240 名前: 236  Mail: sage 投稿日: 2008/03/05(水) 01:59:15 ID: kmeTjLdF
ありがと。じゃ、次から名前欄に注意入れとくか
注意*
64終了~アサルト間
レオンがウルフ好き過ぎる
肝心のエロ部分はぬるいかもしれん
こんなもんかな。
しかもちょっと801っぽいから投下する前に確認つーかしておきたいんだけど
ベノム軍に金で買われた客将―――『殺人マシーン』から殺し屋に転身したのは、当然と云えば当然の
成り行きではあった。
その頃のスターウルフといえば、サイボーグの身体を引きずりながら命だけは取り留め、そのサイボーグを
取り外し、またバラバラの傭兵と戻りつつあった時期。
気狂いの皇帝アンドルフが死した事を聞いて去っていった子ザルと、スターウルフもアンドルフ軍ももう
金にはならないと悟ったブタの男を尻目に・・・・・・私はオオカミの男に連いて行った。
帰る場所も忘れ、ベノム軍に招かれる前に居た場所すらも忘れて、この男の元に居るしかなかったから。
生きる為に、この体に染みついて離れない殺人の術を使った。
人を殺す術を、ただ気分が向くままに殺したいから殺すのではなく、金に繋がる事に使えばいいのだと・・・・・・金に
妄心したあのブタに云われた事を思い出したから。
その時の私はそんな事を聞く耳すら持っていなかった。目的がある殺しなど愉しくも何ともない。
興が醒めるだけだと吐き捨てたが、いつの間にかそんな事も云っていられない事態になっていた。
スターウルフがまた再び機能するには、時間と金が居る。あの男がまた戦場に立つにはもう少し時間がかかる。
血を見る時よりも人を殺す時よりも興奮する、あの姿に魅せられたい。
あの姿と共に出撃したい。
誰よりも近くであの男を、ウルフを見ていたい。
私の中の本能をどこまでも昂らせ、鎮めてもくれる唯一の存在。そして愛しい存在。他の誰よりも、他の
何よりも・・・・・・ウルフが欲しくて堪らない。
欲しているだけで興奮する。
こんな事は初めてだった。
だから、何でもしてやる。
あの男が手に入るのなら、愉しくない殺人でも何でもしてやろう。
・・・・・・ウルフが欲しいのだ。欲しくて堪らないのだ。殺したいのではなくただただ欲しい。
思う度に強さが増して仕方ない。
愉しくない殺人の虚しさ、つまらなさを埋める代わりに、ウルフを欲して生きている。
そう、ウルフの為なら何でもしてやる。・・・・・・ウルフが手に入るなら私自身でも封じていた忌まわしい事でもやってやる。
忌まわしい事で体や名を汚しても構わない。
覚悟したからだ。
あの隣で生きると決めてからは、それが芯になっていた。
そして今日も―――その忌まわしい事が舞いこんでいる。
「はっ、あっ、ああっ! くっ、締めてきやがるッ! てめえなかなかいい体してんじゃねえかぁ・・・・・・!」
荒々しい口調で荒々しく、額に汗を浮かせた男は呻き声を上げる。片足を立て体重をかけてごりごりこじ開けながら、
目の前の”それ”を膨張した己のそれで刺し貫く。
「・・・・・・」
男が抱く”それ”は何も答えない。冷たい眼差しを男に向けて、ただじっとなすがままに揺さぶられ、身を嬲られている。
瞬きもせずに己の上で喘ぎ、達しようとする男を見つめている。何の感情も嫌悪も受容も示さず、ただの肉塊と化して
時が経つのを黙って見ている。
「ふっ、へへ・・・・・・可愛げもねえのな・・・・・・」
その口唇を吸い上げた。その口内をこれでもかと云わんばかりに犯し、ちゅる、と唾液を立ててわざと煽ってもみる。
しかし、やはり”それ”は何の反応も示さなかった。
独特な目をキョロと動かしただけで、あとは何も変わらない。
「マグロにも程があんぜ、んッ・・・・・・いいモン持ってるくせに、勿体ねえっ」
