拡散する情報――そして惑わすもの ◆JxdRxpQZ3o
施設内を一通り調べ終わり、静かなる中条はダイモスを待機させていた格納庫へと向かっていた。
探索の成果は、この施設が人型機動兵器の整備・開発工場であること。
修理は補給装置のそれと違いワンタッチで楽々操作とはいかなかった。
施設内の資材、機材を利用し複数の技術者が必要になるものだ。
支給機体全てのカバーを出来る施設かどうかは門外漢である中条にはさっぱりといった所である。
他にも支給されたMAPにもユウキ達の物にも載っていなかった補給装置、ユウキがc-3のUNから得た情報によりUNの端末が発見出来た。
そしてUNからもたらされた二つの情報である。
一つ。シン・アスカのジャミル・ニート殺害。及び探し人を呼びかける文章データ。
スレード・ゲルミルの危険性をこれでもかと強調した説明、丁寧にもジャミルの死体画像まで添付されていた。
二つ。ジ・エーデル=ベルナルなる男が企むスペースコロニー落下に注意を呼びかける音声データ。
こちらもガンバスターと搭乗者の危険性をよびかけている。情報提供者自身の知合いを気にかける内容も入れているのも同じだ。
両者とも鵜呑みにできる情報ではない。こういった状況なら尚更だろう。
特に後者。自分の住む世界の技術力からは逸脱するその情報に困惑する。
元々、中条の世界にスペースコロニーの概念はあっても存在はしない。
ユウキとの宇宙空間に点在する施設の調査に関する打合せの中でその存在を示唆された時点で驚いていた程である。
彼の住んでいた世界において、スペースコロニーは絵空事で無く当然存在するものであるらしい。
平行世界――これも概念でしかなかったものだ――をシャドウミラーは移動できる。
それを考えればスペースコロニーの存在もシズマドライブ以外の動力源の存在もおかしくないのだろう。
だが、それでも巨大なスペースコロニーを落とすなど可能だろうか。
信じられないと言うよりも、信じたくないという気持ちが強い。
「行為そのものよりもよりも、遊び半分で大量虐殺を行おうという存在を信じたくないのだろうな。
むっ、いかん。もうこんな時間か」
時計を見た中条は足を速めた。
「何処ホッツキ歩イタンダ!」
ダイモスコクピット内に甲高い声が響く。
「おお、やっと起きたのか。居眠りなどしていなければ一緒に来れば楽しかったかも知れんぞ」
それを苦笑しながらいなすと、大人の対応になれないハロはしっくりいかないという雰囲気を出す。
まあ、数の暴力で威圧できないと言うのもあるのだろう。
このハロ、どうやらユウキへ大量に支給されたハロの1つが紛れ込んだらしい。
中条も施設に着くまで気付かなかったのだが何故か機能を停止していた為だ。
それがやっと起きたようだ。
「一体なぜこっちへついてきたんだ?」
「ウーン……思イ出セナイ」
言えないとなるとユウキからスパイを頼まれて着いて来たのだろうか。
だが、初めてあった人物を信じきれるものでもないだろう。
むしろ頼もしいくらいでもある。
「――ま、言えないのならそれで良い」
「イヤ、本当ニ……」
ふと中条は時刻を見やる。
「おっと、ハロ君。おしゃべりはここまでにしておこうか」
「話ヲ聞ケヨ!」
「ヤット俺ニモ、スポットライトガ当タル!当タル!」
中条が座るコクピットの背後でハロがなにやら訳のわからぬ事を唱え続ける。
だが現在、そのやかましい声も中条の耳には届いていない。
あの第一回放送を聞いている為である。
