- 173. 名無しモドキ 2011/05/01(日) 02:18:24
- 「アステカの星2」 −チトニア(メキシコヒマワリ)の雨に打たれて−
フィアナ・ロペスは、西シエラマドレ(山脈)の麓にあるサンタバルバラ市から、西シエラマドレ(山脈)にある父親
の出身地であるマデラの叔母の元へ一年ほど前から疎開していた。彼女の父は、サンタバルバラではちょっとした薬屋を
営んでいたが、油田を国有化した左派政権のシンパであったために、アメリカ軍と、その威を借る傀儡政府の迫害を恐れ
て娘を、地主の未亡人であった妹の所へ娘を逃したのだ。
今年、17歳になったフィアナは本当なら、町の社交界へデビューして、成人のお披露目を行う筈だった。ラテンアメリ
カでは中産階級でも、父親は娘が生まれた時から蓄えを始めて、盛大に娘の成人を祝う。しかし、今は隠れるように叔母
の家に籠もって暮らす身であり、豪華なダンス衣装など夢のまた夢である。ただ、子供がいない叔母のロッサは、フィア
ナをよく可愛いがってくれた。
傀儡政府による地主階級優遇政策は、叔母には関係なかった。兄が、反政府関係者であることもあり、当局から無視さ
れたのだ。もっとも、何代も顔見知りの小作人達との関係は良好であり、小作人の多くは自分の土地も持った者が多く地
域の地縁関係を壊してまで、叔母は新たな土地を手に入れる意志などなかった。ただ、叔母に関係なく小作人のたちが持
っていた自営地は、都会からやってきた旧地主という男に接収されてしまった。困窮した小作人たちのために叔母は、小
作料を大幅に引き下げた。
「明けない夜は、ありませんよ。それまでは、精一杯自分のできることをしましょう。」叔母は口癖のように、小作人達
に、そして、ファイナに言い聞かせていた。
フィアナは、叔母の言葉からあることを思いついた。それは叔母の許可を得て、屋敷の離れに、小作人達の子供を集めて
読み書きを教えることだった。人のために、何かをしているという達成感は、怯えて暮らしていたフィアナの生活に潤いを
与えた。
フィアナが、叔母の家で暮らすようになって、一年、日米戦争が始まった。この日を境にメキシコは混乱、恐怖で、全土
が覆われる。そんなある日、サンタバルバルから逃れてきたという難民が心配な知らせを持ってきた。両親が、アメリカ軍
に収監されたというのである。詳しいことはわかないが、メキシコ全土で起きている武装蜂起の対抗策として、反乱勢力に
荷担する恐れのある、あるいはその疑いのある両親を予防拘禁したようであった。
「いずれ、ここにアメリリカ軍が来て、お前を捕まえるかもしれません。その時は覚悟しなさい。」そう言った、叔母は古
くからの伝手を頼って情報を集めた。
その結果、町の警察署長は、フィアナがこの町に居るという密告によりアメリカ軍はフィアナのことを知っていること、
アメリカ軍から、アメリカ治安部隊が近隣に展開するまで監視を要請された人物リストのなかに、フィアナの名前が入って
いることを教えてくれた。
叔母は、決心をすると行動は素早い。大方の手配を町で済ませると、屋敷の屋根裏部屋を、その足で訪れた。
「ジョン、お願いがあります。」
実は、叔母とフィアナだけの秘密で、二週間ほど前から一人の男が、屋根裏部屋に隠れ住んでいる。嵐の夜
に、二人の小作人が左腕から血を流している男を両脇を抱えてきた。小作人達の話によると、傀儡政府が雇っ
た土地収監のためのゴロツキが勝手に設置した検問所で通行料を要求され、収穫物を積んだ荷馬車を取られそ
うになった上に、連れていた娘を置いていけと脅された。嫌がる娘は小作人の後ろに、並んでいた男に、助け