言葉で責め、腰を打ちつけて体も責める。脚を持ち上げ繋がった後門を露わにさせる。己のもので塞いだそこが
きゅう、と締めつける様が見え、にやりと笑う。
「いいぜ・・・・・・もう行くか」
持ち上げていた脚を乱暴に下ろし、体を傾け、動かぬ”それ”に腕を回し縋りつく。ぷちゅ、くちゅという水音も響き渡って、
快楽を感じる脳を一層刺激する。
そのまま達し、後門奥へ己を注ぐ・・・・・・はずだった。
今まで一寸として動かなかった、死体の様だった”それ”がまるでバネ仕掛けの人形のように跳ね動く。
「う、おっ?」
その手が男の背を撫で、鉄のように冷たい感触と鋭い手が男の背を引き裂いた。
そのまま後頭部に移動した手がそっと、子供を宥めるように優しげに撫でたかと思うと・・・・・・男の頭の中で
ブツリと何かが切れる音が響いた。
「ぐああッ!!?」
咄嗟に首の根元の違和感に手を伸ばす。と、その前にそれは突き立てたそれを移動させながら引き抜かれた。
肉塊のままの、冷たい眼差しの”それ”の手の中には、白銀に光るナイフが握られていた。
「て、てめ・・・・・・」
「・・・・・・」
鮮血が散る。男のものは未だ繋がったままで、”それ”の中に解き放った頃には・・・・・・すでに事切れていた。
”それ”はその繋がりを心の底から煩わしそうに引き抜く。
そして立ち上がり、厭そうに顔を歪めて、今まで己の体の上で呻いていた男を蔑み見下した。
「・・・・・・卑しい奴め」
手の内で血脂に光るナイフを見つめ、その柄を舐めながら小さく嘲笑う。見下した男の死体を踏みつけ、口唇を犯された
汚らわしい感触を唾に変えて、男の顔に吐き捨てた。
肉塊のような”それ”の顔は・・・・・・”レオン”という名の殺し屋に変わっていた。
冷たい眼差しを向けて蔑み、男を二度と見る事なくシャツとコートを羽織り部屋を出る。
返り血を隠し、窓口の向こうで怠惰を貪る管理者の目を盗んで、ホテルを後にした。
・・・・・・今日の仕事の相手は、本当につまらなかった。
あれが依頼されたターゲットでなければ、目に留める価値すらない取るに足らない小者。
小さく溜息を吐きながら別のホテルへ入った。今度はそういった”猥雑的”な事が目的ではないシティホテルの一室を借り、
服を脱ぎ捨てシャワー室に入る。
一刻も早く矮小なあのターゲットの奴を、自分の中から消し取るように、乱暴に肌を擦った。
中に指を埋め、指の平で内側をさする。溶けだすように凝り溜まっていた精液が溢れだした。
「・・・・・・っ」
それら全てを掻き出すと、指を引き抜き水を浴びて体を清める。快楽を刻んだこの体は、己の指を離した後も切なげに
ひくついて、燃焼し切れない肉欲の捌け口を呼んでいる。
その時、頭に浮かんだのはあの男だった。ずっと欲してやまないあの男。
ウルフが今のこの姿を見たら何と云うだろう。どんな眼差しで見るだろう。
ウルフの為に何でもしてやるつもりでいた。
それは己の願いと繋がっていたからだ。
だがら―――殺しの術を金に換える生き方を選んだ。
そして己の身を切り売る忌まわしい方法でも使った。・・・・・・己の身を囮にして相手の懐に飛び込む方法。
銃を使えない任務では最も効果が挙げられていた。
男も女も他人と睦みあっている時が、一番隙が出来やすい。
全裸同士だから武器の隠しようもない。そして背を向ける機会も多い。人の体の機能として本能を剥き出しにしている時だから、
そういった意味でも油断が生まれる。
そこを狙う事を目的とした暗殺法。
その為の性技も術も身に叩き込まれていた。どのように仕草を変えれば相手が乗ってくるか、相手がそそられるか。その上で、隙が生まれるか。
実践には使うことなく今まで封じていた方法ではあった。
今更、綺麗な体がどうだろうが誰に身を売ろうが、どうとも思わない。
ただ・・・・・・そんな方法を取ろうとするとウルフの顔がちらついた。
