対竜編 第二弾 虐者(ダウト・イン・オネスト)

 基礎がサポート種族で組まれているということを全く感じさせない強さを誇る革命同盟〈ダウト・ペア〉。何度データを集めようとも彼らの謎の多さ故に決定打となる大きな情報はなく、次第に世界はダウト・ペアに埋め尽くされていった。更に戦後の彼らの扱いが悪かったことを暴きだし、共和を求める派閥も生まれたことにより、世界は大混乱を起こしていた。そんな中、とある一人の男が核心に迫ろうとしていた。

 「ふう…血が騒ぐとは言え、冗談半分で潜入なんかするものじゃないな…」
 火文明史上ですら右に出る者はいないとされていた潜入工作のスペシャリストのスルルテルは、彼らの艦隊の最も奥に控える大型艦〈空裂甲蟲ダイヤモンド・ベニモン〉の中にいた。馬鹿げた一言を吐きながらも、内心は一瞬も油断ならない状況に神経を尖らせていた。スペシャリストの彼であっても、未知の敵が相手では不安にもなろうという者だ。全身の震えを堪えつつ、扉を一つ一つと開けていく。
 ある扉を開けた時、一際大きな空間に出た。右を見れば外の景色が広がっており、またその周囲ではファイアー・バードやディープ・マリーンが兵器生産を行っており、どうやら工場を兼ねたカタパルトらしい。その空間の奥には謎の巨大な扉が置かれていた。確信めいた物を感じた彼は一歩一歩と扉に接近した。すると計ったかのようにその扉が轟音をたてて開いた。そしてその中から大量の爆薬やヴァルキリープリンセスを背に乗せたクラスターコンドルが出現した。更に続いてジャイアントの姿をした巨大なミストレイターが傷だらけのドラゴン・ゾンビを担いで現れた。するとセイント・ヘッドやキカイヒーローがそれを囲み、足下に陣を築いた。陣に囲まれたそのドラゴンは咆哮を上げながら光に包まれ、みるみる体が骨にかわっていった。彼の目の前でスカル・ドラゴンが誕生したのだった。
 「こいつは何かデカいモンがあるぞ!」
 再び閉まり行く扉に彼は飛び込んだ。いつぞや超次元を超えた時のような激痛をかろうじて耐え、着地したそこは自分たちがいた世界と全く同じ世界だった。ただ一つ異なっている点は、
 「さあ働け、ドラゴン共!お前らが言っていた通り、世の中は力が全てなのだろう!?」
 力の象徴であったドラゴンが女王とおぼしき人物に隷属していた。そして、力つきたドラゴンは扉の外へと担ぎだされ、あちらの工場で対竜に改造された。あまりにも衝撃的な光景を目にしたスルルテルは即電子レポートを取り出し記録を始めた。そして転送が終わった時、その女王思しき人物が彼の方を向いていた。
 「さて、労働者達の配置も終わったところだし、私は客人と食事でもしようかな…」


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最終更新:2011年09月20日 21:18
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