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◆ ◆ ◆ ◆ ◆

「―――――ッ!」

聖杯は声にならない叫びをあげる。
先のグングニルと同じく、無敵と無敵の矛盾のぶつかり合い。
これも結果は痛み分け。ブロントさんの骨は砕けもう立てないが、聖杯も深刻な状況だった。

ただの無敵の塊ではなく、魔力を底上げされた絶零の氷塊が自分を貫通していったのだ。
それは、体の内側からもヒビが入っていくということ。
ヒビが、どんどんどんどん拡がっていく。
今、100人に来られたら……確実に大丈夫ではなくなっていた。

聖杯は理解に苦しんだ。
この世で最も硬いはずのイナバで出来た自分。
それが何故、生身の生き物達に追い込まれなければならないのだろう。
完成していないから?
もうほぼ完成している。
能力値を数値化すれば、きっとこの星の誰よりも高い数値のはず。
負ける要素はないはず。それなのに。


「ふははははは! まだ仕留められぬのかお前達。私に任せるがいい。メテオスォーム!」
「ミクトラン王、ゲシュペンストを修理してくれたこと、感謝する」
「おしい! 顔はいいがボディがロリじゃな「ウホッ……いいモノついてるじゃねえか」


聖杯はぼんやりとその声を聞いた。
三台の戦闘機に乗って現れたミクトラン、ギリアム・イェーガー、シャ阿部。
また増援かと考える間もなく、全身に天上王が降らした隕石が命中していく。

普段であればなんら問題ないはずのその攻撃も、当たった傍からヒビを大きなものへと変えていく。
そこに撃ち込まれる、精密射撃。
科学兵器にも耐えられたイナバの姿はそこにはない。ボロボロと聖杯は欠けていく。

「私は完全……私は完璧……! 『長女の番長伝説(アイアンクロー)』」

高速兵のマスターの技を使い、機兵を握りつぶそうと聖杯は残った腕を振り回す。

「当たらなければどうということはない!」

しかし、まさにその通りであった。
どんな重い一撃も、当たらなければ意味がない。
ましてや相手には予知能力持ちまでいるのだから。

焦れば焦るほど、周りは見えなくなっていく。


何の前触れもなく、聖杯の右足が業火に包まれた。

「うっ!?」

万全の状態であっても耐え切れるかどうか分からないほどの炎。
上空の三機ではない。一体誰が?

「最後もやっぱりめでてぇwww」

思考に割って入ってきたのは核の炎。

「検索が……するまでもなかったね。あれが『聖杯』……
 手にした者の願いが叶うらしいけど、異常なまでの魂を取り込んでいる。
 あと内部はずっと修羅場のようだ」
「なんだそれは?」
「まさか正体がこんな怪人とは……」
「なんにしろ、相手はかなり弱っている。これで決めるぞ!」

両の足を潰され、聖杯は残された翼で空中に留まる。
そして見下ろした相手を見て、絶望を覚えた。

現れたのは、ライジングアルティメットフォームとなったユウスケを先頭としたライダー軍団
なぜここまで凌いできて、こんな化物を相手にしなければならないのかと、聖杯はこの世界を呪う。
目立たないが、細目の幼女の攻撃もまた防御無視の最強魔法。
しかも、魔法具現体ゆえに何発でも撃てるというおまけつきだ。
傷ついたイナバの体では、どこまで耐え切れるか……
そもそも耐えられるかどうかすら怪しくなっていた。

(でも…………)

しかし、同時に聖杯はこれを勝機と判断した。
この相手を切り抜ければ、流石にもう次の攻撃に入れるような者はいないだろうと思ったのだ。これ以上の化物がいてたまるか。
いや、比較的傷が浅いであろう忍者達が待ち構えている可能性もある。
万が一仮面ライダー達でも倒せなかった時、飛び出してくることも考えられた。

だからこそ勝機とした。
『飛び出せる範囲内に』いることになるのだから。

「……『無限の型月(アンリミテッド・タイプムーン・ワークス)』
「な、なんだこれは!?」

聖杯は最後の抵抗とばかりに【原作者】の能力で、劣化コピーの型月キャラを無数に召喚する。
無論その程度では召喚されたそばから発火し、炭になっていく。
しかし、数秒とはいえ攻撃対象を自分から反らすことはできる。

