正調・じょんがら節(デュエットver.)


 マシュマー・セロはすっかり毒気を抜かれてしまっていた。誰に?そう、目の前の小娘にである。
白いシャツに青いブレザーとスカート。スカートはとても短い。
首には短いネクタイを巻き、赤いリボンで青い髪をツインテールにまとめている。
身長は150センチほどであろうか。
外見からするとエレメンタリースクールの生徒と言われても違和感無く信じてしまいそうである。
本人の自己申告を信じるとするなら15歳らしいが・・・
「ねぇねぇ、聞いてるの?アッシマーさん!」
「マシュマーだ!」
「そんなことどーでもいいから聞いて。マシュマーさんもこんな人殺しゲームなんてやりたくないでしょ?
 私と協力してあのダース・ベイダーみたいなヤツを倒そうよ!」
「おい小娘、私は貴様なんかと組んでいる暇など無いのだ。一刻も早くハマーン様の下へ馳せ参じなければならぬ。」
 言い返すと少女は大袈裟に肩を竦めてみせた。
「そのパーマンさん?って人がどんな人かは知らないけどさ、マシュマーさん自分の支給されたロボット見てみなよ。
 どう考えても強そうに見えないよ?こんなんじゃもし積極的に人殺ししたがってる人がいたら私たちイチコロかもしれないでしょ!
 最初に集められた部屋に何人かアブナイ感じの人がいたの、見たもの。」
 見かけによらず、その洞察は冷静な判断に基づいているらしい。マシュマーは少し感心しながら自らに支給された機体を見上げた。
(しかしなんと醜い機体だ・・・センスの一欠片も無いではないか・・・)

その機体の名前は魚竜ネッサー。武装はわずかに三つ。
口から吐く『ネッサーファイヤー』(ただしその火力は金属を溶かすことができるかも疑わしい)
『ネッサービーム』『ネッサーミサイル』である。他には魚雷もあるが、地上では無用の長物だ。
どうも海底探査機としての役割が重視されているようだ。
一応バリアを張ることもできるが、『防御力にあまり期待はしないように』と取扱説明書に書かれていた。全く、ご丁寧なものだ。
全長は25メートルと無駄に大きく、挙動もあまり素早くは無い。
少し動かしてみて、その性能の低さに絶望で前が見えなくなるようなショックを受けていた矢先、
彷徨い歩いていた少女の機体と出くわしてこうやって協力を持ちかけられているのである。
「見てよ、マシュマーさん。このロボット!スクラップを組み上げたみたいなヤワな作り!
 怪力自慢なだけで武装なんてな~んにもナシ!」
 対して少女の機体の名はボスボロットと言うらしい。
外見だけでなく名前までセンスがない。マシュマーに割り当てられたネッサーも貧弱な機体であるが、
ボスボロットはそんなマシュマーでさえ同情を禁じ得ない程の最悪と言っていい酷さである。
なにせ武装が何もないのだ。パワーはかなりのものらしいが、
飛び道具など使われたらただの的であろう。確かにこれでは心もとないのも無理は無い。

「マシュマーさん!」
 背中を思い切り叩かれてマシュマーは我に返った。どうやらネッサーを見ながら呆けてしまっていたらしい。
「何だ?小娘。」
「私の名前はサ・ス・ガ・ミ・オ!いい加減覚えてよね。で、どう?協力しよーよ。いいでしょ?」
 マシュマーは考える。このままハマーン様の所へ行っても足手まといになるだけだ。
盾になるぐらいしかできないだろう。ならば、この少女と協力するのもやぶさかではない。
そう理由付けをしながら、マシュマーは久しく忘れていた人間的な感情に驚いていた。
そう、人口的なニュータイプ、強化人間となってから忘れていた感情だ・・・
数機のドーベンウルフの一斉射撃を受け、ザクⅢ改の中で死に行く筈だった命。
何故こんな所に連れてこられたのか、それは皆目見当がつかないが、
強化人間となってから自らを支配していた強烈な憎悪、心の真芯から冷えてゆくような感覚が薄らいでいる。
その変化に戸惑いながらも、マシュマーは気取って言う。
「いいだろう、ミオ。このマシュマー・セロ、貴公と共に戦おうぞ!」
 かくして二人は共同戦線を組み、まずは仲間探しをすることにしたのであった―――

【マシュマー・セロ 搭乗機体:魚竜ネッサー(大空魔竜ガイキング)
 パイロット状況:健康(強化人間としての不安定さは今は影を潜めている)
 機体状況:良好
 現在位置:A-4
 第一行動方針:主催者打倒の為の仲間を探す
 最終行動方針:打倒主催者】

【ミオ・サスガ 搭乗機体:ボスボロッド(マジンガーZ)※マジンガーZ版なので全長は12Mです。
 パイロット状況:健康
 機体状況:良好
 現在位置:A-4
 第一行動方針:主催者打倒の為の仲間を探す
 最終行動方針:打倒主催者】



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最終更新:2008年05月29日 01:14