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フォックス×ウルフ

ウルフェンがおかしな無線電波を受信した。
いや、正常な波形の電波ではではあるが、おかしいのはその発信先だ。
味方ではない、それどころか普段からの私的な交流などは全くない商売敵からである。

「…降りて来い?」

すぐ近くにある小さな星に降りろと一方的に伝えられた後、
返答をする間もなく無線を乱暴に切られた。
どうしてこちらの無線ナンバーを知っているのかとも思ったが、
ウルフはそれ以上に、相手のそのおかしな様子に疑問を感じた。
その性格は機体の扱い方でしか知らなかったが、
普段は常識的で落ち着いているだろうそいつ、フォックスがやりそうなことではない。


「おい、なんだ……。
………っ!?」

機体から降り警戒しながら近づいていくと、
走り寄ってきたフォックスにいきなり抱きつかれた。



「おい、おいッ!……ええ!?おいコラ!」
「………ッ!」

一瞬刃物にでも刺されたのかと思って身構えたが、どうやらそうではないらしい。
フォックスが尻尾をばたばた振りながら必死に己の胸へ顔を押し付けてくる。
腰を思い切り抱きしめられていて熱い。いやフォックスの体温そのものが熱い。

「は、放せ!何しやがる!」
「……ルフッ!」

フォックスがようやく何か言いやがった。
そう思ったとき、ウルフは気を失っていた。


***********




「……どこだここはッ!」
「気が付いたか!」

目が覚めると、ウルフはどこか汚らしい部屋の中で仰向けになっていた。
ベッドの上で見上げる妙に薄暗い灯りに、なんともいやらしいものを思い起こさせられて、思わずぞっとなった。
自分が声を上げると、すぐにそれに答える声が返された。
俺を気絶させた相手だ。

「よかった、死んでしまったのかと思った」
「てめえ何をした!」

ウルフはまだ身体を上手く動かせない。
手足の先が痺れていて、全身の神経も鈍くなっているような感覚だ。

「いや、ちょっとその、電流を……」
「電流!?」
「機内に転がってたいらないガラクタで急にこしらえたから、
 電圧を失敗したのかと思った」
「……アホか!素人がンなことしたら死ぬだろ!」
「大丈夫だ、一応スリッピー直伝だから」
「知るか!先にてめえの身体で試せ!」

いつも命を奪い奪われんとしている関係だということも忘れて、ウルフは喚いた。
そんな相手にのこのこと姿を見せた己の失態には触れない。
しかし電流とは。
通りで強烈に痺れた訳だ、とウルフは臍を噛んだ。
その後遺症だろう、やはり少しの間は身体の自由があまり利かなさそうだ。
その己の身体の上に、フォックスが乗ってきて、そしてもう一度思い切り抱きしめられた。

「…なんだ!何をする!?」
「…はァ、はァ……ッ!」

答えの代わりに、熱い息を返された。
こちらの身体が動かないのをいいことに、抱かれる力がどんどん強くなっていく。
身動きが出来ない以上に気味が悪くて、ウルフは精一杯肩を竦ませた。

「ッてめ」
「…ッウルフ、お前の、その、毛皮とか、いいよな……ッ」
「あああ!?」
なんだなんだ、俺様の毛皮を剥いで敷き物でも作るつもりか。

「なんだ、いったい、どういうつもりだ?」
「その、お前の、口とか、牙とか、俺、凄く好きだ…っ」
「何言ってやがんだてめぇ!」

尋常じゃないその様子が気味悪い。持っていた相手のイメージと全く違う。
頬を掴まれ口を寄せられそうになって、ウルフは必死にそこから鼻先を遠ざけた。
けれどすぐにフォックスの頭がそちらへ回り込んでくる。
鼻の頭から口先からべろべろ舐められた。
背筋がそのあり得なさにぞくぞくとした。

「やめ、んむうッ」
文句を言おうと口を開けると、そこにも舌を入れられた。
とにかく何か熱い衝動のようなものに口の中が犯される。
股間がびくりとした。思わず感じてしまったのだ。
やめさせようと相手の身体を押したり掴んだり殴ったりしたが、一向にやめられない。
どんどん股間が反応していく。

