「今の声は……」
秋葉原一体に響き渡った声を聞いて、万年筆を回していた指を止める6/。
声にも聞き覚えはあったが、「
KAITO」と名乗っていたことからしても間違いないだろう。
隣にいるミクも、
「兄さん……」
と呟いて俯いていた。その顔が、どこか寂しそうに見えて、どう声をかけようか迷っていると、
二人の目の前にいる巨大生物・
柊かがみが
「そのピエロの男と吸血鬼って奴らを食べればきっともっと大きな力を得られるわね……よし、あんた達は後回しよ!!」
などと言って背中を向けて立ち去っていった。
なおあれからもその辺の建物とかを食べて巨大化を続けていたかがみの体は、ゆうに身長百メートル以上にもなっていた。
あの怪物を放置していていいわけは無いが、ここまで防戦一方だった6/とミクにとってはラッキーと言えた。
「マスター、今のうちに私達も脱出しましょう」
そう言って6/の手を取るミク。
「しかし、みなみの同人誌をこのまま捨て置くわけには……」
「この期に及んで何言ってるんですか!! 本当に死にますよ!?」
「わ、わかったよ。じゃあせめてお前の出てるエロ同人だけでも……」
「いりません!! なにがどう『せめて』なのか教えてください!!」
駄々を捏ねる6/の腕を引いて、秋葉原から脱出を図るミク。
「秋葉原を出たら、とりあえずどこかで休憩しましょう。目の前であれだけ美味しそうに物を食べられたら、
こっちもお腹が空きました」
「あ、ああ……」
「マスター、まだどうかしたんですか?」
「……いや、なんでもない」
静かに首を振るしかできなかった。
さっきの『柊かがみ』は、口ぶりからして明らかに自分のことをしっていた。
自分にはもちろん二次元の人間と喋った経験など無いから、それはおそらくはKAITOが言ったところの「別世界の自分」のことなのだろう。
だがかがみの話では、その別世界の自分はあの柊かがみと恋仲にあったという。
そんなことを言われてもすぐに受け入れられるわけは無いが、かがみの口調はかなり鬼気迫るものだった。
それだけではない。KAITOと接触したことによって得られた別世界の自分の能力。
さっきの放送の中でも「6/くんは別人格だから」などと言われていた。
そして、ミクが自分と契約を結ぶことにあれほど執着して、結果的に実際に結ばされてしまったことも
どうやらそれと関係があるらしい。
(『俺』はあくまで『俺』だ。別の世界の俺が何をしていようが、関係ない……)
「危ない、マスター!!」
「―――へ?」
よほど深く考え事をしていたのだろう。ミクの声がするまで、6/は自分の真上に落ちてきたコンクリート片に気付かなかった。
(―――ここは、どこだ?)
目覚めたのは見知らぬ場所。
周りを見ても、さっきまで一緒にいた少女はいない。
そもそもここは自分の知っている世界なのか?
ぼんやりとした頭で考えていると、突然目の前に、見知らぬはずの、しかしどこかで見たことがあるような光景が映し出される。
女子高生に撃たれて、倒れる赤い雪男。
教師にバッドで殴られて絶命するサラリーマン。
クルミで人を殺すリス。
魔法少女に変身する老人。
彼らは皆、どこか恨めしそうな顔で彼のことを見つめていた。
(知らない。俺はこんな世界は知らない。俺は、こんな『物語』など書いていない!!)
