富、名声、そして力。
世の男が求めるものを、男は全て、高いレベルで有していた。
自分がどれだけ貯蓄していたか男は覚えてはいなかったが、少なくとも、皇国の一等地に大豪邸を建て、無数の使用人を雇っていてもなお、お釣りが来る程であったと記憶している。
名声については、皇国に生を授かった男児達の夢である所の、聖騎士団、その中でも最高の序列である第一軍団・金剛騎士団(ダイアモンド)団長である。
凡そ皇国民が考え得る中で、最高に限りなく近い地位に就いていた人物である、と言う認識には何の異論もなかった。これより上など、神か、教皇、総代聖騎士位しか最早存在しない。
力に至っては、最早説明するのも愚かしい。聖騎士団と言っても、実力についてはかなりのバラつきがある。
低位階の聖騎士ならば実力がなくても金でその地位を買えると言う、何やら旧西暦時代の金で爵位が手に入ると言うエピソードが思い浮かぶが、少なくとも男の所属している金剛騎士団は、別格。
加味される要素は1にも2にも、己の実力その一点。国家の威信である聖騎士団、その最高序列。対外の要であり、国家の暴力の象徴でもある聖騎士団のヒエラルキーの最上位には、
その名に恥じぬだけの力が求められる。そんな、組織の最高位のチームの中で、最も高い地位に就いている彼の実力は、今更筆を執るまでもない。別格。そう、この二文字で全てが足りるのだ。

 とどのつまり、『ウィリアム・ベルグシュライン』と言う男は、当代で言う所の防衛官僚。
外で訓練をしているような軍人達とは一線を画する、高級軍人と言う認識で、差し支えないし、間違いもない事になる。
現にカンタベリー聖教皇国における、防衛費などを確定する予算の折衝会議であったり、その期に於ける聖騎士の採用人数の決定や配属先の決定等の人事に於ける会議にも、
ベルグシュラインは参加し意見を述べた事もあったし、紛う事なき軍事の中枢に部分に食い込んでいた人物であった。
有事の際には、他の軍属や聖騎士(パラディン)に先駆けて戦場に馳せ参じ、皇国の特記戦力としての実力を発揮もする、現場に於いてもその存在感と活躍ぶりは発揮される。

 その生涯で汚職らしい汚職に一切手を染めず、生死不明の行方知れずになるまで無敗であったとされ、その後数十年が経過して尚、当時を知る聖騎士団員の一部では最強の呼び声高かった男。
星辰奏者に纏わる技術で、アドラーに劣後していたカンタベリー、その中に在っても強力とは言い難い星辰光に覚醒していても、男は最強と呼ばれていた。
御国の為、主の為、至高を越え神の領域にすら突入しているとすら言われた剣術で、眉一つ動かす事無く敵の一群を斬殺せしめるこの男は、
この聖杯戦争の地である異界東京都に呼ばれて、思う。

 ――ああ、思えば俺は、踊りの一つも嗜んだ事がなかったな。と

 都内は某区に在るとされる、283プロダクションが買い上げた自社アイドルのレッスン室、それが用意されている貸ビルの前に、ベルグシュラインは佇んでいる。
時刻は直に夜の十一時の半ばを回ろうと言う頃合いで、この時間になると、貸ビル内に存在するレンタルオフィスは、全員が帰社している為か殆どが消灯されている。
何も、このビルだけの話じゃない、周辺に存在する同じようなレンタルビルに、規模の小さい弁護・司法書士事務所、不動産屋に、飲食店まで。
昨今の社会情勢を鑑みてか、目につくあらゆる店舗は消灯されているかシャッターが下ろされているかで、一目で、営業時間外である事を訴えて来る。

 その、レッスン室だけが。煌々と、明かりが付いていた。
ベルグシュラインが感覚を研ぎ澄ませ、五感を鋭敏にさせると、微かながら、キュッ、キュッ、と。
板張りの床を、ラバーに似た何かで強く押し付けているような音を捕捉する事が出来た。その音には一定のリズムがあり、それでいて、人間が意図を以て力を加えている事が解る。機械的ではない。

「良く励む主だ」

 ベルグシュラインはその音が、己をサーヴァントとしてこの聖杯戦争の舞台に召喚したマスターが、ダンスの鍛錬をしている時の物である事を理解している。
このような時間でまで、自主的にレッスンを続けるとは中々上昇志向が強い。自主的、と言うのは、真実その通りの意味であり、何分の事、時間が時間だ。
既に283お抱えのダンス・歌唱のコーチは既に帰っており、即ち、帰って以降は本当に自らの意思で残っている事になる。
このような、根を詰め、張り切った練習や鍛錬について、人の意見は二つに分かれる。頑張っている、励んでいる、として素晴らしいと思う者。休め、間を置け、と否定的な者。
これについてベルグシュラインは、前者の方だった。深い理由や、人生経験に基づいて、そう判断している訳ではない。
人間が、それこそ、遥かな高みへと己の才能を届かせたいのであれば、何処かで一度は、壊れなければならない、と言う嘗ての主君の語っている所の故である。
壁を破る為には、逆に、自分の殻を破らなければならないと。こういう、論調になる。それを思えば、ベルグシュラインのマスターが行っている事について、彼は、肯定的に受け止めているのだった。

「頃合いか」

 そう言うと、ベルグシュラインは軽く地面を蹴り、垂直に跳躍。
たった、それだけの動作で、10階建ての貸ビルの屋上、其処に立て付けられた転落防止フェンスの上端まで飛翔する跳躍力を得た彼は、其処に着地するなり、眼を鋭く光らせる。
人の通りは疎らだ。終電の時間を見誤り、うろうろと泊まれるホテルやネットカフェを探すサラリーマン風の男や大学生の姿が見えた。この時間まで、仕事をしていたか、飲み過ぎていたか。
スーツを着た中年が、親と子程の年齢差の、制服を着た少女と一緒に、何やらホテルに入っている様子が見えた。とやかく、その行為についての是非を問う事はしない。
道端で吐いている酔っ払いに、タクシーの所に駆け寄る中年のサラリーマン。人通りの少ない路地裏に駆け込む、ジーンズ姿の男――。

 ――その男目掛けて、ベルグシュラインは懐に差していた、己の身長程もある長刀を抜刀。
刀としては規格外にも程がある得物を、苦も無く抜き切り振り抜き終えるベルグシュライン。
次瞬、ジーンズの男の首が、シャンパンのコルク栓のように宙を舞い、泣き別れになった胴体が俯せに倒れ込んだ。
果たして、如何なる術理が働いたのか。ベルグシュラインと、首を刎ねられた男との距離は、優に400m程も離れていたと言うのに。男の剣術は、距離の問題さえも超克するのか。

「これで」

 そう、これで。あの男の殺害と、自らのマスターが結び付く事はないだろうと、ベルグシュラインは判断した。
男の死を見届けた時、ベルグシュラインは地上に向けて身を投げ、まるで猫のように。何の音も立てずして地面に着地。
人の命を無慈悲に刈り取った様子など億尾にも出さずに、貸ビルの中に入って行った。

 ……ビルに入ると同時に、ベルグシュラインが先程まで佇んでいた場所に散乱していた、身体中を59分割されたアサシンのサーヴァントの屍体が、跡形もなく消滅し、
流した血の跡すらも消えて無くなっていた。サーヴァントの気配を察知したので、マスターの暗殺を謀ろうとしたある聖杯戦争の参加者は、その本懐を遂げる事無く、そしてその氏素性も知られる事無く。斯様にして、退場する事になったのであった。


