アットウィキロゴ
「テルィーマン、テルィーマン。
 なんでネルちゃんはあんな体になっているんだい?」
「俺に質問するなァァァ!」

赤い服を着た青年の叫びが木霊する。
黒いドレスを着た女性、巡音ルカに顔芸が向けられ、
そんなテルィーマン達の様子を見て、織田信長はやれやれとため息をついた。


「いやーこれにはちょっとしたわけがあってね」
「本当びっくりしたよネルちゃん」

サイドポニーテールの少女が片手を後頭部に当てながら苦笑いを漏らし、
それに応じてルカも笑う。
これだけなら微笑ましい姉妹の会話となっただろう。
だがしかし、テルィーマンは戦慄している。

(だからなんだあの筋肉は)

ルカと対峙する亞北ネルという少女は異質だった。
なんといってもその筋肉量が凄い。
筋肉を得るためには定期的なトレーニングが必要だ。
毎日プロテインを摂取し、筋肉を増やすための食事生活を続ける必要もある。

筋肉というものは、使えばその分だけ負荷を受けて壊れる。
そこから回復することで以前よりも壊れにくくなることを、超回復という。
だから乱雑に、ただ多くのトレーニングを行えば良いわけではない。
筋肉量が増えるたびに、肉体は疲れにくくなっていく。
よって、その度に負荷を高め続け、自身の肉体を更に痛めつけなければならないのだ。
壊しては超回復の繰り返しである。

そうすること数年あるいはそれ以上、
肉体強化に及んで魅せる筋肉を作り上げたのがボディビルダーという人種だ。
ただ、齢20にも満たない少女である亞北ネルの肉体は、彼らのそれを超越していたのだ。

「妹が弟になってお姉さんびっくりだよ。
 まさかこの前の『私、男になる! ふたな○じゃなくて、完全な男に!』って台詞を実現させるとは・・・・・・」
「実はまだ私、女なの」

気楽そうに言うルカに、ネルは申し訳なさそうな顔をしている。
身長2メートルはある大(多分)女が160センチ前後の女性に頭を低くしているのは、
少々滑稽だなと信長は思った。

「女・・・・・・なの?」

ルカはネルの股間を触る。 そして戦慄。
例えるならば、冷蔵庫のプリンが食われていた気分であろうか。
有ると思っていたものが、そこには無かった。
そして彼女の顔が困り果てたものとなり、嘆いた。

「ダメだよダメ・・・・・・ネルちゃん女の子でしょ・・・・・・?
 女の子がそんな格好しちゃダメだよ・・・・・・
 だって今のあなた お っ ぱ い 丸 出 し じゃない!」


「は!?」

今のネルの格好は、全裸に金パンツと黄金マントだけである。
ルカの言葉にネルははっとなり、思わず胸を手で覆い隠す。
しかしそれを見たテルィーマンは吐き気を催した。
正直肉体は立派な超兄貴なのだから、そんな仕草取られても不気味なだけだ。

「そんなはしたない女の子じゃレンくんに嫌われちゃうよ!」
「レンきゅんに嫌われる!? それだけはイヤァァァァァァァァァァァ!!!」
「大丈夫、サラシを巻けばまだセクシー路線狙えるよ」

パニック状態になったネルはブラの変わりとして、身に着けていたマントを自分の胸に巻く。
これでレンきゅんも悩殺、と色気づいたポーズをするネルであったが、テルィーマンはそこらへんの電柱に吐いた。
唯一平然としていたのは織田信長だけだ。
カオスロワにおいて美少女、美女の筋肉化は珍しくない。
1期のローラ姫を始め、それぞれのカオスロワのシーズンに筋肉担当が必ず存在する。
7期には当のルカも筋肉化していたし。 それでも最後には元に戻ってて良かったと思う信長であった。