何故なのかは知れなかった。ただウルフが目の前に現れて、この身を引き寄せ抱きしめてくれる。
ずっと手に入れたくて堪らなかった姿で、その目で、見つめてくれる。
―――望み過ぎて幻を見てしまうのだ。
そうとしか思えない。
ウルフは私の殺しの術に、こんな汚らわしい外法があるなど知る由もないのだから。
とんでもない殺人鬼と思われている。殺人マシーンの頃の残虐性のまま、それが金の為に殺しをする様になっただけだと思うだけだろう。
そのとんでもない殺人鬼にこんな感情があるなど・・・・・・きっと知らない。己自身でも信じられなかった。
ウルフが欲しい。あの男を抱きたい。それが駄目なら抱かれたい。
心が欲しい。眼差しが欲しい。ウルフの全てが欲しい。
気付けばまた興奮して、己のものは硬く反り上がっていた。
「・・・・・・ふっ、駄目だな・・・・・・」
自嘲のみを浮かべて、いつものように行き場のない精を淡々と外へ出す。
シャワーの水流に溶け流れていく様を見ることなく、服を着替えて身を休めた。
『銃を使うな』という依頼は案外多い。
別に戦闘機を使おうが何を使おうが、素手であっても人は案外脆く死ぬ。今度の暗殺の依頼も、そんなようなものだった。
素性を隠し、ターゲットと接触する。そしてこの身に叩き込まれた誘いの技で、どこかの寝床まで連れ出す。
そして殺して捨て置く。
今回もその方法がよく効く、いかにも好色で浮名を流す男を殺す依頼だった。
忌々しくとも仕方がない。仕事なのだから。
そして・・・・・・抱かれる感覚を、欲して止まぬぬくもりにすり替えてしまえばいい。
そのターゲットがもし他の場所で他人を束ねるような、そんなリーダー肌の奴であったらなら・・・・・・ウルフと重ねてしまえる。
それならば耐えられる。
ウルフは別の仕事で別行動をとっていて、しばらく逢えそうにない。
そんな寂しさや嫉妬もひっくるめて・・・・・・ターゲットとの待合場所まで向かった。
「お前さんなかなか、いい体してるようだな」
ほんの少し、女のような甘えと艶めかしさを出してしな垂れかかれば、ターゲットは簡単に落ちてくれる。
街で初めて会った男に対して好色な目を向け、そう声を掛けてくる人間などタカが知れる。
男を欲の捌け口の対象に入れているからこそ、そんな策にも乗ってくれるのだが。
・・・・・・さて、この男はどんな嗜好があるのだか。そこを巧みに突いて、警戒を解かせなければ機会を失ってしまう。
とりあえず入りの演技として・・・・・・にこりと微笑んでおく。
「へえ、笑えんだ。冷たい顔してそうだと思ったが・・・・・・」
「どんな顔でも楽しければ笑うものだろう?」
「ふっ、そうは見えねえって云いたかったんだがな?・・・・・・まあいいぜ」
云いながら腰を抱いてくる。
「こんな汚ねえ街の街娼にしちゃえらい上玉じゃねえか。気にいったぜ、一晩買ってやる」
「そうか。物好きだな。こんなトカゲに」
「おいおい、お前さんが誘ってきたんだぜ。それに俺は、種族で区別なんぞしないんだよ」
そう云い頬を擦り寄せてくる。見境のない好色者は既に興奮して、それを抑えようとする息からは煙草の香りがした。
ウルフと同じ煙草の銘柄の、あの匂いだった。
「・・・・・・」
何度そのターゲットの顔を見てもウルフになど見えない。かすりもしないし、面影すらあるはずない。
種族自体違う。隻眼でもない。深紅色の眼差しはない。・・・・・・それでも・・・・・・目の前にウルフの影がちらついた。
そして、体が疼いた。
欲しくて堪らない思いが溢れる。
「・・・・・・行こうか」
「ん? 何だ、もう行くか?」
ターゲットの男の腕に手を回す。
ウルフの面影は無いが、それとよく似た身体つきの男の肌に、ウルフの姿を重ねてもう一度見つめた。
きっとその眼差しはその男には、淫らに潤み、色好みで淫狂いのように映ったのだろう。にやりと笑ったのが見えた。
