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「OH? ジャパンでクレイジーな法律が通った?
 アベめ……ファッキン! コイズミが続投していればこんなことには!」

 ホワイトハウスの一室で、アメリカ大統領ジョージ・ブッシュは声を荒げていた。
 あの平和と秩序の国ジャパンで、バトルロワイアル? ジョークも大概にしてほしいものだ。
 だがしかし、今回のジョークでタチが悪いのは一体何なのかというと、
 放った本人が至って真面目にウケると思ってやっているらしいことだ。
 冗談じゃない。国連会議でノムヒョンが嬉々としてファビョる姿が目に浮かぶぞ。
 ブッシュは考えていた。
 アベは本物のクレイジーだ。いずれその狂った法案を、世界規模で撒き散らす事すらも考えられる。
 WW3開戦のきっかけが、一人の狂った政治家によるゲームによるものなどと、来世の者たちには到底語り継げまい。
 ならば、私は。正義の国アメリカの現大統領、ジョージ・ブッシュは一体どうするべきか?
 決まっている。止めるのだ、その暴虐を。

「コイズミ、君のフォーエバーラブをもう一度聴きたかったものだが……」

 悪の枢軸に鉄槌を。その赤いボタンを押すことに、ブッシュは微塵も躊躇いを感じなかった。



「こちら国会議事堂前です! 安倍新総理の打ち出した新法案【BR法】に対する抗議デモはますます活発化し、
 今や暴動を通り越して、事態は重火器まで持ち出される大騒動にっ……! ヒイッ! にっ、逃げろぉぉ――っ!!」

 脱兎の如く駆け出したリポーターの姿が画面から消えて、
 ブラウン管の中の風景が急速に落下し、砂嵐になる。カメラマンも逃げ出したようだ。

「何ということだ……」

 柔道着の男、せがた三四郎はその光景を前に呻いた。
 この国は本当に狂ってしまった。国のトップが現実とゲームを混同するような時代が来てしまうとは。
 セガサターンが普及していれば。湯川専務の言うことを、国民が信じてさえいれば。
 何より、このせがた三四郎に、もっともっと力があれば。この国を救えたかもしれなかったのに。

「セガサターン、しろ……」

 とっくの昔に時代の波へと、埋もれてしまったその言葉。
 しかし……今こそこの言葉を再び、この国の民衆に広めていくべきではないのか。
 一家に一台セガサターンを。安倍新総理もセガサターンを。そうして日本は救われる。
 見える……見えるぞ、平和な未来が!!

「とおりゃああ――!!」

 せがたは無意味に壁を突き破り家を飛び出した。過去の遺産を掘り返し、その素晴らしさを人々へと伝えるために。
 しかし、その足はすぐに止まることになる。彼の頭上が突如漆黒に覆われたからだ。

「ミ……ミサイルだと!?」




「核だ! ブッシュが核を飛ばしてきたんだ!」
「腐っちまった日本を、自分の手で終わらせる気なんだ!」
「正義に巻き込まれて殺されるんだ! 俺達は! もう駄目だあああ!!」

 逃げ惑う人々の嘆きとともに、せがたの心も絶望に包まれていく。
 ああ、これで我々は終わるのか。日本中のセガサターンも、正義の炎で燃え尽きるのか。
 日本の皆よ。せめて生まれ変わった時こそ、セガサターン、しろ……。

「……こんな時、あいつが……せがたがいれば……」

 と。
 不意に聞こえてきたそんな声に、せがたは俯いていた顔を上げた。

「せがた……そうだよ、せがただよ!」
「せがたさん! いつかのCMで帰ってプレステやろうとか言ってすみませんでした!
 湯川専務にも謝っといて下さい!」
「セガサターンを愛する心があれば……ミサイルだって跳ね返せるよ!」

 せーがーた! せーがーた! せーがーた! せーがーた!
 その瞬間、確かに日本国民の心は一つになっていた。確かに彼を、呼んでいた。
 時代はもう一度、彼の力を必要としたのだ。

「……アメリカ大統領、ジョージ・ブッシュよ」

 彼が世間へと姿を晒すとき、その歌は必ず流される。どんな時も。バトルロワイアルの世界の中でも。

「セガサターン……しろぉぉぉぉっ!!」

 地表スレスレに迫っていたミサイルの先端に向けて、せがた三四郎は飛び上がった。




 せーがたー さんしろー♪ せーがたー さんしろー♪
 セガサターン……しろっ!

「とおりゃああああああああ――――――――!!!!!!」

 ああ、何故だろうか。前にも一度、こんな風にミサイルを押し返したことがあったような気がする。
 錯覚だろうか。きっとそうだろう。そんな真似をして生きていられる筈がないのだから。
 そう、今回もまた同じように――俺はセガサターンのために、散ろう。
 さらばだ、みんな……!!


『せがた三四郎――――――――っ!!!!!』

 最後に聞こえたその絶叫を、俺はいつまでも忘れることは、ないだろう。
 たとえ生まれ変わろうとも、俺は絶対に忘れない。あのセガサターンのロゴとともに。

 せがたの押し戻したミサイルは、成層圏を遥か突き抜けた先、膨大な宇宙の何処とも知れない場所で、そのときを迎えた。
 星空の彼方で、何でもないように、その輝きは瞬いて――そして、消えた。



【アメリカ ホワイトハウス 1日目:22時】
【ジョージ・ブッシュ@政治家】
[状態]:健康
[装備]:アメリカ
[道具]: 色々
[思考]1:アベはベリークレイジーねー

【せがた三四郎 死亡】




24話
ジョージ・ブッシュ 111話
せがた三四郎 26話


最終更新:2007年02月06日 13:23