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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 レッスンルームと言っても、何もそこまで大仰なものがある訳じゃない。
床は全面フローリングで、大きなパネルミラーを壁そのものにはめ込んで接着させて。後は、ゲストを座らせる為の簡易ソファに、設置式のデジタイマー。後は、申し訳程度の観葉植物。
ダンスと言う、身体を激しく動かす事を行う為の部屋の為、部屋にはそれ以外の余計なものは一切置いていない。ダンスの妨げになる障害物になりかねないからだ。
その為、初見での印象は、だだっ広い、殺風景な部屋と言って良いだろう。その部屋の中で、彼女は、玉散る汗を光らせて、ダンスに一生懸命励んでいた。

 色気のない、機能性のみを重視したジャージを身に纏った女だった。浮き出るボディラインが、彼女の女性美に優れたプロポーションを主張する。
出るべき場所が出、くびれるべき場所がくびれた、魅力的な身体つきの女性である。肌の露出をもう少し上げた服を纏ったならば、世の男は放っておくまい。
常日頃の時間を運動に費やし、美容も最低限度以上のものを欠かす事はない為か。肌の張りは十代の女児のようなそれであり、身体の引き締まり方や体脂肪率は、アスリートの理想にやや近い。
顔つきは、大人っぽくも見えるが、同時に、幼さのような物が垣間見える、綺麗なものだった。美人、にカテゴライズされる事は間違いない。色っぽく、艶っぽいのも、疑いはない。
だが、見る者が見れば、彼女がティーン・エージャーでない事は瞬時に看破出来る。骨格が、完成されているからである。育ち切っている、と言うべきか。
そしてそれは事実その通りであり、彼女は二十代をもうすぐ半ばに差し掛かろうかと言う人物であり、女の子、と言う呼び名はお世辞にも使えない年齢であった。

 練習を苦であると思った事は、彼女は一度もなかった。
何事もそうであるが、慣れない環境に身を投じた時、投じる前と、投じて間もなくの頃が一番本人にとって、肉体的にも精神的にも負担となる。
その環境に、慣れていないからである。どの環境(コミュニティ)にも、ホームルールとローカルルールと呼ばれるものがある事が常であり、そしてそのルールには、
その環境なりの合理性が大なり小なり存在するものである。故にこそ、そのルールに順応すると言う事が、新参者の最初の仕事になる訳である。

 彼女が飛び込んだアイドルの世界に於いて、真っ先に課されたのが、いま彼女がやっているような基礎練習である。ボイストレーニングだとか、ダンスレッスンだとかがそれだ。
何食わぬ顔で、それどころか、笑顔すら浮かべてステージ上の歌姫達は演技を続けているが、単純な話、あれで疲れの色を見せないのは、普段の練習がタフさを裏打ちしているからである。
要は普段から練習を続けているのだから、疲れ難いだけなのである。ステージ上で長時間パフォーマンスを続けても、疲れない、へこたれない。そんな身体作りが先ず必要になって来る。
勿論ダンスや歌が上達するのも勿論だが、定められた演目をやり切る事が、前提条件になる以上、上達の優先順位は二番目だ。

 華やかな世界を想像していたのに、ある種泥臭く、華やかさとは正反対の地味さに夢を裏切られ、アイドルの道を諦める者が出て来る。
他のアイドルより根気があっても、一向にブレイクの芽が出ず、その事実に心を折られ、事務所を去る少女はこれより遥かに多い。
そして、同じ人間である筈なのに、事務所に入ったのも同じなのに、スタートラインは疑いようもなく同じだったのに。自分よりもメキメキ上達する同期に追い縋れず、ドロップアウトする者だって。

 ――『緋田美琴』は、そのどれにも該当しなかったアイドルである。つまりは、生き残ったアイドルと言う事になる。
アイドルの世界の裏方が地味だった事は、認める。だが練習を苦しいと思った事はない。自分が上達している、ステップアップしていると言う実感は、何にも勝って嬉しかったから。
一向にブレイクしない事実について、思う所はある。だがこの業界、期待の新星はあり得ない事が解った。その新星とは、何年もの下積みの果てに新星を名乗る事が許されるのだ。
同期のアイドルが自分よりも成功を掴んで、焦った事もある。だがすぐに、そう言う事もあると思う事にした。思えば確かにあの娘は、自分にないものも持っていたから。

「戻ったぞ」

 数回のノックの後、ドアを開け、男が入って来た。精悍な、男の声。
レッスンルームに入って来た男は、その声音通りの、男らしい男だった。
背格好が高く、身体つきもしっかりしている。胴体を保護する金属製のプロテクター、その下には磨き上げられた筋肉が搭載されている事は明瞭で、そしてそれは、
血の滲むような研鑽の果てに得られた成果物である事も理解出来る。成程、見てくれが良いのであるから、普通の男が纏った所で格好付けにもならない、
白いロングコートが様になるのも当たり前だ。これで顔も良いのであるから、非の打ち所がない。女を守るサーヴァントとして、恰好だけならベルグシュラインはこれ以上となく合格だ。

 実際、ベルグシュラインの戦い方は、見惚れる程に鮮やかだった。
突如として異界東京都に招聘され、右往左往していた所を、美琴よりも前にこの地に呼ばれていた主従の襲撃にあっていた所に、彼は現れた。
長身であるベルグシュラインの身長以上の刀を目にも留まらぬ速度で振るい、本来であれば掛け値なしの強敵であった筈の敵対サーヴァントを瞬時に輪切りにし、
そしてそのままマスターを細切れにしたのを見て、美琴は、吐いた。理由は何て事はない、その酸鼻を極むる凄惨な光景のせいである。
だが、吐いた以上に、彼の戦いぶりは、凄かった、鮮やかだったと思う自分が、確かに美琴の中にいたのである。
激しい動きをしている筈なのに、その動きは乱雑なそれではない。何某かの流派の型に則った物である事が窺い知れ、そして、息咳吐く事もなく、余裕綽々に敵を屠り去る。
そしてそれだけの戦いを披露したのに、返り血一つ浴びておらず。御伽噺の勇者の戦い、斯くやあらん。そうと思わせしめる程の、圧倒的な威力が、其処にはあった。

「無事だった?」

「ああ」

 ベルグシュラインの返事は短かった。
無事か、とは聞いては見た美琴であったが、このレッスン室を出て行った3分前と、彼の服装は全く変わっていないのだ。
血の跡は勿論、土汚れ一つ付いていない。つまり今回も快勝かつ、楽勝であった事は言外せずとも解る。聞くだけ、野暮だったかなと。美琴は思った。

「そう。良かった」

 美琴の返事もまた、短い。それに対し、何を言うベルグシュラインでもなかった。 

 自分に対し、気を遣ってくれているのだろうと美琴は思う。
初対面で、ベルグシュラインが作り出した凄惨な死体を見て、胃の中の物を戻してしまったのである。
そう言う現場に耐性がない、ただの女である事を容易に見抜いたに違いない。実際その見立ては正しい。
幾らなんでも、人の死体に対する耐性は美琴にはない。その辺りは、何処にでもいる普通の人間と大差がないのである。
だから、そんな彼女の為に、サーヴァントの気配を感じ取るや、独りでにベルグシュラインはレッスン室から出て行って、件の相手を迎え撃ったのである。

「外に居ながら、マスターの踊る音が聞こえた」

 ベルグシュラインは静かに呟く。

「凄いね。何で、聞き取れるの?」

「靴の音だ。それで解る」

 このビル全体が、283プロの所有物と言う訳ではない。
一階層ズレれば、其処はもう他の会社がレンタルしている別のスペースなのだ。
だから、他所様に迷惑が掛からないよう、防音防震が徹底されている。故に、ボーカルレッスンも遠慮なく行える訳だし、ダンスレッスンだって気兼ねなく行えるのだ。
一階下に居ても、声も振動も気にならないし聞こえないと言うのに、ビルの外に居ながら、シューズの靴底のラバー部分とフローリングとが擦れ合う音を聞き取れるなど、
人間の聴覚では凡そあり得ない事であろう。

