「「お前は……っ!」」
バイクを乗りこなす、蟹こと不動遊星。
バイクと合体する、
プラシド。
二人の間には少なからぬ因縁があった。
バトロワで原作での因縁の二人が出会ってしまった場合は、戦いとなることが多い。
べたな台詞を言えば、ここで会ったが百年目というやつだ。
二人の男は、バイク事故と転がる哀れな犠牲者・市川海○蔵のことも忘れ、ただ因縁の相手の姿だけを見る。
「いでよ、ワイゼル∞! ワイゼルT! ワイゼルG! ワイゼルA! ワイゼルC!
合 体 せ よ ! 機 皇 帝 ワ イ ゼ ル ∞ ! 」
そして、先に動いたのはプラシドだった。
自身のデュエルディスクに5枚のカードを次々に置き、機皇帝ワイゼル∞をこの世界に呼び出す。
カードのモンスターが普通に実体化できるこのカオスロワにおいて、ワイゼルは非常に強力だ。
攻撃力などを抜きにして、単純にその巨体から繰り出される攻撃は並の相手なら一撃で文字通り潰せる。
遊星もいくら力のあるデュエリストとはいえ、体はちょっと鍛えられた人間である。
このまま、機皇帝が腕を振り下ろせば彼は息絶えるだろう。
「ワイゼル! インフィニティガードフォーメーションだ! 急げ!」
「リョウカイ」
だが、何故か攻撃はしかけず、守りの構えをとった。
しかもそれは、プラシドを守ることはしていない。
ワイゼルは、彼の後ろにいる少女……鏡音リンの前で必殺フォーメーションの構え。
「え? え!? プラシドさん! 何も見えないです!」
「お前は見るな!」
突然視界を機皇帝に遮られたリンは慌てるが、プラシドがそれを制する。
それもそのはず。
彼は、たとえこの場にマーダーが乱入してきて……
自分の命が危険にさらされてもワイゼルをリンの防衛にあたらせるつもりだった。
その理由は、因縁の相手、遊星にある。
「貴様っ、不動遊星! 危うく俺も轢かれかけたことは100歩譲って許すとして!
そのふざけきった体勢はなんだ!?」
「お前はプラシド……またアポリアから分裂したのか。そうか、それで知能も3分の1になったんだな。
これは、『駅弁』と呼ばれる比較的ポピュラーな体勢だぞ? それをふざけただなんて……
……そうか、そんな体だものな……悪かった。だが、素直に羨ましいと言ってくれれば」
「おい貴様、今すぐD・ホイールから降りろ。俺がこの手でダイレクトアタックしてくれる!」
拳を握り締め、プラシドが吠えた先に立っている男は……
とても14歳の少女には『みせられないよ!』状態の姿で乱入してきていた。
自分達を逃がすために散った仲間の遺志と、自分の意志は『鏡音リンの防衛』だ。
防衛とは、肉体面は勿論のこと、絶望の道を進まないようにケアする精神面の防衛も含まれている。
少なくとも、プラシドはそう決めていた。そしてきっと、教育面の防衛も含まれている。
こんな生の18禁なんて、リンに悪影響しか与えないに決まっている。だから、防衛する。
「落ち着けプラシド。さては俺のスターダストの可愛らしさに照れているな?」
「リンに貴様のような走る猥褻罪が見せられるか!……それが……スターダスト……だと……!?」
「リン!? リンがいるの!?」
「ん? 遊星の後ろ、リンの知り合いがって貴様らも何をしているっ!?」
「え? 阿部さんとホモセ○クス。リンは僕の大切な妹なんだ!」
遊星の後ろから現れた、いい男と繋がったままの自称リンの兄の姿を見たプラシドは、頭を抱え込むのだった。
「お兄ちゃん!」
「リン! よかった無事で……!」
数分の論争のあと、遊星と阿部さんが合体を解除することを約束に兄妹はようやくの感動の再会となった。
その様子を、プラシドはただ黙って眺める。
「……意外だな。まさか、お前がレンの家族を守り続けてきたなんてな」
「ふん……俺が何をしようと、俺の勝手だろう。
不動遊星……本来なら、この場で貴様を抹殺してもいいのだが……今は主催者共が先だ」
「この世界を、レン達のような罪の無い人達を救いたい気持ちは俺も同じだ。なら、俺達は仲間だ」
スターダストドラゴンを名残惜しそうにひとまずカードに戻した遊星は、右手を差し出した。
それは、これから共に戦う
新たな仲間としての、友情の握手。
「ち……」
舌打ちしつつ、プラシドも渋々手を差し出した。
ピュアな瞳でこちらを見てくるリンと、不安な様子でこちらをうかがうレンの前だ。
ここで無碍に突っ返すのもあれだと思っての行動。
ぬべちゃっ……
「…………おい貴様。なんだ今の感触は、音は、ぬめりは、べたつきは!?」
「ああ、すまない。スターダストが中々見つからなかったからこっちの手は相当自家発電に……」
「「……」」
「き……貴様よくも謀ったな不動遊星!? もう許さん、この場で勝負だ! デュエルでな!」
絶叫しつつ凄まじい速さで手洗い場へと駆けていくプラシド。
残された4人はそれをただ見送ることしかできなかった。
「ではライフ4000、デュエルディスクを使うと実体化して危険だからデュエルマットでデュエルを行う。
このデュエルに勝った方がこのチームのリーダーとなる。班員はリーダーの指示に従うこと。いいな」
「ああ。つまり、俺が勝てばもうスターダストとどれだけ愛し合ってもお前は文句を言えなくなるというわけだ」
(この勝負……負けられん、絶対に!)
