【ギタードライブ】
兄「あれ、お前ギターなんか持ってたっけ?」
妹「鏡に押し付けられた。今度の学園祭でバンドをやるから協力してくれ、とな。
まったく、唐突にも程がある」
兄「あの子も次から次へといろんな事やるなぁ」
妹「引き受けてやるから全パートを私にやらせろと言ったのだが……却下された。
どうやらあいつはわざわざ足手まといを増やしてバンドのレベルを低下させたいらしい」
兄「それだとバンドにならないだろ……。それにしても、お前が素直に人の頼みを聞くなんて珍しい」
妹「それはちょっと違うな、これはあくまでも私の意志だ。
たまたま私がギターを弾きたいと思っていたところにあいつがこの話を持ちかけてきただけのこと」
兄「なんという低確率……。
話を聞いただけで確信してしまった、この妹は間違いなくツンデ……いやまてギターは人を殴る道具じゃない」
妹「鏡に押し付けられた。今度の学園祭でバンドをやるから協力してくれ、とな。
まったく、唐突にも程がある」
兄「あの子も次から次へといろんな事やるなぁ」
妹「引き受けてやるから全パートを私にやらせろと言ったのだが……却下された。
どうやらあいつはわざわざ足手まといを増やしてバンドのレベルを低下させたいらしい」
兄「それだとバンドにならないだろ……。それにしても、お前が素直に人の頼みを聞くなんて珍しい」
妹「それはちょっと違うな、これはあくまでも私の意志だ。
たまたま私がギターを弾きたいと思っていたところにあいつがこの話を持ちかけてきただけのこと」
兄「なんという低確率……。
話を聞いただけで確信してしまった、この妹は間違いなくツンデ……いやまてギターは人を殴る道具じゃない」
妹「さて、今から早速練習するから兄も付き合え」
兄「手伝うのはいいが……最後に触った楽器がアルトリコーダーの俺にいったい何を期待しているんだ」
妹「鏡から借りた教本がある。これを読んで聞かせてくれるだけでいい。
私は両手が塞がってしまうからな」
兄「あ、そういう事か……って、それなら俺じゃなくても何かで抑えておけばいいんじゃないか?」
妹「ページをめくる時はどうするんだ」
兄「……その発想はなかったわ(足でやれ……とは言えないよな、さすがに)」
妹「……相変わらず鈍感な奴だ(ボソッ)」
兄「え? 今なんて言った?」
妹「……知らん」
兄「手伝うのはいいが……最後に触った楽器がアルトリコーダーの俺にいったい何を期待しているんだ」
妹「鏡から借りた教本がある。これを読んで聞かせてくれるだけでいい。
私は両手が塞がってしまうからな」
兄「あ、そういう事か……って、それなら俺じゃなくても何かで抑えておけばいいんじゃないか?」
妹「ページをめくる時はどうするんだ」
兄「……その発想はなかったわ(足でやれ……とは言えないよな、さすがに)」
妹「……相変わらず鈍感な奴だ(ボソッ)」
兄「え? 今なんて言った?」
妹「……知らん」
兄「じゃあぼちぼち始めるか。まずはEコードから行ってみよう」
妹「よし」
妹「よし」
ジャラァァァァァァァァァァァァン
兄「おおっ、なかなか本格的な響き」
妹「ふ……この程度で驚くな、器が知れるぞ」
兄「よーし、じゃあ勢いに乗って次はFだ。ちなみに初心者はここで挫折するやつが多いらしいぞ」
妹「ふん、私をそこらの凡人と一緒にするなよ? EだろうがFだろうが完璧に弾きこなしてみせ……」
妹「ふ……この程度で驚くな、器が知れるぞ」
兄「よーし、じゃあ勢いに乗って次はFだ。ちなみに初心者はここで挫折するやつが多いらしいぞ」
妹「ふん、私をそこらの凡人と一緒にするなよ? EだろうがFだろうが完璧に弾きこなしてみせ……」
プニュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
兄「……なんだその気の抜けた音は」
妹「……空耳じゃないのか」
兄「いや、明らかに発信源はお前だろ。
っておい、ちょっと待て。何でいきなり左手を隠す」
妹「兄……私から言えることはひとつだ。今すぐ眼科に行け」
兄「目の錯覚なわけないだろ、常識的に考えて。いいから見せてみろ」
妹「あっ……!?」
妹「……空耳じゃないのか」
兄「いや、明らかに発信源はお前だろ。
っておい、ちょっと待て。何でいきなり左手を隠す」
妹「兄……私から言えることはひとつだ。今すぐ眼科に行け」
兄「目の錯覚なわけないだろ、常識的に考えて。いいから見せてみろ」
妹「あっ……!?」
兄「……指の長さが足りないとかありえないだろ、常識的に考えて……」
妹「……」
兄「……しかし……思わずキュンとしたのは否定し難い事実だ(ボソッ)」
妹「……え?」
兄「いや何でもない」
妹「……」
兄「……しかし……思わずキュンとしたのは否定し難い事実だ(ボソッ)」
妹「……え?」
兄「いや何でもない」
【ギターブラスト】
- 前回のあらすじ
鏡のバンドに誘われてギターを始めた妹。
しかし手が小さすぎたせいでうまくコードを押さえられず、思わぬ苦戦を強いられる事になる……。
しかし手が小さすぎたせいでうまくコードを押さえられず、思わぬ苦戦を強いられる事になる……。
妹友『え?……妹ちゃんの様子を、ですか?』
兄『うん、さっき一人でギターを持って屋上に上がっていくのが見えたんだ』
妹友『私はかまいませんけど……兄さんが行ってあげた方が喜ぶと思いますよ?』
兄『……いや、俺はこの件に関してはどうも避けられてるみたいなんだ』
妹友『もしかして……喧嘩でもしました?』
兄『そういう訳じゃないんだ。実は……』
兄『うん、さっき一人でギターを持って屋上に上がっていくのが見えたんだ』
妹友『私はかまいませんけど……兄さんが行ってあげた方が喜ぶと思いますよ?』
兄『……いや、俺はこの件に関してはどうも避けられてるみたいなんだ』
妹友『もしかして……喧嘩でもしました?』
兄『そういう訳じゃないんだ。実は……』
──かくかくしかじか
妹友『あー……いわゆる複雑怪奇な乙女心ってやつですねぇ。いいですよ、そういう事なら私に任せてください』
兄『ごめんな、他にアイツの事頼めそうな人がいなくて……鏡ちゃんはちょっとアレだし』
妹友『あはは、気にしないで下さい。ちょうど私もベースの練習しようと思ってたところですし』
兄『え? 妹友ちゃんもバンドのメンバーだったの?』
妹友『ふふふ、これでも昔はチョッパーベースの世紀王と言われた女なんですよ?』
兄『……mjd?』
妹友『いえまあ嘘なんですけどね。じゃ、早速行ってきます』
兄『ごめんな、他にアイツの事頼めそうな人がいなくて……鏡ちゃんはちょっとアレだし』
妹友『あはは、気にしないで下さい。ちょうど私もベースの練習しようと思ってたところですし』
兄『え? 妹友ちゃんもバンドのメンバーだったの?』
妹友『ふふふ、これでも昔はチョッパーベースの世紀王と言われた女なんですよ?』
兄『……mjd?』
妹友『いえまあ嘘なんですけどね。じゃ、早速行ってきます』
(一方、学校の屋上では)
プニュァァァァァァン チャパァァァァァァン ナニャァァァァァァン(ギターの音)
妹「分からん……どうすればスムーズにFからコードチェンジ出来るんだ……」
鏡『下りぃーでんーしゃを見るのが大好きでぇ────!