「ごめんね。アーチャーが頑張ってるのに、のんきに、踊ってて」

「気にする事はない。斬れ、と相手を指させば俺はそれに従うだけだ。……それは君には難しそうな事だが」

「うん。そこまでは……非情になれないな」

 幾ら浮世離れして、やや天然気味の美琴とは言っても、自分の命令で相手を如何様にでも斬り殺してくるベルグシュラインに、非情の命令を下す事は出来ない。

「……踊る音を聞きながら、君を暗殺しようとしたアサシンを葬り去った時に、思った」

 ベルグシュラインにすれば、敵対していたアサシンに対してよりも、別所で踊る美琴に対しての方に、思考のリソースを割いていた。
余力を十分に残した状態で、余裕で斬り殺せる相手であったからこそ出来た芸当である。

「この状況下で、よく踊れるな。と」

「……」

 それは、言葉だけを聞けば非難がましく聞こえる事だろう。
実際美琴も、そう言う風に聞こえた。そして、ベルグシュラインはそれを言う権利があるとも思った。
何せ命を薄め、鎬を削り合っているのは誰ならん、彼の方であり、有事の際の危難が真っ先に誰に及ぶのかと言えば、当然彼の方である。
だから、真っ当な感性の持ち主であれば、自分は命を張っているのにお前は何で踊って居られるのかと、非難するのは当たり前の話であろう。
だが、ベルグシュラインにはそんな意図はなかった。それは彼の、寧ろ美琴に対して感心しているような声音からも、明らかであった。

「本当に普通の人間ならば、震えて隠れているのが当然なのに、マスターは普段通りに踊っているだけだ。本当に、普段と全く変わらない」

 その通り。
ベルグシュラインの言ったように、サーヴァント同士の殺し合いに直面し、かつ、マスターが本当に何の取柄もない一般人であったのなら。
普通は安全な場所に隠れ、或いは余波を被らぬように距離を取る筈なのだ。その時に、恐怖で身体を震わせ、身体を縮こまらせていても、誰が責められよう。
サーヴァントとサーヴァントの戦いは、普通の人間が想像し得るものよりも遥かに激しく、そして壮絶なものであり、事と次第によっては地形すら変化させてしまう。
本当に、巻き込まれれば死ぬ事だってあり得る話なのだ。だから、その事に対して恐れ慄き、身体を振るわせようが涙目になっていようが、其処に驚きはないし、当たり前の反応でもあるだろう。

 美琴は、違う。
ベルグシュラインが初陣に召喚されてから今に至るまで、美琴は、ずっとダンスか、ボーカルのトレーニングをしていた。
勿論の事ながら、24時間通しで踊っていた訳ではない。人間にとって不可避である生理現象。食事や睡眠の時間は勿論用意されている。
だが、その時間は最低限だ。旧西暦時代の大英雄であるナポレオン・ボナパルトは3時間しか眠っていなかった、と言う伝説は誰もが知る所であり、
実際にはしっかりと睡眠を取っていたと言う本当の話は以外と知られていないが、美琴の場合は本当に、3時間か4時間位しか眠っていない。
食事にかける時間も最低限で、自炊する時間も惜しいのか。出来合いの物を買いこんで、それを数分で平らげ、直ぐにレッスンを再開する、と。万事こんな調子なのだ。
一日の半分以上の時間をこう言う風にして彼女は費やし、しかもインターバルを取らない。一度気になって踊っている最中、ベルグシュラインが『休まなくて良いのか?』と聞いたら、
返って来た返事が「忘れてた」である。その間彼女は、水すらも飲んでいなかった。驚嘆すると同時に、思わず呆れ返ったものである。

 一時的に、そんなスケジュールでレッスンをしているのではない事は、ベルグシュラインには解る。
これは、異界東京都に呼び出される以前から、こんな調子の日常を送り続けていない事には、説明が出来ない程美琴の日常は堂に入っていた。
つまり彼女は、此処に呼び出される前の日常を、聖杯戦争と言う非日常のイベントが連続しているこの世界でも送っているのである。

「並の神経ではない」

 その声に、感情はなかった。

「君は、俺の思う以上に、非日常への耐性があるのかも知れない」

「……そんな才能は、あまり欲しくはないかな」

 苦笑いする美琴。

「それに、買い被り過ぎだよ。私、こう言うレッスン以外に時間の潰し方を知らないだけだし…………」

「……」

「……多分、ただの……現実逃避だから」

 我ながら、自分の神経の図太さと言うか、無頓着さには呆れ返る。
同じSHHisのにちかにも、嘗て同じユニットであったルカにも、自分の私生活の自堕落さには、かなり注意されて来たじゃないか。
まさか、こんな非日常そのものである聖杯戦争の渦中に引きずり込まれて尚、曲げないとは思わなかった。自分の頑固さと言うか、偏執ぶりに美琴が一番驚いている。

 踊っている間は、聖杯戦争に纏わる事を忘れられるから、便利なものだった。
だが、美琴自身が口にしたように、このようなものは眼前の現実から目を背けているだけの逃避行動にしか過ぎず。
非日常への適正どころか、非日常への適性のなさを何よりも物語る証拠でしかない。何て事はない、脆いだけの女でしか、彼女はなかった。

「優しいね。アーチャー。気配りも出来るし……守ってもくれるし」

「……いいや」

 ベルグシュラインは、美琴の言葉を、お世辞と捉えた。

「俺は君の事を、装置だと思っている」

「……装置?」

 言っている意味が、解らない。目を、美琴は丸くする。

「君が想像している以上の人数を、俺はこの手で殺して来ている。それが仕事の一環だったからな」

 カンタベリーの男児の憧れであるところの聖騎士団、その中でも最上位のヒエラルキーである金剛騎士団とは、文字通り、聖騎士として別格の実力を備えていなければならない。
要は、喧嘩も強ければならないと言う事だが、ベルグシュラインはその象徴のような人物だ。聖騎士団とはカンタベリーに於ける警察機構であり、軍機構でもある。
有事の際には国家を守らなければならない、と言うのは換言すれば、内・外敵から国家を守る為に相手を殺すと言う事でもある訳で、ベルグシュラインは正にその通りに職務を遂行して来た。
十、二十では最早利かない。百を超え、千にも届こうかと言う人間を、ベルグシュラインはこの手で斬り殺して来た。曲がり間違っても、清廉潔癖、高潔な騎士ではありえない。
男のその手は、血で汚れ切っていたし、そしてその事について、ベルグシュラインは、欠片も罪悪感を覚えていなかったし、そも、何とも思って等いなかった。

「俺は、誰かの為に戦った事がない」

 淡々と、男は語り続ける。

「信奉している主君の為に戦った事はあるが、それは俺を見出し、育て、要職に就かせてくれた恩義に報いると言う当然の心理的発露からくるものだ。俺個人が、自分の信念だとか、身勝手で、守りたいと思った者は、全くいない」

 言った通りであった。
ベルグシュラインは生前も、そしてサーヴァントとしての生を授かった今この瞬間に於いても。
孤児であった自分を養育し、己の才能を見出し育て上げ、自らの右腕と言う栄誉まで授けてくれた、グレンファルトへの尊敬や忠誠を変わらず抱いていた。
生前は彼の言った通りの仕事を、彼の完全な満足と充足を得るまで遂行したし、彼との信頼を違えた事は一度たりともなかった。
彼がどんな非道を犯していたのかも、悉皆、ベルグシュラインは理解していた。理解していてなお、彼との忠節を守ったのである。