「聖杯の魔力が上がっている……? まずい! みんな離れるんだ!」

「もう遅いわ……





           『六仕様の二大極魔(アルテマダンテ)』






◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



聖杯を中心に、深青色の波動が大地も空も全てを飲み込む。
聖杯を中心に、暴走した魔力が全てを巻き込んで爆発を繰り返す。

元は『ああああ』の最終手段。
使用者の全ての魔力を瞬間的に解き放ち敵全てを滅ぼす禁呪マダンテ。
使用者の魔力が一定値あれば、どんな相手にも最大のダメージを与える禁呪アルテマ。
聖杯の持つ強大な魔力で、その禁呪を同時に発動したのだからその破壊力も本来のそれとは比較にならない。
究極には究極で対応。
いくらライジングアルティメットフォームでも、これをくらえば生きてはいまい。
いや、誰も生きてはいまい。


「はぁ――はぁ――……やったわ……」


聖杯の体は元の大きさに戻っていた。
全ての魔力を放出してしまったのが原因だ。
撃った後は回復することもできなくなる本当の最後の手段。
だからこそ、強力な戦士達が全員集まったタイミングでしか発動ができなかったのだ。

聖杯は残った右腕で地を這う。
どこかで魔力を復活させ、傷を癒さなければ……






ガスッ






聖杯の目の前に、真紅の槍が突き立てられた。

馬鹿な。
ありえない。
おそるおそる顔を上げる。


そこには、ボロボロだが一人の吸血鬼が立っていた。

「そんな……貴方どうして……」
「…………正直、ギリギリよ。
 私は魔術なんて知らない。理屈もわからない。自分に扱えるとも思わない……
 無我夢中で、自分でも何をしたのか、もう一回やれと言われても絶対に無理な話。
 ただひとつ確かなのは、ここにいる皆を死なせてはならない、守らなければって思って……
 気がついたら、ひとつだけ物置を召喚できていたのよ……」
「くっ……無限じゃない、たったひとつの物置で……この私の攻撃を防げるわけが……」
「えぇ……社長のものに比べたら足元にも及ばない代物。
 あなたを覆ったすぐ後にバラバラに吹き飛んだわ……それでも、威力を殺す役にはたった」

その体を名前と同じように真っ赤に染めたレミリアは辺りを見渡す。
地に這う聖杯もまた辺りを見渡す。
辺りに転がる無数の人間。
もはや戦闘不能だが、ときどきピクリと動く。死んではいない。
いくら奇跡のイナバ物置がダメージを軽減しても、まだ人間をまとめて殺すには十分な威力だったはず。
彼らも抗ったのだ。自身の全ての力をぶつけて。

「「……私にもっと力があれば」」

その光景を見た聖杯とレミリアが、同時に同じ言葉を口にする。

「……私の思う力と、貴方の思う力、違うみたいね……」
「えぇ、私のは『守る力』のこと。………私は社長を唯一の主としたけど、彼の全てを知っているわけではない。
 でも確かに言えるのは、彼はイナバ製作所の社長。物置を作り続けた社長。
 物置は何かを壊す道具じゃない。何かをしまい、守る道具よ」
「………私の力の使い方が、間違っていると?」
「そうよ。あなたが作られた本当の理由も、きっと……」
「……………………」
「まだ『こいつを殺せば少なくともどこかに身を隠すことはできる』とか思ってる?
 確かに私は立ってるのが精一杯。殺せないことはないかもね。
 でも、人間も侮ってはいけない存在だって理解したはず。その上で『あれ』を相手にできるかしら?」
「あれ……?」