ふらりーふらーりと魔が差しグッドバイ────! いーよっしゃあー!』
ふらりーふらーりと魔が差しグッドバイ────! いーよっしゃあー!』
妹「……この声は鏡か。やれやれ、毎度の事ながらお騒がせな奴だ」
──ガチャ
妹「……ん?」
妹友「妹ちゃーん」
妹「なんだ、誰かと思えばお前か……何の用だ?」
妹友「私もベースの練習したいから……となりに座っていい?」
妹「……勝手にしろ。私は私の道を往くだけだ」
妹友「はいはい」
妹友「妹ちゃーん」
妹「なんだ、誰かと思えばお前か……何の用だ?」
妹友「私もベースの練習したいから……となりに座っていい?」
妹「……勝手にしろ。私は私の道を往くだけだ」
妹友「はいはい」
シャピィィィィィィィン ボーン
キュパァァァァァァン ベーン
ミギャァァァァァァン キャィィィィィィーン
キュパァァァァァァン ベーン
ミギャァァァァァァン キャィィィィィィーン
妹「……」
妹友「ありゃ、変な音出しちゃった。チョッパーベースの世紀王も落ちたもんだねこりゃー」
妹「……」
妹友「ありゃ、変な音出しちゃった。チョッパーベースの世紀王も落ちたもんだねこりゃー」
妹「……」
鏡『ほらぐーるぐるーぐるぐるぐるるーぐるぅー! さあみんなで一緒にぐるぐるるーぐるぅー!』
妹友「あはは、鏡ちゃん元気だねぇ。ここまで聞こえてくるよー」
妹「ああ……」
妹「ああ……」
妹友「……ねえ、妹ちゃん。無理しちゃだめだよ」
妹「……つまらない事を言うな。私を誰だと思っている、ギターくらいすぐに弾きこなしてみせ……」
妹友「うん、確かに妹ちゃんならすぐに上手になると思うよ。もっとお兄ちゃんに甘えるようにすれば、ね」
妹「……!」
妹友「ギタリストが見栄を張るのはみんなの前でライブやってる間だけでいーの。
いつでもガチャガチャ鳴らしてばっかりいると、その内弦も指もだめになっちゃうよ?」
妹「妹友……」
妹友「それに妹ちゃんを受け止めてくれるのは兄さんだけなんでしょ? だったら……ね?」
妹「……つまらない事を言うな。私を誰だと思っている、ギターくらいすぐに弾きこなしてみせ……」
妹友「うん、確かに妹ちゃんならすぐに上手になると思うよ。もっとお兄ちゃんに甘えるようにすれば、ね」
妹「……!」
妹友「ギタリストが見栄を張るのはみんなの前でライブやってる間だけでいーの。
いつでもガチャガチャ鳴らしてばっかりいると、その内弦も指もだめになっちゃうよ?」
妹「妹友……」
妹友「それに妹ちゃんを受け止めてくれるのは兄さんだけなんでしょ? だったら……ね?」
妹「……」
妹「ああ……」
妹「そう、だな……」
妹友「そうそう、やっぱり妹ちゃんはそうやってピカピカに輝いてなくちゃ」
妹「ふっ……私はいつでも輝いているさ。北極星が常に天の中心にいるようにな」
妹友「はーい、ごめんなさーい。 ……うふふ」
妹「……ははは」
妹「ふっ……私はいつでも輝いているさ。北極星が常に天の中心にいるようにな」
妹友「はーい、ごめんなさーい。 ……うふふ」
妹「……ははは」
兄友「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
妹・妹友「──!?」
妹・妹友「──!?」
兄友「よぉ……」
妹「! お、お前は……!?」
妹友「!? あ、ああああ兄友さん!? い、い、いつから屋上(ここ)に!?」
兄友「はぁ……お前らはいいよなぁ、そんなに流暢にギターやらベースやら弾けて……」
妹友「ああっ! あ……兄友さんに……ほ、褒め……褒められ……褒めら……らめぇぇぇぇぇぇ!」
妹「! お、お前は……!?」
妹友「!? あ、ああああ兄友さん!? い、い、いつから屋上(ここ)に!?」
兄友「はぁ……お前らはいいよなぁ、そんなに流暢にギターやらベースやら弾けて……」
妹友「ああっ! あ……兄友さんに……ほ、褒め……褒められ……褒めら……らめぇぇぇぇぇぇ!」
ドッシャァァァァァァッ
妹「(こいつは……)」
兄友「ああ……それと妹、お前にひとつ言っておく事がある……」
妹「……何だ」
兄友「ああ……それと妹、お前にひとつ言っておく事がある……」
妹「……何だ」
兄友「もっと小さいギター使えばいいんじゃね?」
妹「……?」
妹「……!」
妹「……アッー!」
妹「……!」
妹「……アッー!」
鏡『カ・ツ・オ────────────! いよっしゃあぁー!』