 ――だがそれは、何処まで行っても忠義でしかなく。何から何まで、恩義でしかなく。
感謝しているから、義務だから。それ以上の域を出やしない。感情ではない。理屈の話であり、グレンファルトとベルグシュラインの関係は、システマチックが極まった物であった。
聖騎士に選ばれたばかりの、若くて青臭い若造のように、顔も知らない臣民を守る為だとか、命を賭しても守りたい女の為だとか。
そんな事を、ベルグシュラインは思った事がない。そんな物の為に、ベルグシュラインは動いた事がない。
グレンファルトと同列は勿論、彼以上に優先しなければならない個人の存在を、この無敵の剣士は知らない。
人間的な感情の発露から、守りたいだとか超えたいだとか、殺したいだとか憎いだとか、そんなものをベルグシュラインは抱いた事がない。

 そして、その人間的な感情の具現のような存在に、彼も、そして、その主も敗れ去った。
グレンファルトの、デッドコピーに過ぎない男の筈だった。圧倒的なまでの力で彼の仲間達の、勝ち筋の一つ一つを丹念に潰して行って、王手指しまで後僅かの筈だった。
だが彼らは最後まで、神祖達の予測していた勝ち筋とはまた違う逆転の道筋を隠し通し、これを実行に移し、そして、勝利を勝ち取ったのだ。

「俺に敗北を刻んだ男の言葉によると、俺は物語(うんめい)を全く有していないらしい」

「運命……?」

「俺も、よく分からん」

 今を以てしても、彼らが――ラグナ・ニーズホッグ達が何故勝てたのか、ベルグシュラインは理解出来ない。
奇跡が起きたと言えばそれまでだが、奇跡が起きるその瞬間まで命を繋げられたのには、何か理由がある筈だった。
彼らの幸福を一方的に蹂躙した事からくる、憎悪? 殺意? それとも、神祖を滅殺したいと言う、克己心? 仲間達との、絆?

 ベルグシュラインは、違うと考える。
それらは確かに重要なファクターであったろうが、主であるグレンファルトの、強固な精神性を裏打ちしていたものを考えれば、明らかである。
――『女』だ。愛する女こそが、グレンファルトの、そして、ラグナの、無限大の原動力であった筈じゃないか。
大切な女の為に、彼らはスフィアを掴み取り、そして、己の運命どうしをぶつけ合い、そして、勝敗を決させた事は、ベルグシュラインも良く知っていた。

「俺を屠った男の傍らには、彼が愛していただろう女がいた」

 ――そう。

「だから、サーヴァントとして君を守ろうとすれば、俺も、俺を倒した男と同じ境地に――物語を得られるかも知れないと、思ったのだ」

 ウィリアム・ベルグシュラインと言う男は、いっそ哀れな位、全てを履き違えた男であった。

 運命と女が同質の存在であると言うのなら。女一つで、あそこまで変われるのなら。
己も、それに倣ってみようと、ベルグシュラインは思ったのだ。幸いな事に、己を呼び出したマスターは、女性であった。
女である緋田美琴をマスターとして守る事で運命の何たるかを、理解出来ると、思ったのだ。
女に対して忠節を誓う騎士ならば、また違ったものが見えてくるだろうと、本気で思っていたのだ。

「……それで、見えた? 運命、ってやつ」

「見えない」

 ベルグシュラインは即答する。

「何でだと、思う?」

 美琴の問い。

「動機が不純だからだろうな」

 何て事はない、ベルグシュラインも、今しがたアサシンを屠った所で、理解したのである。
こんな事で運命とやらを理解出来るのなら、新西暦は今頃大変な状況になっているに違いなかったのだから。
運命を理解したいから、今から君を主として仰ぎます。これで悟りを得られるのなら、何の苦労もないのである。
その通り。この有様では、身分がマスターとサーヴァントのそれに変化し、主の性別が単に逆転しただけで、生前のように成すべき事だけを成していたあの時と、何も変わらないのだ。
それを理解してしまったからこそ、ベルグシュラインは、美琴の言った優しい、と言う言葉を否定した。運命を見せてくれる為の、外付けの装置としか見ていなかったと白状した。

「そう言う訳だ。君が思う程優しくもない。打算的で、相手を斬る事だけは上手い、つまらん男さ。軽蔑したくばすれば良い」

「うーん……そう言う気にはなれないな」

 実際、ベルグシュラインのおかげで自分の命が繋げているのだし、軽蔑するのは少し違うと思っている。
それに、美琴自身を装置扱いするにしても、それもあまり、彼女はピンと来ていない。
寧ろサーヴァントからすればマスターとは、魔力を供給する事でサーヴァント自身の活動限界を保証する、電池、バッテリーのような物で、装置扱いは妥当な線なのではあるまいか。
だがこれも、受け取り方は人それぞれだろう。同じユニットの、あの娘だったら、凄い剣幕で怒るのだろうかと、美琴は考える。

 結局この話は、想像を絶する才能と力の持ち主が、自分に対して何かの期待を抱いている。
それだけの話なのではないかと思ったし――いや、その事を思った瞬間。

「何か、嬉しいかな……期待されちゃってるの」

「……?」

 少しだけ、笑みを綻ばせる美琴を見て、ベルグシュラインが首を傾げた。

「アイドルって、期待されるのが仕事だから」

 それは、緋田美琴が考える、アイドルなるものの本質の一側面であった。
前提として、アイドルと呼ばれる存在は、仕事人である。プロフェッショナル、とも言い換えられるか。
そして、プロの仕事と言うのは一人じゃ成立しない。所属しているプロダクション。仕事を持ってきてくれるマネージャー。化粧を施すメイク担当。
舞台を整える裏方、大道具に照明に音響等。相手方のプロデューサーやディレクター、監督等の基幹部分のスタッフ。
たった数分のアイドルのパフォーマンスには、多くの人間の数時間、数日、数週間、数か月の仕事振りが混然一体となって込められているのだ。
彼らが道を整えてくれたから、アイドルは仕事が出来るのだ。では何故、それだけ多くの人間が、ただの小娘に力を貸してくれるのか。
お客、である。アイドルに仕事を託した者の多くが、お客に対する訴求力を、持たない。だから、自分達にはない訴求力を持つアイドルに期待するのだ。
その託するもの、即ち期待とは、宣伝とか広告とか、要するにスポンサーに対する利益である事が、まぁ殆どであるのだが。何れにせよ、そう言う期待が彼らにはある。

 そして、客もまた、アイドルに期待する。
客がアイドルに求める物は、タレント業に携わる者が求めるそれとは異なる。彼らが見たいのは、アイドルそのものの、姿なのだ。パフォーマンスそのものだ。
生の歌を、聞きたい。パフォーマンスに、魅せられたい。その姿を、見てみたい。連続する無味無臭の現実の中に突如として泡の如くに現れた、非日常の世界を、垣間見たい。
そんな客の期待にも応えて、アイドルは、仕事をする。夢や憧憬を、向けられる仕事、とも言えるのかも知れない。

「私、そう言うアイドルになるのが、夢なんだ」

「アイドル……」

 ――アイドル。
その言葉の意味は当然、ベルグシュラインも理解している所だが、当世の日本(アマツ)で用いられている意味合いと、彼の知る意味合いとで、齟齬があるようだ。
ベルグシュラインにとってのアイドルとは、広告塔であり、シンボルである。そして、利用されるものだ。志半ばで神殺しに屠られた、同志ルーファス・ザンブレイブの姿が、脳裏を過った。