「さて挨拶も済んだことだし、ネルちゃん、尻を叩いてくれないかな?」

ルカは最早恒例と言わんばかりにネルに尻を突き出す。
彼女の言動に吐いていた男達も信長も驚いた。

「ちょっと待ってルカ、それは・・・・・・」

真っ先に抗議したのは織田信長だ。
亞北ネルの肉体はとにかく凄まじい。
カオスロワの名物となった、DCS+αの筋肉量なのだから、
それで殴られたらいくら尻叩きでも済まされないだろう。
もしこの世界のルカが

【死因:尻叩き】

なんてことになったら、もうKAITOに顔向けできない。
しかしネルは笑って言い返す。

「大丈夫、ちゃんと手加減するから」
「それなら良いのだが」

ネルの一声にほっと胸を撫で下ろす信長。
そしてネルはルカの尻に向かい合う。

「この尻でいつもレンきゅんを誘惑していたのかぁぁぁぁぁぁ!!!」

ネルの怒声とともに、バチンなんて擬音では表現できないほどの音が周囲に響き渡る。
尻の肉を叩いたとは思えない轟音が信長達の耳を貫き、彼らは思わず耳を塞ぐ。
彼女はそんな信長達に構うことなく、更にもう一撃を放った。

「レンきゅんが大人の女性に惹かれるのはこの尻のせいか!
 そういえばあんたこの前レンきゅんとお風呂入ったな!
 その時はハクと一緒に誘惑したんだろぉぉぉ!!!
 あんときMEIKO姉さんに怒られてハクは懲りたからどうでもいい! 一緒に入った私も悪かったし。
 だがあんたはこの尻でレンきゅんをまた誘惑するっていうのかぁぁぁ!!!!」

動物から毛皮を毟り取るよりも乱雑に尻を只管叩き続ける。
嬌声を上げ続けるルカを見て楽しくなってきたのか、
ネルは歌を歌い始める。

「光る パンツを突き破って Bent Over (Bent Over)
 アナル中に 広がるパノラマ
 尻を 蹴られた地球が怒って (ちゃんと叩いてくれなきゃ嫌よ)
 火山を爆発させる

 溶けた北極(凍り)の中に
 恐竜がいたら コーナータイム仕込みたいね

 CHA-LA HEAD-CHA-LA
 何が起きても気分は へのへのカッパ
 CHA-LA HEAD-CHA-LA
 尻をパチパチするほど
 騒ぐ尻子玉…」

手を大きく振りかぶり、
腰に捻りを効かせて

「Spanking!」
「イイッ!! すごくいいよネルちゃん!!」

思いっきり尻を叩いた。
ルカもネルも満足したのか、最後には握手をしていた。
ネルのおちゃっぴで加減を忘れてたという話だったが、
姉妹の愛情の前では些細な話だ。





「変態ってやっぱりいる。 気の毒な人で、DNAが狂っていて・・・・・・冥!空!斬!翔けぇぇぇん!!!」
「巨乳は失せろ!」

続いてネルは、空間跳躍で現れた巴マミの斬撃をかわし、彼女の背後をとる。
そして尻を叩かんと手を振りかぶった。
するとマミはため息をつく。
どうせまた瞬殺だ瞬殺。
直後、彼女の想像通り、彼女の肉体に凄まじい激痛が走る。

(・・・・・・え?)

しかし彼女が死ぬことは無かった。
激痛の後に更なる激痛が走り、彼女の意識は再び現世に引き戻される。
そこで痛みが終わることはなく、更に尻叩きの衝撃が彼女の手に襲い掛かるが、
彼女の肉体は自身が崩れることを良しとしない。


マミは
2度と死者スレへは戻れなかった・・・・・・。
死者と参加者の中間の生命体となり、
永遠にロワ会場をさまようのだ。

そして死にたいと思っても死ねないので、
―そのうちマミは考えるのをやめた。







「ふふふ・・・・・・ついに私の最初の魔法が完成したわ!
 その名も『黄金の尻叩き―鎮魂歌―(ゴールデン・スパンキング・レクイエム)!』
『情熱の愛(ヒートヒール)』と尻叩きを使った、SMプレイ用の魔法よ!」

