――薄い壁の向こう側から艶かしい声が聞こえる。
「あぁっ……は、ウルフ……!」
「はぁっはっ……ハッ!イイぜレオンッ……!」
「う、ウルフッ……わ、私はっ……私はもうっ―――!」
「お、俺もだっはぁっ……は……!」
ギシギシアンアンギシギシアオーン―――
「…………」
――――――――――――――――――――――――――――――
「……で、何でそれを俺に……」
「……じゃ部下たちにでも言えっていうの?
死んじゃうよ……相談された奴もだけど、俺も……」
惑星コーネリアのとある喫茶店で、俺は突然現れたパンサーの
相談を受けていた。
物凄い憔悴した顔でいたから、すわ一大事かと聞けば、
何でも隣の部屋で、毎晩ウルフのウルフェンがブーストブースト
煩いらしい。
しかもその相手があのレオンっていうので、さらにキツイという。
……確かに俺だって隣の部屋で毎晩ファルコとスリッピーとかが
アーウィンアーウィンしてたら死にたくなるけどさ。
だからと言って、敵対組織の、しかも恋のライバル捕まえて
相談するようなことじゃないと思う。
「そりゃさ、俺だってわざわざあんたに
相談するようなことじゃないってのは分かってるさ……。
でもホントに限界だったんだ!えぇ!?分かる!?分かるかキツネ!」
「辛いのは分かるけどさ……。いや、うん……
辛いなパンサー……」
「トップとナンバー2が出来てるって……
しかも二人とも三十路で男って……
壁薄いの分かってるくせに……毎晩毎晩……」
どうも心底本気で参ってるらしい。
テーブルに顔を突っ伏してぐったりと力尽きてしまった
パンサーの頭を、俺は軽く叩いてやった。
……ぶっちゃけ、どうにかしてやりたいとは思うが、
物理的に考えて、話を聞いて慰めてやるくらいのことしか
俺には出来ない。
「……あー……。……あ、そうだ。
そういえば前から気になってた事があるんだけど」
「ん?」
「キツネくん童貞?」
コーヒーぶちまけた。
「汚いなーちょっとー」
「……何言いだすんだいきなり!!」
コーヒーが気管支に入ったらしい。
ごっほごっほと顔を紅潮させながら詰め寄る俺に、
パンサーは突っ伏したまま、顔だけをこちらに向けて応えた。
「気になったもんはしょうがないだろ。
場合によっては今後のクリスタル攻略マニュアルに
変更を加えなきゃいけないんだから、しっかり答えてくれよな」
「そんなもん作ってるのか!?」
ちょっと欲しい。
……じゃ、無くて。
「……答えるわけ無いだろそんなの。パンサー、お前ホントに
疲れてるんだよ。帰ってゆっくり休」
「あー返答ぼかすって事はやっぱ無いのか。うん。
だと思った」
「 な ん で そ う な る 」
……いや、確かに無いけど。
べ、別に悪いことじゃないんだから、焦る必要なんか無いはずだ。
大体、そういうのは本当に好きな人と通じ合ってからするものだし。
「あー……でもそうなると……。
…………いかん……いかんぞ…………」
ふと目の前を見ると、パンサーは口元に指を当てて俯き、
なにやらぶちぶちと独り言を言っていた。
「いかんて。何がだ?」
「俺の勘的に考えて多分クリスタルも処女」
ブチ殺すぞ。
「で、あんたも童貞。初めてと初めて。
……ゆ、許さん……カルロッソ許しませんよそんな
少女漫画のハッピーエンディング的展開は……!」
「本当に何を言ってるんだパンサー……。
ほら、帰るのが嫌ならその辺のホテルででも一泊すれば……」
「キツネ!」
いきなり椅子から立ち上がられて驚いた。
金色の眼が分かりやすく血走っている。
「……ちょっと付き合って欲しいんだけどいいよな……?」
どう考えても行かないほうがいい。
行かないほうがいいんだけど……。
此処で断れないから、俺のローンは減らないのだろう。
多分。
――――――――――――――――――――――――――――――
で、まぁそこまではいいんだけど。
問題はそれからだった。
あれから連れ込まれた先の場所で、何故か俺は全裸にされ、
パンサーにあちこち触れられていた。
「……ちょ……はっ、何するんだ……!」
ネコ科特有のザラザラとした舌が、毛を割って素肌に触れる
感覚にゾクゾクする。
抗議しようにも、寝台に括り付けられた腕は俺の思うとおりに
は動かなかった。
「……んっ……ま、酷くするつもりは無いから安心しなよ。
こっちはちょっと童貞頂ければいいだけだから。
……許さんよクリスタルで初めてとか……絶対許さん……」
「ふっふざけ……ッ―――!」
言おうとした言葉は、太ももから足首までを舐めあげられ
遮られた。
何なんだ。酔ってでもいるのか?幾らなんでも、こんな行動
とるなんて、おかしいとしか言いようが無い。
「うっ……ふぅっ!……やめろッ……!」
「中々いい声してるじゃん。……まぁ落ち着きなよ。
精神的には最悪だろうけど肉体的には最高の初体験
にしてやるからさ」
そう言うとパンサーは、備え付けの棚から何かのボトルを
取り出して、俺の股間にとろりと垂らした。
冷たさに足が震える。
「ただのローションだよ」
そんなもん、ペッピーの持ってたアダルト小説の中でしか知らない。
こういったところには普通にあるものだったのか?
