定-simei-
朝焼けとともに深海でベターマン・ラミアは
目覚めた。
マジンカイザーとの死闘で連続で2回もの変身を行い、体力の殆どを使い果たし、そのまま眠りについていたのだった。
ソムニウムという種族における栄養補給はアニムスの実に他ならない。
実を食べれば、多少体力を回復させ、もっと安全な場所に身を潜めて眠りに就くことができたはずだ。
眠りとは完全な生命体ともいえるソムニウムにとって、唯一の弱点なのである。
しかし、それはできなかった。
残り少ない実をこれ以上消費することはできない。
第一、いつカンケルが現れ、戦いになるかわからないからだ。
何よりこの地にアニムスの花が咲いているとは到底思えなかった。
その結果、ラミアは危険を承知の上で深海に身を潜め、眠りに就くことにしたのだった。
陸地に上がると、ラミアは身を震わせて全身の水を切る。
そして現状を把握するためにリミピッド・チャンネルを開き――――無表情な彼にしては珍しく眉をひそませた。
ソムニウムとして人間の倍以上生きてきたラミアには、流れ込むそれらの感情は珍しいものではなかった。
乾き。
滅び。
邪念。
望み。
しかし、そんなラミアにとってもこの地に蠢く想いは異質と言う他なかった。
世界の果てというものがあるのなら、それは正にここではないか――――。
そして、
(やはりいるのか。カンケルが)
元凶なりし災い、アルジャーノン。
その向こう側にラミアは間違いなくカンケルの存在を感じとった。
如何なる理由で再びカンケルが産まれたのか、興味はない。知る必要もない。
(再び産まれたというなら、もう一度滅ぼすまで)
それが最後のソムニウム、ベターマン・ラミアの役割。
(カンケル、お前に全ての命を滅ぼさせはしない……!)
そしてラミアは駆け出した。己が使命を果たすために。
同時刻。
光あるところに影がある。
朝日が木々を照らし、木漏れ日と影を作る。
その影から「それ」は現れた。
弱々しくも頼りない女性的なフォルムを持ちながら、その存在は吐き気をもよおすほどに禍々しい。
そして「それ」は何かを感じとったように再び影へと消えていった。
その名はカンケル。向かう先はベターマンを滅ぼすために。
ベターマンとカンケル。
カンケルとベターマン。
相容れぬ二つの影は再び世界の闇の中で巡り会う。
【ベターマン・ラミア 搭乗機体:ボン太君スーツ(大破)
機体状態:なし(ボン太君スーツ大破のため)
現在位置:B-3から移動開始
第1行動方針:アルジャーノンが発症した者を滅ぼす
第2行動方針:オルトスの実を生成する
最終行動方針:カンケルを滅ぼす
備考:フォルテの実 残り2個 アクアの実 残り1個 ネブラの実 残り2個】
【カンケル
現在位置:???
第1行動方針:ベターマンを滅ぼす
最終行動方針:全ての命を滅ぼす
備考:基本的には人畜無害。ただし下手につつくと襲われる危険性アリ。
ラミアがゲームに生き残っている限り、他のパイロットを襲う危険はあまり無い。
ラミアに協力しようお人好しは一緒に襲われる可能性かなり大】
【2日目 06:00】
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最終更新:2009年02月15日 05:12