下町の安宿の一室に入り、互いに服を脱ぎ捨てる。
湯浴みする余裕も得ず男が覆い被さってくる。体をいいように貪られ、口唇を喉奥まで犯され、何の準備もしないまま
下着の脇から後孔へ指が伸びた。
「・・・・・・せっかちな事だ」
「お前ほんとに、いい体してやがる・・・・・・ただの街娼じゃねえだろ」
既に余裕も理性も消えた顔を、冷やかに見つめる。そして施される愛撫に応えるようによがって見せた。
性感帯を刺激されても快楽を感じないようにする術も、性技の内だと教わっていた。
どんな姿を見せれば相手は堕ちるか。どこで隙が出来、葬れるか。
一つ一つ順を踏み、隙を作っていく。肉体も脳も自我を忘れている、最も絶頂に近い時・・・・・・それがこの男が事切れる時だ。
「私からもしてやろう」
男を仰向けに寝かせ、下着の上からはち切れそうになっているそれを撫でてやる。舌を出し、そのまま舐め上げると、男の体が跳ねた。
「くっ・・・・・・!?」
「どんな我慢をしていたんだ?」
下着を脱がし、反り勃った茎を上下にしごいてやる。そのまま先端に口唇を擦りつけ、ねっとりと舐め咥えた。
男が呻き声をあげる。至極情けない声で、喘いでいる。
「は、初めてだぜ・・・・・・この俺が、こんなんよぉ・・・・・・」
―――この様子ならどうやら結合せずともよさそうだ。
浮名を流す好色者が聞いて呆れる、と一層責め立てる。・・・・・・その間に既にナイフを用意して、口内でそれを弄んだ。
男が首を仰け反らせ喘ぎに喘ぐ。腰が蠢き痙攣して、そろそろ果てるような様子を見せたところで、その喉元に・・・・・・ナイフを突き立てた。
「!?」
快楽から一気に引き戻された男のモノを口から離す。そして抵抗を見せる男の首筋を刺したナイフで一気に引き裂いた。
切れた頸動脈からは滝のように血が噴き散る。ぷしっ、という破裂音のような血飛沫が部屋を一瞬で真っ赤に染めた。
そしてぼたぼたと血塊がベッドの縁から落ちる。
パクパクと口を開け恨みがましげにこちらを見つめる。完全に事切れたのを見取ってから服を着込み、何事も無かったと
部屋を出る。
・・・・・・と、不意に人の影が立ち塞がった。
この返り血が飛んだままの顔を見られるわけにはいかない、とすかさずナイフを構えて―――思考が止まる。
「・・・・・・レオンお前・・・・・・何やってんだ」
口を封じようとしていたそこに立っていたのは、隻眼のオオカミの男。血雫を落としたような深い色の片目。誰と
見紛う事などあり得ない男。
欲して仕方ない男・・・・・・それが失望に似た色を宿し歪んでいた。そして、怒りが滲んでいる。
「お前の仕事ってこういう事なのかよ、おい!」
「―――何の事だ」
「とぼけんな! さっきそこで男を誘っ・・・・・・」
怒鳴り声を上げるその口に人差し指を立て、喋るなと塞ぐ。人が集まってくる前に、その腕を掴み安宿の裏口から街へ出た。
その間中、顔と指先についた返り血を拭う。不自然に見えぬ程度に落ちたと思ったところで、人気の無いビルの路地で
側の男を省みる。
ずっと宿し続ける怒りやら、戸惑いやらを映す男は、その目のまま私を見ている。
云いたい事が多すぎで何から切り出そうかと迷っている。
その中で最も聞きたいのであろう事が、溜め息に交じり呟かれた。
「何であんな事してんだよ」
いつも落ち着かなくなると咥え出す煙草は、その口元には無い。吸うという事すら忘れている。
戸惑い揺れるその眼差しを、私は呑気にも「可愛らしい」と思っていた。
・・・・・・私を心配してくれているのだとそう錯覚して、小さな歓喜に胸が躍った。
そして・・・・・・知られてしまった、と小さく恐れた。・・・・・・
「先刻から何を云っている?」
私は気付けばウルフに背を向けている。恐れがそうさせたのだろうか。半ば無意識的だった。
「・・・・・・人違いだ。お前など知らん」