を求めて駆け寄った。ゴロツキの一人が、その男を押しのけて娘を捕まえようとした時、男は、一撃のパンチ
で男を倒してしまった。ゴロツキ達が男に銃を向けると、その男は、倒れた男の銃を、銃弾をよけながら横っ
飛びで拾い上げると、伏せたまま、射撃をしてゴロツキ達を射殺してしまったという。ただ、男も左手の上腕
部を打たれていたため、急いで荷馬車に乗せて村に連れて帰ったが、村ではろくな治療もできないため暗くな
ってから叔母を頼って連れて来たという。
「貴方はアメリカ人?脱走兵ね。」ロッサが問うと、男は弱々しく頷いた。男は多量の出血で蒼白い顔をして
いた。
「貴方方はこのことを忘れなさい。」叔母は、小作人に銀貨を与えて帰らした。そして、この屋敷で唯一の使
用人であるサムエルという五十年配の男に屋根裏部屋に運ばせた。男の上腕部は弾丸が貫通していたが、骨は
大丈夫だった。ただ、その夜から三日ほどは高熱に苦しんだ。フィアナの看病もあって男は、次第に快方へ向
かった。男は迷惑をかけられないと、出て行こうとしたのを傷がまだ癒えていないと今日まで押しとどめてい
たのだ。
- 174. 名無しモドキ 2011/05/01(日) 02:23:40
- 「なんでしょう。マダム、ロッサ。」
「貴方は、メキシコでは目立ちます。どこへ逃げれば見つかりにくいかお分かりね。」
「ヨーロッパと言いたいが、現実的にはアメリカでしょうね。」
「そう、今のアメリカは混乱状態です。余計に都合がいいでしょう。しかし、国境は厳重に監視されています。」
「マダム、持って回った言い方は苦手です。・・で、わたしに頼みとは?」
「その前に見て欲しい物があります。」
ロッサは、部屋の奥にあった戸棚を開けた。その奥の壁の羽目板の一枚を外した。すると、そこには、鍵穴があった。
ロッサは、スカートから取り出した鍵で、その鍵穴を回した。
「どうぞ、中に入ったください。」ロッサが、男を招き入れると、そこは、少しかび臭いが、充分、暮らしていけそ
うな程の広さの二間つづきの部屋だった。ロッサは、部屋の中にあったタンスから一枚の布のようなものを取り出し
て男に渡した。
「わたしには、息子がいました。ただ、名前はいえません。死んだ主人も、フィアナも知らない息子です。わたしが
結婚する前に、私が愛した男との間に生まれた息子です。その子は、兄の知り合いに頼んで里子に出したのです。」
「誰にも言いません。しかし、何故、わたしに喋るのです?」ジョンの問に答えず、ロッサは話を続けた。
「わたしが、兄の家を訪ねる時には、会っていました。多分、いつとはなしに私が母親と気付いていたと思います。
息子は長じて、ルチャ・リブレ(メキシコプロレス)に憧れてレスラーになりました。そして、この近くで興業が行
われる時や、私がメキシコシティーに行った時は、必ずチケットを贈ってくれました。」
男が受け取った布は、マスクだった。薄い黄色の生地に、額の所に、銀色の星が入っていた。
「息子のマスクです。わたしの誕生日に贈ってくれたものです。」
「息子さんは?」
「死にました。・・・正義感の強い子でした。貴方と同じように、ヤクザ者にからまれていた女性を庇おうとして、
ナイフで刺されたのです。さあ、そのマスクを受け取って下さいな。」
「そんな大事なものを受け取れません。」
「息子はレスラーとしては死んだことは公表されていません。おかしなお願いでしょうけど、息子に似た誰かが、
それを息子のリングネームともに付けてくれたら嬉しいのです。それと、ジョン、もう、一つお願いがあります。」
「貴方の願いは大体わかります。わたしも、聞きたいことと、お願いが二つあります。」ジョンと呼ばれた男が言う。