ネルは、自身の魔法の発現に歓喜する。
彼女は物理的な圧力と熱量により、傷を癒す魔法が使える。
これを応用することで、殴って相手を回復させることができるようになったのだ。

『黄金の尻叩き―鎮魂歌―(G・S・R)』は、尻叩きの時、
自身の力で相手を砕いてしまうデメリットを相殺する目的でこの回復魔法を使った応用魔法だ。
これにより、手加減することなくSMプレイが可能なのである。
もっとも受け側がMでないと、ショック死してしまうのが難点だが。


「魔法少女の力は問題なく使えるようだし、これでレンきゅんを助けられるわね!」

ネルは喜びでガッツポーズをした。
亞北ネルは一度東京駅での戦いに置いて死亡している。
その時キュゥべえと別れ、今はネル一人で行動している。

ではキュゥべえとの契約は切れてしまったのか?
答えはNOだ。 ネルが生き返った時点で彼女達の契約は復興している。
そのため、ネルには未だに魔法少女の力が宿り続けているのだ。
やがてテンションが治まったネルは頭をかいて少し悩んだ。

「それはそれとして、ルカと別れたのは残念だったなぁ・・・・・・」

ネルの顔に若干曇りが出る。
姉妹の一時を楽しんだネルは、鏡音レンを一刻も早く探すために・・・・・・
否、レンに近寄る悪い虫を退治するためにルカ達と別れることにした。
積極的に人殺しを行うことになるのだから、当然姉や、彼女と一緒に居た男達は反対するであろう。
だから彼女は、「二手に別れた方が探しやすい」という理屈を押し通して単独行動を取ったのだ。


「ま、過ぎたことを気にしても仕方ないしレンきゅんを探しますか」

ケロっとした表情に戻ったネルは、
ステップで街中をかけていくのであった。


【一日目・6時29分/東京都/天候・雨】

【亞北ネル@VOCALOID派生】
【状態】魔法少女、首から下は超肉体
【装備】妖しく光る肉体、金のブーメランパンツとマント
【道具】支給品一式、他不明
【思考】基本:この世界のレンきゅんと結ばれる
1:レンきゅんを探す
2:レンきゅんを誘惑しそうな女と男は全員殺す。ただし家族は例外
※7期とは別人です。





「ネルちゃん大丈夫かな?」

ネルと別れた信長一行は、東京を離れて品川区まで着ていた。
せっかく出会った家族と離れたせいか、ルカはどこか寂しそうだ。

「妹が気になるのか?」

そわそわして落ち着かないルカが気になったのか、テルィーマンが尋ねかける。

「うん、さっきだってMEIKO姉さんが死んじゃったからもしかしたらまた・・・・・・と思っちゃって」

一瞬あの魔法筋肉がくたばるはずがないと思ったテルィーマンだが、
ルカの表情を見て考えを改めざるを得なくなる。


数年前の出来事、テルィーマンの脳裏に家族を皆殺しにされた記憶が蘇る。
警官となり、家族から祝福されて幸せの絶頂だった。
いつも通りの生活が続くと思われていた中、悲劇は唐突に襲い掛かる。

父も母もそして妹も、一切動くことはない。
凍りついた肉体は既に魂の抜け殻となっていた。
それでも手を差し出した時、それらは全て砕け散ってしまった。

家族を失った時の自身の姿がルカと重なる。
今まで彼女は家族を失い、そしてまたこれからも家族を失う絶望をその身に受けるだろう。
だからテルィーマンは彼女の肩に手を置いた。

「どんなに絶望しても決して復讐の闇に呑まれるな。
 それはお前にとって大切なものを見えなくさせてしまう。
 だから絶望なんて振り切れ!」

かつて家族を殺した男を憎み風都を憎んだ男は、
復讐の闇を振り切って、守るべき仲間と場所を見つけた。
ルカには自分と同じ闇を背負って欲しくない。
その一心でテルィーマンはルカに言い放ったのだ。