場面は変わる。
さっきも出てきたリスと一緒に、ドイツの軍服を着た男を殺す自分。
ツインテールの女子高生の生首を抱えて、日本中にいる「敵」から逃げる自分。
貧乳の少女と、教会で結婚式を挙げる自分。
(違う……俺はこんなことはしてない!! 俺はただの「書き手」だ、物語の語り手だ。物語の主役になんかなれるわけがない……)
「受け入れなさい、これが別世界のあなた。全て、『あなた自身』なのよ」
背後から、忌まわしいような、それでいてどこか懐かしいような声がした。
振り向きたくないと願ったのに、体は勝手に振り向く。
そこにいたのは―――一人の、ツインテールでツリ目の少女だった。
「うわあああああああああああああああ!!」
「やれやれ、私は殺し合いになんか乗る気は無いが、他のサーヴァントを助けてしまうとは思いませんでしたよ」
笑点のピンクは、そう言ってミクに笑いかけると、背負っていた気絶した6/をアスファルトの上に横たえた。
そこは偶然ながら、とある漫画喫茶の真ん前の路上。
すでに遠くなった秋葉原からは、すさまじい崩壊音が聞こえてくる。
あの音をだしているのはかがみか、あるいは例の二人組みか……
「マスター……」
ミクはそっと自らのサーヴァントであり、マスターでもある青年の体を抱き上げた。幸い息はあるし、大きな怪我でも無さそうだ。
もしピンクの『言霊』がコンクリート片を粉砕するのがもう少し遅ければ、下敷きになっていたかもしれないが。
ミクは6/から顔を上げると、ピンクに向き直って言った。
「本来なら、敵のサーヴァントをそのまま行かせるわけにはいきませんが……今回だけは、お礼として見逃します」
「ありがたいですね。アサシンの私とセイバーのあなたでは、とても勝負にはなりませんからね。
それに私にとっては実は聖杯戦争での勝利など大した問題では無いのですよ」
ピンクはそういうと、ミクに背を向けて足早に立ち去っていった。
なお、実はアサシンのマスターである
空気王はずっとピンクの隣にいたのだが、ミクは最後まで気付かなかった。
(聖杯戦争での勝利など大したことはない、か……恐らくは兄さんと姉さんも……)
そんなことを考えていると、腕の中の6/がふいにうめき声を上げた。
「う……ん?」
「マスター!!」
6/が目を開けると、自分の顔を嬉しそうに覗き込むミクの顔があった。
「ミク……」
「どうしました?」
「思った以上に貧乳だな」
「第一声がそれですか!!」
このまま地面に頭を叩きつけてやろうかと思ったのをぐっとこらえる。
「なあ、ミク」
「今度つまんないこと言ったらグーで殴りますよ」
軽蔑するように言うミクの目を覗き込んで、6/は笑いもせずに言った。
「教えてくれ。俺は何者なんだ」
「……それは、」
「お前なら何か知ってるんだろう? なんで俺がサーヴァントになったのかも……なんで俺があんな能力を……」
ミクは6/から顔を逸らして唇を噛み締める。言いたいが言えない、そんな態度だった。
なおも6/が言葉を紡ごうとした時―――
二人が前にいる漫画喫茶の中では、一組の主従が顔を蒼白にさせていた。
「どうしましょう……セイバーとライターの二人が今、この店の真ん前にいます」
「どうしてそんなに接近されるまで気付かないんですか!!」
「すいません、思ったより疲労が激しかったみたいで……しかし、どうやら二人ともあまり戦意は無いようです。
ついさっき会ったアサシンとも交戦していませんし、一か八か、接触してみるのも手かも……」
「そんなこと言ってる間に、『ちょっとここでご飯でも食べよう』とか言って入ってきたらどうします?」
【一日目・午前11時00分/日本・蒲田】
【◆6/WWxs9O1s氏@書き手】(マスター、クラス・ライター)
【状態】健康
SOS団臨時団員
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品
【宝具】SS用万年筆
【思考】
1:俺は何者だ?
2:死にたくない
※6期までの6/氏とは別人です
※ミクのマスターであり、同時にミクのサーヴァントです
【
初音ミク@ボーカロイド】(マスター、クラス・セイバー)
【状態】健康 SOS団臨時団員
【装備】伝説の首領パッチソード@ボボボーボ・ボーボボ
【道具】支給品一式
【宝具】電子の歌声
【思考】
1:動揺
2:マスターに従う
※ 6/のサーヴァントであり、同時に6/のマスターです
【射命丸文@東方project】(マスター)
【状態】疲労、多少の怪我
【装備】手帳@現実
【道具】不明
【思考】 基本:真実を新聞にして客観的に皆に伝える
1:どうしよう……
2:この聖杯戦争を生き延びる
3:元の世界に皆で帰る方法を探す
4:雄介達が心配
【黒桐幹也@空の境界】(クラス・サーチャー)
【状態】極度の疲労 、多少の怪我
【装備】エーテライト
【道具】不明
【宝具】不明
【思考】
1:どうしよう……
2:式やその他の知り合いを捜す
3:文を手伝う
4:雄介達が心配
【笑点のピンク@現実】 (クラス・アサシン)
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品
【宝具】落語家の言霊
【思考】
基本:活躍し空気脱却
1:さて、どこに向かいましょうか
※元々の影の薄さとアサシンの技能が合わさって、大抵の者は存在に気付きませんが、さすがにミクは気付きました。
【空気王@テイルズオブデスティニー】(マスター)
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】
基本:笑点のピンクを従え活躍し、空気脱却
1:しばらく戦わずに情報収集
2:何、気にすることはない
【一日目・午前11時/日本・秋葉原】
【柊かがみ@らき☆すた】 (クラス・イーター)
【状態】でぶみん、全裸、巨大化(百メートル以上)
【装備】無し
【道具】無し
【宝具】変態的性欲
【思考】 基本:いつも通り、本能に従う。
1:アーカードナルドを喰う(二つの意味で)
最終更新:2009年06月11日 00:25