「歌とか、踊りとか……。そう言った物を全部ひっくるめた、パフォーマンス。それで、人に感動を与えられるのなら、それは……。どれだけ素晴らしい事なんだろう」

 美琴は、今でも、自分が今の道を歩むに至ったきっかけを覚えている。
始まりは、何て事はない。ただ、歌を歌ってみたいから、と言う理由で、北海道から上京し、事務所に運よく転がり込み、研修生としての入所する事に成功したのだ。
日々のレッスン、諸先輩のステージの見学。そうした物を続ける内に、彼女の胸中に一つの思いが芽生え始める。
歌だけじゃない。ダンスでも、自分を高めたい。歌と踊りで以て、皆を感動させられるようなアイドルになりたいと、思うようになったのだ。

「でもね、私、そう言うアイドルにまだなれてないの」

「運が、無かったからか?」

 月並みな意見である。
聖騎士の採用をしていた頃もそうだが、基本的にはアレは狭き門である。誰彼構わず受け入れるような物ではない。
と言うより、採用する側自身が、自分で門戸を狭めさせているのだ。それは、試験や検査と言う形でだ。
筆記や、実技と言った試験での足切りは勿論、これに並行する形で前歴の照合、そしてテストを終えた後に、適性検査――星辰光へのそれも含まれる――に面談に、と。
そう言った形で篩に掛けて行き、最後に残った者を聖騎士として任命する。正規の形で入団するにはそのような形になる訳だ。
これらをクリアするには基本的には本人の才覚や日々の努力が重要になる訳だが、星辰光への適正なども見ている以上、如何あっても運の側面も多分に含まれる事は否めない。

 そう言う事情を知っているからこそ、こんな言葉になる訳だ。
美琴のダンスや歌唱の技術力は、門外漢のベルグシュラインから見ても、中々の物だ。アレだけ身を削って努力が出来るのだから、至って当然の水準である。
これで、彼女が口にした夢に結びつかない理由など、最早運しかないだろう。競合相手に、彼女が霞む程の好敵手がいたのか。
それとも、審査する側のやっかみや不興を買って、言いがかり同然の理由で落とされたりだとか。そんな事を、彼は考えたのであった。

 美琴は、そんなベルグシュラインの言葉を、首を横に振って否定した。

「歌とか踊りが、上手いから、みたい」

 美琴の言った事が、アイドルになれない理由と結びつかない。プロは、上手いからプロではないのか。

「完璧、一番上手。……今回のオーディションに参加してる子達の誰よりも、上手い。そんな事を、ずっと言われた事があるの」

 「だけどね」

「そのオーディションだとかテストだとかで勝ち残るのはいつも、私よりちょっと劣る位の……、あんまり良い言い方じゃないけど、少し下手な子だった」

 アイドルとしてデビューする前も、そしてデビューした後も。
緋田美琴と言う女性は、技術と言う面では突出したものがあった。元々の才能は並であったが、努力する、と言う才能が並外れていたのである。
加えてその努力の方向性や効率性も、工夫がされている。凡そ、無駄な努力がない。研鑽に効率の悪さが見られない。だから、上達する。当然の話であった。

 ――しかし。篩に掛けられ、掛けられ。網目から零れ落ちるのは美琴の方で、残るのは何時だって、下手な側の方だった。
勿論、審査する側は芸能の世界で長らく活動し、見る目に長けたプロフェッショナルであるのだから、美琴自身が意識できないような悪いポイントを見つけ、
そして同様に彼女自身が気付かないような他のアイドル候補の良いポイントを見つけたのかも知れない、と。思う事はあった。

「本当に重要なのは、技術じゃないんだって。身近さ……って言うのかな? 完璧じゃないけど、応援したくなるような……そんな雰囲気。それが、私にはないんだって」

 そう口にする美琴の声音は、承服しつつも、心の何処かでは、納得がいっていないようなそれだった。
技術が重要なのは、言うまでもない。だがアイドルは、それだけじゃダメなのだ。彼女の言った通りアイドルがアイドルである為には、ファンが必要で、
ファンとは応援するものなのだ。そして応援をしてくれるか否かの分水嶺は、共感性があるか如何かであった。他に比べれば下手だけど一生懸命頑張っている、と言うのはその最たる物であった。

 それ以外にも、ファンの、人の心を掴む要素と言うのは幾らでもある。
普段の振る舞いであったりだとか、外見の良さだとか、個性とかキャラクターの独自性であったりだとか、それらが折り重なる事で、人に推して貰えるのである。

 美琴には――それがなかった。
究極の所、緋田美琴と言うアイドルの価値は、ダンスと歌『しか』ないのだ。

「……とっても、悔しかったな。初めて、それを言われた時。それで、惨めにもなった。私が一番上手って褒めてくれた人は……遠回しに、それしかないんだ、って言ってるみたいで」

 美琴が、ダンスも歌も上手である、と言うのはプロダクションの間では周知の事実であった。
実際、プロを名乗る水準には達しているし、ダンスに至っては、本職のダンサーに対してある程度の指導を行えるレベルにまでは至っているのだ。

 しかし、それだけじゃ、ダメなのだ。
『物凄く頑張って、凄いダンスとボーカル技術を身に着けた』、これだけではアイドルとして武器になるドラマになり得ないのだ。

 名前も聞いた事がないような田舎から、僅かな小金だけで上京して来て。アイドルの門戸を叩いて、一生懸命努力をし、その世界に順応しようと頑張って。
街を歩いていた所をスカウトに誘われ、気乗りがしないながらも誘いに乗って。何度も諦めそうになるも、あと一回ぐらいは、もう一回だけを繰り返して。
そんな、大衆の興味を引くような、応援してみたいと言うような、ストーリー性が美琴にはない。寝食を惜しんで、レッスンに打ち込んでいた。それだけだった。
学校にも行っていたが、学生時代の思い出が、まるで思い浮かばない。学校に居た時間よりも、レッスン室で研鑽していた時間の方が、遥かに長かったからである。

「運命がないって、アーチャーは言ったけど……正直、それが見たいから私を守ってみた、って言われても、怒れないんだ」

「……」

「……私だって、見られるのなら見たいから。多分私にも……そんなものはないだろうから」

 嘗て自分の相方だった娘は、悩みを抱えた今時の女の子の共感を掻っ攫い、今ではカミサマなどと呼ばれ、その人気を確かなものにしていた。
現在自分の相方である少女は、甘え上手でトークも上手く、一生懸命にアイドルとして振舞っているキャラクターにシンパシーを感じる者が多いのか。バラエティでの露出がかなり多くなった。

 きっと、運命を物にしたのだろう。自分がどんなキャラクターで、それを如何すれば開花するのか。解っているのだから、成功したのだ。
彼らに嫉妬するのは筋違いだし、そんな気は今もない。素直に、凄いと思っている。
それに――美琴だって本当は解っている。実を言えば、何年も前からそんなアドバイスは貰っている。もう少し自分の技術を低く見積もってパフォーマンスをして見ろと。
お前に足りないものは身近さなんだ、親しみやすさなんだ、応援したくなるような気持ち何だと。こうすれば絶対にイケる、彼らは皆自分の成績の為だとか、親切心から、そんな事を言っていた。それは、美琴も解っている。