中条には元からの知り合いや、この場で出会った参加者も割合的には少ない方である。
尚且つ、その誰もが今回の放送で呼ばれても居ない。
だからと言って、彼が、静かなる中条が、安堵が出来る訳ではない。
26人。それだけの人間が八時間の間に誰かと殺し合い、誰かに殺され散っていった。
殺し合いに乗った参加者は予想以上に多いのだろうかというそれらの者に対する嫌悪感。
自分の手の届かぬ所で殺されていった参加者達への申し訳無さ。
殆ど何も出来ずに居た自分への不甲斐なさ。
それらの感情が自分の中でない交ぜになる。
「私はここでも、誰かを救うことは出来ないのか」
禁止区域に印をつけていく手に自然と力が入り、鉛筆は折れた。
「何ボサットヤッテンダ!40秒デ支度シナ!」
中条の耳に今度こそ今まで無視されていたハロの言葉が届く。
「おお、すまないな。それでは行こうか」
甲高いおちょくるような発言に中条は感情を乱されること無く、軽く受け流す。
むしろ、今まで一人考え込んでいた思考を切り替えることが出来たとプラスに考えているくらいだ。
「コノオッサン、ヤリニクイナ……」
ヒステリックに対応してくれるユウキが少し恋しい――。
転移装置の前に立つ。
中条にとっては初めてだがお約束の音声案内が流れ始める。
『空間転移装置使用者へ。空間転移装置は、宇宙と地上の特定の位置同士をつなぐ装置である。
時間にラグなどは起こらないか『c-3側の空間転移装置を作動を確認しました。』
それを遮る形で警告音と無機質な音声が流れた。
「宇宙から誰かがやってきたと言うことか」
「奴ダ!宇宙ヲ落トス奴ガ来ル!」
「空を落とす……か。まさかとは思うが接触するべきだろうな」
空間転移してくる者と接触すべく、来た道を戻る。
それを見つけるのは案外にも簡単だった。
基地から東に十数kmの地点。転移装置の送ることが出来る最大距離だ。
起伏の激しいこの島の大地でも、100mをゆうに越す機体は遠くからでも目立った。
「いやな予感がするな。」
100mを超える機体。確かにゴダードはそう言っていた。
まさしくその特徴と目の前のその機体は合致する。
だがそれだけだ。それだけの情報で相手がジ・エーデルと判断するのは早計と言うものだろう
それでも腕組みし、仁王立ちする巨体の威圧感に不安は拭いきれない。
「情報が虚偽だったと願いたい所だ。」
「悪イ予感ホド良ク当タルッテネ」
ハロを無視しつつ、通信回線を開く。
「こちらは静かなる中条。敵対の意思は無い。そちらの返答を乞う。」
「この堅苦しい感じ。やんややんやって感じじゃないみたいだねえ。」
ハロの戯言は偶然にも当たり、現れたのはジ・エーデル=ベルナル。
「まあいいや。こっちの方が後で楽しめるし」
目の前のダイモスに乗る中条はまさしく彼の言う正義の味方の一人でもある。
何処かの世界で出会ったとしたら、間違いなくこちらにその拳を叩き込む人物だ。
「でも、地味。一発芸は派手だけど。それに親父と絡んでるより今はルリちゃんかな」
適当に話を合わせて流す。
数多有る選択肢からそれを選び、黒のカリスマの仮面を被り返答する。
「ジ・エーデル=ベルナルと言います。私もこのゲームに乗る気はありません。
話し合いを希望したいのですが――」
円滑に話を進めるにはこの姿に限る。落ち着いた口調を他の姿でしても地が出てしまうものだ。
だが下手に出たにも関わらず、中条の様子は円滑に話し合いをする気配が無いようだ。
