「誰もいないか」
東京の街中の一角、寂れた民家の中から
織田信長が出てくる。
信長が周囲を見渡すと、そこに人の姿はないが、代わりに所々爆撃されたかのような後があった。
この周辺は先ほどまで石原が暴れまわった所なのであり、道路の破片に混じって血液や肉片が地面にこびりついている。
「どうやらやつらはもう行ったみたいだな」
石原のレオパルド(と神戸の車)が去ったことを確認して信長はため息をついた。
そして誰もいなくなったことを確認すると、建物の中にいる同行者の名前を呼んだ。
「ルカよ、もう出てきても大丈夫だ」
「うんわかったよ」
信長に答えて民家の中から出てきたのは桃色の髪を持ち、黒いドレスを来た女性だ。
しかしルカと呼ばれた女性は、ニヤニヤ笑みを浮かべていたため、信長は少し首を傾けた。
「あの戦車砲で撃たれたらすっごく気持ちいいんだろうなぁ・・・・・・
すごい威力でぶち当たる弾丸、瞬間灼熱が私の肉体を包みこんで、
血と肉を焼き、原型を留めず砕いていく・・・・・・いい!」
駄目だこいつ早くなんとかしないと。
それが今のルカに対する信長の感想だった。
ドMなのはよくわかったが、それ故にこの女を一人にしておくのは危険だ。
「ところでルカ、一ついいか?」
「どうしたの信長さん?」
だから信長は言わざるを得なかった。
「あまり自分の身を危険に晒すことはやめてくれ」
神妙な顔で言い放った一言に、ルカは一瞬真顔になる。
彼女はそれにすぐ答えることができなかったためか、黙り込む。
信長はルカとしばらく行動することで、彼女のバトルロワイアルに対する考えを読み取ったのだ。
はっきり言ってしまえば、巡音ルカは自身の命を何とも思っていない。
死に対し、恐怖どころか憧れさえ感じてしまっている。
放っておけば、例え槍の雨や銃弾の嵐が振ってこようと、よろこんで飛び込んでいってしまうだろう。
「お前の命はお前一人のものではない。
他のVOCALOID、家族達がいるのだろう?」
「・・・・・・」
信長の言葉にルカの顔も真剣なものになっていく。
そしてそのまま二人の間に沈黙が流れていた。
「ルカ! ルカじゃない!」
「MEIKO姉さん! 君は行方不明になっていたMEIKO姉さんじゃないか!」
その沈黙を破ったのは新たに彼らの元にやってきた、
茶色の短髪の女性だった。
赤を基調とし、へそ出しミニスカートのセクシーなコスチュームを纏っている。
「家族みんなバラバラになって心配だったわ・・・・・・っておい」
MEIKOと呼ばれた女性は歓喜していたが、次の瞬間には眉をしかめ、
ドスの利いた低い声を出す。
彼女の目の前にいるのは、ルカ・・・・・・ではなく彼女の尻(スカート付き)。
「再開祝いに尻を叩いてくれないかな?」
直後、MEIKOは『ブチッ』等という擬音を出した。
「こんな時まであんたは何を言ってるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
助走をつけて放たれたキックはルカの尻にめり込み、
衝撃の許容をさせぬまま、向かい側の方に跳ね飛ばす。
そしてルカは顔面から着地した。
「MEIKO姉さん、相変わらず素敵な蹴りだよ・・・・・・」
ルカは痙攣と嬌声を上げつつもMEIKOに返事をする。
MEIKOは彼女を踏んづけ言葉を続けた。
「あんたってやつはいつもいつもいつもどうしてそんなことしか言わないの!