 絶対に、ダメだった。それだけは、曲げてはならないんだと、彼女は心に誓っていた。
憧れから、目を背ける事は出来ない。夢を、捻じ曲げてはならない。自分が最初に目指そうとした、歌と踊りで感動を与えるアイドル、と言う理想。
それだけは、譲らない。譲らないからこそ、現状がある。美琴は、多くの者がドロップアウトするアイドルの世界で生き残っている、ベテランだ。キャリアは10年、中々の物だ。
だが実際には、生き残ったと言う言い方は正解ではない。『売れ残った』、と言う表現の方が実際には正しかった。業界人からは、こう言われているのだろう。
頑固者、偏屈者、売り方を解っているのにそうしない馬鹿、もうすぐ薹が立つ売れ残り。その言い方に、反論は出来ない。そう言う悪し様な言い方を跳ね除ける唯一の方法、アイドルとして大成する、に美琴は至れていないのだから。

「運命って、何なんだろうね。もっとこう……私も、ちゃんと学校行ってたり、いろんな人と話をしてたりしたら、解るのかな」

 ベルグシュラインから言われて、美琴はそう思った。
学校での生活、その記憶は朧げだ。親しい友人も学校内には余りおらず、寧ろ業界人との知り合いの方が多かった。
家族とはたまに連絡を取り合うが、その時間もかなり短い。最近は安否の事もそうであるが、遠回しに結婚の事について聞かれる事も多くなった。
解らない。運命とは、そう言う所にもあるのだろうか。考える度に、ドツボに嵌る。

 ――だが。

「それが解った時には……うん。真っ先に、見て貰いたい人に、見て欲しいよね」

 最初に美琴の下から飛び立った、斑鳩ルカは、何を思うのだろうか。
自分と一緒にいるせいで、少し窮屈そうにも思える七草にちかは、如何考えるのだろうか。
何時だって、自分達の為に最大限以上の努力をする事を惜しまない、あのプロデューサーの眼鏡には、何が映るのだろうか。
そして、その暁には――自分の原初の夢だった、みんなに感動を与えられるアイドルに、なれているのだろうか?

「そうか」

 美琴の話を聞き終えたベルグシュラインは、静かにそう呟いた。

「……そうか」

「?」

 目の前の女は……俺と同じかと、ベルグシュラインは思った。
神同然とも言うべき肉体的性質と、圧倒的なまでの出力の星辰光、人間では及びもつかぬ知見と深謀を持った怪物、神祖をして。
ウィリアム・ベルグシュラインは希代の剣士、1000年に一度の逸材、怪物と言わせしめる程の、天才であった。

 剣を握らせて、男に出来ない事など何一つとしてなかった。
剣術の一生涯を賭した剣豪が、その晩年に漸く至れるか、と言うような領域の、その一太刀。ベルグシュラインがそれを物にしたのは十代の半ば。
剣術に関しては神の域。生涯通して負け知らず。そんな剣聖が生涯を賭して初めて、意識するでもなく披露出来たその神域の一撃。それを如意自在に駆使出来るようになったのはそれから1年後。
剣術に関しては魔の域。斬り殺した人の数、千にも及ぶ。そんな剣鬼が死の直前に初めて振るえた、その剛剣。それを即座に再現し、相手の防御を破る手段の一つとして利用出来るようになったのは、それから更に半年後。

 何故、そんな事が出来るのか? どうして、其処まで上達出来るのか?
理由はない。言葉にすれば単純にして、陳腐そのもの。ベルグシュラインが、究極の天才。
人類史に於いて嘗て天才と呼ばれていたであろう、あらゆる剣士達が、委縮してしまう程の麒麟児であったからに他ならない。
最高の資質を持った男が、最高の師に見いだされ、最高の環境を与えられ、誰よりも真面目に、驕る事無く、腐る事無く、不満も無く。
カリキュラムに取り組んでいた。要するに、それだけの事。真面目で隙のない精神性の天才に、最高の師と環境を与えた。
ベルグシュラインの強さの故など、これだけで全てが説明出来る。そしてその事を、疑問に思った事もなかった。出来るから、達しただけ。報いる為に、上り詰めただけ。ベルグシュラインにとって己の剣才など、その程度にしか思った事がなかった。

 神祖・グレンファルトの右腕として、相応しい地位を与えられた。金も名誉も、思うが儘のポジションだった。
金剛騎士団の団長である事に、誰も異論を挟む事がなかった。それに相応しい実力も、精神性も。男は、高すぎる程に持っていた。
逆に、非難した側が、僻みだと蔑まれ馬鹿にされる程、ベルグシュラインの力は、圧倒的なものであった。

 その地位と名誉の故に、呼んでも居ないのに女も寄って来た。皆が、カンタベリーの特権階級、その子女であったり、令嬢であったり、当主の婦人であった。
貴方の剣を振るう姿に見惚れました。護国を成すその御姿に神を見ました。その男らしい雄姿に、夫がいる身でありながら……。
誰もが似たり寄ったりの前口上を続け、結局、最後にこう続けるのだ。お情けを下さいまし、私の身体を御自由に。と
そして、その全てを、素気無く断った。己が女に興味のない朴念仁、木強漢だと言うあらぬ噂を広められ、それが知れ渡って久しくなってからも、この手の手合いが後を絶たなかった。

「……俺も、それだけだったな」

 ――たった一つ。物語(運命)だけをお前は欠片も持っていない――

 己を葬った好敵手の言葉が、リフレインする。
ベルグシュラインは、全てを有していた男だった。金も地位も、女だとて自由に出来ただろう。
肉体的性質にしてもそうだ。神祖・グレンファルトより洗礼の栄誉を賜り、不死に等しい肉体を得た彼は、戦場に於いてはシンプルに、無類無敵。
この肉体に驕るでもなく、研ぎ澄まされ、極められた剣術は、敵手から見れば悪夢そのもの。次に自分の命が刈り取られる瞬間は何時なのかと怯えさせる、死神の峻別であり。味方からすれば、一息の間に敵軍を切り刻み勝利を約束する最高の英雄にしか見えないだろう。

 そして、ベルグシュラインの価値など、それでしかなかった。
師であるグレンファルトをして、お前が敵に回っていたら当に俺達の計画など失敗に終わっていたと言わせしめ、それを事実であると他の神祖すらも認めていた。
それだけの実力を持ちながら、ウィリアム・ベルグシュラインがその生涯でやった事と言えば、『言われた事をこなしただけ』に過ぎなかった。
神をも斬るだけの力を有する剣士は、己の生涯を振り返り、上司の言われた事をしていただけだった事に、この瞬間気付いた。

 思えば、遊んだ事もなかったな。
聖騎士団の中には、己の地位に物を言わせ、私腹を肥やす者も居れば、女を選り取り見取りする者もいる事は当然知っている。
俺は、俺の特権を利用して小金を稼ぐ事もなく、寄って来た婦女子も追い払っていた。それは主を裏切る行為だと思っていたし、俺自身が興味なかったからだ。
そんな事を続けて行って、生まれたのが、三十を過ぎて童貞で、私服も制服とその代えしかなく。真面目さと剣が取り柄の、面白みの欠片もない男だった。
プライベートの時間を鍛錬に費やし、残りの時間で知見を広める。時には外交に赴いてカンタベリーの威をしろ示し、時に外患内憂とも言うべき敵手を斬り殺し……。それだけが、俺の生涯だった事を思い出す、

 ただ、剣の腕前と実直さだけが高まって行った。 
浮いた噂が一つもなく、愛する者がいるでもなく、民を護るぞと言う意気込みも実はなく。主君の恩義に報いるぞ、と言う忠誠心しか、俺にはなかった。
無念の内に倒れたであろう、同じ仲間であったルーファス・ザンブレイブは、今際に何を叫び、何を思って砕け散ったのだろうか?
徹底して後方支援にしか向かない星辰光を授けられ、その事に鬱屈した思いを抱いていたシュウ・欅・アマツは、そもそも何故、己の力と向き合い迎合しなかったのか?
己の許嫁が、本当は前衛と後衛を変わって欲しいと思っていた事に気づかなかったリナ・キリガクレは結局、シュウの思いに気づき、どうやって折り合いをつけるつもりだったのか?
解らないが、彼らはきっと、彼らなりの業を抱え、それ故に嘆き、苦しみ抜き……。そして、答えを得たと、俺は思いたかった。
壮絶な死に様を見せつけたルーファスも、最期には、己の運命に気づいたのだろうと、俺は信じたかった。