「テルィーマン・・・・・・」

ルカはテルィーマンの方を向き、表情を和らげた。
そして・・・・・・

「ありがとう、じゃあ尻を叩いてくれないかな?」
「・・・・・・」

ルカの答えに苦笑するテルィーマン。
慰めにはなっているが、どうしても彼女の頭からスパンキングが抜けないらしい。
そういやこっちのKAITOはこいつに苦労しているのかな、と思いながら、
信長はテルィーマンに問いかける。

「ということで叩いていいかの?」
「俺に質問するなァァァ!」


【一日目・6時40分/東京都品川区/天候・雨】
【織田信長@歴史】
【状態】健康
【装備】拳銃
【道具】支給品一式、壊れた石ころ帽子
【思考】
基本:異世界のKAITO達とその家族を守り、できれば主催を討つ
 0:ルカの尻を叩いていいかの?
 1:KAITOの家族を探す。
 2:巡音ルカ、テルィーマン(照井竜)と行動する
 3:テルィーマン(照井竜)の仲間を探す
※7期から参戦です
※ミクトランとMEIKOとの合流は諦めるみたいです。

【巡音ルカ@VOCALOID】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、他不明
【思考】
基本:気持ちよくなる方法を知っているかい?
 0:テルィーマン(照井竜)はなんで叩いてくれないんだい?
 1:信長、テルィーマン(照井竜)と一緒に行動する
 2:家族を探す
 3:テルィーマン(照井竜)の仲間を探す
 4:家族に心配かけたくないから死ぬつもりはない
 5:ネルがちょっと心配

※7期までとは別人です
※気持ちよくなる方法⇒尻叩きで妥協することに決めたみたいです。
※ミクトランとMEIKOとの合流は諦めるみたいです。

【テルィーマン(照井竜)@仮面ライダーW】
【状態】健康、顔芸状態
【装備】アクセルドライバー、アクセルメモリ、エンジンブレード、エンジンメモリ、靴紐
【道具】支給品一式
【思考】
0:俺に質問するなァァァ!
1:信長、ルカと行動する。
2:殺し合いを止める
3:左達と合流したい
4:ルカの家族を探す
5:自分を改名したおじさん(姓名判断士)を探して元の名前に戻す
※テルィーマンに名前を変更させられました。




(テルィーマンありがとう。 おかげで元気が出たよ)

スパンキングされて恍惚の表情に染まる中、ルカはテルィーマンに感謝した。
正直彼女はMEIKOの死に困惑していたと言っても過言ではない。
流石に取り乱しはしなかったものの、数刻ほど前に話していた親しい相手の死は、
彼女に少なからず動揺を与えていたのだ。
だからテルィーマンの励ましで少なからず元気が出た。

(でも・・・・・・レンくんとリンちゃんは大丈夫かな?)

脳裏に浮かぶのは双子の弟と妹の姿。
どちらもまだ精神的にも肉体的にもまだまだ未熟。
だからこの殺し合いの中で、その心を痛めていないか心配だ。

(まあなるようにしかならないか)

そんなことを思いつつ、尻の痛みに身を悶えさせているルカであった。





夢を見ていた。
それは殺し合いが始まる前の夢。
まだ絶望を知らない頃の夢。

『リン!』
『お兄ちゃん!』

金髪碧眼の少年が少女の手を掴む。
そして二人は笑い合い、歌を唄い始めた。
鏡写しの双子の声は、太陽の下で重なり合い、
やがて彼らの歌声に少女や青年のそれが混じり始める。
ふと少女が周りを見ると、
双子の周りには緑色のツインテールの少女や、青マフラーの青年、
桃色ロングヘアーの女性など、様々な人々が共に歌っていた。

