HIV? > AIDS関連

2009/03/26 IRIS管理のコツ


長らくWIKIは活用できず。
●AIDS発症例などIRIS管理のコツ・イメージ

  • ある程度腹を決めてステロイドをしっかり使用
  • ステロイドで悪化しないならば、とりあえずよしと
 考える必要があるときもある。
  • ステロイド量に標準レジメがないので、
 try and errorをある程度覚悟する。考えていても
 正解が出るわけではない
  • IRISの病勢を把握できるパラメータを何か見つけることが
 カギになりうる。
 症状?CRPなどのデータ?血球減少?画像?検尿?
 FER? それをフォローしながら
  • どの量のステロイドで抑えられたか?
  • どの量まで減量したらIRISが再燃したのか? をみて
  再燃がひどければ抑えられる量まで再度増やす
  おさまれば再燃ラインまで再び早めに減量して
  その前後は細かく調節
  • 場合によっては年単位で再燃を繰り返すIRIS病態も
 あり、気長に対応が必要であるが 
  • IRISは永遠に続くのではなく
 炎症はどこかでピークを超えて下火になるときが
 くるのでそこまでがんばる
  • ただしPSLを充分使用してもまったく歯が立たない炎症の時には
 いったんARTをすっぱりあきらめることも必要。
  • 結核などでは、知らないうちに頭蓋内に結核腫で再燃したり
 することもあり、頭蓋内のケアも落とさないように!


2008/01/15 不十分なARTの継続の可否


非常に重要な文献
CID2008;46:296
Maintaining antiretroviral therapy reduces the
risk of AIDS-defining events in patients with
uncontrolled viral replication and profound immunodeficiency.
●耐性ウイルスのため
 ARTが十分に有効ではなく
 CD4<200の状態の患者であっても
 ARTを中止してしまうより
 不十分ながら継続したほうが
 AIDS-defining eventは有意に少ない
 という報告。
●2000-2005年におけるART施行中の
 患者でCD4<200のケース12,765名の解析
①Virologic failure 少なくとも1回⇒69%
  • CD4<200、ウイルス量500copy/mL以上が
 2回連続で定義
②Virologic suppression 少なくとも1回⇒ 51%
  • CD4<200、ウイルス量は<500copy/mLで定義
③Treatment interruption 3ヶ月以上⇒18%
●結果
①それぞれの時期によるイベントを解析
②一人の患者が複数のグループに入りうる
(ある時期にFailure、ある時期interruptionなど)
③それぞれの時期におけるイベントを対象
④18.5%(per 100patient-years) 治療中断期
 14.5% virologic failure period
  4.9% virologic suppression period
⇒治療中断期よりは、
 virologic failure periodでもリスク22%低く
 virologic suppression periodでは62%低いと結論。
●実際の患者でどうする?
①耐性ウイルスのため十分ARTが有効でなく
 ウイルス量が抑えきれずCD4<200のような
 ケースでは・・・
①先進国で資源がえられれば新しい薬剤による
 ARTでウイルス抑制を目指す
②資源の問題で新規薬剤が使用不能であっても
 現在のARTを中断してしまうよりも
 不十分でも継続するほうがリスクが低い。

2007/11/28-30 広島エイズ学会


まとめ未 資料は家に全部あり

2007/11/03 浜松医療センターでのACC講習会


新規ART薬剤についてACC塚田Drの講義⇒秀逸

浜松医療センターの通訳担当者からの意見
新鮮であった

2007/10/29 感染症学会イブニングセミナ概要


満屋Drのセッション
●HIV患者の予後はHAARTで劇的に改善
25歳で感染したときの生命予後は1型糖尿病よりわずかに悪い程度
(Ann Intern Med.2007;146:87-95 http://www.annals.org/cgi/reprint/146/2/87.pdf
●母子感染の予防もかなり可能となり
 予防なしでは25%の感染率 AZTによる予防で8% AZT+3TCの予防で1%
●HAARTの問題点
①急性・亜急性・慢性の毒性
②治療の長期化⇒耐性株の問題 新しい治療薬の開発
③ARTだけでは免疫能を完全に回復できない
④悪性腫瘍の出現
⑤HBV・HCVの重感染における治療
⑥IRSの管理
⑦高騰する医療費

新しい作用機序の治療薬
●Integrase Inhibitor(Ralteglavir=RAL)
①宿主DNAの一部を切断してウイルスDNAを組み込むときに働く酵素を阻害
②これまでの薬剤で治療失敗したケースにRAL+DRV+αでの治療?
③2007年10月FDAで認可。日本では未承認。
●侵入阻害剤(CCR5阻害剤)
①HIVがCD4陽性細胞に接着するときにCD4とCCR5分子にとりつくらしい
 (CCR=Chemo kine receptor?)
②Aplaviroc(AVC)
●新しいPIの開発
①Darunavir(DRV)
②FDAでは承認済み・日本でも2007年11月承認予定
③Proteaseの2量体化を阻害する作用がある(これまでのPIにはこの作用はみられず)
④DRV/rtvは現在最強であるLPV/rtv(カレトラ®)と同等の抗HIV作用あり
⑤しかも耐性の誘導が非常に遅いと考えられる