「何?」
そんな言葉が口を突いて出ていた。無論、そんな宣告をされた男は怒りを震えに変えている。私の腕を掴みあげて、
その腕の中に捕らえた。
「お前みたいな奴がこの世の中に二人以上いてたまるかよ!! 笑えねえ冗談云うな、レオン!!」
「笑えないか? だが事実だぞ」
「お前に嘘吐かれんのが一番笑えねえ!!」
「・・・・・・」
胸倉を掴まれはしなかったが、背を預けた狭い路地の壁に両手を付かれ、身動きをとれなくされている。
真正面から怒りや困惑に滲む片目に見据えられる。
”裏切られたのか”と訊ねる顔が歪み出した。
それはすぐさま”裏切る気か”と問う顔にすり替わる。
「何でだよ・・・・・・ただの殺しの仕事だって云うから、お前の事はよく分かってるつもりでいたから、俺は何も云わなかったん
だぜ・・・・・・何でそこまでするんだ」
「・・・・・・」
「お前に似た奴なんざこの世に二人も要らねえ。・・・・・・レオンだろ、お前。認めろよ。そんな暗い目した奴はこの世の中お前しか知らねえ」
ぎゅっと、抱きしめられる。
その事実に気付いた時、頭の芯が痺れてあらゆる思考は止まった。縋りつくように抱きしめる男を、私はただ見つめて
見確かめて、その胸板に手を添える。
・・・・・・欲しかったぬくもりだ。ずっとこの男が欲しくて堪らなかった。
太い腕も、そこに流れる血潮の音も、厚い胸板も、その奥で鼓動を打つ心臓も、夢にまでみた感触。
だが・・・・・・私は。
「―――何度も云わせるな。お前の云うレオンとやらと私は、別人だ」
「・・・・・・」
どくどくと鳴っている心臓が、指先から感じ取れる。胸板を押して拒んだ。今更人違いではないと云ったところで、
一体何を話せばよいのだろう。
「どうしても認めねえってのか」
じっと睨みつけられる。拒んだことでその片目はより一層、傷ついて歪んだ。
その目に手を伸ばし、瞼の上から撫でてやる。
「お前には分からぬだろう。何でもしてやると決めたのだ・・・・・・その、レオンとやらは」
「分かるかそんなもん。俺はあんな・・・・・・男誘ってた時みてえな笑った顔すら見たことねえよ。・・・・・・見せてくれねえじゃねえか」
切なげに語尾を弱くしていく。疲れて閉じた瞼が、眉間に寄せたしわが濃かった。
ウルフは私がレオンであることを見破っている。
私はレオンであることを隠している。
そして私は、不特定の何者かになりすましている。
一体誰と誰が喋っているのだろうと思うような、奇妙な感覚だ。
だが、それはある意味好都合だった。
「・・・・・・私には狂おしいほど愛しい男がいる」
心の内を吐露してしまえる。・・・・・・そう思った。
今なら、不特定の”誰か”のままなら、苦しむ事も傷つく事も何も気にすることなど無い。
ウルフからどんな蔑みの言葉が返ってこようが、それは”レオン”ではない誰かのものにして捨ててしまえる。
そうだ。・・・・・・もう限界だったのだ。きっと、もうどうにかしてしまいたかった。
「私には、出逢った時から心から離れぬ男が居る。この心の内にはいつも馬鹿でどうしようもないオオカミが居る。お前のように
隻の目が血のようで綺麗な・・・・・・。あの目はこの世に二人と居ない」
「・・・・・・」
「その男の為なら何だってやると決めたのだ。取るに足らない者の前で笑ってもやるし、涙だって流す。身だって切り売ろうと覚悟したのだ」
目を背ける。今はウルフの顔を見ることが何故か辛く感じた。
多分目の前の顔は驚きに満ちて、また困惑しているに違いない。
口が勝手に喋り出すという感覚を―――初めて知った気がしたからだろうか。もう止まらなかった。
「私はあの男が欲しい。抱きたい。それを拒むなら抱かれたい。こんな体であっても種族が違うとしても、あの男が私を
心底嫌っても・・・・・・あの男が欲しい」
「・・・・・・」