「なんなんだ今の大爆発は!?」
「翔ちゃんが馬鹿なこと考えてたせいでご覧の有り様だよ!」
「だって、最高のタイミングで駆けつけて、聖杯に向かって『さぁ……お前の罪を数えろ』って決めたいじゃないすか!」
「……やれやれだぜ」
「もう君は半熟たまごでもなく生たまごやな」
「一回ボッシュートされたほうが……」
「そんなぁ!?」
「た、大変だよ、みんな倒れてる! こうなったら私がリヴァヴィウサーを使ってみんなを……」
「早まるな! 負傷者にはまず私がたまご丼を飲ませて治療する!」
「クライシス帝国と新生鷹の爪団関係者逮捕にここまで時間がかかるとは……僕としたことが、計算を間違えました」
「いや凄いですよ右京さん! 古畑さんとは大違いです!」
「……今泉くん、あとでちょっと。それよりそのゴツイ鎧はどこから盗ってきたの?」
「ヒャッハー! 聖杯だろうがなんだろうがぶっ殺す・オブ・ぶっ殺してやるぜぇー!」
「まずは落ち着いて河童の数を数えるんだ!」
「解せぬ」
「チャァァァァァァン!」
「これが僕達の選択ですか……」
「ダイナマイト四国復活際をっぐあああああああ! また肉離れがああああああああ!」
「またすかwwwwwwwwwww
「ドラゴンボール探すの手間取ってちょっと出遅れたけど大丈夫ですかね?」
「大丈夫やろ。死人が出ててもこの集めたドラゴンボールで万事解決するし」

「なによこれ…………………最初から私に勝ち目がなかったと思っていいのかしら?」
「いいと思うわ」

両手の指の間にドラゴンボールを挟んだ女性を先頭とする一団を見て、聖杯は敗北を認めざるを得なかった。

「まだあんな連中が控えていたなんて、つくづくこの混沌とした世界は嫌になるわ……もういい、殺しなさい……」

背中に地響きを感じつつ、全てをあきらめた口調で聖杯は告げる。

「待ちなさい、聖杯を手にすれば願いを叶えられるのよね」
「ああ……そうだったわね……
 でも、優勝者である探索者は自分達の生存が望み。英雄の息子が近くにいれば、きっと死んでないのでしょう?
 そして今私の目の前に立つ貴方の望みは聖杯の破壊……
 それなら、その槍でひとおもいに貫いてくれたほうがいいわ……」

「…………」

それでもレミリアは聖杯に手を触れる。

「ふぅ……あくまで願いで破壊するつもり……?」

聖杯はゆっくりと瞳を閉じる。

彼女の頭の中に、様々な何かが走馬灯のように流れた。

――は完成しなくては―――

―偽物――本物――敵わない――――

――やりなおす――――元通り――私だけ――

――――なぜ――

――阻止――

――を生き返らせて――――

――やっぱりイナバ――――――

(ふふ……100人乗っても大丈夫! じゃ、なかったわね……
 100人どころかたった十数人相手に私は壊されちゃって……
 ……そうか、イナバそのものがまだ完成していない、完璧じゃないんだ……
 思えば、完成してしまったらそこでもうおしまい、進化の道が閉じちゃうのね……
 なんだ…………完成することに拘った私が馬鹿みたいじゃない……)

――――

(でも未完すぎても問題よね……
 せめてもうちょっと頑丈に作られていたら……
 そうね、もっと徹底した断熱効果が出せるように素材を少し変えてみるとか……
 あとデザインも大事よね、見た目と機能を両立して初めて一人前……
 なんで私ったら死ぬ瞬間に物置なんかの未来なんて考えてるのかしら……?
 ……私も物置じゃない。
 あははははははははははははははは……






◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆





「………あれ?」

私……生きている?

「目が覚めた?」

【英雄】のマスター……? 私を壊したんじゃ……

「ええ、『聖杯』は無くなったわ。
 私が願ったのは『聖杯をただの人間にして、イナバ製作所で私の後輩としてこきつかう』ことよ。
 私が、あなたが失ったイナバ・スピリッツを思い出させてあげるわ」

なにを馬鹿な……と思ったら何よこの制服。あ、股間の剣も無くなってる……
まさか本当に……酔狂もいいところね。もっと他に……そう、貴方の大切な人の蘇生でも願えばよかったのに……

