火星にある太陽系最大の火山、オリンポスの麓に聳え立つ安土城。
その城の主は天守閣から周りを見渡して呟く。
「しかし、火星の風景と言うのも中々風流なものじゃのう。のう、テト殿?」
「はあ、風流ですか? 私にはむしろ殺風景に見えますが」
彼の配下の重音テトが戸惑ったように答えると、信長は爆笑をかみ殺すような顔をした。
「お主もまだまだわかっておらぬな。そもそも風流とは……」
その時、パソコンのキーボードを叩いていた細川幽斉が声を上げた。
「信長殿、城内の者から、城の中に潜伏していた鏡音リンを捕らえたとの報告が入りました」
それを聞き、信長は表情を変える。
「
DIOたちは?」
「いまだ交戦中とのことです。いかがします?」
「ふむ、では鏡音リンをすぐにここへ引き立てよ。勝手に人の城に上がりこむような者には尻を叩いて折檻をせねばな」
それを聞いて焦ったのはテトである。ここでリンと顔を合わせるわけにはいかない。
「信長様、私は他にすることがございますので、ここで失礼いたします」
「おお、そうか。まあ引き続きよろしく頼むぞ」
信長に一礼して、テトは部屋の外へと出て行った。
(さて、何から聞き出してやるか。ミクやルカなど他のボーカロイドの動向、彼らの真の目的、
知りたいことは山ほどある。少々手荒な手を使っても……)
リンをどう尋問しようかと思案していた信長の耳に、幽斉のやや戸惑ったような声が聞こえた。
「ちなみに信長様、実はもう一人侵入者を捕らえたのですが……」
「何? その者もリンたちの仲間か?」
「いえ、その、言葉が全く通じず、まるで異国のもののような顔をしていて、前半身が裸で、
城内でトランペットを吹いていたところを捕らえられたとのことです」
「トランペットを?」
「左様です」
しばしの沈黙が部屋の中に降りた。
「……なにやらよくわからんが、そんな者はほっておいても大丈夫じゃろう。その辺に放してやれ」
「は、はい」
【一日目・午後9時/火星・安土城】
【
織田信長@戦国時代】
【状態】不明
【装備】不明
【道具】不明
【思考】1:鏡音リンから、ボーカロイドたちのことについて聞き出す
【細川幽斎@戦国時代】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】なし
【思考】
1:信長のサポート
※主催陣営の技術部門担当です
安土城の廊下には、信長の部屋を退出してあてどもなく歩くテトの姿があった。
また戦場に出るのも面倒だし、あまり派手な動きを見せると
KAITOに自分がしていることがばれてしまうかもしれない。
それでは自分が信長の下に潜り込んだ意味が無くなる。
信長にも自分の正体を知られては不味いが、それ以上に怖いのは、彼女にとってもやはりKAITOだった。
(もう少し……もう少しで聖杯が完成してしまう……そんなことはさせない!!)
KAITOたちが殺し合いの混乱に乗じて聖杯戦争を再現し、聖杯をこの世に出現させようとしていることを知った時から、
それを阻止することが彼女の目的だった。
(『あいつら』の好きになんかさせるものか。絶対に……)
「ほっほっほ、何を思いつめた顔をしているのかね娘さん」
とある部屋の前を通りかかったとき、中からそんな声をかけられた。
中を見ると一人の武将が茶を立てていた。
「徳川家康様……?」
「ほっほ、まあともかくこちらへ。ワシが手ずから茶を立ててしんぜよう」
テトはその部屋の中に入り、家康の前に正座する。
「家康様、確か甲賀忍軍を率いて聖杯戦争参加者を探っていたのでは?」
「なに、そっちは今息子の秀忠に任せてある。やはり戦場で諜報活動に打ち込むよりも、
こうして綺麗な娘さんと茶でも飲んでいたほうがいいというもの。ささ、まずは一杯」
家康に渡された湯飲みを、作法に従って手にとって口に運ぶ。苦味が喉を焼いた。
「ほっほ、若い娘さんの口には合わなかったかな?」
「い、いえ……」
「よいよい。無理をして自分の本心を隠すでない」
家康はそう言うと、徐に膝を崩してくつろぎ始めた。
「ふむ、しかし聖杯戦争というのもなかなか面白き戦かな。
もし仮に、我ら戦国時代の武将たちがサーヴァントになったら誰にどのクラスが割り振られるかのう?
信長様は、失礼ながらもバーサーカー。セイバーは塚原ト伝殿、銃の名手の明智殿はアーチャー、
ランサーは加藤清正殿で、ライダーはやはり真田幸村殿かのう。して、キャスターは顕如殿という所だろうか」
「家康様ご自身はどのクラスだとお思いですか?」
「ワシか? ワシはさしずめ、アサシンだろうな」
「アサシン?」
「左様。ワシは本来は歴史の裏方、信長様や秀吉様の影となるのが相応しき人間。
甲賀や伊賀の忍者を従え、常に裏工作にばかり腐心していたワシにはそれが向いているというもの。
結果的にワシが天下を取れたのは、運がよかったからに過ぎん。ワシは、万民の上に立つには向いておらんかったよ」
そう言って好々爺然とした顔をますます綻ばせる。
どこまで本気で言っているのやら、つかみ所の無い人物だった。
しかし、確かにその点ではアサシンに向いているのかもしれない、とテトは思った。
「だがしかし、ワシが天下を取ったのは事実。単なる巡り合わせと言えばそれまで、だが運などいつ転がり込むかわからん。
その運を逃さず、ちゃんと自分のものにすることさえ出来れば、影の者でも表へと出てゆけるというわけだ。
のう―――ボーカロイドに恨みを抱く、嫉妬深き模造品よ」
「なっ―――!?」
思わず立ち上がるテト。家康は姿勢を崩さず、関心も薄そうに言った。
「安心されよ。そなたが黙っている以上、そのことは誰にも言わぬ。もちろん信長様にもな。
ワシが言いたいことは一つだけだ。天下を取りたいなら、機を逃すな。そして、時には非情さを持て」
そう言い終えた、次の瞬間。
家康の体は、まるで煙の如く、テトの目の前から消えていた。
テトは狐につままれたような気分で家康の部屋を退出した。
彼は最初からその話をするために彼女を呼び止めたのだろうか。あるいは単なる気まぐれか。
いずれにしても彼女のすることは変わらない。KAITOを筆頭としたボーカロイドたちの野望を阻止するだけだ。
そう思い直した彼女が次に目にしたのは、城の廊下の真ん中でトランペットを吹く男だった。
【一日目・午後8時40分/火星・安土城】
【徳川家康@戦国時代】
【状態】不明
【装備】不明
【道具】不明
【思考】不明
※テトがリンたちボーカロイドの知り合いであることに気づいています
【重音テト@UTAU】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】不明
【思考】基本:聖杯の完成の阻止
1:今は信長に協力する
2:なんだコイツ!?
※彼女は主催者の1人です。6/レプリカを作ったのは彼女です。
※自分がボーカロイドたちの知り合いであることは、他の主催陣営には秘密にしています
【
フレディ@魁!!クロマティ高校】
【状態】健康
【装備】トランペット
【道具】支給品一式 不明支給品
【思考】
1: 打倒、織田信長!
2:首輪を解除できる人を探す。
3:神山達、クロ高生を探す。
最終更新:2009年07月25日 11:01