歌はまともに歌えるんだから、少しは常識と言うものを身につけなさい!」
「やだなぁ姉さん、私の歌の大半は他の人が勝手に作曲したものなんだよ。
私自身は決してSじゃないよ? どちらかというとMだって」
「そういうことじゃなくて・・・・・・」
「そしてMEIKO姉さんはSだね、間違いない」
「あーもう!」
検討違いな答えにMEIKOは苛立ちを隠せない。
しかし、一通りルカとの会話を終えた後、MEIKOは笑みを浮かべた。
そしてルカも立ち上がり、体についた埃を払いつつ彼女に笑みを返す。
「まあ、あんたが無事だってわかって安心したわ」
「MEIKO姉さんこそ元気そうで何よりだよ」
親しい人間といつもどおりの話ができる、
その事実は、MEIKOに安堵感を与えていた。
だから最後はルカの頭を撫で、お互い笑い合って話をしている。
「再会の挨拶はそこまででいいか?」
MEIKO達の間に入り込んできたのは、
貴族風の白い服を着た男性と信長であった。
金髪の男の言葉にルカは首を傾げるが、MEIKOは笑いながら返答する。
「
ごめんミクトラン、ついうれしくて忘れていたわ。
ところでそっちのおっさんは誰?」
「こいつは織田信長だ。 どうやらそちらのお嬢さんの同行者らしい」
ミクトランと呼ばれた男性は、ルカの方に視線を向け、信長のことを紹介した。
「ワシは織田信長というものじゃ。 MEIKOよ、よろしく頼む」
「あなたが今までルカのことを・・・・・・ありがとうございます」
信長に対し、MEIKOは深々と礼をする。
そしてミクトランも信長に続き、自己紹介をした。
「私は天上王ミクトランだ。 お前がMEIKOの妹のルカだな?」
「そうだよ。 ミクトランさん、早速だけど尻を叩いてくれないかな?」
次の瞬間、ルカの体が宙を舞ったのは言うまでもない。
「すみません、内の愚妹が迷惑をかけてしまって・・・・・・」
「いやワシは気にしていない」
「少し驚いたが別に気にするほどでもないな」
「ごめん、ミクトランも本当にごめん。 あいつにはちゃんと言い聞かせておくから」
「それはわかった。 そろそろ本題に移りたいのじゃが・・・・・・」
MEIKOは低姿勢で両手を合わせ、二人に謝罪を続ける。
しかしこのままでは話が進まないため、信長はこれからの動向について提案した。
「ワシらは現在4人。 このままでは後数分で首輪が爆発してしまう」
「そのためにも、私達は今後どうするかを考えておかねばならぬな。 七期の主催よ」
「「!?!?」」
ミクトランの言葉にMEIKOのみならず、信長自身まで驚愕する。
信長はこのロワに参加して以来、未だに自身が元の世界のカオスロワ主催だということを誰にも教えていない。
だから信長が過去、バトルロワイアルの主催をやっていたことを知っているのは、前世界からの参加者だけだ。
「信長さんって主催やってたんだ」
「ルカ、そんなところで寝ていないで逃げるわよ! こんなやつのところにいられないわ!」
MEIKOは信長を睨み付け、妹の腕を引っ張る。
嫌疑の視線に信長は弁解の言葉を出すことができず、MEIKO達を見送ることしかできなかった。
だが、ミクトランは逃げようとする彼女の腕を掴んだ。
「ミクトラン何するの!? 早く逃げないと・・・・・・」
「落ち着けMEIKO。 信長がバトルロワイアルの主催を行っていたのは過去の話だ。
それも開かざるをえなかった事情があってのことだ。 そうだろ? 信長よ」
「ああそうじゃ・・・・・・」
信長はかつてカオスロワを開いていたことについて話し始める。
『
ああああ』のこと。
それの復活を防ぐためにバトルロワイアル、そして聖杯戦争を開く以外に方法が無かったこと。
別の異世界の自分との記憶を共有し、
KAITOが忠臣であることを思い出したこと。
そしてそのバトルロワイアルの結末。
「流石にそいつは私もびっくりだよ・・・・・・」
「まさか異世界のKAITOがそんなことをしていたなんて・・・・・・」
信長の告白にルカとMEIKOは呆然としている。
無理もない。
自分の家族が別の世界でも殺し合いに巻き込まれ、
狂っていく者までいたのだから。
「しかし異世界の私がある意味うらやましかったりする」
「おい」
「ちなみにこの話は前期カオスロワに参加した者全てが知っている。
最後はみんな元通りだから、今は信長を恨んでいる者はほとんどいないな。
この世界に呼ばれた連中はむしろ、今の主催を恨んでいるだろう」
MEIKOの突っ込みを無視して、信長はミクトランの言葉に目を見開く。
「何だと? となるとまさかミクトラン、お主は・・・・・・」
「ああ、お前の開いたバトルロワイアルに参加したことがある」
ミクトランの返事に、信長は歓喜した。
信長の元いた世界のミクトランは、数々の対主催を率いた英雄の一人なのだ。
今回のバトルロワイアルでも、地上を支配するという建前で対主催のリーダー格をやってくれるだろう。
『何故だ、何故動かないんだ!』などとボケながら、
頼れる仲間を集めたりするだろう。
「数々の武勇があるお主となら心強い! 是非とも協力してくれないか?」
「協力だと? 俺は俺の好きにやらせてもらう・・・・・・まあ頼みぐらいは聞いてやっても良いがな」
