭乗機体:ダイアナンA(マジンガーZ)
パイロット状態:良好
機体状態:良好
現在位置:A-5からB-4に移動
第一行動方針:信用できる仲間を集める
第二行動方針:首輪を手に入れて解析する
最終行動方針:ゲームを終わらせる】
「ねえ、マシュマーさん。こうな~んにも無い所じゃ誰かに狙われたら危ないし、森に入って進まない?」
その時A-4地点からA-5地点に向う二つの影、マシュマー・セロのネッサーとミオ・サスガのボスボロットが、
危険を避けるために森の中へ移動したため、互いに仲間を求めるもの同士、余りに近くに居ながらその存在に
気付かなかったのだ。さらに、
「ミオさんの言うことも最もですね。待っているだけというのもなんですし」
ただ待っているだけ問う状態ではいけないと思ったハヤミ・ブンタが、湖の中を探索し始めてまもなく、
やはりフォッカーと遷次郎がその場所を通り過ぎてしまったのだった。
無論、両者ともその存在に気付く事は無かった。
【初日 16:30】
最終更新:2024年12月26日 00:16