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「白髪の男と赤目の男」





私は自分を最強だと思ったことはない。
力にも相性がある。それを凌ぐのは頭脳だ。
私はずっとそうして相手を殺してきた。



今から20年ほど前の話。
陽のない暗い国、クラウリア。
年中、昼でも重く灰色の雲が空を覆っている国。
その街外れ、人気のない場所に一人の男が立っていた。
ロングヘアーの白髪。顔は整っている。
手にレイピアのような細長い剣を持っていた。
目の前には生気のない血だらけの男が地面に横たわっている。
剣先から血が滴り落ち、地面を赤く染める。

「貴方もその程度でしたか…実に残念です」

この男とは互いの利益の為に手を組んでいた。
だがこの男の能力が減退し、私の理想の利益は得られなくなった。
自分の情報を多少なりとも知っているこの役立たず。
今までもそういう役立たずは処分していた。

「貴公がネスリミッジ・グランバートかね?」

背後で男の声がした。ゆっくりと振り返る。
ワインレッドの髪色、真紅の瞳をした男が立っていた。
歳は30代といったところか。自分より少し上に見える。
穏やかな表情をしていたが、どこか冷たさを感じた。

「どなたでしょうか?」
「あぁ、自己紹介がまだだったね。私の名はジヴェル。」
「…なぜ私の名を?」

ネスリミッジと言う名は今までに何度も名乗ってきた。
だが、フルネームを名乗ったことは一度もない。
よほどの情報力がある者なのだろうか。

「私には貴公の力が必要だ。ついて来たまえ。仲間に歓迎しよう。
 貴公もそうするべき道を歩んでいるのだ。」
「…答える義理はない、ということでしょうかねぇ」

フッと笑うだけで何も答えないジヴェル。
気に食わない性格だ。掴めない、そして見透かしたような言い方をする。
しばらくの沈黙の後、ネスリミッジは口を開いた。

「残念ながら、見ず知らずの貴方の言うことを聞く気はありませんよ」
「フッ…そうだろう。ならば力でねじ伏せるとしよう」

彼も私と同じノーアだとしたら、あの目が意味するのは…

「貴方には本気で挑んだほうが良さそうです」

ボゥッと黒と紫の禍々しい炎がジヴェルを囲う。
その炎に触れた草木はもちろん、岩までもが一瞬で炭となった。

「貴公の能力の一つ、全てを燃やす炎…か。実に素晴らしい力だ。
 もう一つの能力、運を操作する能力で私を悪運にするかね?」
「やはり能力も知られていましたか…ククッ、恐ろしい方です」

ジヴェルは片手を横に差し出し、分厚い本を召喚した。

「やはり貴方は赤目のノーア…こんな場所で出会うとは。貴重な首が頂けそうです。」

ネスリミッジは炎を蛇のように操り、ジヴェルの心臓を狙った。
首から下は興味がない。赤目の能力を発動させる前に殺したほうがいい。
炎がジヴェルの心臓に突き刺さる。
だが、ジヴェルは血を吹くことも、倒れることもなかった。

「力のある攻撃は少々痛いな。」

背後から声がすると同時に左腕に痛みを覚える。
瞬時にその場から離れ背後を見ると、そこには炎に貫かれているはずのジヴェルがいた。
ジヴェルが手に半透明の剣を持っている。どうやらアレで斬られたようだ。
傷口から白い服が赤くにじみ、腕を伝いぽたぽたと血が滴り落ちていく。
運を操作する能力で自分の運をあげ、保険を掛けていたはずだった。
それを凌ぐ力で斬られたということか。

「…ククッ…貴方も随分変わった能力をお持ちのようで…」

傷口を抑えながらジヴェルを見る。
利き手を斬られた分、こちらが不利になった。
腱までは斬られていないようだ、痛むが多少は力が入る。

「貫いている方の貴方は幻覚でしょうかねぇ…」

横目で炎の方を見ると、まだジヴェルらしきものは貫かれたままだ。
貫いた時の音などは確かに人間の肉だった。

「幻覚など使わないさ。あれは生きている人間を使っているのだよ。」

見たまえ、と本を光らせる。
すると炎に貫かれているジヴェルがみるみる別の人間の顔になった。
そしてその人間は灰となって消え去った。

「身代わりは常に持っているのでね。命は大切にせねばならない。」

どうやらダメージを受けると他の誰かが身代わりにダメージを受ける能力のようだ。
この状況、そして相手の能力。これでは勝ち目がない。
それにこの男、赤目の力も解放していないように見える。
この威圧感…逃げることは不可能だ。

「ククッ…私を殺しますか?」
「殺しはしないさ。先程も言っただろう?ついて来たまえ。
 仲間になるかどうかは貴公が決めることだ。
 利益がないと思ったならばいつでも抜けても構わない。
 私の首を手に入れる為についてくるのも良かろう。」

何を考えているのだろうか、この男は。
怪しく光るその真紅の瞳は全く読めなかった。
だが、その瞳が魅力的だった。今までに出会ったことのない瞳の色、赤目のノーアの首。
この男について行って損はない、そんな気がした。

「……クックック。いいでしょう。
 貴方からは良い利益が得られそうです。」
「ならばついてきたまえ。」



~END~





ジヴェルさんのこと誰かぶっとばしてくれないかな_(:3 ⌒゙)_
こういうキャラがぶっ飛ばされるとこってすごく見たい←
最終更新:2013年01月29日 12:27