蘇る龍


長かった夜が明け、東の空が太陽の光に染まっていく。
昇りゆく朝日に向かって、龍の咆哮が轟いた。
それはユーゼスの枷から解き放たれた彼が、反旗を翻した瞬間だった。

他のゲーム参加者達と同じように、突如この世界に召還された龍王機。
彼はユーゼスの手によってその自我を奪われ、物言わぬ殺戮兵器として、参加者に支給された。
不幸なことに凶暴な殺戮者の手に渡ってしまった彼は、その力で多くの罪なき者達を死に追いやることになってしまう。
だが、転機は訪れた。二日目の朝の戦いだ。
激戦の末、龍王機は戦っていた青い巨大ロボットの下敷きとなって潰され、力尽きた。
その時の衝撃で、ユーゼスが彼に施していた洗脳が解けたのだ。

その時点での彼の身体は、動くことすらできないほどに激しく傷ついていた。
自我を取り戻した彼は、静かに、その傷を癒すことに専念する。

それから、ほぼ一日近い時間が流れた。
身体はなんとかまともに動ける状態にまで修復できた。
時は来た。龍は本来の使命を果たすべく、新たなる戦いの空へと飛び立つ。
地球の、人界の守護のため。人々を脅かす、百邪を打ち倒すため。
そして……ユーゼス・ゴッツォを倒すために。

龍は、自我を奪われていた頃のあやふやな記憶を辿る。
殺戮者に操られた自分と戦っていた、自分が自我を取り戻すきっかけとなった、
クスハ・ミズハがかつて乗っていた機体とそっくりの姿をしていた、あの青いロボット。
まずは、あの機体と接触してみようと考えた。
それを動かす者が、クスハと同じように、正しき心を持つ者であることを信じて。


【搭乗者無し 機体:龍王機(スーパーロボット大戦α)
 機体状況:尻尾なし。全身の装甲があちこち拉げているが、修復は済んでいる。ただし過度の戦闘は禁物
 現在位置:H-4
 第一行動方針:ゲームに抗う者達と接触し、共闘(グルンガスト優先)
 最終行動方針:ゲームの破壊】

【三日目 05:00】





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最終更新:2009年02月15日 05:26