「まず、何を聞きたいの?」
「サンドロという男と貴方の関係は?ただの雇用者じゃないようだ。」
「サンドロは、夫が軍務に就いていたと時の従卒だった男です。つまらないことで、喧嘩をして軍隊を追い出されたの
で、夫が、ウチで働かないかと誘ったのです。近所の女性を世話して所帯も持たせた信用出来る男です。で、お願いとは?」
「一つは後でサンドロを呼んでください。二人で話をしたい。それと、ヤーゴという男を知ってますか。」
「ええ、この辺りの顔役よ。でも、最近は、都会からやってきたゴロツキと諍いを起こして困っているようよ。」
「詳しいんですね。」
「地主は、その土地に生きて、裏も表も知ってこその地主よ。ヤーゴとも古い知り合いだわ。貴方もヤーゴを
知ってるの?」
「貴方の知り合いなら好都合だ。最近、ヤーゴには少しばかり、貸しができたんです。彼の力を借りたい。」
ロッサは、一月ばかり前に、裏通りで、ヤーゴがゴロツキ連中に、襲われたところをアメリカ人らしい男に命
を救われたという噂を思い出した。
「理由はきかないわ。今度の話はヤーゴを通じて頼んだ話だからちょうどいいわ。」
数時間後、ジョンと呼ばれる男とフィアナ、ロッサ、三人は飛行場にいた。飛行場といっても、牧場の一角
を乱暴に整地した私設飛行場である。納屋のような建物が滑走路脇にあり中には、他に鋭い目つきの五十年配
の痩身の男と飛行服を着た貧相な男がいた。
- 175. 名無しモドキ 2011/05/01(日) 02:34:37
- 「お前さんたちのことは、そこの、ヤーゴから聞いているよ。二入だな。」飛行服の男が尋ねる。
「幾らです。」ロッサが尋ね返す。
「ああ、一人、四万ペソ。ただし、金貨か銀貨でだ。」
「いつも、その値段か?」ジョンが聞く。
「そうさ。ただ、この辺りじゃ、格安だぜ。いつもなら、座席が埋まるまで待ってもらうが今日は、二入で飛ぶぜ。」
「お願いします。」ロッサは袋に入った銀貨を男に渡した。男が銀貨を数えている間に、ジョンはヤーゴに目配せをし
た。
ロッサも目だけで頷く。表では降り出した雨が、周辺で咲き誇るチトニアたちを打っている。
「さあ、出発するか。お嬢さん、チトニアの花ともしばらくお別れだ。よく見ておきな。」操縦服の男がタバコに火を
つけながらフィアナをじろじろ見つめて言った。、
その日の、午後遅くに、どんよりした目つきの操縦士が、操縦するロッキード・ヴェガは雲が密集する雨の降る中、
低空でアメリカ・メキシコ国境を越えた。
「しかし、こんなご時世じゃなきゃ、おれなんぞにヴェガなんて持てなかったよ。さあ、もうすぐ、着陸だ。俺の知り
合いが迎えに来てるからお嬢ちゃんを、ご指定の所まで送ってくれる手はずだ。」操縦士はジョンに声をかけた。
ロッサは、フィアナをアメリカにいる、夫の弟の所で匿って貰うつもりだった。ジョンにアメリカ行きを示唆したよ
うに「何事も灯台もと暗し」と考えたからだ。操縦士が、操縦席の下に手を入れたのをジョンは見逃さなかった。ジョン
は男より先に、操縦士が探していたものを抜き取って懐にしまった。男は諦めたのか、着陸動作に入った。
飛行機は何回か大きなバウンドをくり返して、滑走路の端に止まっていたアイスクリーム販売の小型トラックと大型の
シボレーの前に止まった。車の傍には、メキシコ系の男が四人立っていた。
「よう、ロドリコ、ちゃんと運んできたぜ。」操縦士は、飛行機から降り立つとリーダーらしい男に声をかけた。
「積み荷を受け取らせてもらうぜ。」リーダーらしい男は、あとの二人に命じて飛行機の荷物戸を明けると、1クォート
ほどの、布製の袋をどんどん運んでアイスクリーム販売のトラックへ積み込みだした。トラックへ、飛行機にあった三分
