都庁がモンスターの巣窟になった。この件を知らない参加者はもはやほとんど存在しないだろう。
口コミに加えて、ネットでも徐々に広まっているのだ。それでも、まだ都庁に向かう参加者はいた。
モンスターが色々な意味で好きな連中である。
「効かぬわ、ミリオンアサルト!」
「「ぎゃああああぁぁぁぁぁ!!!」」
【ハンターA(フンター)@モンハンシリーズ】死亡確認
【ゴルルナ一式装備ハンター@モンハンシリーズ】死亡確認
もっとも、勇気と無謀は別物であるが。
彼らはモンスターの長に会う前に、自ら番人役を買って出ている二人の人間に叩きのめされていた。
「ここが新しい降臨ダンジョン……1階から火力インフレとかなんて糞仕様なんだ!
だが舐めるなよ。俺のこの麒麟ホルスパの圧倒的な火力なら……! くらえ、全属性25倍攻撃!」
「はいはい、全属性は吸収しちゃおうねー。そしてさようなら」
「待っ――
【パズドラテイマー@パズドラ】死亡確認
真っ二つにされてしまった主人の姿に、彼の召喚していたモンスター達は震え上がる。
「死にたくなければ去れ。そして次は愚かな人間に従わないようにするのだな……」
だが、番人の二人が叩きのめすのはあくまで人間であり、モンスターは基本的に見逃していた。
都庁の構成員がモンスターであるし、中には無理矢理人間に従わせられている者もいるうえ……
「に、逃げるぞみんな!」
「あ、そこの角と尻尾があるドラゴンっぽい子だけちょっと残ってくれるかな?」
「え? わ、私ですか? どうして――
ナ、ナニヲスルンデスカ!? ダイジョウブ、キモチイイコトダヨ ダメデス、ソンナ…… ホラ、ヨーシヨシヨシ。ココガイイノカイ? アッ……
「ふにゃぁ……サクヤのご主人様はレスト様だけですぅ……」
「やりましたよダオスさん、竜娘っぽい子を仲間にできました!」
「そ、そうか……まあ、戦力が増えたなら良しとしておこう……」
レストはその能力で、モンスターを手懐けることもでき、うまくいけばこのように戦力を増やせるためだ。
もっとも制限からか、連れて歩けるのは二体までのようだが。
「ダオスさんも、洗脳の魔法が使えるならそれで戦力を増やすのはどうですか?」
「いや、洗脳も万能ではないし、解ける危険性がある。やはり説得するか外部から協力者がやってくるのを祈ろう。
幸いにもこの者は、トレーナーを自ら殺害して我らについてくれたがな」
「ア゛オ゛ォォォォ!」
そういうダオスの傍らには、自身のトレーナーをアイアンヘッドで叩き潰したモンスター、メガボスゴドラがいた。
彼は自分の住処の環境が荒れた場合、自ら土を運び植林するエコなポケモン。
住処を荒らした主催者や人間に復讐するため、
都庁の軍勢に寝返ったのである。
【エリートトレーナー♀@ポケモン】死亡確認
何故彼らが都庁を守りつつ、戦力の増強を考えているのか?