「ん、んんっ。…っ。
 …ぷはァッ!ってめ、何しやがる!」
「何って…、俺にもよく分からない……。
 けどなんか俺……っ!
 お前が欲しくてたまらないんだ!」

耳元で放たれたフォックスの若く情熱的な叫びに、ウルフは背中がぞくっとなった。

「分かった、お前、そういう時期とか、そういうことか…!?」
「だから、俺だって、分からないんだ…ッ!」
「分からない?自分のことだろ!?」
「知らない!こんなの初めてで…!
 ただ、なんだか身体がずっと熱くて、お前見ると止められなくなって……!」
「初めてって…、お前、何歳だったか…!?」
「じゅ、18だ…!」

発情期かと思ったのだが、けれど18で初めてって遅くないか?ウブな奴なのか?
男ばかりの環境だったからか?似た種族の俺を見て勘違い?
どうでもいい推測がウルフの頭の中を回っていく。

「お前、そういうのは女相手に…」
「俺はお前がいいんだ!お前のその毛皮とか耳とか鼻とかがもうたまらないんだ!」

こんな毛皮とか耳とか鼻とかを持った奴はいくらでもいる!
そうは思ったが今のフォックスには何を言っても聞きそうになかった。
なんだこいつは。こういう奴だったのか。
俺は皆に恐れられているならず者で、お前らの商売敵なんだぞ。
しかし反応してしまった己の股間は正直であった。

「わ、分かった、分かったから…」
「な、んだよ…ッ、俺どうすればいいんだよ…!
 お前が気絶してる間、何度俺はお前を…!
 もう我慢の限界だ!
 ウルフ、俺もうお前に何するか、自分でも分からない……っ!」
「っ落ち着け!分かったから擦り付けるのをやめろ!」
「そんな!じゃあどうすればいいって言うんだ!」
「俺が!…お前に教えてやるから……!」

思わず言ってしまっていた。
ウルフはその瞬間ジェームズのことを思い出した。
貴様が息子の教育をきちんとしねえから……!


*************


とりあえずどうどうと相手を落ち着かせ己から引き剥がした後、お互い服を脱いで裸になった。
ベッドの上で座って向き合う。
当たり前かもしれないが、ずっと興奮しっぱなしのフォックスは、
もうギンギンに勃起させていた。
若えなこいつ…。
童顔な顔に似合わない精力に満ちたそれが少し羨ましくもある。
大きさならウルフも負けていないが。

「どうすればいいんだ…!?」
フォックスががっつくように聞いてくる。
とりあえず、そうだな…とウルフがフォックスの性器を掴むと、
フォックスがうわあと情けない声を上げた。

「お前これだけでそんなになってたら、耐え切れねえぞ…」
「なんのことだ、…うわ、うあっ」
とりあえずそれを何度か扱くと、フォックスがあっという間に射精した。

「ふ、は、はぁ…、うう、っ」
射精の倦怠感で己にしなだれかかってきそうなフォックスの身体をどけて、その手首を掴んだ。
それを引っ張って、ウルフはたった今吐き出されたフォックスの精液を、相手の手指に馴染まさせた。

「ローションとか今ねえからな……」
「な、にを……?」
「初めてで挿れられるのも可哀想だしな。
 まあ元々お前もそのつもりだったんだろうが、俺のを使わせてやる」

そう言ってウルフは、己の股の中心にフォックスの指を誘導した。
「え、ええ!?」
自分の腿の内側のもさもさとした白い毛の、その間のそこに指を宛てさせると、
フォックスが慌てふためいたような声を上げた。
目を白黒させて、頭を上げ下げしながらそことこちらの顔を交互に見比べている。
ウルフは眉間に皺を寄せた。

「お前…ここ使うって知らなかったのか?
 よくそんなことで俺が欲しいとか言えたもんだな…」
「っ分からないけど、ただ、お前が欲しいとだけ思ったんだ…。
 でも、えっ、ここ……?
 入れるんだよな…?……ここに…?入るのか…?」
「ッだから入るように慣らせっつってんだ!」

さっきから欲しいとだけばかりを言ったり腰をひたすらに押し付けてきたりで、
若いキツネにそれ以上の具体的な知識は本当にないらしい。
それを相手に1から10まで言うのかと思うと、ウルフはだんだんとこの厄介ごとを放り投げたくなってきた。


ぬるぬるさせた相手の指の先を己に軽く突っ込んで、
いいから適当にやってろ、良さそうなら指増やせといい加減に告げて、
ウルフはそのまま後ろへ寝た。
己のそこをフォックスの指が恐る恐る確認してくる。
面倒くさい奴め。蹴り飛ばしてやりたくなってくる。

