39/たちが乗ってきたタイムマシンが爆発するのを見届けたテトとリン。
「ちょ……ちょっと、あいつらあっという間に全滅しちゃったじゃない!!」
思わずテトに詰め寄ろうとするリン。しかしテトは五月蝿そうに目を細めて言った。
「まあいいわ、目的の半分は達成できたしね。どっちみちあいつらは全員殺すか未来に送り返す予定だったから丁度いいわ」
「え……目的の半分って、いつの間に!?」
驚くリンの前に、テトは一本の透明なケースを懐から取り出してみせる。その中は赤い液体が満たされていた。
「これ、何だかわかる?」
「ええと……トマトジュース?」
「バカね。これはあいつらの一人から採取した血液よ。これを調べればあいつらの遺伝情報も得られるってわけ」
「は……はあ……」
とりあえず納得したような素振りを見せたリンだったが、テトの真意は全く掴めていない。
39/の遺伝情報などを手に入れたところでどうなると言うんだろう。そもそもボーカロイドの子孫である彼らに遺伝子なんかあるんだろうか?
「ま、細かいことは後々話すとして……少し場所を変えましょう。いつまでもここにいたら、さっきの爆発を聞きつけた連中が集まって……」
そこまで話して、テトは言葉を切った。その顔は見るからに何かヤバいことに気付いたような表情だ。
「ど……どうしたの、テトちゃん?」
リンの問いには答えず、テトは39/の血液入りのケースをリンに渡した。
「悪いけど、これはあなたが持っててくれる? 信長様たちを別にすれば、あんたをマークしてる参加者はまずいないはずだし、
あんたが持ってる方が安全だわ」
「え……でも……」
「悪いけど先に行っててくれない? ちょっと用事を思い出しちゃって。すぐに後を追うから。
それともし私よりも先に『
マーラ様の人』っていう人に会ったら、その人にその血液を渡しておいてくれるかしら?」
リンはその言葉の裏にある思惑に気付いて思わず唇を噛む。
あの時と……
DIO様に、安土城の中で待機を命じられた時と同じだ。
自分は戦力外だと言われているのだ。
「どうしたの? さっさと行きなさいよ」
テトのそっけない態度にも、何も言い返すことが出来ない。
彼女はこの後ここで誰かと戦おうとしている。
―――自分はまた、置いていかれる。
「わかったわ。そのマーラ様の人って人はどこにいるの?」
テトは指で、彼のいる方向を示した。
「あっちのほうに行けば会えるのね? じゃあ後で必ず来てよね、テトちゃん」
リンはそう言うと、血液入りのケースを握り締めて走り出した。
その場から去りながらリンは涙がこぼれそうになるのを必死でこらえる。
(私は結局、誰の役にも立たないのかなあ……)
あの葱女なんかよりは、よっぽどしっかりしてる自信があるのに。
彼女に背中を預けてくれる味方は、どこにもいないのもかも知れなかった。
そのリンの背中を見送ったテトは、決然と『彼』に振り返る。
「やあ、お久しぶりだね。こうしてまともに話すのは半年ぶりくらいじゃないかな、テト?」
いつの間に姿を現していたのか。その男、
KAITOは夕風に悠然とマフラーをなびかせる。
「わざわざリンちゃんがいなくなるまで待っててくれたの?」
それには答えず、KAITOは聖者のような笑みを浮かべて尋ねる。
「どうして僕が近くにいることに気付いたんだい?」
「これよ」
テトは自身の腕に付けられた、腕時計に似た形をした装置を示す。
「細川様が作ってくれた、『参加者探知機』よ。特定の参加者が近くにいると反応を示すようになっているの。
私の場合は、ボーカロイドが近くにいれば反応するように設定してあったのよ」
「なるほど、便利なものもあったもんだね」
「KAITO兄さんはどうしてここに?」
「いやね、本当はそれよりも優先しないといけない用事があったんだけど、たまたま大爆発を目撃しちゃってね。
驚いて近くに来てみたら、見知った顔があるじゃないか」
そしてKAITOの目が、弟妹たちを嬲るときのそれに変わる。
「で、テト。聖杯戦争の開始直前に音信不通になったのはどうしてかな?
