第4話 初心に帰って
「光子先輩ー高坂先輩ぼこぼこにしてきましたよー」
部室に戻り、縛っていた高坂先輩を引きずる。
「おお、やればできるではありませんか。見直しましたよ、実」
こんな先輩ですけど、憧れはありますから、誉められると嬉しい。
そして新たな力への憧れも少々…。
召喚魔法は初めてだし、そもそもなんたるかを知らない。あんな召喚と使役の体現者である先輩に教えるなんて私ってすごくラッキーなんじゃ。
「それにしても高坂」
光子先輩が声をかけた相手は未だに失神している高坂先輩。聞こえているのか聞こえていないのか分かりませんが…自分のためとはいえ、今頃になって罪悪感が湧いてきます。本当にごめんなさい…先輩。
先輩がいっこうに目を覚まさない(あるいは寝たふりか)ので光子さんが何を思ったのか。
「目が覚めぬのなら無理矢理意識を覚醒させるまで……………」
人差し指を先輩に向け、
「痛みによってな……」
不適な笑みを浮かべながら火炎を放った―!
「ぬわー!」
まるでパ○スさんがメラ○ーマをくらったときのような悲鳴をあげ、地面で悶える。
本当に可哀想になってきた…。
「アツゥイ! アツゥイ!! スイマヘッヘーン!!」
……と思っていたのだが、どうみても喜んでいる気がする。この人Mか、Mなのか。ますますいい先輩に見えなくなってきた。今度罵ってみよう。
「さて、おしおきは後にして、使い魔の話でしたね、実」
待ってましたとばかりに私は目を輝かせる。この時を待っていた!
「ではまず、召喚魔法とは一体なんなのかということですが、召喚魔法とは本来消費する魔力の大きい難易度の高い魔法なのです。召喚するところまではそうでもないのですが、呼び出した使い魔を現界し続けるために召喚者の魔力を提供する必要があるのです。それも思っているより多くの魔力をです」
要するに呼び出せば強い味方となる代わりに命とも言える魔力の提供をしなければ働いてくれない、ということ。
扱いづらいことこの上ないということです。
「それって遠回しに私じゃ無理だって言ってません……?」
すると光子さんは私を見つめた。そこには不思議とオーラを感じる。やはり常人より多くの魔力を貯蔵していると違うのだろうか。
「そういうことではありません。ですが少し足りてない部分もあるので私の魔術回路をあなたにコピーしようと思っているのです」
魔術回路を……コピー……だって?
「そうすれば、私でも召喚魔法を使うことができるんですか?!」
「最初こそは制限もあると思いますが、まずは一つの使い魔の召喚をしてみればどうでしょうか」
「でも私…どんなのが調度いいのかっていうのが分からないっていうか……それに先輩の魔術回路をいただくなんてそんなこと……」
まったくもってそうだ。むしがよすぎる話ではある。私は何も努力をしていない。
「それは別にかまわないといったばかりではないですか。大事なのはこの大会で勝つか負けるかではなく、これからあなたが一流の魔導士を目指して精進することが大事なのですから」
その言葉に、私は息を飲んだ。私は勝ち負けに拘りすぎて、自分の力量が見えていなかったのかもしれない。
「あなたがこれから頑張ると言うのでしたら、私は今にでも私の魔力を施した刻印を移しますが」
答えはもちろん――。
「はい。頑張ります。もっと、より多くの人を助けられるように」
なんだか初心に帰れた気がします。それと、やっぱ先輩ってすごいなって、思ってしまったのでした。
一応用語の変更で
召し使いが使い魔となっています。混乱させるようなことがあったらすいません。
今回はちょっと真面目な話しに。次回こそ実の召喚魔法を御披露目できるんじゃないかなと思います。
使い魔に振り回される実の姿が目に浮かびます。
最終更新:2012年01月29日 22:07