「スゥゥパァァノヴァァァッッッ!」
「っ! ダブルスターバスター!」

東京都のビル街……今しがたまたビルが爆発で消し飛んだため最早荒野と言って差し支えないだろう。
星を破壊する攻撃と全てを塵にする攻撃は互いに互いを相殺しあう。
戦っているのは、変態か変人と呼ばれる人間と、あらゆるドラゴンを吸収した神龍と呼ばれるドラゴン。
その戦いは――

「ふははははぁ! 砲撃後、僅かに硬直があるな? それが命取りだ。くらえ、ソウルプレス!」
「て、天使の翼!」

いや、途中から戦いとは呼べない、一方的な展開となっていた。
人間側は決して弱くない。どころか、過去にニアラを葬ったことさえある。
事実、神龍が不意打ちで召喚した「幻視」帝竜は7体共そくざに撃破しているのだ。

【幻視帝竜@セブンスドラゴン】全滅確認

そして、神龍とまではいかないが、屈強なる武装真竜もいまや地に沈んでいる。

【幻体真竜№6】死亡確認

だが、そこから状況が一変した。
神龍も自分を葬った相手の力量をまるで考えないわけではない。
幻視帝竜は、彼らの体力を消耗させるための囮として使ったのだ。
そして、その幻視帝竜のうち、「ある2体」の遺体を食べることが狙いでもあった。
その2体の竜の名はそれぞれ幻視黒影、幻視山脈といった。
元々ニアラの部下であった黒帝竜デッドブラックと地帝竜ジ・アースの強化レプリカといった具合の存在だ。
個々で戦えば、同じ幻視帝竜の中でも弱い部類に入る2体だが……
それぞれが持つ必殺技がひとつになった瞬間……悪夢が生まれる。
黒影の必殺技は完全なる闇・改。その効果は対象者の残りの体力で変わる。
対象者の体力が100~71%の時には高確率での睡眠効果の付与。
そして、70%以下の場合……対象者を問答無用で即死させるのだ。
山脈の必殺技はソウルプレス。その効果は、相手の現在の体力の半分のダメージを与えるもの。
そう、回復が間に合わない場合、ソウルプレスを食らった瞬間残りの体力は50%となる。
そこに完全なる闇・改がくれば……待っているのは、紛れも無い「全滅」だ。
たとえ防御力を、最大体力を限界まで鍛えても意味は無い。これは割合ダメージと特殊技なのだから。
そして、帝竜とは別のドラゴンの技、スーパーノヴァ。
これは純粋に、小細工の必要のない超破壊攻撃。ただそれだけだが、故に恐ろしい技だ。

プレスされて闇に飲まれ死ぬか?闇に飲まれ眠り、そのまま永眠するか?
どちらにしろ死んでしまう攻撃を神龍ニアラは容赦なく人間達に放つ。

「む、またワープしたか! 小賢しい連中だ!」

理不尽な攻撃の数々の前に、人間達が出来るのは逃走だけだった

◆ ◆ ◆

「はぁ……はぁ……」

まだ、崩れていないビルの中に4人の人間がいた。彼らこそが、神龍ニアラと戦い続けている存在だ。
息も絶え絶えな4人。しかしその中には後方待機していたはずの3人の姿が無い。

「鬼道さんたちは逃げ切れたんですかねぇ・・・」
「ブロントさんも人が悪いな……素直に「危ないから逃げろ」と言えばいいものを……」
「そう言えば、彼らの性格上……意地でも残っちゃいますよ……」
「だから、「増援を呼んできてくれないか?」なんて言ったんですね……」

ブロントさんの言葉を受け、赤い彗星たちは百式で空を飛んだ。それが、偽りの言葉とは知らずに。
その発言の真意は、彼らを逃がすことにあった。
いくら彼らが一般人より強くとも、「戦闘」経験が少なくてはニアラの猛攻を避けきれないと判断したのだ。

「3人とも大丈夫かと不安が鬼なる・・・」
「ちょっと……厳しいですね……言いつけを破って、スターバスターを使いすぎたか……
 もう全身軋んで、片腕なんてあがりませんよ……」
「私も……ですね……これ以上天使の翼を使って4人同時の短距離瞬間移動をするだけの魔力がありません……」
「残念ながら……私も尽きかけている……正直、ルーク達との戦いよりも厳しいな……」