「ああ!」
「ミクトランさんいい人だったね」
「まさかこんな序盤に会えるとは思わなかった。 頼もしい限りだ」
ミクトラン達と話を終え、信長とルカは彼らと一旦別れることになった。
二つのグループが共有するスタンスは以下の通り。
基本:打倒主催
1:仲間集め
2:KAITO達の家族を探し出して保護する
第1放送を終えたら一旦東京タワーに集合することになっているので、
しばらく信長達は東京都内を探索することを決めた。
なお、ミクトランにはルカ達の家族の一人である、GUMIと会っていたことを伝えたため、
まずは一緒に彼女を探してもらうことにした。
「それでさっきの話なんだけどさ」
「なんじゃ?」
ルカは真剣な表情になって、信長に別の話題を切り出した。
落ち着いた口調に、信長もつい顔が引き締まる。
「答えが出たんだ」
「ふむ、申してみろ」
「さっきMEIKO姉さんと話してて、MEIKO姉さんが本当に心配してくれているのがわかった。
そしてそれはきっと姉さんだけじゃない。
KAITO兄さんもミクちゃんも、レンくんリンちゃんも、がくぽさんやGUMIちゃん、Lilyちゃんetc・・・・・・
みんな家族を心配しているんだろうって」
彼女は自身の胸に手を当てると、家族と過ごした記憶が次々と頭の中に流れてくる。
それらの思い出により、彼女は自然と笑顔になっていることが、信長にはわかった。
「そして私もその家族に入っちゃっているんだよね。
だから安心して信長さん。 私は自分から死ぬつもりはない」
「そうだ、それでいい・・・・・・」
ルカの穏やかな笑顔によって、信長の表情にも笑みが浮かぶ。
「ということで尻を叩いてくれないかな?」
「結局それか」
なんだかんだ言ってちゃんと叩く信長であった。
【一日目・0時50分/東京都/天候・嵐】
【織田信長@歴史】
【状態】健康
【装備】拳銃
【道具】支給品一式、壊れた石ころ帽子
【思考】
基本:異世界のKAITO達とその家族を守り、できれば主催を討つ
0:鳴かぬなら 叩いてしまえ ホトトギス
1:KAITOの家族を探す。
2:第1放送には東京タワーでミクトラン達と合流する
※7期から参戦です
【巡音ルカ@VOCALOID】
【状態】健康、尻にダメージ中
【装備】なし
【道具】支給品一式、他不明
【思考】
基本:気持ちよくなる方法を知っているかい?
0:尻が痛い(気持ちいい)
1:信長と一緒に行動する
2:家族を探す
3:第1放送には東京タワーでミクトラン達と合流する
4:家族に心配かけたくないから死ぬつもりはない
※7期までとは別人です
※気持ちよくなる方法⇒尻叩きで妥協することに決めたみたいです。
(うまく言ったな)
信長達と別れ、我らが天上王・・・・・・いや、ただの天上王ミクトランは微笑した。
このミクトランは実は、信長が知る第七期のミクトランではない。
元々この世界に存在していた赤の他人である。
(まさか前期に参加したと言うだけで、ここまで信頼させるとはな。
異世界の私よ、どうやら貴様は相当うまく駒を集めていたみたいだ)
バトルロワイアルが開始して僅か数十秒。
異世界からの参加者が彼にサインを申し込んできたのだ。
何かと思い聞き出してみると、異世界のバトルロワイアルのことを言い始めた。
そして自身が別世界では英雄となっていることを知り、そのバトルロワイアルの大筋の情報を知った。
もっともその男はすぐにズガンされてしまったため、
近くを歩いていたMEIKOと行動することになった。
その後、運良く前期主催である織田信長に接触し、
前期カオスロワとそこでの異世界の自分の活躍に関する詳細な出来事を知ったのだ。
(さて、あいつはどう使うか)
信長とスタンスを共有することになったが、正直ミクトランとしては、主催抹殺以外どうでもいい。
MEIKOや変態の家族を探すよりは、適当な魔物でも捕まえた方がよっぽど役に立つ。
しかし今、恩を売っておけば、前主催の関係者を手駒にすることもできるだろう。
「何してるのミクトラン? 早く行くわよ」
「ああわかった」
異世界の天上王の名を借りたミクトランの行く先は、まだ誰も知らない。
【一日目・0時50分/東京都/天候・嵐】
【ミクトラン@テイルズオブデスティニー】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】支給品一式
【思考】
基本:地上を支配するために主催を殺す
1:異世界(七期)のミクトランの名を利用する。
2:駒を集める。
3:信長を利用する。 とりあえずは彼に協力
4:第1放送には東京タワーで信長達と合流する。
※7期とは別人です
※MEIKOの家族はどうでもよいと思っています。
【MEIKO@VOCALOID】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、他不明
【思考】
基本:家族に会いたい
0:ルカは通常運転だった。
1:ミクトランと行動する
2:他のVOCALOIDを探す
3:第1放送には東京タワーで信長達と合流する。
※7期とは別人です
【タケシ@ポケモン 死亡確認】
死因:バナナズガン
最終更新:2011年01月30日 12:34