駆け抜ける武人


平原を進む1体のガンダム。
その操縦席にはバルマーの武人、バラン・ドバンが乗っていた。
「(バカな…ユーゼス・ゴッツォは地球進行の際に戦死したと聞く。それが何故、今頃になって姿を現した?
 それに、我らをこのような首輪で縛り殺し合いを強要するとは…まさかヤツめは神の力を手に入れたとでも言うのか!
 ……いや、そんなことより今は姫だ。姫様をなんとしてもお救いせねば!)」
焦燥に狩られたバランは、ガンダムを変形させて四脚歩行で走り始める。
ガンダム…獅王争覇グランドガンダムは、その重厚な機体を揺らしながらあてもなく走り続ける。
しばらく走り続け、廃墟の側にやってきたところで…
「むっ!?」
不意に砲撃を受けた。左に見える廃墟かららしい。
「不意打ちとは卑怯な!名を名乗れ!」

「ふん!戦いは勝てばいい!「名乗りを上げていざ勝負」など間抜けのすることよ!」
ヤザンは支給された機体…龍王機を駆ると、廃墟のビルのはるか上空に飛び上がった。
「遠距離用のラスタバン・ビーム、中距離用のファイヤー・ブレス、接近戦用のドラゴン・カッター…
 そして空中での高機動戦闘が可能か…いいぞ、こいつはMAのようなものだ!」
相手の機体はどう見ても地上を走るタイプに見える。
ならば、空中からじわじわとなぶり殺しにすれば、負けることはないはず。
「よし、行くぞ!手始めにヤツの機体を撃ち抜いてやれ!」
龍王機の眼から光線が発せられ、グランドガンダムに迫る。
「ぬぅぅぅぅっ!どうやら話し合うつもりは全く無い様だな」
光線がグランドガンダムにヒットするが、さほどダメージは受けていないようだ。
バランは隙を見て反撃を開始する。
「行けぃ!グランドボンバー!!!」
4門の砲塔から拳状のパーツが発射され、龍王機に向かっていく…が、目前でひらりと避けられてしまう。
龍王機がさらに反撃としてビームを撃つが、グランドガンダムの堅牢な装甲には有効打となりえない。
それに加え、DG細胞の効果で少しずつだが傷を修復している(戦闘が有利になるほどの修復速度ではないが)。
遠距離戦では埒があかないと見たか、ヤザンは龍王機に火を吹かせながら接近し、すれ違いざまにドラゴンカッターで切りつける。
「むぅ、中々の攻撃。このままではマズイか……」
バランは精神を統一する。
動きを止めたグランドガンダムにトドメを刺さんと再び迫る龍王機。
「…今だ!」
その瞬間、グランドガンダムの角が放電し、目前まで迫った龍王機を一瞬にして刺し貫いた。

「なにっ!?」
操縦席のモニターはノイズで覆われ、メーターはメチャクチャな数字を示している。
グランドガンダムはそのまま龍王機を放り捨てると、何処かヘと去っていく。
『姫様!このバラン・ドバン、すぐに参りますぞ!』
そのセリフだけを残して。
「……バ、バラン・ドバン…おのれ、覚えていろよ…」
機体のダメージは深刻だった。何とか空を飛べるが、飛行と言うよりは浮遊と言う感じだ。
幸い、龍王機には自己修復機能が備わっているようなので、しばらく放置していれば勝手に直るはずだった。
「(まさかこのオレが、いきなり倒されるとはな…だが、まだだ!まだ終わらん!)」
ヤザンは廃墟に突っ込んだ龍王機から脱出すると、機体をその場に残して周囲の偵察へと向かった。



【バラン・ドバン 搭乗機体:獅王争覇グランドガンダム(Gガンダム)
 パイロット状況:健康だが、焦っている
 機体状況:装甲を一部損傷。ほんの少しずつ自己修復
 現在位置:C-3
 第一行動方針:アルマナを探す
 最終行動方針:主催者打倒もしくはゲーム脱出】

【ヤザン・ゲーブル 搭乗機体:龍王機(スーパーロボット大戦α)
 パイロット状況:健康
 機体状況:腹部貫通&機械部分が一部ショート。自己修復にかなり時間がかかる。
 現在位置:C-3廃墟
 第一行動方針:龍王機の自己修復を待つ
 最終行動方針:ゲームに乗る】



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最終更新:2008年06月02日 21:05