[296: ◆JdfmLH8YvU ≪sage≫ (2005/04/25(月) 00:24:16 ID:9gErjon2) AA]
言い忘れたがストーリーはフォ×クリの甘甘を予定しております。
此処では多少人気が無いような感があるが問題ないだろうか?
それと、少しでもこのスレの燃料になればとの思いで書かせて頂くが、
私は文章に関しては全くのド素人なので、至らない点はやさしくご指摘頂きたく思います。
この星は再び救われたのだ。
二人は同じ思いで夕日を見つめていた。
しかし、ファクトリーは殲滅し終えたものの、まだ恐竜たちの姿を見ていないのが気に掛かる。
サウリア独特の赤々と燃える夕日はまるで
満足感と安堵感、そこにちらほらと見え隠れする不安を映し出すかのように
赤く、切なく、さらに赤く揺らいでいた。
ファルコとスリッピーは一足先に帰還した。
と、言うことは言うまでも無く、この原野の地平線まで
フォックスとクリスタル二人だけの世界が広がっていると言う事である。
これだけの状況なら気の利いた台詞の一つや二つ言えそうな物だが
フォックスにはそれが出来なかった。
”好きだ”の一言さえ、出逢ってから今まで一年間もの間
喉の何処かに支えて出て来ないのだから仕方の無い事かも知れない。
今はただ、青く、美しく、ただただ愛しいばかりのその毛並みを見つめるだけで精一杯だった。
—ふと目が合う—
その目は何か言いたげな様にも、自身の思いを見透かされているかの様にも見えた。
差し詰め、
「フフッ。全部分かってるわよ。」とでも言われているかのようである。
思わず、目をそむけずにはいられなかった。
いっその事後ろから抱き付いて”あの時から好きだった”とでも言ってしまえば…
そんな思いが頭をよぎるが、それをやるには相手が悪すぎた。
流石のフォックスでさえ、クリスタルの前では
意中の人の前でたじろぐ普通の男と何ら変わりはしないのだから…
こんなにも惹かれ合っているにもかかわらず、
いや、惹かれ合うからこそ詰められないあと一歩の距離。
今はこれで満足だと自分に言い聞かせる様に、
フォックスは交わす言葉もそこそこに、サウリアの幻想的な雰囲気と静寂の中に身を任せていた。
静寂…
そう、静寂・・・・・のはずであった。それが訪れるまでは。
アパロイドか?とも思ったが、何処か懐かしい足音だった。
「フォックス〜!」
「ト トリッk!?」
”あの時”共に戦った戦友であった。
しかし、当時とは比べ物にならない巨体で飛び付かれてはたまったものではない。
しかもその上、向こうは当時の感覚で掛かって来るのだから尚更だ。
クリスタルはと言うと、はじめはトリッキーのあまりの変貌ぶりに驚いたものの
じゃれ合う二人を見て安心したのか、ようやく笑みがこぼれた。
その笑顔はまるで
—もう、しょうがない子達。—
と、はしゃぐ子供を呆れつつも見守る母親の様な表情だった。
熱烈的な再会の挨拶が一しきり済むと、ゆっくりと話でもしながら帰ろうと言う事になった。
あの時の事、今までの事、そしてこれからの事…
話したい事など、幾らでもあった。
二人はたくましく成長したトリッキーの背中に揺られて
帰艦用のアーウィンへと向かった。
その道の途中、トリッキーは一緒に行って戦いたいと言い出した。
きっと言い出すだろうとは思っていたが、残念ながら答えはNOと決めていた。
それは、トリッキーにはアノーカ族の王子として
”この星を守ってほしい”と言う”願い”が有ったからだ。
しかし、その成長を目の当たりにした今となってはもう違った。
”きっとこの星を守って行けるだろう”という”確信”をもって、
戦うべき場所が何処であるかを言い聞かせた。
すると、フォックスの言葉に納得したのか、今度は
此処の敵を一掃して新婚旅行で来れる様にしておく
などと言い出した。思わず
—うん、そうだそうだ—
といった感じで頷いてしまったが、すぐに何かがおかしい事に気づく。
—新婚旅行?—
「おい!トリッキー!俺とクリスタルはまだ…」
「まだ?」
まだ、何と言おうとしたのだろう…。
そんな思いがふとよぎるが、考えている余裕など無かった。
後ろが気に掛かり、思わず振り返る。
そこには、また目で訴えて来るクリスタルが居た。
—まだ、なぁに?—
そう言っているに違いない。
その意味深な微笑みに耐え切れず、大急ぎで正面を向く。
最早フォックスには、からかうなとでも言ってごまかす事しか出来なかった。
そうこうしている内に三人は帰艦用アーウィンの転送ポイントに到着した。
そこには当然二機のアーウィンが用意されているはずであった。
しかし、そこに有ったのはただ一機のアーウィンのみであった。
あの適当な転送システムのことだ、何かの間違いで
一機だけ転送ポイントがずれたと言う事も考えられる。
フォックスはとりあえずアーウィンに乗り込みレーダーを起動してみた。
やはり、一機だ。
これは一体どう言う事なのか。
悩んでいても仕方が無いのでグレートフォックスへと通信を試みる。