4人はまさに満身創痍。そして絶体絶命の状況だった。
ソウルプレスやスーパーノヴァ以外にも、神龍ニアラの技は大量にあった。
その全てをかわしきり、なお且つ超再生する神龍を葬るなど、不可能に近い。

「それでも・・・ここであいつをどうにかしなければいけないのは確定的に明らか」
「あのプレス直後の闇の連撃は、その効果を知らない人が受ければそのまま即死ですからね……」
「しかしあの竜もよく喋る竜だ。私たちにはその手の内を晒したのだからな……」
「絶対的優位にあることを見せ付けたいのでしょう。人間を、見下す存在ですから……」
「その一瞬の油断が命取りと教えてやりたいのに教えられない俺あh隙だらけだった・・・」

神龍の悪夢の連撃の効果を知るのはここにいる4人だけ。
だからこそ、ここで神龍を今一度葬ろうとするが、あまりに歯がたたないのだ。
彼らの間を漂うのは、ただ重い空気。

「…………最後の賭けに出るか」

そんな時、ラグナがおもむろに口を開いた。

◆ ◆ ◆

「な何か秘策があるのか!? あるならいうべきリアルで死にたくなければ言うべき!」
「今のニアラは、近づくことさえ容易ではありません。
 仮に接近できても、そのままニアラを少なくとも行動不能まで追い詰める一撃は今の僕たちにはありません。
 だから、「強力な一撃」を放てる武器を作るんです」

そういうとラグナは、ブロントさんの腰にさされたグラットンソードを指差す。
この戦いでも奇跡的に刃こぼれしていないそれは、静かに黒い光を放っている。

「たしかにグラットンはえごいが・・・ニアラをバラバラにするには攻撃力が足りない! 足りにくい!」
「ですが、現状では最大の武器。これをベースに「練成」します。
 この、ニアラが召喚した幻体真竜№6をね」

そういうと、数回前の瞬間移動の際に回収していた装真竜の遺体を部屋の奥から引きずり出してきた。

「見ての通り、全身金属の塊ですから、練成は容易です。
 それにこの竜は元々ニアラと同格だった存在の上位互換。たとえ今のニアラの表皮でも切り裂けるはず。
 さらには食べることしか考えていない闇属性の竜ですから、相性もこれ以上ないといっても過言ではありません」
「し、しかし練成は大変ではないのか?」
「伊達に鍛治レベル最大じゃありませんよ。神話のミョルニルやグングニルでも数秒で作れます」
「・・・では頼むんだが?」

やがて、グラットンソードと装真竜の鍛治練成が行われた。
確かに素材としての相性はいいようで、2つの素材は瞬く間に1本の剣へとなった。


だが……


「ち! やっぱり剣の中で真竜が暴走し始めたか!」

台に置かれたグラットンからは禍々しい気が溢れかえっていた。
元々七罪の暴食、貪欲を司るグラットンソードと、食欲を優先する貪欲な真竜は同列と言える。
だが、そうだからこそ相乗効果が発生し、元の比較にならない程の闇の力を振りまき始めたのだ。

「ちょととこれマジで本気でsYれならんしょ・・・?
 烏賊に至高のナイトといえどこの闇の暗黒のダークパワーを制御しながらニアラを倒す自信はにい;」
「……大丈夫、まだこれくらいなら問題はありません。
 金属生命体である以上、残留思念の類があるであろうことは想定の範囲内。
 内部で暴走しているなら、内部から押さえ込めばいい……
 この剣に、さらに僕の魂を練成すれば――
「!? ちょっと待つべき!」

あわててブロントさんが立ち上がる。
今、最後の方に聞き間違いかと思わざるを得ない言葉があったから。

◆ ◆ ◆

「どういうことだ!? 今たましいとか聞こえたんですがねぇ!?」
「あぁ、僕の前世、鋼の義手の錬金術師とかだったのかなんなのか、金属に魂を練成することも――
「そういう問題じゃないと言っているサル! そんなことをすればお前が死ぬんだが!?」
「……えぇ、そのつもりですが?
 どのみち、このままでは全員死ぬ……違いますか?」

ぐっ……とブロントさんは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
彼とて、現在の状況がどれだけ絶望的かは理解しているのだ。
だが、全員で、仲間を誰も欠くことなく戦いを終えたい。それが騎士としての彼の願いだった。