それは放送が原因であり、都庁軍にとっては緊急事態であったためだ。
「……グンマーの民、……」
放送でその名が呼ばれた瞬間、都庁には激震がはしった。
グンマーといえば、人間であるが都庁軍勢と協定を結んだ、いわば同胞である。
加えて圧倒的な力を持ち、世界樹と化しつつあるこの都庁よりもさらに広大な世界樹の迷宮に住む者達だ。
その彼らが、死んだ。
一体誰が、どうやって。その疑問は残るが、とにかく彼らは殺されてしまった。
当然、都庁の者はたまらず怒り狂い、悲しみに沈む。
そして――自分達の身の危険も感じた。
当初は絶対安全圏と認識していたグンマーがこれでは、都庁も危ういのではないか。
そう考えた彼らは、リーダーの命によりさらに都庁の守りを固め、一部のモンスターは外に同志の生き残りを探しに行き……
さらに一部の参加者に意識改革と協力を求めているのである。
これはもはや自分達だけの戦いではない。グンマーを背負った戦いでもあるのだから。
「オンジン、モンバンマカセテスマナカッタ。リーダーヨンデル」
「骨竜か。しかし我ら以外に、ここの番をできる者がいるのか?」
「グオオオオオォォォォウ!」
「ウォークライガヤッテクレル。クウフクデソロソロニンゲンマルカジリタイラシイ」
「へえ、これはかなり強そうだ。ではここは任せて、僕らはリーダーに会いに行きますか」
【一日目・21時50分/都庁樹の迷宮入り口】
【ウォークライ@セブンスドラゴン2020】
【状態】すごく健康、空腹
【装備】無し
【道具】支給品一式
【思考】
基本:都庁の防衛
1:都庁に近づく相手を蹴散らす
2:美味そうだったら喰う
「リーダー、オンジンツレテキタ」
『ご苦労。では君はアイスシザースと合流し、彼の補佐を頼む。
さて……まずは魂の裁断者を、我らを助けてくれた礼を言わせてくれ強き人間よ』
骨竜に案内された先にいたのは、金色の巨大な竜。
その堂々とした佇まい、迸る雷から流石の二人も息を呑んだ。
『我が名は……そうだな、ここはあえてツバサビトのものを使わせてもらおう。クランヴァリネだ』
「レストです。そして後ろがダオスさんです」
『改めて、礼を言わせてくれ。君たちがいなければ、あの怪物がここに侵入し、甚大な被害がでるところだった』
雷竜、クランヴァリネは深々と頭を下げた。
『しかも後ろの魔物二人は新たな協力者か?戦力の補充までしてもらい、本当に申し訳ない』
「いえ、僕も竜娘が仲間にできてよかったですよ。……ところでクランさん、雄ですか? 雌ですか?」
『……雄だが』
「あはは、まあドラゴンなら雄も雌も大丈夫なんですけどね。プロテもアクナもフレクも雄ですし」
『……流石に、いくら恩人とはいえそういった要望には応えられないな。我の性癖は至ってノーマル、人妻至上主義なものでな』
「あぁ、人妻もいいですよね。なんかこう、吸い込まれそうというか、染めたいというか……ぐっときますよね」
『おお、わかってくれるか! いや赤竜と氷竜とも趣味があわなくてなかなか難儀していたのだが……』
「貴様ら……」
不毛なやりとりを、頭を押さえたダオスが止めに入る。
この都庁の軍勢の長だというので警戒はしていたが、どうやら意外と俗な生き物らしい。
何故か意気投合している様子であり、このまま放置すれば『本題』に戻るのはだいぶ先になるだろう。
「念話が私にも聞こえていること、理解しているか? 無駄口を叩く前に、伝えるべきことを伝えて貰いたいものだ」
「す、すみませんでした」
『済まぬ。……ゴホン、君たちを呼んだのには勿論、理由がある。
まずは話すべきであろう。我らがこの都庁を乗っ取った理由を……
目的の一つは、ここを新たな世界樹、拠点として大地の再生を図ること。人間に住処を奪われた者を匿う役割もある。
恐らくこれは、君たちならば既に理解しているだろう。二つ目の目的は――樹海
守護者、フォレスト・セルを目覚めさせることだ』
「フォレスト・セル……」
真面目な声色で、クランヴァリネは言葉を続ける。
『セルは、或いはセルに類似する存在は世界樹と呼ばれるものの地下深くに複数体存在するが、この都庁の下に眠るセルはその中でも最強の存在。
こうして生まれた森を守るため、常に進化を続ける。世界樹を守るために際限なく強くなり、自然以外の余計なものを排除する。
……目覚めた場合、君らは勿論、我や仲間達ですら、命の保障がないがな』
「なんだと!?」
『あくまでこれは最終手段のつもりだった。だが……グンマーの民が殺されたことは完全に想定外だ。