ずっとこの瞬間が続けばいい、ずっとみんなで歌い続けられればいい。
それが少女の幸せなのだから。










しかし歌声から一つの声が消える。
少女がその音の発信源だったところに目を向けると、そこに人はいなかった。
あったのは半身に引き裂かれたサイドテールの少女の死体。
少女は思わず目を覆う。

そして少女は気づいてしまう。
いつのまにか歌声が全て消えてしまっていることに。
隣に居たはずの双子の片割れすら、既に言葉を発さなくなっていることに。


青かったはずの空は、廃墟を見下ろす雲に包まれていた。





「起きろ、リン」
「ん………ん……?」

やがて少女の意識は覚醒する。
それは楽しかったはずの夢の続き。

「俺が今から話すことを、しっかりと受けとめろ……いいな」

少女の目の前にいる男は、彼女の知人でもなんでもない、
本の数刻前に会ったばかりの男だ。
そして青年の口から悪夢の続きが語られた。





「嫌だ!」

リンはプラシドを強く睨みつけて言い放った。

プラシドは、これまでの事を全て話した。
自分達に襲い掛かってきた殺人者の事。
彼らを退けるために、防衛システムやラグナが命を賭けたこと。
その結果、生き残ったのは自分達だけになってしまったこと。
そしてリンの姉である、MEIKOも死んでしまったということ。

リンの返事はそれらに対する強い拒絶だった。

「嫌だ嫌だ嫌だ!!!」

耐えられるはずがない。
死というものから極めて遠い環境で過ごしてきた少女には、
今まで話していた人々が物言わぬ屍に変わることなど、受け入れることなど出来なかったのだ。
暴れ出すリンを、プラシドは両腕で抑え付けた。


「離してよ!」

強く反論するリンであったが、プラシドは動かない。
力ずくで脱出しようとしても、所詮非力な子供の力。
アンドロイドであるプラシドの腕を振り解くことなんてできるわけもない。
自身を拘束している腕に噛み付き、強行突破を試みるが、
それでも腕の力が衰えることはなかった。

「お前は・・・・・・」

沈黙を続けていたプラシドの口が開く。
彼女に憐憫の情を見せるわけでもなく、淡々と機械的に話した。

「お前はこの後どうするつもりだ?」

単純な質問だったが、プラシドには答えがわかっていた。
リンがこれからプラシドと行動するのであれば、
彼女はこのままじっとしていればいいだけの話だ。
生き残りたいなら彼といた方がいい。
態々生存確率を下げてまで彼から離れるとすれば・・・・・・

「私も死ぬの! そうすればネルお姉ちゃんにもミクお姉ちゃんにもMEIKOお姉ちゃんにも会える!
 それに・・・・・・そうすればみんな一緒になれるよね」

そう言い放つリンの瞳には光が宿っていなかった。
瞬間、プラシドの表情が険しいものとなる。



「何、するんですか・・・・・・?」

乾いた音が雨音に混じって鳴り響く。
拘束から解かれたはずのリンは、頬を押さえて地に膝をついていた。
そして自分を叩いたプラシドを怪訝に見上げる。
対するプラシドは歯軋りをし、拳を震わせながらリンを見下ろしていた。

「お前が死んだら、残されたお前の家族はどうなる?」
「え?」

家族を大切に思っているのはリンだけではない。
彼女の家族もまた、リンのことを思っている。
事実、ネルがそうだった。
並行世界の別人でも、実の妹のように可愛がっていた。
もしもあの場合リンが死んでも、ネルが同様の絶望を味わうことになっていただろう。

そしてリンは考える。
もし自分が死んだら、レンや兄、姉達はどうなるだろう。
決まっている。 自分と同じ思いをするはずだ。
決してただの自惚れなどではない。 彼らから受けてきた愛がそれを証明している。