「その前に1つ訊いておきたいことがある。
あなたがコロニー落としを企んでいるというの情報が流れている。
真偽を確かめたいのだが、如何かな?」
――流れる沈黙。
返答を待つ静かなる中条も痺れを切らそういうところで、それは不快な笑いに掻き消される。
「何がおかしい……!」
中条が言葉を放つやいなやガンバスターの両手から無数の光線が放たれる。
ダイモスを追いかける光を引き付け、飛び越えかわす。
レーザーの直撃した地面は、灼熱のマグマへと姿を変えた。
「ジ・エーデル=ベルナル!それが貴様の答えか!?」
「ニヒャハハハハ!その通りさ。で、そんな相手を前にして――」
言いながら、指の先端にバスターミサイルをセット。
照準は中条の乗るダイモスへと合わせ――。
「どうする♪どうする♪どうする♪君ならどうする?」
自ら歌う節に合わせて発射する。
間違いない。目の前に居るこの男はは遊び感覚で人を殺すことが出来る。
中条はジ・エーデルの言動、態度からそれを感じ取った。
沸々と怒りの火が灯るのが解る。それは静かに中条の心の中で燃え盛る。
「ダァァァイモ!シャフト!」
脚部から薙刀状の武器を取り出し、ミサイルへと果敢に向かっていく。
向かい来るミサイルを蹴落とし
ダイモシャフトで切り落とし
踏み台にしながら少しずつでもガンバスターに近づく。
防戦一方ではやられる。少しでも攻勢に出なければならない。
『一人で戦うには、正直あまりにも分が悪い相手だ。絶対に、一人で戦おうとするな』
ゴダードの情報が思い出される。それは先ほどのレーザーの威力から見ても明らかだ。
それでも、今は無謀だったとしても、挑むしかない。
ここで見逃し、後に誰かが苦しむようなことになっては、悔やんでも悔やみきれない。
――今しかない。手の届く今のうちに。
全てのミサイルをダイモスが無効化すれば、ガンバスターは次のミサイルを用意し発射。
発射のたびに数は増し、距離が近づくたびに1つのミサイルに対抗する時間は少なくなる。
ミサイルの雨というべきそれを中条は超人的な動きで捌いていく。
だがその超人的な動きにさしものダイモスもついてはいけなくなる。
ついに1つのミサイルがダイモスの下方をすり抜け、地面に着弾。
はるか後方ながらも半径数百メートルを消滅させた。
その衝撃でダイモスは地面へと叩きつけられる。
「くっ!」
「中条、ダイジョーブカ!?」
意外にもハロが気遣ってくれたことに驚くが、それに気を留める暇は無い。
大丈夫だと言うように笑みでそれを返す。
相手は強大だ。このままでは傷一つ付ける事も出来ずに殺される。
中条の脳裏に最後の手段の使うと言う考えが浮かぶ。
すなわちビッグバンパンチをガンバスターへと叩き込むわけだ。
転移装置、補給ポイントやUNのある重要拠点とも呼べる整備工場の被害を込うむる可能性がある。
カズマ達と約束した宇宙空間の調査を反故にすることになる。
「――カズマ君、ユウキ君すまない。そしてハロ、君もな」
ダイモスのコクピットハッチを開け、ファイティングポーズを取る。
気づけばガンバスターは目前へと迫っていた。
「それが君の答えってわけね。中条長官。
冷静沈着な人物だと思っていたけど、意外と熱いところもあるじゃない。」
「知った風な口を――」
そこで中条は違和感を感じる。
この男の前々から自分を知っているかのような口振りに。
「――中条静夫。国際警察機構北京支部支部長並びに九大天王。必殺技はビッグバンパンチ。