「抱いてくれ。お前が欲しい・・・・・・お前の全てが欲しい」
顎に口づけを落とし、首筋に顔を擦り寄せる。
一度は拒んだぬくもりを今度はしっかりと受け止める。やはりこの男はあたたかくて二度と離したくなくなる。そして
何よりも、生きている音がする。
その音が私に移って染み渡る。
冷たい、体温の上がらない私の体に、染み渡っていく。
「・・・・・・お前がレオンじゃねえって云い張るならそれでも構わねえよ」
驚くほど冷静な声が降りかけられた。その顔を確かめようとする前に抱きすくめられ、コート越しに胸部に口づけされる。
両の掌をまとめて壁につけて押さえこまれてしまう。口ともう片方の手に服のボタンを外されていく。
そうして露わになるこの身に、ウルフが口唇でなぞり上げた。鎖骨や乳首、横腹と、あちこちに口唇の型を残していく。
「っ、あ・・・・・・」
快楽というには稚拙だった。愛撫というにはくすぐったさが勝る。そして何よりこの男の気持だけが先を走っている。
だが・・・・・・私は満たされていた。
片手だけで拘束されている。その危機感に興奮した。何よりも目の前にウルフが居るという事が、一層心の昂りを強くする。
「レオンじゃねえって云い張るなら・・・・・・、今だけレオンになれ」
「・・・・・・何・・・・・・」
「レオンの代わりに俺様の相手をしろ」
「・・・・・・」
「もう我慢出来ねえんだ、俺はよ・・・・・・」
熱い舌が腹部を這う。ジッパーを下ろし掴み出されるソレを指先で弄り回して、ウルフがもう一度、脇腹に口づけを落とし舐め上げた。
「んん、ん・・・・・・ッ」
目の前に戻ってきた隻の目は、そっと口唇を重ねてきた。重ねるだけであるのにそれはとてもあたたかくて、冷たいはずの己の身体を火照らせる。
深く重ね合わせ、舌を絡ませる。
ウルフの手はいつの間にか後陰の孔へと伸びている。その指が中で動いている。押さえられていた手は私の手首を解放し、私のそこに添えられる。
一本、二本と中で蠢く指が増やされていく。・・・・・・これから抽入ってくる肉茎を受け止められるように、陰の孔を押し広げ慣らされる。
回転し、時々突き上げてくる。
性感の強い部分に触れながらもそこを刺激せずに焦らされ、むず痒い感覚だけがずっと続いた。
解放された腕をウルフの首に回し、縋りつく。
男の匂いがする。・・・・・・欲しくて堪らなかった匂いが鼻腔を突いた。煙草の匂いと、戦闘機のオイルの臭いと、この男自身の
体臭。この男が生きてきた全て。それらがとても愛しい。
全てが愛しい。
ずっと全てを手にしたかった。
「ん・・・・・・っ、うん、ッ・・・・・・!」
「感じてるのかよ」
「ふ、っ・・・・・・・ふふ、自信がないのか?」
「お前はこういうの慣れてるんだろ、巧い奴とか・・・・・・今までいただろ、そういうの」
「慣れてはいるが、感じた事は無い。これから殺すだけのターゲットに心を預けてどうする?」
「・・・・・・」
「お前は殺さないから、素直に預けられる。だから素直に快楽を貪れる。相手を陥落させる演技も要らない」
頬を擦り寄せる。ウルフは何かをしばらく考えているようだった。だがやがて、指が引き抜かれたそこに、その体勢のまま
熱いものが宛がわれる。
その勢いでか、先端が入口に既に入っていた。ゆっくりと腰を埋めていく動きに合わせて、腰をくねらせそれを受け入れる。
「はっ・・・・・・あぁっ・・・・・・!」
ウルフのそれは体躯に合わず大きい。しかもそれが雄々しく立ちそぼり、硬く膨張している。受け入れる事に慣れているとはいっても
さすがに辛い。
痛みが駆け抜ける。
「痛いか?」
奥深くに到達してから息を吐き、ウルフが顔を覗き込む。首を振ってその問いかけを否定する。
「嬉しいぞ・・・・・・」
「そうか」
「ああ、嬉しい」
立ったまま、ウルフは私の片足を上げ腕で固定する。体のほとんどをウルフに預けて、繋がっている。