ACC岡Drのセッション

●劇的に予後は改善したが治癒はない
 治療の長期化により 慢性毒性・耐性化の問題
●テーラーメイドの治療により毒性を軽減できないか?の視点が始まっている。
●Back Bone DrugとしてNRTIは必ず2剤投与されるのが通常
 乳酸アシドーシスを予防するためにはD-Drugを避けるレジメを選択すること以外に
 患者側の遺伝子の検索を??
●ABC hypersensitivity reaction(ABC-HSR)について
 欧米に多く、現在のガイドラインではABCはFirst lineの薬剤ではない
 ・ABC-HSRはHLA B5701との相関が示唆されるが日本人ではこの血清型は非常に稀。
 ・ACCでのデータでは536人にHLAタイプ施行してB5701は0人。
  臨床的には1.3%でHSR様の皮疹あり数%で薬剤中止された。
 ・現実にHSRではなくても、ABCを用いていて発疹が出ると中止せざるを得ない。
  HLA検査を施行しておくと、安心して使用できる??
 ・全員にHLAタイプを行うこともコストなど考えるとどうか?
●EFVの代謝酵素の検討
①EFVは1日1回投与のNNRTIで非常に抗HIV作用も強力
②第1選択のKey Drugのひとつであるが
③精神症状の副作用が高頻度で5%以上におよぶ
④夢をみたり性格変化がでたり・・・
⑤血中濃度が高くなると副作用が出現しやすい
 ⇒CYP2B6のタイプが*6/*6や*6/*18というセロタイプであると
  EFVの代謝が遅延して血中濃度上昇しやすい。
  *6/*6は日本人では4%程度、南アフリカでは20%もある
●CYP2B6の遺伝子検査を行い陽性例に
①通常の600mg/日を400 or 200mg/日に減量して投与・副作用と血中濃度・臨床効果をみた
②治療効果をそこなわずに副作用が減弱できた
③80%の患者が元の量に戻すことをいやがった
④コスト削減にもなる
 一般的に遺伝子検査を行うわけにはいかないが・・大阪医療センターで研究費で?

白坂Drのセッション
●HIV感染者の多くは無症候性キャリアである
①検査しなければ感染が分からない
②そのまま感染源となる
●HIVは未だに偏見の対象であり社会のStigmaである。理解できない偏見がまだある。
 HIVが出るとその病院に患者が来なくなる・・などの迷信も医療従事者にあると。
●献血におけるHIV陽性者は10万人あたり1.7人まで増加している!
●現在のまま増加すると10-20年後には60万人のHIV感染者がでる。医療費もとんでもない。
●HIV感染者とAIDS発症者
①都会では(東京や大阪)総数が当然多いが、HIV感染者>>AIDS発症者である
②しかし郊外では総数が少ないがHIV感染者≒AIDS発症者である
③これにはいくつか考えるべき点があり
 ・心あたりのある人が地元で検査せず都会に出てきて検査?
 ・郊外地域のHIV検査の普及が不足している?(週1回平日昼の検査では受けられない!)
●大阪医療センターの患者層では
①90%が男性患者
②70%が同性間での感染
③初診時にAIDS発症が25%
●ブロック拠点病院への患者の集中がおこす問題
①その施設の経験値は上がるが
②時間が足らずに個々の診療レベルが低下する
③スタッフの疲弊
④拠点病院で自立診療できないケース(透析患者や精神疾患併存など?)あり
⑤専門スタッフ(医師・看護師・薬剤師・カウンセラーほか)不足
⑥歯科との連携も問題となる
⑦外国語での対応
●ARSについて
①感染機会から1ヶ月程度でみられうる
②症状は概して非特異的なものばかり
③ここで見つけられるかどうか?
●HIVを疑わせる疾患をみたときにHIV検査を
①PCP ②CMV ③口腔・食道カンジダ症 ④PML ⑤リンパ腫 ⑥Kaposi肉腫
●STDをひとつみたときにはHIV検査を
①梅毒 ②HBV・HCV ③クラミジア ④淋菌 ⑤尖圭コンジローム ⑥HAVもMSMではSTD
●派手な指標疾患でなくても、皮膚疾患が重篤・治りにくいときもHIVを鑑別に
①重度の帯状疱疹 ②水いぼ(伝染性軟属腫) ③難治性アトピー性皮膚炎 
④尋常性疣贅の重症多発例 ⑤脂漏性角化症の多発
最終更新:2009年03月26日 18:13
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。