原発突撃SS

北村卓史様「津川IC→西会津IC間工事による通行止」
たれぞう北村卓史様のナビゲーションは交通情報も確認が出来るから凄い」
深夜の高速、たれぞうは愛車で北村卓史様が搭載されたアルテッツァを走らせていた
「津波かぶしたって?うるさいから?」
フロントガラスに当たるお雨の音に混ざり頭の中に父の声が響く
「ヤバイ・・・ちょっと待ってよ・・・」
おやめな気分を変えるためにラジオの音量を上げると聞き覚えのある曲がかかっていた

川は流れて どこどこ行くの 人も流れて どこどこ行くの
北村卓史様「メッセージを1件受信、再生するか」
たれぞうが頷くとスピーカーから懐かしい声が響いた
「お久しぶりですつる兄です、たれぞうさん今度またスカイプしませんか」
たれぞう「外出中でよろしければスカイプ通話できますぅ」
北村卓史様「メッセージ送信完了」

SAに入ると靄の中、自販機の明りだけが灯っていた
「ブラックコーヒーの香りと酸味と渋みが口の中に広がって・・・」
眠気覚ましに飲んだコーヒーの感想を言い終えるとアルテッツァに乗り込んだ
北村卓史様「目的地変更 福島県双葉郡大熊町大字夫沢 字北原22・・・・」

北村卓史様「毎時2.02マイクロシーベルト」
たれぞう「アヘェ・・・(なかなか凄い数値だな)」
たれぞう北村卓史様の搭載されたアルテッツァは既に警戒地域に侵入していた
北村卓史様「メッセージを1件受信した」
「どうもカネマンです、たれぞうさん元気ですか、また煙草動画アップしたんでよかったら見てください」
彼はたれぞうを実の父のように慕い、また大人の男性として憧れを持っていた
喫煙もたれぞうの真似がきっかけだった

たれぞう「人前で吸うのはほどほどにしといた方いいんじゃがのう・・・」
北村卓史様「メッセージ送信完了、彼も大きくなったな、君も久しぶりに1本吸ったらどうだ」
グローブボックスが開くと値上がり前に買い置きしておいた煙草の箱が積んであった
たれぞう「ホープメンストール、タール8mg、ニコチン0.6mg、それでは吸いますぅ」
煙草に火をつけ高校時代を思い出した

北村卓史様「おいたれぞう、ヤニ吸いに行こうぜ」
高校時代、北村卓史様は学園一の不良で有名だった
たれぞう「喫煙をする度胸のある男子高生だな」
たれぞうは真面目な生徒だったが親友の北村様について毎晩寮を抜け出していた
北村卓史様「俺卒業したら即効免許取ってアルテッツァ買うんだ、お前もドライブに連れて行ってやるよ」
たれぞう「アヘェ・・・楽しみですぅ」
時計を見ると午前3時45分だった
たれぞう「フキフキィ!フキフキィ!」
曇ったフロントガラスを拭くと外もようやく明るくなってきていた
最終更新:2019年09月05日 21:35