やがて、机に敷かれたデュエルフィールドの前に二人の決闘者が向かいあった。
これが彼らのやりかた。世界を救うのをお金を手に入れるのも人を殺すのも全てカードバトル。
いつの間にかチームリーダーや服従など勝利報酬が増えているのも彼らの世界なら許されてしまう。
「不動遊星……さっきの恨み、そして今後のリンのためにも貴様には負けるわけにはいかない!」
「スターダスト……待っていろ。すぐにまた召喚するからな」
互いに、譲れない信念を持っての真剣勝負。
なお、デュエルマットはレンの支給品だったトランクの中に入っていた。
他にも大量のカードが入っており、レンとリンは物珍しげにカードの絵柄などを眺めている。
「このいい男……ダイ・グレファーっていうのか……」
そして阿部さんまで品定めをしていた。
デュエルディスクがないと実体化はできないようなので、その顔は若干残念そうである。
「「デュエル!!」」
そ し て 数 分 後 …
「屑鉄のかかしを破壊! そして攻撃力5000となったワイゼルでダイレクトアタックだ!」
「こ……こんなことが……!?」
遊星・LP700→-
4300
試合はプラシドの一方的なものとなり、遊星はプラシドのライフを削ることもできずに敗北していた。
とはいえ、このデュエルには最初から遊星の勝ち目が下がっているのだから仕方が無い。
機皇帝を葬る切り札のシューティングスタードラゴンは、アクセルシンクロモンスター。
ライディング中のスピードのなかでクリアマインドにならなければ召喚できないモンスターなのだ。
だが今は互いに正座しながらのデュエル。これではアクセルシンクロが使えなかったというわけだ。
「くそっ! 卑怯だぞプラシド! アクセルシンクロさえ使えれば……」
「そもそも色欲に塗れた今の貴様では、本当にクリアマインドになれるか怪しいがな……
とにかく俺の勝ちだ不動遊星。おとなしく俺に従ってもらおうか」
ふふんと遊星を見下ろすプラシド。そんな彼に声がかけられた。
「あの……プラシドさん?」
「ん、どうしたリン。……それはデッキか?」
「はい、あのトランクの中に入っていたカードで適当に作ったやつだけど……
面白そうなので、私にも一試合させてもらえませんか? ルールは今の戦いで大体わかりましたから」
リンが手に持っていたのは、彼女が即興で作ったというデッキだった。
見れば、レンも何枚かカードを取って悩んでいる。あの阿部さんまでだ。
やたら胸の大きい女性モンスターと、やたらムキムキの戦士族ばかりだったが。
しかしとプラシドは一考した。
デュエルディスクさえ手に入れば、モンスターを召喚して自衛することが可能となる。
非力なリンとレンでも扱える、強力な手段。自分のデッキを持っておくのも悪くないだろう。
そして、一番の理由は娯楽の意味合い。
ピュアなリンも、かなり汚れたレンも、この殺し合いでの精神疲労はとても大きいだろう。
ならばせめて、今この時だけでも殺し合いを忘れて楽しくカードゲームにしゃれ込むのもいいのではないだろうか?
「よし、ではやるとするか。デッキのアドバイスはあとで俺がしてやろう」
「ありがとうございます!」
そして始まったプラシドのデュエル講座は……
「ワイズコアを破壊! そしてその効果によりデッキからパーツを呼び出し機皇帝ワイゼル∞を特殊召喚!」
1ターン目から大人げなかった。いきなり切り札の登場である。
しかしこれはプラシドなりの優しさだった。
わざと手を抜いてリンを勝たせても、デュエルの厳しさは伝わらない。
デュエルはまさしく決闘。生半可な覚悟では消される。それはこのバトルロワイアルにも言えることだろう。
偽りに惑わされず、真実を知り、それでいて希望を失わず前を見て歩き続けろということだ。
「俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」
「えと、私のターン!」
ターン2…プラシド・LP4000 フィールド…機皇帝ワイゼル∞・ATK2500(5種で1体) 伏せ1枚
「えーと……手札からサイバードラゴンを特殊召喚します!」
ターンがまわって来たリンは、手札から機械の龍を召喚する。
このサイバードラゴンは、相手のフィールドにのみモンスターが存在する時、特殊召喚が可能となる。
攻撃力は2100なのだが、このモンスターを見た瞬間、プラシドの顔が凍りついた。
「それで……エクストラデッキから『キメラテックフォートレスドラゴン』を特殊召喚!」
「なんだと!?」
プラシドが叫ぶが、もう間に合わない。
このフォートレスドラゴンは、サイバードラゴンをベースに他の機械族を巻き込んで造られる融合モンスターなのだが……
その巻き込む範囲は『自分と相手のフィールド』つまりはプラシドのフィールドも含まれている。
そして機皇帝は名前の通り全てのパーツが機械族。
リンが召喚宣言をした瞬間に機皇帝はバラバラにされて一体の要塞龍の一部となってしまう。
「フォートレスドラゴンは素材にしたモンスターの数×1000の攻撃力になるみたいですから……
6体で攻撃力は6000ですね。そして手札から速攻魔法リミッター解除発動!