しばらくやらせてみた。
やはり駄目だ、と思った。
のろのろと、まどろっこしいことこの上ない。
もういいと言うつもりでウルフは顎を引いて己の下腹部を見た。
すると困り果て、でも己の欲情には勝てないと指を動かしている、
耳を情けなくへこたらせた阿呆みたいなフォックスの顔があった。

思わず笑ってしまった。
…こいつ面白いかもしれねえ。

黙ってそれを続けさせていると、ようやく指の動きがスムーズになってきた。
己のそこもフォックスのそれへの気持ちも慣れてきたということだ。
それと共に、ウルフの中にも違ったものが湧き上がってきた。
身体の反応だ。
フォックスの指が中に入り込んでくる度に、ぐぅと痺れるような感覚が下半身に走る。
だんだんとその快楽が露になってきた。
びく、びくとわずかに己の身体が動くのが分かる。
そうしたら今度はその微弱な快感がもどかしくなって来て、
ウルフは起き上がってフォックスの空いた手を掴んだ。

「…ここも、頼むぜ」

その手を己の性器の上に持ってくる。
分かった、と己を見たフォックスの身体を見やると、また股間を立ち上がらせていた。
ウルフ、俺のも、早くどうにかして欲しいんだが…。
目尻の垂れ下がった目で訴えかけられたが、ウルフは無視をした。

フォックスの手が、ウルフの性器と後ろを、両方とも愛撫し始めている。
つたない動きだったが、それでも性器を直接触られ、
急に強くなった快感にウルフは思わず震え、はぁ、と熱く息を吐いた。
ぎゅうとフォックスの手が性器を圧迫し、摩擦してくる。
流石に後ろを慣らすのとは違って、ある程度の勝手は分かっているようだ。
上手い具合に高められていって、ウルフは次第にその感覚に集中するようになっていった。

「そ、そうだ、なかなか、いいぜ…ッ、ぐ、うッ」
「…ウルフ、ま、だか…?まだ、駄目か…ッ?」
「ッまだだ、まだ、もう少し…、う、うはぁッ」

どうせ挿入をさせ始めたらまたたらたらと戸惑いながらそれを行っていくに違いない。
この快楽を一時中断させられるのが嫌で、ウルフはそれを続けさせた。
フォックスの両手が焦るように己を急かしてくる。
自分も早く快楽を得たいのだろう。
けれど今はこっちが優先だ。

「……!
 フォッ、クス……、っ、うあッ、そこッ、そこだッ!」
「…!…こう、か!?」
「そう、だ!うあ、く、ッ、ッ!」

フォックスの指がようやく己のイイところを探り当てた瞬間、ウルフはそこだと必死に教えた。
急に跳ねたこちらの身体を見て、フォックスが分かったとそこばかりを突いてくる。
性器への動きも相俟った強い快感に、ウルフの腰が激しく揺れ動いた。
身体が勝手に震えていく。動悸がどんどん早くなっていく。喘ぎが止まらない。
ぎゅるぎゅると射精の準備が高まっていく。

「そ、そこ、あぐッ、も、もうい、フォックス、あ――ッ!?」

もういいと言うつもりで、しかし快感はそのまま昇りきっていってしまった。
フォックスの手の中に、ウルフは精液を噴出していた。

「は、はァ……。
 ……ま、いいだろ……」

思わず最後まで突っ走ってしまったのは計算外だったが、
それでもこれで十分に準備は整った。
フォックスに大丈夫だと告げると、相手はもう我慢できないと勢いよくウルフに被さって来た。
灰色と茶色の毛が混じり合って、フォックスの獣臭い匂いが鼻に強くついた。

「こ、こうで、いいんだよな…!?」
「おう、そうだ…、…うおっ!」
目の前でこちらが達したのを見せられて相当に興奮したのだろう、
フォックスががぶりつくようにそのまま挿入してきた。
一気に入れられ、思わずウルフは呻いた。
準備はしたとはいえ、己がこの行為に慣れているとはいえ、
フォックスのとっくにいきり立ったモノをいきなり受け入れるにはかなり辛いものがある。

「フォックス、あまりいきなり、はっ」
「いきなりじゃない!
 俺は、もう十分、待って、うああっ」
そういうことじゃない、なんてウルフが言い出す暇もなく、フォックスが射精した。
己の中でどくどくと吐き出されていっている。

「い、いくらなんでも、お前早すぎだろっ!」
「う、るさい…!お前の中が、おかしいくらい…、こんなイイから悪いんだ!
 …なんだこれ、本当……!熱いし、き、気持ち良すぎて……!」

