まさおは泣いていた。
どうしてこんなことになったのだろう?
自販機に残ってた五十円玉をネコババしようか十分近く悩み、ポケットに入れた瞬間に首に首輪が巻かれていた。
五十円をくすねたバチにしては酷すぎるんじゃないだろうか。
貨幣の価値がなくなったせいでこの五十円玉は使えなくなったし、そのうえどうやら自分の支給品はこの五十円玉らしい。
せめて五円玉なら催眠にでも使えそうなものだが、五十円玉だ。
なんかもうどうにもならない。
「誰か助けてぇ~」
ひたすら泣き続けるまさおの前に、ヒーローが現れた。
「やぁ、僕が来たからにはもう大丈夫だよ~」
現れたのは、緑色の化け物。
死んだ魚のような目は子供を泣かせるのには十分だった。
「うぇ~~ん」
「泣かないで、僕がこんな
ゲームは終わらせてあげるから」
緑色の化け物は両手を広げわざとらしく滑稽な動きをしてみせる。
「うぇ~~ん」
こうかはいまひとつのようだ。
「僕はスキューバから何から完璧にこなせるんだ、こんな首輪くらいちょちょいのちょいさ」
「うぇ~~ん」
まだ泣きやまない。
いくらガチャピンチャレンジで鍛えたせいで筋肉隆隆だからって、そこまで脅えるのはいささか無礼じゃなかろうか。
「うぇ~ん!怖いよぉ~」
「…………」
緑色の生物が動きを止める。
虚ろな瞳でまさおを見つめ、やれやれというように肩をすくめた。
「うぇ~……え?」
驚き見開かれたまさおの目。
その目に、地面を蹴る緑色の足が映った。
緑色の手が迫り来るのが見えた。
コキャッとコミカルな音を立て、まさおの世界は逆さまになった──
「やれやれ……これだから近頃の子供(ガキ)は嫌いなんだ」
ガチャピンは動かなくなったまさおの頭を踏みつけた。
ガチャピンが重たかったのか、はたまたまさおの頭がデリケートだったのか、まさおの頭は潰れたトマトのようにクシャッとなった。
「最近は色々とうるさいから我慢してるけど、僕が好きなのは“良い子”のみんなだけなんだよ」
足の裏にこびりついた脳髄が気持ち悪かったので、まさおの洋服に足の裏を擦り付けた。
力加減を間違えたのかミゾオチの辺りがクシャッとなった。あんびりーばぼー。
「君みたいに泣き虫な“悪い子”は食べちゃうのさ」
足にこびりついた肉辺は自販機に擦り付け、まさおの死体を拾いあげる。
通のガチャピンに言わせれば、“悪い子”はまず香りを楽しむ。
「ん~、不味そうだなぁ」
臭いは最悪。
無理矢理例えるならスルメイカを腐らせたような臭いだ。
腐らせたことないからよくわからんけど、なんかそんな感じに不快なの。
「……いただきます」
でも、今は食糧難。贅沢は言ってられない。
仕方なしにまさおの足をくわえ、はむはむとする。
やっぱり美味しくなかった。
(──ムックは、どうしてるかな)
長年共に働いて来た相棒のことが頭をよぎる。
あいつはいい奴だ。
食事は毎回おごってくれるし、お願いすれば肩だって揉んでくれた。
あいつは、仲間に入れてやろう。
(僕は、なんでもできるのさ)
自意識過剰なガチャピンは、まさおの(検閲)をもぎゅもぎゅと噛みながら考えた。
何だってそつなくこなす自分なら、首輪を外してこの法律をぶち壊すことも難しくない。
そしたら僕、ヒーローじゃないか。
それこそ、今まで
みたいな並の人気じゃなくなる。
受信料泥棒や著作権ヤクザよりも人気が出る。
「僕が、みんなを救うんだ」
ガチャピンの戦いが静かに幕を開けた。
【埼玉・80円コーラの買える自販機前/7時】
【ガチャピン@ひらけ!ポンキッキ】
[状態]:俺SUGEEEEE!!
[装備]:なし
[道具]:不明
[行動方針]:仲間を集め、“自分の指揮の元で(ここ重要)”バトルロワイアルを終わらせる。
[思考1]:“良い子”は守る。“悪い子”は食べる。
[思考2]:千葉にガチャピーランドを建設する。
[思考3]:わくわくさんだけはリスペクト
【まさお@クレヨンしんちゃん 死亡】
【残り いっぱい】
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最終更新:2007年02月06日 13:06