機械族の攻撃力を2倍にします! そして手札2枚を捨てて魔法石の採掘を発動、リミッター解除を回収です。
そしてもう一回リミッター解除発動! 攻撃力をさらに倍に!」
フォートレスドラゴン・ATK6000→12000→24000
(ジャックのパワーが(笑)になりかねない攻撃力だ……!?)
(お、落ち着け! まだ俺には聖なるバリアミラーフォースが……)
「念のため手札から速攻魔法サイクロンも発動します!」
その言葉を聞いた瞬間。
プラシドは両手をあげて諦めた表情を浮かべた。
そして、つくづくデュエルディスクでやらなくてよかったなぁと思いつつ……
「と、通るかな……? フォートレスドラゴンで直接攻撃です!」
「ウボァー!」
プラシド・LP4000→-20000
ライディングデュエルだったら確実に上半身が6回はもげている攻撃をくらい、プラシドは敗北した。
そしてこの瞬間。この混沌としたチームのリーダーがリンに決定してしまった。
傷心気味のプラシドは頭の片隅で悩む。
今まで味わってきた絶望に加え、追撃の絶望。
初心者にオーバーキルされる絶望。宿敵が変態だった絶望。守ると決めたリンの兄レンももう手遅れだった絶望。
これから阿部と遊星の18禁行為をリンに見せないように頑張り続けなくてはならない絶望。
そして放置されていた死体からはみ出ていた名刺にあった市川の名……3000万の借金の絶望。
(ルチアーノ……ホセ……いまどこだ……次々絶望が降りかかるんだが……どうすればいいんだ?)
リンの防衛より先に、プラシドの精神が限界を迎えるのが先かもしれない……
【一日目・12時00分/神奈川県・病院/天候・雨】
【プラシド@遊戯王5D's】
【状態】健康、決意 傷心
【装備】サイクロン号、機皇帝ワイゼル∞(スターダスト、防衛白コア入り)
【道具】支給品一式
【思考】
基本:世界の破滅の根源であるニアラを消す。アンチ連盟も。不動遊星は保留。
0:とりあえず借金は踏み倒すために早々にここを出る
1:不動遊星をリンに近寄らせないようにするが、共に行動。
2:リンを防衛し、絶望の道を歩ませないようにする
3:速い男(クーガー)を警戒
4:ミクトランは許さない
5:遊星達と情報交換する?でも遊星達がろくに情報を持っていない気がする
6:東京に向かいつつ、デュエルディスクを探す
※神龍ニアラがシンクロモンスターだと思ってます
※7期の世界を知りました
【鏡音リン@VOCALOID】
【状態】ダメージ(小)、疲労(小)悲しみ、決意 、リーダー
【装備】覇邪聖皇剣、自分のデッキ、その他不明
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
基本:生き残り、家族と再会する。
0:プラシドが心配
1:プラシドや遊星達と行動する。
2:護られるだけではなく、自分も戦う
3:ハクの真意が知りたい。やむを得ない場合は戦う
※7期とは別人です。
※7期の世界を知りました
【阿部高和@くそみそテクニック】
【状態】健康、レンを捕食中
【装備】自分のデッキ、そのほか不明
【道具】支給品一式、他不明
【思考】
基本:や ら な い か
0:この調子でレンの家族を探す
1:レンの家族探しを手伝う
2:レンと遊星と行動する
3:その道中でいい男をさがす
4:悪い男は掘り殺す
5:できれば遊星とプラシドも掘りたい
6:ミクトランを探してじっくりと"お話"する
※7期とは別人です
【鏡音レン@VOCALOID】
【状態】阿部さんを見てると胸がドキドキする…
遊星さんとくっついていても胸がドキドキする…
【装備】自分のデッキ、そのほか不明
【道具】支給品一式、海馬社長のカードトランク
【思考】
基本:家族を探す
0:リンと再会できてよかった
1:阿部さんと行く
2:阿部さんとイク
3:遊星さんとも行く
4:遊星さんともイキタイ
5:ハク姉さんが心配
※7期とは別人です
【不動遊星@遊戯王5D's】
【状態】健康
【装備】遊星のデッキ、Dホイール(遊星号、中損壊)、スターダストドラゴン(人型)
【道具】支給品一式
【思考】基本:仲間を探して主催を倒す
0:リンか……年齢的にセーフだよな?
1:阿部さん達と東京へ行く
2:でも決してイキはしない。
3:阿部さんとレンと一緒に行動する。
最終更新:2011年02月28日 00:35