プロローグ01


AD2023年 日本に激震が走った。
日本最高峰、希望崎学園の裏山が真っ二つに割れたのだ。
中には不自然な隆起が出来ており、まるでトーナメント表のように見えた。
三日三晩、テレビはこの不思議な事象に対するニュースばかりだ。

「自然現象による隆起にしてはあまりにも不自然すぎる!!」
ふと着けたテレビでは、いつものように希望崎裏山のニュースがやっていた。
―――――いつもと違う所と言えば、今喋っている男、魔人評議委員会委員長と呼ばれる男が、今回の事象について重大発表があるらしい。
「と言うと、つまり人工物という事でしょうか?」
数多くのレポーターが、矢次早に質問を投げかける。
「それについて今から説明しよう。希望崎学園裏山は人工物。今回の事象を調べるうちに、これは魔人の歴史に大きく関係あることが分かった!!」
「歴史・・・ですか!?」
「そう、時は三万年以上前に遡る。かつて魔人タッグの頂点を決する大会、魔人タッグトーナメントが開催されたのじゃ!!」
ザワ、ザワと騒ぎ立てるレポーターを余所に、委員長は続ける。
「この山は、魔人タッグトーナメントを行うために作られた人工の建造物。三万年以上前に行われた第一回大会終了後、突然地球に天変地異が起こり、試合会場は地の底に沈んでしまった――――――」
「その後、長い年月をかけて周りを土や岩が覆い、今の希望崎学園裏山となった。」
「しかし、三万年経った今、再び我々の前に姿を現した――――――」
「この山こそトーナメント・マウンテン!!この山を征服するタッグチームこそ、リアル・タッグ・チャンピオンだ!!」
「何・・・だと・・・」
「まさか・・・信じられない・・・」
「ウオォー!!」
「これは大スクープだ!!」
「本日、こうして会見を行った理由はほかでもありません。この大会で優勝できるのは真の友情をもったタッグ・チームだけです!」
「第一回優勝タッグは、この大会を制し、あの”真DA砲”を会得しました!!それ程強大なのです、友情パワーは!!」

「今こそ復活するのです!!魔人タッグ・タイトルを!!」

翌日のニュース、新聞には大きな見出しでこう書かれていた。
『魔人タッグタイトル 3万年ぶりに復活!!求む!真の友情世界一!!』
『参加条件は特になし!!自由!!われこそは最強の魔人――――最強のタッグと自負する者達を歓迎する!!』

日本中が注目の魔人タッグ・トーナメントに参加すべく、参加者は続々と希望崎学園裏山を目指していた。
ハワイやグアムでの猛特訓を終えその足で向かう者―――――
あるいは未だにパートナーが決まらずとりあえず一人で向かう者―――――
特訓などオレたちには無用と余裕の船旅を楽しむ者―――――
すでに裏山へたどり着きライバル・チーム打倒のための作戦を立てている者―――――
西から東からそれぞれの思いは、最強のタッグを決めるトーナメント・マウンテンへ!!
最終更新:2010年11月25日 20:16