「お兄ちゃん、お姉ちゃん・・・・・・」

みんなでまた歌を歌いたい。
完全に元通りにはならないけれど、それでも家族と一緒に笑い合える日々が欲しい。
リンの心の中で徐々に一つの願望が膨れ上がってくる。

「まだ捨てきれてないんだろう?」

悩むリンに対し、プラシドは問いかけるように言った。
プラシドはリンの絶望を知っている。
そしてその先にある更なる絶望も知っている。
では彼は何故、愛する者のいなくなった孤独の世界で生きてこられたのか。

「まだ救いはある、そう信じているんだろう?」

愛される人がいなければ、愛する人を探せばいい。
愛する人がいなければ、人を探せばいい。
そして誰もいなくなったはずの世界で、彼は仲間と出会ったのだ。
その後、プラシドという自分が生まれて今に至る。


「・・・・・・いたい」

やがて、リンの口から言葉が漏れ始める。
それは先ほどのような拒絶ではない。

「会いたい! 私、お兄ちゃんやお姉ちゃん達に会いたい!」

願望、切望、欲望、言ってしまえば様々な言葉で表現できる。
しかしそれらは全て、明日への活路へと繋がる。
リンから明確な意志を告げられたプラシドは、初めて彼女の前で口元を緩ませた。







「先ほどは取り乱してすみませんでした」

サイクロン号に乗り込んだリンは、謝罪の言葉を述べる。
するとプラシドは背中越しに軽く微笑んだ。
プラシドはサイクロン号のエンジンを吹かす。
サイクロン号が自身と一体化し、身体に馴染んでいくのがよくわかった。

ラグナの遺品のおかげで、肉体に対する後遺症は特に残っていない。

「気にするな。 それよりも少々飛ばすぞ、しっかり掴まっていろ!」
「はい!」

リンの心強い声に答えるかの如く、サイクロン号のエンジンを強く鳴る。
目的地は東京。
危険ではあるが、ロワを打ち砕くための仲間を集めるのには最適であるし、
何よりそこにリンの家族がいる可能性も大きい。
最初に行くことを誓った少女はもういない、が、
自身の後ろに乗っている少女の重さが、彼の心を熱くさせた。

(リン、お前は俺が守るぞ)

絶望の中でも希望があると信じてこれたから、彼は、彼らはこれまで歩き続けることができた。
ならば自分の絶望を糧にしてでも、彼女に希望の道を歩ませてやろうではないか。
プラシドは赤く滾る情熱を抱き、雨の中を一気に駆け出していく。
孤独と不安を引きずった無力な自分を追い抜いて、彼らは未だ見ぬ明日へ走っていった。


【一日目・6時40分/静岡県/天候・雨】
【プラシド@遊戯王5D's】
【状態】ダメージ(小)、決意、サイクロン号と合体中
【装備】サイクロン号、機皇帝ワイゼル∞(スターダスト、防衛白コア入り)
【道具】支給品一式、覇邪聖皇剣
【思考】
基本:世界の破滅の根源であるニアラを消す。アンチ連盟も。不動遊星は保留。
1:リンを連れ、東京へ向かう
2:リンを防衛し、絶望の道を歩ませないようにする
3:速い男(クーガー)を警戒
※神龍ニアラがシンクロモンスターだと思ってます
※7期の世界を知りました

【鏡音リン@VOCALOID】
【状態】ダメージ(小)、悲しみ、決意、
    プラシド(と合体しているサイクロン号)に乗っている
【装備】不明
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
 基本:生き残り、家族と再会する。
  1:プラシドと一緒に行動する。
※7期とは別人です。
※7期の世界を知りました


※ラグナから貰った回復薬は、二人で分け合って使いました。







「む? 今何かいい男が走っていたような・・・・・・」
「どんな男の人なの?」
「いやこりゃまた奇妙なもんで、下半身がバイクと一体化していたな」
「そんな人いるんだ・・・・・・」