ダイモス。惑星開発用に作られた巨大ロボット。動力源ダイモライト、装甲はダイモニウム製。
シャドウミラー。新西暦187年の地球で暗躍した軍事組織」
「なにを言っている。貴様は一体……」
自分のことのみならず、この男はなぜダイモス、シャドウミラーのことまで知っていると言うのか。
一つだけならまだしも、これら三つは全てがそれぞれ異なる世界の話だ。
「な~んでこんなこと知っているのか、聞きたい?聞きたい?でも教えてあ・げ・な・い。」
完全に相手の発言に意表を突かれ、唖然とする中条。
その一瞬の隙でジ・エーデルには充分だった。
ガンバスターのブースターを吹かせ宙に浮かぶ。
この巨体を空に飛ばすだけでも、地面に与える衝撃は尋常なものではない。
中条も咄嗟にダイモスのコクピットに身を隠す。
「バイバイ!アディオス!グッバイ!中条長官、次はパーティで会おう」
ガンバスターは高空を飛び上がり北の空へと飛んでいく。
ジ・エーデルをこのまま見逃すわけには行かない。
さしもの中条でも生身で空高く飛行するガンバスターを追う事は出来ない。
乗り込んだ勢いで追尾しようとするが、ここでダイモスを停止させて外に出てしまったことが仇となる。
ダイモスの起動、トレーサーと脳波検知のヘルメットの装着に手間取られてしまう。
その間にもガンバスターは北西へと逃げていく。
ダイモスが起動したころには、レーダー上から完全に消滅していた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ガンバスターとダイモスの圧倒的な戦力差を見せつけ、中条に最後の手段を取らざる得ない状況へと追い込む。
そこで中条にこちらが知るはずは無いだろう情報を提示し、そちらに気をとらせその間に脱出。
即席で考えたにしてはなかなかうまくいった作戦である。
「それにしても――」
まんまと策に嵌り、悔しさに浮かんでいるだろう中条のその表情を思い浮かべる。
「ゲヒャヒャヒャハハハハ!」
コクピットの中で木霊されるひどい嘲笑。
そんな思い浮かべるだけでジ・エーデルは笑いを抑えきれない。
だが直接見てみたかった。
『思い浮かべる』
それだけでは足りない。
そのためのコロニー落しだ。
そのときの正義の味方たちの表情は、行動はどうなるだろう。
そんなパーティを思うだけでジ・エーデルの表情は緩む。
しかし、UN上における情報の回り具合は予想以上だ。
c-3コロニーでその存在を知りはしたが、まさか次の参加者に出くわしたその先で相手が自分を知っているとは思いもしなかった。
UNを発見し自分の企みを知る人物は今後も増えていくだろう。
「すこーし急ぐ必要があるかもしれないねえ」
【ジ・エーデル・ベルナル 支給機体:量産型ボン太くん(フルメタルパニックふもっふ)
パイロット状況:スーパーハイテンション 背中と右手の甲に痣
機体状況:良好 ボイスチェンジャーの不具合解消
現在位置:G-7 北 上空
第一行動方針:少し用心。ルリとの接触。
第二行動方針:コロニー落としの準備の進行。 予定より急ぎ始めました。
首輪解除、ガンバスターの改造またはストッパー解除、などなど。
第三行動方針:情報を十分に広め、時期を見てコロニー落しを実行する
第四行動方針:ちょっとやめてよね、人の頭の中を覗き見ようとするのは!
ボクはそういう事をされるのが一番嫌いなんだよ、プンプン!
最終行動方針:それは秘密だよ~ん!
備考:何やら色々知っているようだが……?