フォックスが精液をびゅくびゅく吐き出しながら呻いている。
俺のがどうとか言うよりはお前が初めてだからじゃないのか、などとウルフは思ったが、
フォックスは初めての快感にすっかり我を犯されているようだ。
自制心を取り戻すように頭を振っているが、腰も一緒に揺れてしまっている。


「だいたい、さっきからお前ばっかり、気持ち良くなってて…!
 ずるいだろ…!いいじゃないか、俺だって…!」

たった今達したばかりのフォックスが、内側をぐりと圧迫出来るほどまたすぐに回復して、
再びそれを開始しようとしてくる。
己の腰を掴んだ手が、どんどん力強くなっていく。
ぎゅうと握り締められてとても痛い。
けれどそんな痛さより、下肢を揺さぶって来る快感の方が、ウルフにはずっと大きい。

「今度は俺の番だ…!俺がよくなる番だ、ろ…!?」
「分か、ッぐ!でも、待てって!だから、激しすぎるッ…がッ」
「……ッ!……ホントッ、なんだこれ…!おかし…、も、また俺……ッ!」

フォックスが呻きながら縋るようにウルフの性器を握った。
ウルフはぎくりとなった。
後ろも挿入され刺激されて完全にまた復活した己のそれは、先ほど吐いた精液と今出ている先走りでどろどろだ。
フォックスがそれを激しく上下に扱いてくる。強烈な快感がウルフをおかしく襲ってくる。

「うあ!や、やめろフォックス!
 加減とか、考え――ッ!?うあッ、あ、あ゛あ゛!」
「こ、ここだったよな、確か!イイ、んだろここ!」

さっき教えた内部のイイ場所を確認するように突かれて、ウルフは嫌だとぎくしゃくしながらも首を横に振った。
けれどさっきと同じように、フォックスが何度もそれを繰り返してくる。
その度にウルフの身体が変になったようにびくびく痙攣する。

「う、うわ、駄目だ、それ以上やるな、やるなってッ!くうううっ」
「ウルフ…、お前、凄い、エロい…エロい顔してる…!」
「バカ野郎ッ、ふざけんじゃねえ!…ッうあ、やめ、やめろ…ッ!」

やめろと言えば言うほどフォックスはそれを繰り返してくる。
中を突き、性器を強く扱いてくる。
直情的なフォックスの抽迭と指使いに、ウルフの全身が大きく犯されていく。
イく。イってしまう。さっきイかさせたのとは全く違う。こんな奴にイかされてしまう。

「いやだ…!や、やめろって言ってん、だろッ、うあッ、くぅん、うんッ、んっ」
「ハァ、ハァッ、……ッ!
 そんな、声、出すなよッ!どうにか…どうにかなっちゃうだろ!」
「う、るさ、ッうん、ん、んんッ、くううん、ん゛ッ!」
「凄…!ウルフ、も、イっていいよっ、俺、俺も、…!」
「ふ、ふざけ、ふうッ、んん、んう゛――――ッ!」

必死にそうならないように歯を食いしばり耐えたが、
その上からフォックスが己に鼻先を押し付けてきた。
強く噛み締めその隙間から息を吐く、剥き出しの牙の上に舌を被さられて、
酸素が摂れぬと顎を開けたらまた熱いそれが咥内に入ってくる。
そうして上も下も快楽を貪られて、フォックスがまた己の中で震えたとき、
身体全体がぶるぶる震えて、ウルフも一緒に射精してしまった。


**********


終わった後、二人で力尽きたように倒れしばらくハァハァと息を繰り返していた。
もうお互いに、何が何なのかよく分からなかった。
フォックスは初めての経験に翻弄され続け、ウルフはそんなフォックスに不本意にも翻弄された。
敵とか立場とかが全部なくなって、今はただ性欲の残骸と倦怠感だけが漂っていた。

仰向けのフォックスが目を閉じ舌をだらしなく垂らしながらハァハァ言っている。
ウルフも同じように舌を出して外気に触れさせ、熱くなった身体を冷まそうと息を繰り返した。
そうして相手を見ていると、フォックスが瞼を開けてぼうと天井を眺めながら、
また、お前とこういうこと、出来るだろうか…などと呆然と呟いていた。

ウルフは何も言わず、ジェームズを思い出していた。

はあ…、おい、やっちまったぞ…。
貴様の息子、変な道に引きずり込んじまった……。


まあいいか…、元はと言えば貴様のせいだよな…。
貴様が俺をこっちに走らせたんだからな…。

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最終更新:2008年04月27日 23:08