夢みたいな光景だ、と思った。
実際何度も夢で見たものではあった。夢で何度もウルフに抱かれた。時に手荒く犯され、時に優しく愛される。・・・・・・だが
その夢から醒めると全てが消える。
その度に体の熱だけ燻るように残された。この疼きはどうしようもなく、ウルフを欲した。欲すれば欲する度、抱かれる夢を見る。
だがそんな悪循環は断ち切られる。
目の前にはウルフが居て、その肩に掴まり何度も見返した。ウルフと繋がっているという光景とその事実を見確かめる度に、心が弾けた。
じれったい痺れだけが体に留まっているというのに、その事実だけで満たされしまう。
ずっと欲していた。ウルフが欲しくて仕方なくて、手に入らないと分かってもそれは止められなかった。
殊更、気持を割り切る為にこの身を抱く男らをウルフに重ねていた。
「ウルフ・・・・・・」
だがもう、それら全て一瞬で消し飛んでいく。
ウルフがこの身を抱いている。
目の前に居る。見間違う事などない、誰の代わりでもないウルフが居る。・・・・・・
その腰がぐい、と動き出した。少し引き抜かれてからまた深くまで入っていく。
「んっ、ん、ぁ!」
耳元で喘ぐ声が聞こえた。・・・・・・きっと私が抱いていたら聴けたかもしれない声。そう思うと尚更愛しい。
きつく擦り合う音が僅かに聞こえてくるようだった。
「キツいな・・・・・・」
そう云いながら己の指先を口元に持っていく。唾液を吐き、結合部から半ば抜いた己自身に塗りつける。
それからまた挿した。奥深くに到ってからその位置でぐらぐらと腰を揺らす。
「っ、っああ、・・・・・・!?」
「少しはマシになったか」
にっと笑い、そこを繋げたまま体を反転させられる。壁に手を付かされ、尻尾を掴み上げられる。その尻尾の先をウルフの腕に絡みつけた。
「この方がよく入るだろ」
云い終わらない内に―――ねじ込まれたそれで力任せに貫かれた。
「くっ!・・・・・・うん、っ!」
もう一度つけられた唾液の感覚も相まって、水音が響く。打ちつける腰が不便さから解放されて軌道に乗る。
「ふっ―――はあぁっ、あぁ!!」
左右にだけではなく上下にも斜めにも揺すり動かされる。引っ掻き回され時々奥深くに埋め、先端が体の芯を突く。
「う、うぐ・・・・・・!」
「レオン、おい、いいのかよ」
壁についた手に、指先が重ねられる。
体はまだ抜き挿しが続いている。ウルフのそれで、中をごりごりと擦られる。そのせいであったのか、何故だかぬちゃぬちゃと
女のもののように卑猥な水音がした。
・・・・・・快楽に引っ張られる。
初めて、堕ちて行きそうになる。愛しい心情も入り混ぜになって、体が震えた。
「ふ・・・・・・くっ」
「お前がそんな姿見せるなんてな・・・・・・」
「お前こそ・・・・・・、男を買った事でもあるのか? なかなか手慣れている」
「ば、馬鹿云え!」
「じゃあ何か、男を抱く練習でもしていたか。毎夜毎夜、誰を思ってここを虐めていたのやら」
下腹部に力を込め、未だ中で暴れるそれを締めつける。
「んなっ!? ちょっ・・・・・・待てッ! くっぅ・・・・・・!!」
抽送を止めてしまった男に、己の腰を揺らし擦りつける。壁から手を離し上体を起こした。その首と後頭部へ腕を回し、口唇を重ねる。
「ん・・・・・・」
舌を絡ませると煙草の匂いがする吐息が漏れた。一度離れ目線を絡ませ、左目に引っ掛けた眼帯をそっと撫でて、
もう一度口づけを重ねる。
口唇を吸い合い、歯列をなぞり合う。
「・・・・・・」
見つめ合ってやや合ってから、ウルフが今まで以上に腰を打ちつけてきた。中で出し入れされる先端が更に奥まで侵入る。
既に一度目の小さな射精が始まっていた。
透明なごく少量のそれが行為を潤滑にする。
「そろそろ、イクぜ」
「分かっている。私も・・・・・・胎内だけでいけそうだ」