それを垂らし終わると、パンサーはゆっくりと、俺の既に立ち上がり
かけてた股間を抜き出した。
一人でするときとは全く異なる快感に腰が浮く。
「ぅ……あっ!あぁ……や、やめ、あ、あ、」
「イイ反応だな。嬉しくなっちゃう」
「ふざけるなっ!……ちょ、ま、待って……!」
動悸が激しくなり、全身から力が抜けていく。
ふとパンサーの方を見ると、下だけ脱いだ彼は、何だか
信じられないようなことをしていた。
「え……ちょ、んぁっ!……ちょ、何、してるんだ……?」
「ん?あぁ……だって慣らさないと痛いだろ。
……それともそういうプレイの方が好み?そうしようか?」
何を言ってるのかさっぱり理解できない!
彼の尻のほうで、その指先がにゅくにゅくと蠢いている。
あんなことして痛くないのか?
っていうか本当に俺の童貞奪うつもりだったのか!?
「コッチの経験は俺だってあんまり無いんだけど。
……まー何とかなるだろ」
「そ、そゆ、問題じゃ!……はぁ、無いだろッ……!?」
そう言うと、にやりと笑ったパンサーは、
俺の股間を掴む手をより激しく動かし始めた。
これはやばい。
酷い姿を見せないよう、我慢を続けていたが、
流石に限界が近かった。
何とか歯を食いしばって耐えるが、余りの熱に身体の中から
溶けてしまいそうだ。
「……は、はっ……ん……よし、もう平気だろ……。
準備はいいかキツネ?」
「ひぁッ!ちょ、ちょっと待てっ!今日はッ……!
―――うわああああああッ!!!!!!?」
凄い衝撃だった。
今まで味わった全ての快感が集まったのより激しいものが、
一瞬で身を焼き尽くすような感覚。
入れさせられただけで、今までの我慢が吹き飛び、
俺は為す術も無く吐精していた。
「ハッ!コンドーさん……させててッ!良かったよッ……!
はぁっ、はぁっ……ちょっと情け無いんじゃないか!?」
「あぁっ!あっう、や、やめ、もっとゆっくり……!」
出したばかりで厳しいというのに、俺の上に乗っかった
パンサーは容赦なく腰を動かしてくる。
初めてだから比べる物が無いけど、多分めちゃくちゃ上手い。
その激しいグラインドに、
俺の股間のアーウィンは、再び空へと舞い上がった。
何処で覚えたんだろう、こんなの。
「うぁ、む、無理!無理、またっ……!頼むからッ……!」
「若い、ね……!それともそんなに名器かねッ……俺っ
……ぁ、俺のはッ!」
結合部からぐじゅぐじゅと音がする。
それがまた快感を煽って、頭がボーっとしてきた。
駄目なのに。今日――というかこの時期は本当に駄目なのに。
声を留めるのが難しい。自然と腰が動いてしまう。
パンサーの方も大分限界が近いようで、荒い息をつき、
腰を動かしながら、自らのものを慰めているようだった。
「うわ、ちょ、そこ……!ッは……はぁ、はぁ……ッ!」
「あ、あぁっ、ぅくッ……あ、駄目だッ!またっ、また……!!」
目の前が真っ白になった。
二度目の吐精。汗と精液でべとついた毛が、これ以上なく気持ち悪い。
今度は、パンサーもイったようで、俺の上に乗っかったまま、荒い呼吸を整えている。
黒い毛並みに斑にかかる、澱んだ白色が、酷く扇情的に見えた。
その光景を見た俺の中で、何かが切れた。
「はぁ、はぁ……何か……冷静に考えたら何やってんだって気がしちまったが……
ま……いいや……。兎に角……お疲れ様、キツネく、ん?」
腕の拘束が解かれた途端、今度は俺がパンサーを寝台に押し倒した。
「え、ちょ、ちょっと。なにを……」
「……が……悪いんだからな…………」
そうだ。
この時期は本当に駄目だったのに。
いつも全身全霊をかけて我慢をしていたのに。
挑発的な格好のクリスタルどころか、ファルコやスリッピーの素肌を見るだけでも
辛くて辛くてそれでも我慢してたのに!!
「な、き、聞いて無いぞそんなのッ……!」
「……言わせて……もらえなかったからな……。
責任は……とって、貰うぞ……!しっかり聞けよ……俺は」
―――発情期なんだよ!!
――――――――――――――――――――――――――――――
「……ん?パンサーはまだ帰ってねェのか?」
「そのようだな。……まったく何処をほっつき歩いてるんだか」
「あいつが隣居ないとつまんねぇんだよなぁ……。
まぁいいか。それなら今日は倉庫でやろうぜ」
「ふむ。それはいつもより危機感があって良いな……」
……パンサー=新入り=苦労人というイメージで書いた
今は反省している
最終更新:2008年04月12日 12:23