の二ほどの袋を積むと一人の男がトラックに乗り込んで走り去った。
「コカインか。」ジョンが尋ねる。アメリカ、メキシコ両国の混乱に乗して、また、津波による治安悪化、麻薬に対する
罪悪感がまだ、低かったためと、供給量を加減して、価格を維持するマフィアなどの組織も壊滅的な被害を受けていたた
め、現在のアメリカの比ではないほど、メキシコから大量のコカインが、誰にでも買え、大量使用出来るほどに安価な値段
でアメリカに流れ込んでいた。
「こいつは誰だい。」リーダー格の男が不審気に尋ねる。
「俺に騙された乗客さ。後先で悪いが、どこかに運んで、始末してくれないか。手数料はそこのお嬢ちゃんだ。ただ、上玉だ
から、男の始末との差し引きで1000ドルはもらうぜ。」操縦士はにやけながら答えた。
「え、わたしたちを叔父の所へ運んでくれるんじゃ・・。」フィアナは震えながら聞いた。
「こいつは、最初からそんなつもりはなかった。」ジョンが答える。「ヤーゴの話じゃ、強欲で骨までシャブリ尽くす奴だ。
そんな奴が、座席が空いているのに、通常の値段で俺たちを乗せたのは、コカインが本当の荷物で俺たちがオマケだったからさ。
まあ、俺たち以外には重量オーバーで乗せられなかったかもな。それと、あの町に二度と戻るつもりはないんだろう。アメリカ軍
が来るからな。最後の稼ぎだから、信用なんて糞食らえだろ。」
「中々、鋭いじゃないか。今さらだがな。」操縦士はにやけながら答える。
「いや気付いてたよ。俺を殺して、フィアナを売り飛ばすこともな。国境を越えるのは何処でもってワケじゃない。幾つかある秘
密の穴みたいな空路があるはずだ。企業秘密だから、俺たちに目隠しを要求すべきところを、それもしなかった。殺すか、日の目
を見れないところに連れて行くことに決めたいたからだ。」
「ガタガタ、うるさい野郎だな。俺は残りの荷物をもう200マイルばかり先に届けなくちゃいけないんだ。そうしないと、代金を
貰えないんだよ。だから、もう、お前の話は聞きたくないぜ。」操縦士がいらつくように言った。
「俺がすぐにしゃべれなくしてやるぜ。それから、そっちのお嬢ちゃんは、俺らが味見をしたら直ぐに優しいおじさん達に売って
やるよ。」リーダーはそう言うと拳銃を取り出して威嚇すると、ジョンの右足を蹴飛ばして転倒させた。
「へへ、いい女だ。兄貴、暫く奴を殺さずに見せつけてやってもいいかい。その方が、女も燃えるんだよ。」にやけた男がフィア
ナの手を掴んだ
- 176. 名無しモドキ 2011/05/01(日) 02:42:10
- auite 悲鳴を上げるフィアナ。ジョンの感情が激しく動く。フラシュバックのように蘇る記憶。愛する女が腹を撃たれて
瀕死の状態で犯される横で気がつきもせずに助けられなかった記憶が。ジョンの体に常人では考えれない大量のアド
レナリンが分泌された。ジョンはこの苦痛を伴う瞬間を待っていたのだ。
ジョンは、拳銃を構えた男の足を掴んで恐ろしい力で、三ヤードほども投げ飛ばした。ジョンは手下が拳銃を向け
るより早く、懐の拳銃を取り出してた。あわてて拳銃を撃とうとする男達の動きがスローモーションのように見える。
ジョンは、リーダーを含む三人の男を撃ち殺した。そして、ゆっくり、立ち上がると操縦士に拳銃を向けた。
「お前が、飛行機で探していたのはこいつだろう。」ジョンは拳銃を操縦士に見せる。
「ど0うするつもりだ。」操縦士が手を挙げながら尋ねる。
「メキシコの出発した飛行場へ帰ってもらう。フィアナとな。」ジョンは操縦士を狙いながら答えた。
「フィアナ、よく聞いてくれ。密告者はというのは身近にいるんだ。君のことを密告したのはサンドロの