「道化、以下か」

 自嘲気味に呟くベルグシュライン。
斬空真剣(ティルフィング)、それが生前の彼に勲(いさおし)同然に与えられた異名であった。
名前の由来は知っている。古の北欧に伝わる神話だ。オーディンの末裔である王が土の精霊であるドヴェルガー達に作らせたと言う、抜けば相手を必ず斬り殺す魔剣の事である。
そして、一度引き抜けば最後。持ち主に死の呪いを降りかからせ、その呪い通りに破滅させるのである。だからこそ、『魔剣』なのである。

 笑わせる、とベルグシュラインは思った。
ティルフィングが何故恐れられつつも、その魔名を知った者を魅了するのか? 理由は一つだ。その切れ味と引き換えに、持ち主を破滅させる、その魔性の性質の為だ。
恐ろしい武器だ。だが……振るってみたい、見てみたい。神域に踏み込んだ性能であるのに、危うい側面がある。そう言った所に、人は魅了されてしまう。だから呪われた武器なのだ。
翻って、己は何だ。ティルフィングなどと烏滸がましい。主を破滅させたでもなく、況して、グレンファルトの非道を全て知ったいたにも関わらず、それに反抗したでもない。
斬れと言われたから斬って来て、断てと言われたから断っただけ。彼のやった事は、その範疇に全てが収まる。世間では、その在り様をこう呼ぶのだ。『指示待ち』、と。

 ティルフィングの名を冠しながら、主の意思を忠実に遂行する。
自由に生きた訳ではない。悪逆非道に生きた訳でもない。君主に反発し我を通した事も一度もない。
主、グレンファルトの佩刀として、斬って、断って、割って、割いて、貫き、穿ち、屠っただけだ。名前負けも、良い所。
主に使われるだけの道具でしかない。これでは市井の人妻が料理に使っているであろう、包丁と大差がないではないか。

 ベルグシュラインが言ったように、道化ですらない。何故なら彼は、己の過去の愚かなふるまいが、巡り巡って今の自分の首を締めて、破滅したわけじゃない。
グレンファルトの忠義と、義務の故にラグナ・ニーズホッグに挑みかかり、単純に相手の方が強かった、と言う当然の理屈で敗れ去った。それだけの事。
ピエロにすら、ベルグシュラインはなれなかった。何処まで行っても、お行儀のよい、真面目な男。運命と出会える機会などそれこそ無数に恵まれていたのに、その全てを蹴った男。それが、ウィリアム・ベルグシュラインなのである。

「君が……運命とやらに気づいた時。それを俺に教えてくれ」

「アーチャーに?」

「気付きとして、覚えておきたい」

 そして、運命とやらを知らないから、知ってみたいから。
凡そ戦った事など、喧嘩だって経験がないであろう女性に、それを乞うて見る。己を俯瞰して見て、何とも滑稽なザマだと、ベルグシュラインはまたも自嘲する。

「うーん……私も、どうすれば良いのか、良くわからないけど……」

 スッと、美琴は手を伸ばし、ベルグシュラインに語り掛けた。

「踊ってみたら?」

「踊り……?」

「私、それしか、気の紛らわし方、知らないしさ」

 少し恥ずかしそうに、美琴が言った。
そして、ベルグシュラインは思い出した。金剛騎士団の団長ともなれば、社交界から、ダンスパーティーにも誘われた事を。そして、その全てを断っていた事を。

 ――踊った事など、欠片もない事を。

「……そうだな。やった事がない事を、やってみるか」

 二度目の生だ。主も居ないこの世界で、羽目を外してみるのも、悪くはないか。飽きる程に、この聖杯戦争の最中で、『踊る』事になるであろうから。
それに、遅すぎた反抗期でもないが、嘗ての主達が呼ばれていれば、斬ってみるのも良いかも知れない。道化とやらも、演じてみたい。

 ベルグシュラインは、美琴の手を取って、「如何すればいい」と尋ねた。「先ずは……」、と彼女が続ける。
これを運命、と呼ぶにはいささかオーバーだが、縁と思い、丁重に扱おうと、ベルグシュラインは思った。
彼女もまた、物語(うんめい)を持たぬ者なのだ。仲違いする理由など、果たして、何処にもないのだから。


.
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆












   「カミサマくらい有名になるまでは、幸せになんてなれないわ」

                  ――マドンナ。郷里のミシガンを飛び出し、ニューヨークのタイムズスクエアに向かった際、そう誓ったと言う











.
【クラス】

アーチャー

【真名】

ウィリアム・ベルグシュライン@シルヴァリオ ラグナロク

【ステータス】

筋力D 耐久A+ 敏捷A++ 魔力C 幸運A 宝具D

【属性】

中立・中庸

【クラススキル】

対魔力:D
一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

騎乗:D
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み程度に乗りこなせる。

【保有スキル】

使徒(神祖):A+
神祖、と呼ばれる極めて特殊かつ超常的な生体の生命体から、洗礼と呼ばれる特殊な加護を受けたサーヴァントが獲得出来るスキル。
翠星晶鋼と呼ばれる特殊な鉱石を精製して心臓に打ち込む、と言う事が条件であり、この人体改造を受けた存在は、授けられた力のみならず主君の備える性質も継承する。
その性質とは、即ち後天的な不死能力であると言う事であり、アーチャーの耐久ステータスは、このスキルに起因する。
同ランクの再生、頑健を兼ねた複合スキルであり、耐久についてどちらかと言えば特化しているスキルである。
腕を切断しても再生する、首を刎ねても元通りになる、文字通り欠片も残さず消滅させたとて、数秒の内に再生するなどは序の口。
通常の攻撃手段では一切殺害不能の、使徒どころか魔人とも言うべき連中。サーヴァント化に際して、霊核を完全に破壊すれば当然サーヴァントの常として、
消滅が確約してしまうが、下手な損傷ではその傷ついた霊核すら再生してしまうので、恐るべき耐久力については何も変わりない。

本来彼ら使徒とは、神祖と呼ばれる超常存在との、見えない紐のようなリンクがあって初めて脅威の不死性が成立する。
その為に、そのリンクを断ち切る手段があれば不死性は成立しなくなり、この時に初めて抹殺が可能になる、と言う弱点が存在していた。
但しサーヴァント化に際し、彼らの不死性と神祖の洗礼とが別の形でフィーチャーされてしまい、具体的には彼らの不死性に神祖が絡まなくなった。
よって、洗礼を施した神祖がアーチャーの不死性を奪おうと、使徒スキルの解除に打って出ても、それが出来なくなってしまっている。
これだけならば弱点も何もない無敵のスキルであるが、この不死性と言う特徴により、生前以上に『不死殺し』、『不死特攻』の攻撃や宝具の影響を受けるようになってしまい、これらの宝具と抜群に相性が悪い。

