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殺し合いの主催者・織田信長は、此度の殺し合いがもはや自らの手に負えるような代物では無くなったことを悟った。
目の前の多数のモニターに映っているのは、突如同時多発的に沸き起こった天災に逃げ惑う人々。
地震、津波、突風、竜巻、吹雪、熱波、火災、土砂崩れ、落雷……それらは殺し合いに疲弊していた人々を容赦なく飲み込んでいた。
そして信長は、まるで魅入られるかのようにしてそれらを眺めていた。
最初の災害発生から数時間。主催本部には刻々の犠牲者の数が報告されてくるが、その人数は一秒ごとに跳ね上がり、午後八時現在、遂に一千万人を超えた。

無論全ての参加者が災害で命を落としたわけではない。
ごく一部だが自力で脱出した者もいれば、奇妙な男の作った箱舟に乗せられて生き延びた者もいるようだ。
それらの者は現在災害が収まった地域に避難している。
しかし、その平穏など所詮は局地的なものであり、一時的なものに過ぎないのだ。
惑星がさらに太陽に接近すれば惑星の気温は上昇し、今度は灼熱地獄が襲うことになる。
さらに極地の氷も溶けるだろう。それによって津波や洪水はさらに勢いを増す。
もっと大きな問題は太陽の重力だ。太陽に接近することで惑星にはたらく引力はますます大きくなり、これまでとは比べ物にならない規模の地震が……

(いや、そんなことはどうでもよいか)

信長は想像を断ち切った。懸案事項はそんなことではない。
これほどまでの災害だ、下手をしたら聖杯だって損傷を免れないかもしれない。
今無事であったとしても、惑星が太陽に衝突してもまだ無事だという保障など無い。
せっかく聖杯戦争も一気に脱落者が増えて終結に向かいそうな状況だというのに、聖杯が失われてしまっては意味も無い。

(仕方あるまい……本来ならあいつには、こんな役目などさせたくは無かったのだが)

信長――ああああに操られた人格――はある決意をすると、そっと右手の袖をまくり―――その下にある、令呪を外気に晒した。

※※※

「ったく、無茶をする奴だな。あんなチート野郎の能力なんぞを受け継いで、まともでいられるわけがないだろう」
英霊6/は、見るからに顔色の悪いKAITOを呆れたような顔で見下ろしていた。
地面の上にしゃがみ込んだKAITOはなおも不敵そうな笑みで答える。
「何、これくらい、信長様のためだと思えば……」
「ふん、二言目にはそれか。まあお前の行動方針についてどうこう言う気は無いが……」
6/はKAITOに肩を貸して立ち上がらせる。
「この近辺もそろそろやばい。移動するぞ」
「ったく、こうも次から次へと災害が起こるとは予想外でしたよ」
「バカ野郎、惑星の公転軌道を変えるなんて無茶をしたらこうなるのは目に見えてただろうが」
6/はKAITOの体を軽々と抱えて走りだした。この地域に間もなく豪雨が降ろうとしていたのだ。
二人はこうして比較的災害の程度の軽い地域を転々としつつ、邪魔になりそうな参加者を狩っていた。
走りながら6/は問う。
「一つ聞いておくが、お前の考えでは今回の殺し合いの主催者である信長は、お前の主人では無いんだな?」
「ああ、僕のマスターはああああに敗れて死にました。この世界にいるのはおそらく平行世界のマスターでしょう」
「ふうん……で、お前はあくまでも、主人である元の世界の信長のためにこの殺し合いを企画し、俺を召還したと」
「ええ、そうなりますね」
「でもまあ、そりゃお前なんつーか、いかにも非生産的な行いじゃ……」
何かを言いかけていた6/の足が、突然止まった。
「どうしたんです?」
「……ちっ。勘付かれたか」
6/はそう言うと、KAITOをその場に下ろして言った。
「しばらくここに隠れていてくれ。ちょっと言ってくる」
「戦闘ですか!?」
「ああ。だが今のお前は使い物にならん。俺一人で十分だ」
そういい残すと、6/は振り向きもせずに駆け出した。


(やはり、こいつか……)
6/がたどり着いたのは、見通しのいい開けた広場。
それだけでわかる。自分は誘い出されたのだ。
目の前にいる、誰よりも真剣勝負にこだわるサーヴァントに。

「お会いできて光栄だよ、イチロー。いや、今はバッターと呼ぶべきか」

「じゃあ僕も敬意を込めて、君をライターと呼ばせてもらうよ」

いつものように穏やかな声でそういうバッターのサーヴァント、イチローだったが、その姿は満身創痍だった。
服はところどころが破け、少しだけうかがえる地肌には生傷が浮かんでいる。
よほどの強敵との戦闘の後だったのだろうか。