「あら、まわりがまだ見えないかしら?」

――まさか、また会えるなんて――  ――俺の夢じゃないんだよな?――  ――また一緒にいられるね――

――…………――  ――ほらなにやってるの兄さん――  ――いっしょにこのお酒飲まない?――

――俺が働けるわけないよ……――  ――オラと一緒に物置つくらないか?――  ――いや私の城に来い。歓迎するぞ――

――よかったな!――  ――べ、別に嬉しくなんかないんだからね!――  ――ツンデレ乙――

――今こそオプーナを買う権利をやろう――  ――我が闘争に終わりは無い――

――君は本当に卑怯な奴だな。でも……ありがとう――  ――これでいいんだ――

――……すみませんでした!――  ――いいんじゃ。君のことはわしが一番よく知っておるからな――

――私は泣いてなんかいない!――  ――いいじゃないか、今くらい泣いたって――


これは……

「アッコ……さんが持ってたドラゴンボールを使ったのよ。短パンの人が呪文を唱えたの見て悟空も驚いてたわ。
 叶えられる願いは3つ。混沌世界の神龍だからどんな無茶な願いでも叶えてくれるみたいでね。
 1つは、『このカオスロワで犠牲になった人ほぼ全員の蘇生』JUDOの奴だけは私が名指しで候補から外してやったわ。
 ほかにも何人か除外されてる人がいるし、さすがに全員を東京都に呼び戻せはしなかったけど……
 きっと社長たちもこの星のどこかにいるはず……
 そして2つめの願いが、『全員を交えての宴会を開く』よ。随分もったいないけど、平和な願いよね。
 3つめはまだ言ってないわ。だから神龍もずっとまちぼうけ……」

ねえ……【英雄】のマスター?

「……私の名はレミリアよ。そしていまや私が先輩であなたは後輩の立場よ?」

くっ……レミリア先輩質問です。

「随分と棒読みね……なにかしら?」

三つ願いを叶えられるドラゴンボールがあるんだったら、『聖杯』の存在意義ってなに?

「それはこっちが聞きた………………あなたはもう聖杯じゃないの。これから社会人として私がビシバシ教育を

ちょっとヤケ酒してくるわ。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


本当にこの世界に集められた人間は変なのが多い。混沌という言葉が相応しいと思う。

「おぼろろろろろ……やめろ俺にたまご丼をそれ以上近づけるな!」
「元親殿、そういわずに食べよ。旨いぞ!」
「前に無理矢理流し込まれてトラウマになってんだよ……
 しかし不破、まさか俺達まで生き返らせるなんて相当な物好きだな」
「決着がついていなかったからな。しかし今日だけは戦うのはやめておこう」
「……そんな無粋な真似はしねえよ。ってか無理おぼろろろろろ……」

「……いいか、貴様ら今度妙な真似をしたら……」
「はい! 飛竜様すみませんでした!」
「俺達世界征服なんて馬鹿なこと考えないで真面目に働きますから武器しまってください!」

敵だった存在まで生き返らすなんて、どうかしてる。なんでそんな顔ができるの?
それに、何で私を人間なんかに……唯一の目的を奪って、敗者に生きる目的なんて……

「さあ宴会じゃ! 宴会といえば隠し芸大会じゃ! くじで選ばれた順に発表してもらうぞ!
 2307番、アッコさんじゃな! 早速ゴーじゃ!」
「なに、いきなりかいな。……ほな軽くイナバ製作所の壁割り10枚やるわ」
バリィ!
「うはwwwww流石アッコさんwwwww」

今目的はできた。
悔しいが、彼女の言葉に従わざるを得ない。このまま引き下がってたまるか。
お望みどおり、もっともっと頑丈なイナバ物置を作ってやろうじゃないの。
自分が割られてるみたいで悔しい。とりあえずの目標は……

「ちょっとそこの貴方、そんな壁よりも僕を砕いて御覧なさい。それが僕の隠し芸」
「ふん!!」

「流石ツボツボだ、なんともないぜ」「参ったわ」

ツボツボを超えることになりそうね。
果てしなき道になりそう……


「ちょっとそこのお嬢さん、君も私と一杯いかがかね?」

……何か用このロリコン。こんな恰好だから、私が聖杯ってわからない?

「私がロリコンなのも、君があの聖杯なのもわかった上で誘っているのだよ。
 戦いは終ったのだ。ならば過ぎ去ったことは忘れロリと一杯交わすのもいいとは思わないかね?」

……驚いた。本当に貴方達はどうかしてるわ。
そんなにあっさりと忘れられるわけがないでしょう? ついさっき戦ったのよ?