彼らであればあるいはセルを制御できたかもしれないが、それも叶わない。
彼らが死んでしまったということは、もはや外部に我らの味方はいないものと思ったほうがいい』
「なんのために、私達がここを訪れたと思っている? このボスゴドラ達も、味方ではないというのか?」
『……言葉が悪かったな。そう、君たちのような存在は本当に希少だ。本当に感謝をしている。
仲間が何人か外に協力者を求めてここを旅立った。もしかしたら彼らも協力者を見つけてくれるかもしれない。
だが自然に対するその思いと、戦えるだけの力は、必ずも比例はしない。だからこそ――君たちを頼りたいのだ』
瞬間、周囲に激しい稲妻が奔る。
クランヴァリネの三眼が見開かれ、その身体と四肢に力が込められる。
地形を変え、磁場を歪める最強の雷竜。
その全力の殺意が、ダオスとレストに対して向けられた。
「……」
『……ふっ』
だがそれは、すぐにおさめられる。
『身じろぎ一つしてくれないとはな……だが、それでこそこの無茶な願いもできるというものだ。
――ダオス、そしてレストよ。どうか我に代わり、君たちにこの都庁に集まった者を導いてもらいたい!』
やや間を置いてから、クランヴァリネはそう告げた。
それはつまり、長の権限の譲渡。
自分を含めて仲間達の命を部外者に預けるという、暴挙に近いものである。
「私達を信用してくれるのは嬉しいが、ここの魔物達は納得するのか?」
『問題はない。既に君たちのことは全員に伝えてあるよ。
ダオス、君には支配者……王の風格がある。君ならば、ここの個性的な面々であっても上手く纏め上げることが可能だろう。
レスト、君は王というより、王子の風格だな。その親しみやすさであれば、多くの者が勝手に君に寄ってくるだろう。
そしてなにより……二人とも、我を遥かに上回る力を持っている。君たちに無理であれば、我に目的が遂行できようはずもあるまい』
恐らく既に魔物同士で念話を済ませていたのだろう。
見ればクランヴァリネ以外にも、大小様々な魔物が服従の構えでいつの間にか広間に集まっていた。
「これは……責任重大ですね」
「私の双肩に、こやつら全員の命がかかっている、か。
……いいだろう! グンマー亡き今、ここを守れずして大地が救えようか! 全ては救世のためにっ!」
ダオスが拳を天に突き上げ、叫ぶ。
あわせて、魔物達もそれぞれが様々な咆哮をあげた。
それは新たなリーダーの就任を祝うと同時に、グンマーの民への手向けでもあった。
「まずは防衛網を見直せ。骨竜の報告によれば、突然内部に現れた忍者もいたらしい。
外部だけに集中せず、内部での争いにも対処できるような編成をこころがけるように。強敵が現れた場合は生存を優先し撤退せよ!」
早速てきぱきと都庁軍の者たちに指示を出すダオスを見ながら、クランヴァリネは満足げに頷いた。
『うむ、我もトップを退いたとはいえ、彼に全てを押し付けるわけにはいかぬな。
この都庁の周囲全体の磁場を捻じ曲げ、近づける者の数を減らしておくとしようか』
「ここが完全な迷宮に変化すれば、弱い魔物でも逃げ隠れはできるようになりそうですね。
そうしたら今度は、僕達も本気を出して積極的に邪魔者を排除していった方がいいでしょう」
都庁のまだ樹になっていない壁材をべりべりと素手で剥がしリフォームしつつ、レストもまた思案する。
「レスト様の言う通りかと……こちら、レスト様はあまりお好きではないとのことですが、ネットに……」
「あれ? パソコンなんてここにあったんだ。……ってちょっと」
『都庁は化物の巣窟。退治しないと』
『いや無理だろあれ。触らぬ神になんとやらだ』
『なんか都庁が見当たらない件』
『把握。都庁が木製になってた。火炎放射器ありったけもってけばいいんじゃね?』
『おk、凸するは』
『やばい、なんか屋上にきもいぶどうがなってる』
『さっき放送で忍さんの名前が呼ばれた……俺が都庁の潜入捜査なんか依頼したからだ……』
『でもさ、珍しいモンスター沢山いるんだろう?ゲットしたくね?』
『むしろ狩りたい』
『ここが新しい降臨ダンジョンか』
『上の書き込みしたっぽい奴ら、俺の目の前で惨殺されたよ……』
『マジかよ。情報くれ』
『金髪の人間二人が魔物庇ってるっぽい。いや多分あれも魔物だな』
『それイケメン?ならちょっと会って来る』
『おいごらぁ、イケメンいねーぞ!てか明らかにやばいドラゴン……あらやだ巨根じゃn
『うわ
