セントぺテルスブルグのパラドックス

18世紀の数学者ベルヌーイが提唱した。

「表と裏の出る確率が各々2分の1の金貨を,表が出るまで投げ続け,n回目に初めて表が出た時に2のn乗円もらえる。このゲームに参加するのに,いくらまでなら支払ってよいか。」という問題の期待値と実際の感覚が矛盾することを指す。

このゲームに参加したときの期待値は,試行を無限回行うと仮定すると,
{EV}=\sum _{n = 1} ^{\infty} (2^n)(2^{-n})=1+1+1+\cdots=\infty

となり,解は∞になる。

よって,いくら払ってでも,このゲームに参加する価値はある。

しかし実際には,このゲームへの参加費として100万円払う,という人は少ない(殆どいない)。

この点がパラドックスである。

実際にゲームを行ってみると,10円程度なら払う,という人が多い。
つまり,このような直感と,期待値の考え方は,乖離している。

ベルヌーイは,
対数関数の効用
{u(2^n)=log(2^{-n})}
の期待値である期待効用EU(Expected Utility)を考えて,
{EU}=\sum _{n = 1} ^{\infty} log(2^n)log(2^{-n})=log4
とした。

期待効用が,(この例では)log4というような,かなり低い有限の値に収束することを示した。
このように,対数関数の効用関数の期待値を考えることで,パラドックスが解消する,とした。

これは,「限界効用の逓減」の性質を示している。
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最終更新:2012年05月30日 20:28
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