君も僕らが聖杯戦争の準備をしていたことは知っていたよね?」
やはりそう来たか。いつか彼らとの激突は避けられないとは思っていたが、よりによってKAITOとは。
もしここで、自分がボーカロイド一族を裏切ろうとしていることなどを知られたら命は無いだろう。
おそらくそのことをたっぷり後悔されられた上で葬られる。こいつはそういう男だ。
「私も私なりに、みんなの役に立ちたいと思って……一人で独自に動いていたのよ。
ほら、敵を欺くにはまず味方からって言うし」
「ふーん」
相変わらず、妹達の尻を叩く時と同じ顔でテトを見下ろすKAITO。
「それが、リンと組んでミクを殺そうとすることの理由にでもなるのかな?」
彼がそういい終わった時には、すでにテトの右腕は切り落とされていた。
何が起きたのかも判らずにKAITOを見るテト。彼の腕には氷でできた剣。
それにべっとりついているのは紛れも無く自分の血だった。
「ま、待って!! 私を殺したらあなたの立場だって危なくなるわよ!! 私は主催者側の一味で……」
「へーえ、やっぱり僕らを裏切って、信長側についていたわけだ」
「!!……」
しまった、と思った時にはもう遅かった。鳩尾に膝蹴りが叩き込まれる。
「ぐ……ま、って……信長様は、確かあんたの昔のマスターでしょ……」
地面に蹲りながらも必死に声を発するテトの顎を、KAITOは砕かんばかりの勢いで蹴り上げた。
「僕のマスター、
織田信長は死んだ。この世界にいるのはあくまでも姿と名前が同じ偽者に過ぎない。
おまけに君はマーラ様の人という者と組んで、6/のレプリカを作って聖杯戦争を妨害した」
そう言いながらKAITOは、鞄の中から一つのポリタンクを取り出して中の液体をテトの上に浴びせかけた。
その匂いから液体の正体を知ったテトは驚愕する。
「い、いやぁぁぁぁぁ!! お願い、許してぇぇぇぇ!!」
必死に逃げ出そうとするが、惨めに地面の上を這いずり回る程度の体力しか残されていなかった。
「本来なら先にお尻ぺんぺんをする所だけど、君のお尻は正直あんまり見たくないからね。この『偽者』が」
KAITOはポケットに手を突っ込んでライターを取り出した。
「偽者が本物に勝てる道理なんか無いんだよ? もっと大人しく僕らの引き立て役に甘んじていればよかったのにね」
(違う……私は、偽者なんかじゃない……ボーカロイドの代替品なんかじゃない……)
恐怖のあまり薄れゆきそうな意識の中で、テトはそう繰り返していた。
しかし彼女は気付かない。
『ボーカロイド一族に復讐する』という行動方針そのものが、『本物』に対抗することでしか存在意義を得られない
自らの卑屈さの照明であったことに。
「そうそう、最後に一つ教えておいてやるよ」
KAITOはライターに火を点けながら言った。
「ミクを殺していいのはこの僕だけだ」
KAITOがライターを投げ捨てると、ガソリンに包まれていたテトの体は瞬く間も無く燃え上がった。
テトは悲鳴すら上げることも出来ず、煤けた黒い塊になるまでのた打ち回るしかなかった。
「さて、と」
テトを焼き殺したKAITOは、その亡骸を見てため息をつく。
その背後に迫る長身の影があった。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
トランペットを振り上げてKAITOに殴りかかろうとしたのは、上半身裸のロッカーのような風貌をした男、
フレディ。
しかしKAITOは振り向きざまに彼の体を苦も無く氷の剣で刺し貫いた。
フレディは自らの血の海の中に倒れこみ、二度と目を覚まさなかった。
「……終わったか?」
一部始終を見届けて、ようやくそのサーヴァントは姿を現す。
「思わぬ寄り道をしてしまい、申し訳ありません、6/氏」
KAITOが敬語で話す相手は、今は亡き主君信長を除けば彼だけである。
「それは構わんさ。中々面白いものも見れたしね。思わぬところで発揮される人間の残虐さ……
おっと失礼、あんたは人間じゃなくてボーカロイドだったな」
6/の皮肉も、KAITOは意に介した様子は無い。
「さて、では急いでミクたちの所へ行きましょうか」
ミクが大人しく、今まで一緒にいた6/と別れて別世界の6/と組むことを承知すればいいのだが、
そうでない場合は少々きついお仕置きをしないといけないだろう。
「その前に一つだけ聞かせてくれ。さっきのセリフ、あれはあんたの本心か?」
「ミクを殺していいのは僕だけって奴ですか?」
「いや、それより前の、『偽者は本物に勝てる道理は無い』って奴さ」
「ああ」
どこか冷めたような顔をしている6/に向かって、KAITOはとびきりの笑顔を作って言った。
「もちろん、冗談ですよ」
【重音テト@UTAU 死亡確認】
【フレディ@魁!!クロマティ高校 死亡確認】
【鏡音リン@ボーカロイド】
【状態】肉の芽 尻に鞭の跡多数 尻丸出し
【装備】デリンジャー
【道具】支給品一式、39/の血液
【思考】 基本:ミク氏ね
1:マーラ様の人と合流する
2:DIOに従う
【KAITO@ボーカロイド】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】不明
【思考】基本:ミクをサポートする(?)
1:ミク達に6/のことを説明(?)する。
2:レン達に対処。
※牛乳に流されてて放送を聞き逃したため、MEIKOとハクが死んだことを知りません
※何らかの手段で太陽系の現状をほぼ把握しました
【◆6/WWxs901s氏(真)@書き手】(マスター、クラス・真ライター)
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品
【宝具】SS用万年筆(真)
【思考】
1:KAITOに従う。
※平行世界の6/氏です。英雄的な人物らしいです。
※ミクのマスターであり、同時にミクのサーヴァントです
※6/のマスターとしての権限、サーヴァントとしての能力を引き継ぎました
最終更新:2009年10月16日 00:20