「こちらフォックス。アーウィンが一機しか届いていない。誰か応答してくれ。」
すぐにナウスから通信が入った。
「グレートフォックス テンソウソウチニ エラーガデタモヨウデス」
「故障か?」
ペッピーからもすぐに通信が入る。
「何分地形が悪くてな、手間取っているうちに何かあったんじゃろう。
スリッピーに詳しいことを説明させるからしばらくそこで待機しているんだ。」
「…了解…」
どうも腑に落ちない。よくよく考えればさっきの戦闘で使った
アーウィンにでも乗ればこれと合わせて二機ある事になるのだ。
理由など後から聞くことにして、とりあえず帰ろうとクリスタルを呼ぼうとした。
「クリスタル、先にこのアーウィンで帰ってくれ。俺は後から…」
そう言いながら振り向くが、そこに姿は無く、
次の瞬間、目の前にはコクピットに乗り込んでくるクリスタルが居た。
「フォックス…あのね…」
「どうした?クリスタル?」
「えっと…こうすれば一緒に乗れるんじゃないかと思って…」
そう言うとクリスタルはフォックスの膝の上にそっと腰を下ろした。
「ク クリスタル!?」
「どうしたの?そんな顔して…。フフッ
そうよね、これじゃハッチが閉まらないものね…」
「いや、そ そうじゃなくて…」
「じゃあ、これなら大丈夫かしら?」
そう言いながら、今度はフォックスの首に腕を回し、
ゆっくりと引き寄せるように抱き付いた。
もう何も言葉は出なかった。
緊張のあまり息すら詰まるようだった。
にも係わらずフォックスの嗅覚は確実に何かを捉えていた。
クリスタルの体から微かに漂うその匂いは…いや香りと言った方が良いだろうか
それはブラスター片手に一日戦ったとは思えない程に甘く、
フォックスの心をくすぐった。
肩にはクリスタルの顔が乗せられている。
目は軽く閉じ、口元は軽く微笑み…
全てを任せ切っているのだろうか、穏やかな表情をしていた。
二人はぴったりと重なり合い、白い毛並みの下の
柔らかな膨らみからは鼓動さえ伝わって来る。
クリスタルにもフォックスの鼓動は届いているのか、
その二人の鼓動は同じリズムを刻んでいるようだった。
穏やかな表情とは裏腹に、強く、速いリズムだ。
きっと今までも余裕の表情の裏に、この鼓動を隠していたのだろう。
それを想うと愛しいような、もどかしいような…
溢れるような想いに、思わずその行き場を失っていた手を
クリスタルの小さな肩に掛ける。
サウリアの湿った風の中で二人は”ずっとこのままで居られたら…”と願った。
心のままにこの肩を抱き締めたら壊れてしまいそうだと
優しく抱き締めたつもりのフォックスだったが、
やはり、この抑え切れない想いには勝てなかった。
「フォックス…苦しい…」
「す すまない…でも、もう少しだけこのま…」
「いいの…分かってる…もう、何も言わなくていいから…このまま…」
「あ ああ…」
もう少しだけ…もう少しだけ…と、風と静寂の中に身を任せる。
一秒一秒が果てし無く長く感じられた。
しかし、残念ながらそんな時も長くは続かなかった。
「…ちら…リッピー…クス…フォックス、聞こえてるかい?」
そう言えばスリッピーが何か説明すると言っていた。
「・・・・・・どう言う事だスリッピー」
「フォックス〜それが、大変なことになって…
転送装置が故障しちゃって…その…オイラ、修理しに行かなくちゃ
ファルコ!後頼んだよ〜」
「おい!スリッピー待…」
「ったく…なんで俺が。おいフォックス聞こえてるか?」
「ああ、一体なんだって言うんだ」
「だから、故障だって言ってるだろ。修理には1日かかるそうだ。
明日には改めてアーウィン二機を転送する。それまで
グレートフォックスはスイング・バイのためサウリア周回後
衛星に向かうことにした。衛星通過は明後日になるから
明日の昼ごろに戻ってくれば問題は無い」
「そうか…でも何の用意も無いしな…」
「その辺は事前に考えてあるから大丈夫だ。
非常用の食料を一緒に送っておいた。」
「考えてある?送っておいた?」
「あ?いや、何でも無い。とにかくそう言う事だ。分かったな?切るぞ」
そう言う事か。詰まりはハメられたのだ。
なかなか進まない二人の関係に見かねて、
二人をサウリアに置き去りにし、二人きりにしてやろうと言うのだろう。
「フォックス、これかしら?」
クリスタルの手には”さっき用意したような非常用食料”が握られていた。
「ああ、だろうな。」
「フフッ。今日はずっと二人きりね。」
「あ ああ そ そうだな…」
「フフッ」
「で でもどうしよう…せめて雨風でもしのげる所があれば…」
「お〜い フォックス〜」
「トリッキー、まだ居たのか?」
「まだ居たのかって、ずっと居たじゃないか。全く…見てらんなかったよ。」
「見てらん…って、全部見てたのか!?」
「全部見てたし全部聞いてたよ。泊まる所位、僕が何とかするから付いてきてよ。」
「そ そうか?」
「じゃ、行きましょうか?フォックス…」
「あ ああ…」
二人は再びトリッキーの背中に揺られてサウリアの風の中を進んだ。
最終更新:2008年03月24日 01:24