色々あって静岡県に着ていた阿部さんと鏡音レンは、パーキングエリアで食事をしていた。
もちろん食事といっても『性的な意味で』なので、別に禁止行為に抵触するはずがない。
そしてパーキングエリアの前をプラシドサイクロン号が通っていったので、
阿部さんはなんとか男の姿を把握することができたのだ。
ちなみに本当に一瞬横切っただけだったから、同乗者の姿まで確認することはできなかった。


「さて、俺達がのんびりしている間に、随分人がイっちまったようだぜ?」

愛媛からレンの家族探しをしていた彼らであったが、
出会ったのはモブのノンケばかりで、結局レンの家族には誰にも会えぬまま第2放送を迎えてしまったのだ。

「ミク姉さん、MEIKO姉さん・・・・・・」

レンが全裸で膝小僧を抱えている。
幼い少年にとっては、やはり血縁者の死というのはショックな出来事だっただろう。

「悪かったな、俺が不甲斐ないばかりに」
「いえいいんです。 僕だって結局阿部さんに助けられたばっかりだったし・・・・・・」

自嘲気味に言い放つ阿部をレンが慰める。
もちろん性的な意味ではない。



「いい情報が入ったぞ」
「遊星、帰っていたのか」

ブルー気味になっている彼らの前にやってきたのは、
金メッシュが入った、蟹を彷彿させる頭の青年であった。
阿部さんとレンが道中で出会った仲間だ。
なんでも、仲間と相棒のスターダストドラゴンというカードを探しているらしい。
しかし、遊星と呼ばれた青年は、阿部さん達の(性的な意味での)事後に視線を逸らそうとする。

「どうしたの遊星さん?」
「!? いやなんでもない! それより情報の方だが・・・・・・」

全裸のレンに動揺する遊星であったが、
慌てて話を本題に戻す。

「で、なんだい情報ってのは?」
「実は東京に多くの参加者が集まっているんだ。
 もしかしたらそこにレンの家族もいるかも知れない。
 だがしかし・・・・・・」
「本当!?」

遊星の言葉を待つことなく、喜びを見せるレン。
だが、阿部さんは首を軽く傾ける。

「参加者が集まる・・・・・・となると当然悪い男も待っている、というわけだな」
「ああ。 参加者が密集している分、殺し合いに乗った人間も多いだろう。
 下手をしたら俺達も危ない」
「そんな・・・・・・」

東京に行けば家族に会える可能性が高くなるが、死ぬ確率も比例する。
行かなかったら、東京にいるかも知れない家族の死亡率が高くなる。
彼らは一つの決断に迫られた。
パーキングエリアの一室に沈黙が走った。


「だがうまく行けば家族に会えるんだろ?」

重い空気を破ったのは阿部さんだった。
彼の言葉にレンと遊星は互いに顔を見合わせ、首を縦に振る。

「確かにこのままこうしていても何も始まらない。
 俺もその意見に賛成だ」
「僕、怖いよ・・・・・・でもリンやルカ姉さんに会いたい!」
「おケツに入らずんば、ケツを得ず とも言うしな。
 じゃあ早速出発だ!」







「おい、ちょっと待ってくれ」

遊星は不満の声を上げる。
今、阿部一行は遊星の愛車である『遊星号』というDホイールに乗っている。
ちなみにDホイールというのは、遊戯王カード(デュエルモンスターズカード)でデュエルができるバイクのことだ。
遊星号は元々一人乗り、精々頑張って二人乗りだ。 だからせまいのは仕方がなかった。

「どうしたんだ?」
「あ、阿部さん、僕もう・・・・・・アッー!」
「お前達、何をやっているんだ!?」

遊星号の操縦をする遊星の背中が、レンによって何度も押される。
それもそのはず。 狭い車内で阿部さんがレンに密着して、何度も掘り続けているからだ。

「何って・・・・・・○モ○ックスに決まってるじゃないか」
「そういう意味じゃない!」

流石の遊星も、自分の愛車の中で(性的な意味で)合体されたら動揺する。
しかも現在操縦中なため、下手に降ろすこともできない。

「ゆ、遊星さんとくっついていもドキドキするよぉ・・・・・・」
「な!?」
「遊星も見た目よりも逞しい体だからな。 ハッテンしたくなるのは当然だ」

駄目だこいつら、もうどうにもできない。
そう思った遊星はレンの体温を感じながら遊星号の運転に集中することにした。
レンが下半身丸出しなためか、自分の腰に温かく柔らかいものが何度も押し付けられている。