「……リグレットさん、師団長だったというあなたなら、このままでニアラを倒せる可能性はどれだけだと思います?」
「…………0だな」

だがつきつけられた現実はいつも非情なものである。
そして彼が何かを言い返そうとしているなかで、エリスも立ち上がる。

「では、私もあなたと同じように……剣に魂を練成します」
「!? おい馬鹿やめろ! お前らヒットした頭を冷して落ち着くべき!」
「大丈夫ですよ。元々私は白黒、光と闇が合わさり最強に見える! の状態ですから。
 剣の中に入っても純粋に威力を上げるだけで、光と闇のバランスは保てるはずです」
「だから! そういう問題じゃ――
「……ありがとうエリス。
 ブロントさん、残念ですが僕たちもこの傷ではまともに戦うことは出来ない」
「それなら、せめて戦える人の力に、竜の腹の中よりも剣の中でこの人と一緒に……」
「ふざけるなよ仲間を見捨てる奴はナイトではない――
「……まだ鬼道さん達は無傷でしょう? 彼の仲間を探すと言っていませんでしたか?」
「お前達は馬鹿でちょと僅かに常識が欠落してる変態だが同じPT仲間なんだが!?」
「まだ変態扱いですか……ちょっと傷つきますね……でも、ありがとうございます」
「そんなに言うなら、内部からこの剣が司るの「色欲」に変えちゃいますよ?それじゃそろそろ……」

――さようなら

「おい馬鹿やめ――」

◆ ◆ ◆

「貴様らが戦う意思を見せないというのなら、我はこの星を食い尽くすだけだぁ!」

神龍ニアラは叫びながらも逃げ惑う人々を次々に胃へとおさめて行く。
もはや完全に無差別殺戮状態。
いや、当初の目的がこの惑星を食うことだったのだから、これで正常なのだ。

「全てだ! 我に刃向かう存在は全て――


「/Shoutニアラアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァアアアアア!!!」

凄まじい怒りの叫び声が辺り一帯に響き渡った。

「な、なん――」

突然のことに流石の神龍ニアラも動きが止まった。
次の瞬間には――

「ハイスラァッ!!!」
「があっ!?」

全身の力を込めて振り下ろされた漆黒の剣が、神の片翼を打ち砕いた。
再生にも、時間がかかっている。
剣を振り下ろしたのは1人の騎士。
だが、その手に盾は握られていなかった。
両手で神龍を殺すために作られた剣を構え、敵を見据える。

「仲間を守れない俺はナイトではなく内藤だった・・・
 だが盾を持たない内藤でも剣を両手で持って戦う系の話がある
 お前は輪廻転生も出来ないほどにズタズタのバラバラにするのは完全に確定
 ――覚悟しろ」


三日目・23時20分/新惑星・東京都】

【ブロントさん@ネ実】
【状態】決意、首輪無し、フードドーピング、ダメージ(中)、魔力消費(中)、怒り
【装備】竜殺剣グラットン(両手持ち) 、キングベヒんもス
【道具】支給品一式、無限のジュース、片手剣・ベジタブレード、天使の翼、星降る杖、氷輪丸
【思考】基本:主催者を倒して元の世界に帰る
0:ニアラを完全に滅する
1:貧弱一般人は殺さず退け、クライシス帝国を滅ぼす
※阿部さんに狙われているようです

【リグレット@テイルズオブジアビス
【状態】首輪無し、フードドーピング、ダメージ(大)、魔力枯渇
【装備】ルーチェ&オンブラ@デビルメイクライ、アイスシールド@FF6
【道具】大量のたまご丼の材料、魚剣・デカッシュ
【思考】
0:……
1:協力者を集めて、クライシス帝国を倒す
2:元の世界に帰る方法を探す
3:殺人が必要ならば躊躇はしない
4:和尚とルガールはどこに行った?

【再生神龍ニアラ@セブンスドラゴン+色々】
【状態】片翼喪失(再生)、多数ドラゴンと王様取り込み、首輪なし
【装備】なし
【道具】なし
【思考】
基本:竜の誇りにかけ人間の抹殺
0:変態or変人の皆さん全員の抹殺後、タィケボロを捜し出し殺す
1:自分を今まで殺してきた者も全員殺す
※症候群を破りました。次に死んだ場合は蘇りません
※取り込んだ王様の能力により、ドラゴンに限り蘇生が可能
※取り込んだスターダストドラゴンの能力により、高攻撃力の攻撃以外での撃破は不可能

【ラグナ@ルーンファクトリーフロンティア】竜殺剣化確認
【エリス@ルーンファクトリー】竜殺剣化確認
最終更新:2010年09月25日 11:25