女傑と少年
「アッガイか…操縦できないことはないが、使い勝手は今ひとつかもしれないな」
A-3の水面に落下したハマーンの機体は、幸いにも水中用MSだった。
ステルス性に優れてはいるが、火力はやや不安が残るアッガイ。
武装は頭部機関砲と右腕部ロケット砲、そして接近用の伸縮式クロー。
「まぁ、バランスは悪くないな…とは言え、一人では生き残るのは難しいか」
ハマーンはアッガイをゆっくり浮上させながら、広間で見た人たちについて考える。
確かマシュマーの姿があった。
彼女の知っているマシュマーなら、敵になることはないだろう。
それと、よく見えなかったがギレン・ザビの姿が見えた気がする。
何年も前に死んだはずのギレンがいるということは、ユーゼスという男は時間に干渉することが可能ということか。
…それはともかく、ギレンならば話のつけようがあるかもしれない。油断は禁物だが。
「とりあえず、マシュマーを探すのが良いだろうな」
マシュマーは少し頼りないが忠実だ。
ギレンは優秀かもしれないが、危険な気がする。
「…とにかく情報が必要だ」
ヘルモーズなどという艦は聞いたことがなかった。
そして、死んだはずのギレンの存在。
もしかしたら、ハマーンの全く知らない強力な兵器を持った者がいるのかもしれない。
静かに水面上に頭を突き出すアッガイ。
と、前方B-3の岸辺に見たこともないロボットの姿があった。
一瞬、両者とも動きを止める。
次の瞬間。
『う、うわわわ、撃て!ロボ!』
子供の声が響く。
その声に反応して、目の前のがっしりしたロボットが小型ミサイルを無数に発射する。
「…ッ!?」
慌ててアッガイを潜らせるハマーン。
ミサイルは水面で爆発し、機体に損害はなかった。
「(声からして子供のようだが、いきなり撃ってくるとはな。いや、動揺していたようだった…どうするか)」
ハマーンは頭をほんの少しだけ水上に出して様子を見る。
……が、どうやら相手は既に逃げて行ったらしかった。
そのままB-3に上陸して地面を調べると、相手のロボのものと思われる足跡が北へと向かっていた。
「(追いかけるか?…いや、そんな余裕は…………ふっ、そうだな)」
ハマーンは進路を北に向けると、足跡をたどって歩き始めた。
マシュマーがどこにいるのか分からない以上、どちらへ歩いても同じだと自分に言い聞かせた。
「…私も甘くなったものだな」
【ハマーン・カーン 搭乗機体:アッガイ(機動戦士ガンダム)
パイロット状況:健康
機体状況:良好
現在位置:B-3
第一行動方針:少年(ハチロー)を追う
第二行動方針:マシュマーを探す
最終行動方針:ゲーム脱出】
【ハチロー 搭乗機体:ジャイアント・ロボ(ジャイアント・ロボ THE ANIMATION)
パイロット状況:恐慌状態
機体状況:良好
現在位置:B-2
第一行動方針:逃げる
最終行動方針:混乱してて何も分からない】
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最終更新:2008年05月29日 01:18