次元力はジエー・黒のカリスマへの変身以外の全てを封じられています】
【ジ・エーデル・ベルナル 搭乗機体:ガンバスター(トップをねらえ)
機体状況:戦闘コクピット付近全損、管制コクピット良好、
左脚にソウルゲインの右腕が刺さってる。
EN:30%減、能力に大幅な制限】
【一日目 14:30】
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ダイモシャフトを杖代わりにたちあがる。
致命的なダメージは殆ど無いが、落ちた衝撃で装甲は全身傷ついている。
その上、ミサイル追撃時に想定以上の動きを続けた結果、各関節も軋みを挙げている。
コクピットの中では、普段の中条からは見ることは出来ないだろうほどの表情を浮かべていた。
ハロでさえ、横からちゃちゃを入れる態度をとっていないほどだ。
この状況を楽しみ、人の命を弄ぶことに何の抵抗も無い人間を逃したこと。
手の届く場所に居ても居なくとも、自分は何も出来ることはないのかと悔やんだ。
そして中条は選択するべき事になる。
ジ・エーデルを追うべきか、宇宙への調査に向かうべきか。
【静かなる中条 搭乗機体:ダイモス(闘将ダイモス)
パイロット状況:全身が痛む、ジ・エーデルの危険性を認識
機体状況:全身に傷、各関節に軋み、EN50%減
マグネットコーティング済み、ハロ同乗
現在位置:G-7 基地周辺
第一行動方針:宇宙の施設の調査orジ・エーデルの追跡
第二行動方針:信頼できる仲間を作る
最終行動方針:バトルロワイアルからの脱出】
【一日目 14:30】
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
戦争、闘争、抗争。
情報は如何なる争いにおいても、重要な要素の一つにある。
このバトルロワイアルと言う命を奪い合う争いが行われる場においてもそれは同じだ。
敵対する機体の情報があることで戦いを有利に進められる。
相手の知らぬ情報をチラつかせながら交渉の材料に使うことができる。
嘘の情報で他者を混乱させることも可能だ。
会場内にUNや機体データベースが置かれているのも偶然ではない。
参加者たちが有用に使ってくれることを期待して置かれている。
だが、ハロとUNを通じて送っている情報。
参加者がその情報を得ることで、こちら側が期待していることはそれではない。
ユウキが考えたように疑心暗鬼を心の中に作る。
それだけではなく感情を煽り、殺し合いに消極的な参加者の持つ正義感を暴走させることも目的の一つだ。
簡潔に言えば参加者が情報に踊らされ、殺し合いを闘争を肯定することを期待している訳である。
そしてそんな情報を出来るだけ選び提供している。
だが支給されたユウキ本人はうまく自分の中でそれをコントロールしている。
彼の中で揺さぶられた正義感も今はシャドウミラーに向かっている。
主催者側の思惑は、思い通りとは行かなかったのだろうか?
いや、そうではない。
ハロが一体だけではなく、複数存在するのは何故か。
手足があり移動が可能なハロをこちら側で操作し、所有者もハロでさえ知らぬ間に他人の機体へと乗り込み同行する。
そしてその参加者は歪んだ情報を得ることになるのである。
ただし、あのUC153年から連れてきたオリジナルのハロとは違い
シャドウミラーで作られたハロは、UNと接続された時点で自律的な動きは不可能になる。
ハロがあることで、都合の良い情報以外のアドバンテージが参加者に与えられることはあまり好ましいことではないからである。
オリジナルのハロがあのまま動いていることが出来るのはハロの改造、解析を行ったレモンのせめてもの情けなのだろう。
首輪から盗聴された音声データや、UN上の情報が集約された部屋。
ユウキに支給されたハロの動きも、この部屋で逐一見ることが出来る。
主催者であるヴィンデル・マウザーが今、着目しているのもそれである。
「中条の元へ潜り込んだか……」
ルネ・カーディアフ・獅子王の離脱時には適わなかったが、今回はうまくいったようである。
UNでユウキと連絡を取り合う中条ならば、いつかは情報を得ることになるだろう。
「ハロ――いつその存在を参加者全体に伝えるか」
考えながら、ヴィンデルが一人ごちる。
ハロの情報が参加者の疑心暗鬼、戦意、殺意を煽る目的のものである。
ならば何故最初から参加者全員にハロを支給しなかったのか。
情報は如何なる争いにおいても、重要な要素の一つにある。
その情報を得ることの出来る機械の存在を定期放送または、UN上で仄めかせばまた新たな火種の一つになる。
ハロの情報のみならず、ハロ自体が一つの煽動の道具になる。
「しかし、小細工は必要無かったかもしれんな」
順調に進むゲームの状況に呟き、ヴィンデルは部屋を後にした。
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最終更新:2010年05月16日 02:07