一切斬滅:A++
新西暦始まって以来、至高かつ最強の剣士。千年もの時を経る神祖を以てして、比喩を抜きに、千年に一度生まれるかの逸材と言わせしめるアーチャーの、比類なき剣術の才。
凡そ剣士のサーヴァントが有するであろう様々な戦闘向けスキルを含有する複合スキル。
同ランクの無窮の武錬、心眼(真)、宗和の心得、見切り等、他の剣士系サーヴァントであればセールスポイントとなるべきスキルがこれでもかと詰め込まれた欲張りセット。
また、相手が同じように、特殊な剣術を用いるサーヴァントであるのなら、それが己の身体で再現できる可能性があるのなら、これを完コピ出来る。
剣術だけなら兎も角、理論の上では再現が出来る可能性がある、と言うような、剣とは全く関係ないスキルであっても、これを再現出来得る。
あくまでも、現在のアーチャーの腕前でのみ再現可能性があるのなら、そう言った事が出来るのであって、光のトンチキ一族みたいに、素のステータスから常時能力が上昇し続ける、と言う類のスキルではない。

透化:A
精神面への干渉を無効化する精神防御。
暗殺者ではないので、アサシン能力「気配遮断」を使えないが、武芸者の無想の域としての気配遮断を行うことができる。

運命認定:EX
好敵手に対する情念。
アーチャーは戦う相手が自分と伯仲する程の強敵であった場合、それを好敵手(うんめい)と認めるようになり、自分の技術で出来る範囲内で、可能な剣術の幅が更に広がって行く。
いわば、己の剣術に対するボーナスのような物であるが、この相手との戦闘が中断され、相手が撤退した場合、その相手が何処にいるのかについての直感が働くようになる。
これは魔術だとか異能だとかではなく、アーチャーの勘のような物であり、相手がどんな魔術的・呪術的・概念的な防護を施して、居場所を隠匿したとしても、アーチャーは何となくその位置を掴めるようになる。

とまぁ格好よく説明したけど、要するに勝手に相手を運命認定して、何か相手の居場所がストーカー宜しく解るようになると言うスキルである。
別にサーヴァントになってこういう性格になった訳ではなく、某神殺し氏曰く生前からこんな感じ。勝手に感動して勝手に運命認定する様はさながら当たり屋。
人の世界ではこういう人を出会い厨と言います。

【宝具】

『抜刀・天羽々斬空真剣(Orotinoaramasa Tyrfing)』
ランク:D 種別:対人・対軍・対城宝具 レンジ:直線状であるのならば無限長 最大補足:斬撃の届く範囲に何人いるかによる
斬閃延長能力。剣戟に籠められたエネルギーを刃先から伸ばし、射程距離の長い斬撃を繰り出す異能。万物断ち切る斬空真剣。アーチャーが保有する星辰光(アステリズム)。
この能力自体は強いそれではなく、それどころか、弱い能力ですらある。アーチャーの生きていた世界で考えるのならば、これよりも強く、汎用性にも優れ、威力に優れた物が大勢あった。
本人がアダマンタイトの長刀を引き抜き、その後に攻撃の動作を行う事が発動の条件であり、つまるところ、『アーチャーが攻撃動作を行わない限り発動不可能』。
加えて威力が上がる類の能力でもなく、ただ斬撃のレンジを伸ばすだけ。攻撃範囲が劇的に上がるだけに過ぎない。
そして止めに、本人のコンディションに著しく左右される類の宝具であり、セイバーの動きが鈍り、ダメージを負っていればそれだけ技の冴えも鋭さも鈍り、両腕を切り飛ばされればその時点で宝具の発動が不能になるなど、発動の条件や制約を加味すれば弱い方にすらラベリングされてしまう宝具である。

 ただそれだけの宝具であるが、使い手がアーチャー、即ちウィリアム・ベルグシュラインと言うこの一点が、この宝具の脅威を加速させている。
斬撃のレンジを伸ばすだけと言ったが、それは、使い手の放つ剣撃の威力や切れ味をそのままにして無限大に伸びると言う事と同義である。
人体を容易く両断するのは勿論、建造物すら野菜か何かのように切断する斬線が、音を容易く凌駕する速度で矢継ぎ早に、冠絶級の技量を交えて飛んで来るのであるから、
まともなサーヴァントでは先ず対象は不能。加えてアーチャー本人には一切武士道や騎士道精神はない為、相手を倒すと決め、それが最も効率的だと判断したのなら、
相手から距離を取りながら斬線を射出しまくる、と言う余りにも余りにもな戦法を容赦なく取って来る。
弱点である腕の機能を奪えば、と言うのも、アーチャー自身が果てしなく剣の腕に優れている為、生中な実力では疲労は勿論、そもそも接近する事も、術中に収める事すら出来ない。
そして当該宝具の最大のメリットは、斬撃を飛ばす『だけ』と言う単純性からくる、魔力の燃費の低さであり、具体的には殆どないものとすら言って良い。

【weapon】

長刀:
アーチャーが用いる、彼の身の丈以上の刃渡りの刀。
常人であればその長さのゆえに満足に振るう事も、そもそも保持すら出来ない程の重さである筈だが、これをアーチャーは何だか良くわからないけど気持ち悪い技術で振るってくる。
他の星辰奏者のように、この刀自体が能力の発動を保証する媒体であるアダマンタイトで出来ており、これを砕かれたり破壊されれば能力の発動は不能。
……だったのは生前での話であり、アーチャーの星辰光は宝具として登録されている為この刀に限定しなくても宝具は発動可能であるし、そもそも破壊されれば発動不能、と言う弱点も承知である為、滅多な事では壊させてくれない。

【人物背景】

かつて斬空真剣(ティルフィング)と呼ばれた、無敵の剣士。それしか、価値のなかった男

【サーヴァントとしての願い】

運命とは何か



【マスター】

緋田美琴@アイドルマスターシャイニーカラーズ

【マスターとしての願い】

個人としては、皆を感動させられるアイドルで在りたい。聖杯自体に叶える願いは、無い

【能力・技能】

アイドル:
アイドルとしての才覚。ダンスと歌の技術は、積んだキャリアの分もあって一人前。明白にプロレベルに達してる。
ただ、技術だけであり、アイドルとして応援したくなるような、不思議と惹きつけるような。そんなカリスマ性については、からっきし。

【人物背景】

誰しもがその技術を上手だと認める、アイドル。それしか、価値がないと思われている女。

イベント、ノー・カラット以降から参戦

【対人関係】

美琴→ベルグシュライン:
サーヴァント。寡黙だけど、頼りにしている。あの後踊りを見てみたけど普通に上手くなかった

ベルグシュライン→美琴:
マスター。運命も何もない男には、やはりそう言う人物が当てられるのかと、皮肉なめぐりあわせには苦笑い。あの後踊ってみたがクッソ固い動きを披露した

ベルグシュライン→グレンファルト:
嘗ての主。今も尊敬してるし感謝してるけど、女を守る為に主君に反旗を翻す剣士ってのをやってみたいから出会ったら斬ってみたい

グレンファルト→ベルグシュライン:
お前自由過ぎないか?

ベルグシュライン→神祖(その他):
嘗ての上司だった者達。凄い人物達だと思っていたが、同時に、能力などを目の当たりにして、それでも、勝てると踏んでいる。出会ってみたら斬ってみたい

ベルグシュライン→神殺し氏:
自分に引導を渡した者。その生涯で唯一、敗北して悔しいと思った人物。出会えば斬りたい

神殺し氏→ベルグシュライン:
運命って女を守るからって言って降って湧いてくるもんじゃないんだけどな……

ベルグシュライン→ジェイス:
嘗て戦い鎬を削った者。明白な敗北を喫したが、クッソ無粋な方法で復活してまた再戦をリクエストしたのは、流石にアレだったと思ってる。出会えば斬りたい

ジェイス→ベルグシュライン:
お前多分帝国に産まれてた方が幸せだったんじゃねぇかな……

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最終更新:2022年09月09日 22:26