ああああ!痴女がドラゴンに食われたああああああ!お、俺は逃げるぞ!』
『あえて言おう。ドラゴンGJ』
【右代宮桜座@うみねこのなく頃に】死亡(ウォークライに食われました)
「なんだこれは……」
『ふむ、リアルタイムでどうやらこの都庁は話題にされたり、見られていたりするようだな』
「他のアプリとか掲示板でも、かなり話題にされちゃってますね……」
「……これは割と早めに手を打った方がよさそうだね。パソコンとかは嫌いだけど、今回は素直に感謝しよう」
『ちなみにこれ、都知事からの戦利品。まあ我らの身体じゃ、扱えなかったんだがな』
「で、でしたら私がチェックをしておきます。こう見えて私、スマホとかアプリとか掲示板とか慣れてるんで……」
「ありがとうサクヤ。それじゃあ僕は……うん、この壁材とか採取物で色々道具を用意しておこうか」
バトルロワイアル開始から、もう間もなくで
二日目。
都庁の軍勢の目的は自然環境の改善であり、環境をないがしろにした人間の抹殺である。
魔物達が本格的に人類に牙を剥くのは、もうすぐだ。
【一日目・22時20分/都庁樹の迷宮・内部のどこか】
【雷鳴と共に現る者@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女】
【状態】健康
【装備】じしゃく@ポケットモンスターシリーズ
【道具】支給品一式
【思考】
基本:仲間達と共に、世界樹の環境を整える
1:都庁の防衛のため、周囲の磁場を捻じ曲げておく
2:赤竜と氷竜が気になる
3:安らかに眠れ、グンマーの民よ……
※人間に対しては、クランヴァリネと名乗っています
【ダオス@テイルズオブファンタジア】
【状態】健康、物理攻撃無効、雷耐性低、都庁リーダー襲名、メガボスゴドラの飼い主
【装備】ダオスマント
【道具】支給品一式、不明品
【思考】
基本:都庁の軍勢を守りつつ星の自然環境改善
1:都庁の軍勢を束ね、主催者及び敵対者を葬る
2:機械っぽい外見の奴は問答無用で潰す
3:四条化コンビを警戒
4:雷竜とレストが少しアレなので、その分自分が頑張る
5:自分達が健在な限りは、フォレスト・セルの召喚は控える
【レスト@ルーンファクトリー4】
【状態】健康、全属性攻撃吸収、無属性攻撃半減、サクヤの飼い主
【装備】天ノ村雲ノ剣
【道具】支給品一式、不明品、謎の壁材、水晶の壁材等の素材
【思考】
基本:都庁の軍勢を守りつつ星の自然環境改善
1:都庁樹の施設と素材を使い、戦闘準備を整える
2:機械っぽい外見の奴は問答無用で潰す
3:四条化コンビを警戒
4:あわよくば竜と結婚できる世界を作りたい
※フレクザィードの飼い主でしたが、バサラによりその権限を奪われていることに気がついていません
※連れて歩けるモンスターは二匹までです
【極光の麒麟・サクヤ@パズドラ】
【状態】健康、調教済み
【装備】不明
【道具】支給品一式、スマホ、都知事のパソコン
【思考】
基本:レストに服従
1:ネットに疎い主に代わり情報収集
2:実は青龍と違ってドラゴンではないことはこの際黙っておく
【メガボスゴドラ@ポケモン】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】支給品一式、大量の土と樹
【思考】
基本:ダオスに着いていく
1:縄張り以外でも自然環境を破壊する奴は容赦なく頭突く
2:リフォームを手伝う
『ところで、本当にあの屋上にぶら下がっているぶどうっぽい者はなんなのだ?』
「知らぬ。敵意はないようだが……」
「……♪」
その頃、より快適な環境になった都庁にぶらさがり続けていたミザールは目的を忘れていた。
今の彼が考えることはただ一つ。
――仲間と一緒にぶら下がったらもっと楽しいのではないだろうか?――
……都庁がさらに人外魔境と化する日も、遠くないのかもしれない。
【セプテントリオン・ミザール@デビルサバイバー2】
【状態】超健康、超上機嫌
【装備】ミザール触手×6
【道具】不明品、支給品一式
【思考】
基本:都庁樹にぶらさがる
1:自分を都庁から降ろそうとする奴には反撃
2:セプテントリオン仲間を呼びたい
※超速再生無限増殖能力には制限がかかっています
※セプテントリオンとしての使命は完全に忘れ去りました
※魔物でも悪魔でもない存在なので、都庁軍勢の誰も彼の言葉を理解できていません
※裁断者相手にはジェスチャーでぶらさがりたい旨を伝えたようです
最終更新:2014年02月17日 02:04