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高津と犬牟田のコンビは、周囲を警戒しながらちまちまと移動を進めていた。
特に問題もなく時を過ごしていた二人だったが、何回目かの休憩でついに彼らの目的を揺るがす出来事が起きてしまう。

「高津さん……」
「どうした、犬牟田」

無線LANでネットにアクセスしていた犬牟田が、神妙な面持ちで高津に話しかける。
その表情にただならぬものを感じながら、高津は応えた。

「佐々木さん、亡くなられたみたいです」
「は……? え、ちょ、マジ?」
「ネットにあげられていた情報を信じれば、ですが……。
 どうもDMC信者によって、大魔神軍は皆殺しにされてしまったようです」
「そんな……バカな……」

崩れ落ちるように、高津は膝をつく。
今は日本全土を舞台にした殺し合いの真っ最中であり、いつ誰が死んでもおかしくはない。
それを理解していてもなお、高津にはあの人間離れした生命力を誇る佐々木が死ぬとは思えなかったのだ。
倒すべき宿敵の喪失という事態を前にして、高津はひどい動揺を隠せずにいた。

「…………」

崩れた体制のまま動かない高津を見つめながら、犬牟田はこれからのことに思いをはせていた。
高津がこのまま再起不能になるようなら、かわいそうだが見捨てていくことも考えなければならないだろう。
あるいは自暴自棄になり、無差別に人を襲うかもしれない。
その場合は、自分が彼を止めなければならないだろう。
とはいえ同じ生徒会四天王に名を連ねる蒲郡や猿投山と違い、犬牟田の生身での戦闘力は一般人レベル。
ろくな武器もない今の状態で、スーパー戦隊の力を持つ高津に勝てる可能性は非常に低い。

(展開次第では、僕もここで終わりかもねえ)

うっすらと冷や汗を浮かべつつ、それでもポーカーフェイスを貫きながら犬牟田は高津の観察を続ける。

どれほどの時間そうしていただろうか。やがて、高津はゆっくりと体を起こした。

「決めたぜ、犬牟田」
「何をです?」
「俺は、DMC信者をぶっつぶす!」
「……ほう」
「大魔神軍が全滅したってことは、佐々木だけじゃなくたくさんの野球選手が殺されたってことだ。
 とうてい許せることじゃねえ。落とし前をつけさせてやる!」

そう宣言する高津の瞳には、激情の炎が宿っていた。
それを見て、犬牟田は彼の決意が強固なものであると判断する。

「……わかりました。及ばずながら、俺も協力しましょう。
 乗りかかった船ですしね」
「助かるぜ!」

犬牟田の手を固く握りしめる高津。
その次の瞬間、轟音と衝撃が二人を襲った。

「なんだ!? また地震か!?」
「いえ、地震の揺れ方とは違いますね。おそらくは爆発です。
 様子を見に行ってみましょうか。いつでも変身できるよう、スタンバイしておいてください」
「わかった」

犬牟田の言葉にうなずくと、高津はすぐに走り出した。



◆ ◆ ◆


「これは……」

爆発の現場と思わしき場所にやってきた二人が見たのは、力尽きた三体の怪人であった。
地に伏す、亀のような顔の怪人。
野球ボールそのものの頭部だけになった怪人。
そして、ガレキに潰されたトカゲの怪人。

「これは……相打ちになったのか?」
「あれは!」

冷静に状況を分析する犬牟田をよそに、高津はあることに注目していた。
亀のような怪人のデイパックから、野球のグローブが転がり落ちていたのだ。

「誰か……いるのか……」
「お前、まだ息が!」
「すぐにでも力尽きるだろうがな……。誰でもいい、我が遺言を聞いてくれ。
 私はデュデュオンシュ……」

デュデュオンシュと名乗った怪人は、荒い息で高津に語りかける。

「私は野球仮面と出会い、野球のすばらしさを知った……。
 猿と見下していたこの世界の人間が、こんなに熱狂できる娯楽を生み出していたとは……。
 私も……野球チームを作りたくて……準備を進めていた……。
 だがサッカー派の怪人に襲われ……なんとか勝ったと思ったが……
 向こうも最後の力を振り絞って反撃してきて……このざまだ……
 まあやつも自分の技で崩れ落ちてきたガレキに潰されて、死んでしまったがな……。ぐふっ!」

デュデュオンシュの口から、大量の血が吐き出される。いよいよ最期が近いらしい。

「どこの誰か知らない相手に頼むのも失礼だとは思うが……どうか私の最後の願いを聞いてほしい……。
 これを……葛葉紘太という男に……。敵対していたが……彼もまた……野球に……!」

柑橘類をメタリックにしたようなデザインの錠前を取り出したデュデュオンシュは、それを高津に渡すと目を閉じる。
そしてそのまま、完全に息絶えた。

「どうします? 届けるんですか、それ」
「ああ……。人間じゃないが、こいつも真剣に野球を愛していた。
 そんなやつの最後の願いを、無碍にはできねえだろう」

静かな声で呟きながら、高津は錠前と共に爆発でボロボロになったグローブを自分のデイパックにしまう。

「じゃあ、さっそく行きましょうか。葛葉紘太という人は、聖帝軍に名前が確認できました。
 今は西武ドームにいるはずです」
「おお、調べが早いな! なら、すぐに行くぞ!」
「けど、徒歩で西武ドーム行くとなるとそうとう時間かかりますよ。
 それまで向こうが移動してなければいいんですけど……」
「そこは……うん、何とかしよう」

こうして新たな二つの目標を胸に、彼らは新たな旅立ちを迎えるのであった。



二日目・7時20分/東京都】

【高津臣吾@ササキ様に願いを】
【状態】健康
【装備】クロスチェンジャー@鳥人戦隊ジェットマン
【道具】支給品一式、カチドキロックシード@仮面ライダー鎧武、ボロボロのグローブ
【思考】
1:DMC狂信者をぶっつぶす
2:カチドキロックシードを葛葉紘太に届ける
3:乗り物を調達したい


【犬牟田宝火@キルラキル】
【状態】健康
【装備】だいぶ古い型のノートパソコン@現実
【道具】支給品一式
【思考】
1:高津に同行する
2:もうちょっとまともなパソコンがほしい
3:できれば極制服もほしい


【デュデュオンシュ@仮面ライダー鎧武 死亡】
死因:失血死
【野球仮面@秘密戦隊ゴレンジャー 死亡】
死因:必殺シュートにより爆死
【トカゲロン@仮面ライダー 死亡】
死因:ガレキに潰され圧死
最終更新:2014年09月09日 17:24