奥さんだ。」
「どうして・・。」ジョンの突然の言葉にフィナナは混乱した。
「サンドロの話では、例のゴロツキ連中に驚かされたのと小金に欲がくらんだんだ。それを知ったサンド
ロは、叔母さんと奥さんの間の板挟みで苦しんでいたんだ。それで、サンドロには君がアメリカに言った
ともう一度、奥さんに密告してもらうように頼んだ。」
「どうして?」
「君がメキシコの叔母さんの屋敷に戻るからだ。そのことを知っているのは叔母さんとサンドロだけだ。サンドロの奥さんは知らない。
幸い屋敷には、滅多に見つからない秘密の部屋がある。暫く辛いだろうが、そこで我慢するんだ。俺の
カンじゃ、隠れていなくてはならないのもそんなに長い間じゃない。」ジョンは確信を持って言った。
「あなたはどうするの?」フィアナが寂しげに聞く。
「俺はここから当てがなく、終わりのない旅をつづけるさ。」
「メキシコへいっしょにもどってくださらないの。」フィアナが嘆願するように言う。
「俺の頼まれ事は、ここまでだ。命を的にしたんだから君たちの恩に報いるには充分だろう。それに、
さっきのような芸当はいつだって出来るワケじゃないからな。」ジョンはそう言うと、飛行機から
残no
インの袋を取り出すと無造作に滑走路にばらまいた。そして、操縦士とフィアナを飛行機へ入れた。
「フィアナ、君は操縦席の後の席だ。この拳銃を持て。」ジョンはフィナナに拳銃を握らせ操縦士に
言った。
「真っ直ぐへメキシコに戻るんだ。下手に秘密の空路を外れるとアメリカの戦闘機のエジキだっての
はよく知っているよな。フィアナを騙して200マイル先に行っても、もう荷物はないぜ。空荷の操縦士
に寛大な相手じゃないってことも知ってるな。お前が助かる可能性があるのは、メキシコにフィアナ
を連れ戻す事だけだ。」
「どうしてもわたし一人だけで。」まだ、フィアナは諦めきらない。
「コカインが散らばった中で三人の死体。警察や死体の連中の仲間が一番想定しずらいのは?すなわち
俺たち二入の安全のための最良の方法は?」ジョンが尋ねた。
「・・・わたしだけが、メキシコに戻ること。」フィアナが力なく答える。
「おい、これを見な。」ジョンは自分のバックから手榴弾を取り出して操縦士
に見せた。そうして、その手榴弾をフィナナの左手に握らせると安全ピンを抜
いてレバーを握らせた。
「飛行機をガタガタ飛ばせると、フィアナがこのレバーから手を外してしまう。
気を付けて飛びな。フィアナ、レバーのバネは俺が緩く調整して置いたから、軽
く握っているだけでいい。(もっとも火薬も抜いてあるがな)着いたらできるだ
け遠くに投げるんだ。」そう言うとジョンは操縦士に離陸を指示した。飛行機が
滑走路に出て速度をあげる直前にジョンは飛び降りた。
「アディオース,セニョリータ・フィアナ」ジョンは叫んだ。そして、遠くでジョン
という声が聞こえた気がした。
ジョンは滑走路に止めてあったシボレーに乗り込んだ。そして、ロッサにもらったマスクを被ってみた。リングネーム「アステカの星」、伝説のルチャ・リブレの若獅子だ。悪くはないな。しかし、あの操縦士、メキシコに着いたらヤーゴと手下が手荒く出迎えてくれるとは想像していないだろうなと考えながらジョン・ベーシロン元二等兵はシボラーを発進させた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− お わ り −−−−−−−−−−−−−−−−−−
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最終更新:2012年02月07日 19:24