「僕、おかしくなっちゃったみたい。 前は女の人の体でしか興奮しなかったのに・・・・・・」
「それはおかしくなったって言わないぜ。 むしろ目覚めたっていうんだ。
 もう女の体なんて目じゃないだろ?」

何かがおかしい台詞が聞こえてくるが遊星は気にしない。
悶えるレンを、自分の知人である少年達と重ねてしまい、
興奮してしまいそうだったけど気にしない。

「でも僕、今でも姉さん達の裸を思い出すと胸がドキドキするんだ」
「姉の裸? おいおいいつの話だよ。 お前くらいの年になると例え身内でも裸を見ることなんて・・・・・・」
「うん、この前姉さん達とお風呂に入った時が一番新しいよ」
「「なんだと!?」」

レンの発現に、阿部さんのみならず遊星まで驚愕の声を上げた。
レンの年齢は14歳。
第二次成長期に入り、男としての体の機能が発達して、十分異性として見られる年だ。
そんな少年と風呂に入るなど、レンの姉はどういう神経をしているのだろうか。

「ルカ姉さんが『レンくんって男の方に興味があるから一緒に入っても大・丈・夫!』って言っていたから、
 その場のノリでハク姉さんとネル姉さんと入ることになったんだ。
 もっともその後MEIKO姉さんに怒られたけどね」
「な、なん・・・・・・だと?」
「こりゃ驚いた。 まさかバイだったとはな」

もう遊星は開いた口が塞がらない。
遊星はスラム街の孤児院出身だったため、ぶっちゃけ性欲を解消する方法が少ない。
さらに言えば、どうフォローしても裕福とは言えなかったため、エロ本なんて最早一つのお宝である。
自分がレンぐらいの年は、(性的な意味での)おかずに悩んでいたというのに、この差はなんだ。
若干嫉妬の念を覚えつつも、遊星は運転をミスらないようにハンドルを構える。

「まあそれはそれでいいさ、俺もこんなんだから人の性癖にはガタガタ言わん。
 それより今はシンクロ召喚だ。 アッー!クセル全開で東京にイくぜ!」
「アッー!」

本当に大丈夫かこいつら?
遊星は不安を捨てきれないまま、彼らの○ックスの脈動を感じていたのであった。



【一日目・6時45分/静岡県/天候・雨】
【阿部高和@くそみそテクニック】
【状態】健康、レンを捕食中
【装備】不明
【道具】支給品一式、他不明
【思考】
基本:や ら な い か
0:アッー!
1:レンの家族探しを手伝う
2:レンと遊星と行動する
3:その道中でいい男をさがす
4:悪い男は掘り殺す
5:できれば遊星も掘りたい
※7期とは別人です

【鏡音レン@VOCALOID】
【状態】阿部さんを見てると胸がドキドキする…
    遊星さんとくっついていても胸がドキドキする…
【装備】不明
【道具】支給品一式、他不明
【思考】
基本:家族を探す
0:アッー!
1:阿部さんと遊星と行く
2:阿部さんとイク
3:できれば遊星さんともイキタイ
※7期とは別人です

【不動遊星@遊戯王5D's】
【状態】健康、若干精神疲労
【装備】遊星のデッキ、Dホイール(遊星号)
【道具】支給品一式
【思考】基本:仲間を探して主催を倒す
1:阿部さん達と東京へ行く
2:でも決してイキはしない。
3:阿部さんとレンと一緒に行動する。
※スターダストドラゴンは持ってません。
最終更新:2011年02月12日 00:45