「ジョジョは私のことをあっさり忘れてしまっていてショックだったのかー……」
「つまりはそういうことさ。この世界では気持ちの切り替えも大切ということだ」

誰よその子……
本当にどうかしている。
甘いことをぬかす奴は嫌い。
でも、こんな感じは初めて。
絶望と死に満ち溢れたこの混沌の世界で。
こんなにも眩しい光景を見るなんて思いもしなかった。
……ならば

「……わかった。一杯だけ頂くわ。………………ありがとう」

少しだけそれに触れてみるのも悪くない。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



辺りは新たな混沌を迎えていた。
各地で蘇生した者たちも合流したりと、常に盛り上がり続けたアッコさん主催の宴会。

充満するのは酒と食物、嘔吐物と多少の血の臭い。
酔い潰れ、吐き、泣き、時は因縁の対決が勃発しかかったがアッコさんに止められて事なきを得た。

今ではそのアッコさんも、横になっている。単純に騒ぎすぎただけだ。

「うおっぷ……酒臭すぎて眠れやしねえ……」

起きているのはごく一部、吐き気を現在も催している連中だけだった。

「ん?」

その内の一人が気がついた。
ドラゴンボールで願いを叶えるために現れた神龍の前に、誰かがいることに。

「あ、あいつまさか自分の願いこっそり叶えてもらうつもりじゃないだろうな!?」
「や、やめろ!」

同じく気づいた数人が止めに入ろうとするが、間に合わない。











「ここここここここここここここにいる女の子全員のパンティーとソックスをおくれえええええええええええ!!!!!!」









全裸のクマ……変態という名の紳士クマ吉が欲まみれの願いを口にしてしまった。

「……………熟睡しているのだから今直接脱がせばよかろう」
「あ、そっか! ありがとう神龍さん!」

だが幸いにもその願いが聞き届けられることはなく、紳士はいそいそと去っていった。

「あ、あぶねえ……」
「勝手に願い使われたら酔ったアッコさんに皆殺しにされちまうよ……」


「皆殺し……大いに結構」
「なっお前は――――

安堵した男達が、悲鳴を残す間もなく背後から切り刻まれた。

「くくくく……いい夢を見るがいい。もう二度と覚めない夢を……
 みんな蘇生して大宴会……他の連中も十分にいい夢を見たはずだ。
 ……砕け散れまやかしの平穏よ。今現実に引き戻してやる。
 神龍、我が願いを叶えよ」

 『我を含め、この星全てのカオスロワ参加者を今一度! 我の支配する異次元の混沌世界に送れ!』

「…………よかろう」



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

最初に気づいたのは誰だっただろうか。

不思議な光に包まれ、星全体の人々が次々に消えていく。

手を差し伸べても届かず何処かへ消えてしまう。

この事態を招いたであろう存在の姿も見当たらない。

どんな実力者も、例外なく光に飲み込まれ消えていく。

もはや誰が消えて、誰がまだ残っているのかもわからない。

ひとつだけ断言できたのは、このままではやがて全員が光に飲み込まれてしまうこと。

残された者達が取った行動は、願いの中断、神龍を殺害することだった。

不幸中の幸いか、それは意外にも容易くできた。これは首謀者も想定外のことだろう。

「一体何があったの?」「わからん」「あいつらが光に飲まれて消えた」「あの光は転送の光に似ている……」
「また異世界にでも飛ばされたってのか」「その可能性もある」「一体誰が?」
「新惑星全体で起きてるんだ、把握なんて誰にもできない。誰が飛ばされていてもおかしくない」
「俺達、元の世界に帰れるんじゃなかったのか?」「仲間を目の前で消されて自分だけ元の世界に帰るつもり?」
「俺は、あいつらを探す。短い間でも仲間だった」「……私は帰らせてもらう。家族が待っているんだ」
「無理強いはしない」「各々が自分で選択するべきだ」
「このミクトランの帰還装置で元の世界、自分のあるべき世界に戻るか……」

「手がかりをみつけ、飛ばされた者を追って……
 おそらくは再び混沌の世界に飛び込むか……か」

 混沌は、終らない。

              【To Be Continued…NEXT TERA CHAOS BATTLE ROYALE】
最終更新:2011年01月18日 00:43