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155 :高杜学園たぶろいど! ◆IXTcNublQI :2008/09/04(木) 21:36:26 ID:NtbJAk4b

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「スクープはまだなのスクープは!」

 ここは緑に囲まれた高杜市にある高杜学園高校。その新聞部に入部
した途端部長の椅子を"乗っ取った"一年生、雨宮ツバキが声を荒げて言う。
「特ダネを見つけてきた記者には金一封の代わりに私のキッスをあげるわよ」

「……それより休みをくれよ~」
 俺は入部してから1ヶ月間馬車馬の如く働かされてちょっと嫌気が差して
いた。俺はこの町の生まれじゃないので学校周辺の散策とかは当初割と
楽しんでたんだが同じところをグルグルと回ってくるとさすがに飽きてくる。

「ちょっとメガネ! あんた私に意見しようって言うの? そうなの? どうなの? 」
 ちなみに俺は近眼でもなければメガネベストドレッサー賞を目指しているわけ
でもない。"キャラが薄い"とかいう理由で雨宮さんから渡されたものだ。俺には
東雲蔵人という親につけてもらった立派な名前があるのに。まあ、「ひがしくも」とか
呼ばれるのも嫌なんで別にいいんだけど。

「アンタさー。この部に入ってからまともに記事が採用された事もないじゃない。
ジャーナリストとしての自覚は無いの?」

 いやいやいや。それは雨宮さん。あなたが俺の書いた記事を色々難癖つけて
ボツにするからでしょ……
 曰く、意外性がない。曰く、文章が硬すぎる。曰く、プロパガンダとして使えない。等々。

 そもそも俺がこの新聞部に入部したのは雨宮さんが新聞部の場所がわからない
って言うから部室を一緒に探してあげて……まあその時に下心が無かったかといえ
ば嘘になるが。……所謂若さゆえの過ちと言う奴だな。うむ。

「いつもの恒例企画、"学校の七不思議に迫る!"で行くしか無いっかなぁ」
 いや、その企画は既に十回目ですよ。七不思議って言ってるのにどんだけあるん
だよ……まあ日本××百選ってもの実際には100以上選んでたりするものだがな。


 あーでもないこーでもないと議論が続いてるわけでもなくどんよりとした空気が
部室内に立ち込め始めた。

「あ……あのっ……スクープのヨカンがっ…しますっ!」
「雷堂寺先輩? 急に立ち上がってどうしたんですか。びっくりした。」
「おっ! ひかるちゃん! 何か感じた? 」
 先輩にちゃん付けはやめろよ。確かに雷堂寺先輩は年上には見えないけど。むしろ中学生
くらいにしか見えない。
 小柄で童顔。巨乳。アニメ声。巨乳。ツインテール。巨乳。巨乳。巨乳。巨乳。巨乳……
ああっ……おっぱい!おっぱい!(AA略

「メガネ君? 私の胸、ジロジロみないでっ……恥ずかしいから」
「ああいかんいかん。俺としたことが」
「おいメガネっ! お前今からエロメガネに昇格させるぞゴルァ!!!」
 異例の昇格人事である。これはもう男の本能なんだから勘弁してくれ……

「あーあ。男ってなんで巨乳が好きなの? なんなの? 馬鹿なの?」
「俺は……別に貧乳だって好きですよ?」
「なーんでこっち見て言うワケ? だいたいアンタの性癖は訊いてないから」
 なんでって……そりゃあ……言えるわけが無いでしょう。

「あの……よろしいですか? 部長さん……メガネ君……」
 先輩は先輩で後輩である雨宮さんにさん付けしてるし……あ、俺もか。
 俺は……どうも相手に高圧的な態度をとられるとそれに順応してしまうところが
あるのだ。それのせいでアイツにも……まあその話はいつか暇があったらしよう。
「えと……私の第六感にピピッと来ましたっ! スクープが見つかると思います
……あれ? なんで皆さんポカンとしてるんですか?私のヨカンは当たるも八卦、
当たらぬも八卦なんですからっ」
 雷堂寺先輩が言うには、そろそろスクープが見つかるかもしれないよという事
らしい。予知能力か?それにしてはあやふやだが……

「部屋の中でウダウダしててもラチがあかないわ。じゃあ、早速調査開始よ! 
メガネ、ついてきなさいっ」
 へいへい。と生返事をして俺は部室から出て行く。どこかに雨宮さんが満足
するネタが落ちて無いかな。でないと俺の体が持たない。



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最終更新:2008年09月28日 19:48