「そうかよ、それじゃあ―――出すぜ、っ!!」
荒々しく責め立てる。一突き一突き全てが深く、奥まで突き破るような力強さを感じとる。裂けて使いものにならなくなるような、
そんな強さに危機は抱かなかった。
この男でなければ味わえない悦楽が心を満たしていた。
「い・・・・・・っ!!」
「嫌か? いいのか? お前の中気持ちいいぜ」
「・・・・・・は、んッ!」
「俺はずっとお前とこうしたくて堪らなかったんだぜ。なのにお前は行きずりの男に笑いかけやがる」
「・・・・・・・ふ、ウルフ、ッあ・・・・・・気に障ったなら、許せぇ・・・・・・っ」
罪を咎められる、その怒りも含めて責められる。目が霞んで見えなくなる。甘い猥楽が体中に巡り回る。
「男に売る体なんて失くせ。俺が妬いて見境なくなる前に・・・・・・、見境なくしてお前に何かしちまう前にな」
「ふっ・・・・・・! ふふ・・・・・・」
渇いた喉が引くつく。だがそれだけではないものが喉元に留まる。
熱い塊が込み上げた
それと同時に、絡み合った下腹部の己自身から、白い液体がとろりと溢れ、一筋糸を引き、地面に落ちた。
突かれる度にそれは押し出され、最後の一滴まで、手を一切使わないまま絞り出された。
「ふふっ・・・・・・何故だろうな、お前の言葉はいつも嬉しい・・・・・・」
精を出尽くした己を撫でながら笑う。その直後、胎内の中に・・・・・・ウルフのものが吐き出された。
「んんぁあッ!!」
「あ、ふぅ・・・・・・ぁっ!」
もはやどちらのものだか分からない嬌声が、同時に発せられ、狭い路地裏に響き渡った。
中でびくびくと震えながら、縋りついて離さぬ男の頭を撫でてやる。
「・・・・・・果てただろう、ウルフ」
「・・・・・・少し待ってろよ」
今まで知る中では、出した男というのは余韻など感じ得ないはずだ。驚くほど冷静に冷え、今まで抱いていた者すら煩わしくなる。
男の脳の造りとはそうなっているはず。
そのはずだったが・・・・・・ウルフはそれに当てはまらないらしい。
目を閉じ抱きしめ、縋りついて、この身を愛しんでいるかのように黙っている。
「可愛いものだな」
これがこの宇宙で恐れられている悪党の頭か。そう思うと何故か可笑しかった。
これではただの可愛らしい男だ。
この余韻に共に浸って居たいが、心を氷のように冷やし、結合を解いた。
「こんなところで余韻に浸るのは無防備だろう」
蜜に濡れたように白い精はウルフの根に絡みつき、ねっとりと塗れて光っている。
互いに自分の後始末をして、服を着る。
そして再び男に背を向けた。
「おい・・・・・・どこ行くんだよ」
「私は私の居場所に帰るだけだ」
「道は一緒だろ」
「・・・・・・だから私はレオンではない」
「お前は・・・・・・まだそんな芝居打つ気かよ!」
呆れ返っているその顔を見据え、小さく笑む。仕事で使う時のような、媚びと色欲に塗れた笑み以外知らず、とりあえずそれを向けておく。
「安心しろ―――お前の所のレオンとやらも、あと少ししたら戻るだろう」
「・・・・・・お、おう」
「その時にでもまた求めてやれ、今みたく・・・・・・。泣いて喜ぶぞ。ずっとお前に焦がれていたのだから」
「・・・・・・そうか」
「ああ」
とん、と厚い胸板を押して退かせ歩きだす。
そして溜息を吐いた。
あたたかさと余韻に浸っていたかったのはこちらも同じだ。
”ウルフが欲しい”
その望みが叶い、それが許されることと知った今ではすぐにでも、もう一度抱いてほしい。もう一度、この身を欲してほしい。
そしてもう一度・・・・・・。
地上の拠点として示し合わせておいた宿に、ウルフは先に戻っていた。
私の顔を見るなりしかめっ面を赤く染め、腕を掴み引き寄せられる。
あれも全て、夢ではなく事実。
」
その事に無性の嬉しさを感じ、新しい興奮すら芽生えていた。
最終更新:2008年05月18日 16:49