「酷い有様だな」
「うん、すまない。まあ何しろ、宇宙空間から何とか戻ってきたところでね。
正直、こんなコンディションで戦うのは僕の本意じゃない。でも今回ばかりは仕方ないんだ、僕のマスターの命令でね」
「その命令ってのは?」
そう問いかけながら、6/は内心安堵していた。
もし待ち構えているのがバッターであれば、自分の勝ち目はまずあるまいと踏んでいた。
どうにか説得して停戦に持ち込むか、裏をかいて逃げるしかなかっただろう。
だが、さしものバッターとはいえ、ここまで疲弊していれば突破の目も見えてくる。
実際バッターから感じる魔力はもはや微々たる物であり、おそらくは宝具の使用も一回くらいが限度だろう。
「まず、今起こっている大災害を止めろって言われた。けど流石にそれは僕にも無理だよ。ましてやこんな有様じゃね。
次に、だったらこの大災害を引き起こした元凶を始末しろって言われたんだ。つまり君たちだね」
バッターはそういうと、突如顔から笑みを消した。
「だけど、正直僕はそんな命令が無くても君たちを始末するつもりだった。君たちがしていることは何だ?
こんなのは『戦い』だなんて呼べるようなもんじゃない。何の目的があってかは知らないけど、無関係の人を何万人も死なせて……
正々堂々と、自分よりも強い相手に向かっていくのが本当の戦いだ。無抵抗の弱者を大量に殺すなんて、
聖杯戦争でも、バトルロワイアルでも許されない」
彼にしては珍しいほどの、はっきりとした怒り。
(これは、もとより停戦の説得など無駄だったか)
6/は胸の中で苦笑した。どっちにしろ、ここで戦うことは不可避らしい。
「だけど、僕はどんな相手とでも正々堂々と戦う。さあ、君の武器を構えてくれ」
イチローはそう言って、手にしていたバットを振りかぶった。
「やれやれ、苦手なんだよなあ、あんたみたいなタイプは」
6/は間合いを詰めるように彼に歩み寄る。


『令呪により命じる。自害しろ、バッター』


「なっ……」
次の瞬間6/が目にしたのは信じられない光景だった。
イチローは突如、自分の頭をバットで殴り始めたのだ。それも何度も何度も。
「くっ……こんな……ことが……」
切れ切れに聞こえるイチローの声が、その行為が彼の本意では無いことを物語っていた。
(そうか、令呪か!!)
だが何故彼のマスターがこのタイミングで彼に自殺などを命じたのか?
そんなことを考えている間にも、イチローの頭からは見る見るうちに血飛沫が上がっていた。
そして数分後。
ついにバッターのサーヴァントは地面の上に倒れ、動かなくなった。
唖然とその光景を眺めていた6/と目を合わせると彼は小さな声で囁いた。
「君にも……野球を、おしえてあげたかったのにな」
それが最期の言葉だった。


バッターの亡骸が消滅した後も、6/はしばらくそこに佇んでいた。
何一つ確かなことはわからない。わかるのは聖杯戦争からまた一人サーヴァントが脱落し、聖杯が完成に近づいたこと。
そして、自分とKAITOが命拾いをしたこと。
その時近くで大きな落雷の音がした。雨雲がすぐそこまで来ているのだろう。
6/は残してきたマスターの元へ急いで戻り、その広場からはそこに誰かがいたという証拠すら無くなった。


【イチロー@現実?  死亡確認】
【バッター  脱落】

三日目・8時/災害の影響をあまり受けていない地域】

【KAITO@ボーカロイド】(マスター)
【状態】疲労(中)
【装備】不明
【道具】支給品一式、不明支給品、アルティメットワンメモリ@テラカオスバトルロワイアル
【思考】基本:聖杯戦争を円滑に進めるために暗躍する
1:この世界の信長にメモリを渡す
※真ライターのマスターです。
※『アルティメットワンメモリ』……◆02GOODMe2.の「U-1化」の記憶が内包されている。体に挿し込むと02の全能力が使えるようになる。

【◆6/WWxs901s氏(真)@書き手】(クラス・真ライター)
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品
【宝具】SS用万年筆(真)
【思考】
1:KAITOに従う。
2:聖杯戦争及びカオスロワを外野の立場から愉しむ。
※平行世界の6/氏です。英雄的な人物らしいです。
※6/のサーヴァントとしての能力を引き継ぎました。
※◆02GOODMe2.の魂を完全に消滅させました。
 今後いかなるアイテム・方法をもってしても◆02GOODMe2.を生き返らせることはできません。アイテムは使用した分ムダになります。


「KAITO……ドナルド……社長……」
主催本部のモニターの前に座っている男は、先ほどまでと同じ織田信長。
しかしその人格は、バッターにKAITOらの抹殺を命じた先ほどまでの信長とは別人である。
ああああに乗っ取られた人格ではなく、本来の織田信長だ。
「そうか、やはりお前だったのか。ようやく思い出せたぞ、KAITO」
あの日、たまたま通りかかった自分に、なんとか自分の家族を救ってくれと縋りついた青年。
共に生き、歌い、最後にはドナルドや社長と同じく世界をかけて戦った、かけがえの無い仲間。
「会いたかったぞ、KAITO」
信長は令呪の完全に消えた右腕を見下ろしながら言った。もちろんバッターに自害を命じたのは彼である。
KAITOがやったことは許されることではない。それはわかっている。
しかし、それでも彼はかつての忠臣にもう一度会いたかったのだ。



【三日目・八時/主催本部】
【織田信長@戦国時代】
【状態】不明
【装備】不明
【道具】不明
【思考】
(本来の人格)
1:KAITO
2:ああああ復活を阻止する
3:聖杯を破壊するため、イナバ物置破壊法が知りたい
(ああああに操られた人格)
1:聖杯戦争で優勝し、ああああの肉体を復活させる


※本来の人格は、KAITOの元いた世界の織田信長と記憶を共有しています
最終更新:2010年03月23日 00:22