それは、一瞬の出来事。
魔神皇の力によって、都庁地下に隠されていた峰津院の龍脈召喚の陣が起動した。
直後に召喚陣から飛び出してきたのは、三竜や神樹すら凌駕する……否、巨大な樹となった都庁をも超える大きさの異形の龍。
頭部のみの姿、自身で自身に噛みつく形で無限とも思える程に長大に連なった龍脈の龍。
一度天を衝き、やがて先端の頭部が狙ったのは世界樹の頂上にぶらさがり続けていたセプテントリオン、ミザール。
「ΩΩΩ、Φθ$ё……!」
突然の攻撃に、ミザールはまるで反応が間に合わず、龍脈の龍に思い切り噛みつかれてしまう。
しかしぶら下がり続け健康になった今の自分は以前とは違う、何しろ触手が増えているのだと果敢に反撃を試みる。
二本の触手で世界樹にしがみつき、新たに生えた4本の触手で龍脈の龍へ高速の突きと全てを粉砕する主星の圧撃を叩きつけた。
驚異的な増殖能力に加え、この触手を用いた強力な物理攻撃こそがミザールが持つ能力だ。
「ЁЁ……!?」
だが、ミザールは知らなかった。
龍脈の龍が持つ能力の一つは、物理攻撃の吸収。どれだけ攻撃しようとも、全て吸収されて逆に相手の傷を癒してしまう。
さらに本来の龍脈の力に加え、峰津院大和が独断で流し込んだクラウザー成分により、龍脈の龍は殺意全開。
必死の抵抗を嘲笑うかのように、龍脈の龍はミザールを噛みちぎり、分裂を許さない速度で次々に飲みこんでいった。
【セプテントリオン・ミザール@デビルサバイバー2】増殖不能、死亡確認
「な……」
そのあまりの光景に、レスト達は全く動くことができなかった。
いやもし仮に動けたとして、龍脈の龍を止めることなどできなかっただろう。
「いいぞ、そのまま――世界樹もレイプしろ」
大和が龍脈の龍へと指示を出す。
既に召喚時から龍脈の龍の巨体は世界樹全体へと巻き付いており、三竜が施した結界を破り世界樹そのものを締めあげている。
そしてミザールを食べ終えた頭部は、手頃に齧りつけそうな世界樹の幹へと噛みつく。
べき、べきべき、ばきりと、樹が噛み砕かれていく嫌な音が響き渡った。
その音はおそらく、関東全域に広まったことだろう。そもそも龍脈の龍があげた咆哮で、手の空いていた参加者の多くが世界樹を見ていた。
巨大な龍が、紫色の怪物を捕食し、魔物の巣窟である世界樹を喰わんとしている。
――怪獣大戦争。モブ参加者の頭の中には、そんな言葉が浮かんできたという。
「行って、セルちゃん!」
「神樹、お相手をしてさしあげて」
「 に し ゃ あ あ あ あ あ ! 」
「 シ ン ジ ュ ― ッ ! 」
眩い閃光。
直後に現れた異形の存在により、噛みついていた龍脈の龍の頭が粉砕される。
すぐさまその粉砕された頭に噛みついていた別の龍脈の龍の頭が先頭の役割を果たすが、それでも大きくのけぞり後退した。
「にしゃあああああ!」
「おいおい、なんだってんだこのふざけたドラゴンは?」
そして大地を揺るがしながら、モンスターボールから繰り出された二体は地表へと降り立った。
新たな怪獣の投入――フォレスト・セルとその頭部にドッキングした歪みし豊穣の神樹である。
二人の巨体が縦に合わさったことにより、その身長は世界樹をも上回り、龍脈の龍へ対抗できる大きさとなっていた。
さらに……
「私も、戦う! サウザンドネイル!」
どこからかまどかの声が響くと同時に――世界樹そのものが動いた。
無数に伸びた枝の一部が、まるで鉤爪のような動きをし、龍脈の龍の身体を掴んで拘束する。
「ば、馬鹿な!? 何が起きている!?」
「あの黒い怪物は、首相官邸にいたはずじゃあ!?」
「この声は……まどか? それに神樹は……」
地上では誰もが混乱状態に陥っていた。
超大型の怪物が次から次へと繰り出され、さらには世界樹そのものが意思を持って動き始めたのだ。
ハザマの計画でも、ここまでは想定されていなかった。
『レストさん、聞こえる!?』
「まどか……まさか君は……!」
『うん。今私は――世界樹と同化している。雷竜さんから教えてもらったんだ。本来は男の王様がとる戦法らしいんだけどね』
「何をしている龍脈の龍よ! その化物共を始末して世界樹を圧し折れ!」
「にしゃあああああ!」
「ガアアアアアアア!」
再び牙を剥く龍脈の龍と、フォレスト・セルの触手が激しくぶつかり合う。
そこへ黒い鉤爪も加勢し、龍脈の龍は大口を開けたまま固定された。
そのまま触手が上下へと動き、龍脈の龍の頭部は引き裂かれて地面へと落下していく。
吸収の限度を超えた、圧倒的な怒りの力が龍脈の龍の守護を貫通しているのだ。
「よぉ、さっきはエリカを治してくれてありがとうな」
「神樹、君達はこんな連中の相手より、仲間のところへ急ぐべきじゃないのか?」
「エリカが俺達を助けてくれたあんたらの助太刀をするって言ってるんだ。俺はそれに従うまでよ。
それにまだあっちには桑原がいる。ユーノならあのオカマ野郎の危険性わかるだろうし、次元刀で逃げ延びてくれるだろうぜ」
「ガアアアアアア!」
「うおっと! というわけだから、このドラゴンは俺とフォレスト・セルが始末してやんよ!」
左右から繰り出された尖った神樹の蕾が、龍脈の龍の両眼を貫く。
それに怯んだところを、今度は口内に炎を流し込んで爆散させた。
龍脈の龍の頭部は無数に存在する。数個破壊したところで、次から次へと新たな頭が世界樹が生み出した二大怪物へと襲いかかる。
それを食い止めるように、世界樹の葉が盾の役割を果たしたりすることもある。
同化した世界樹の巫女たるまどかの力であり、今世界樹が傷つけばそれはそのまままどかへのダメージとなる。
だからこそフォレスト・セルは最初からアクティベイト状態、全力で龍脈の龍を始末しにかかっている。
それにドッキングした神樹は飼い主のエリカの命により、そして元は世界樹である彼も今の世界樹を守りたいと思い、容赦なく暴れる。
その光景を見たモブ参加者は、怪獣超戦争と題を改めてカオスロワちゃんねるに書き込みをするのであった。
「はは……まったくまどかには敵わないなぁ。そんな簡単に、人の体を捨てて自ら危険な目に遭いに行くなんて。
風鳴翼のようになるかもしれない、本当に人間じゃなくなるかもしれないって恐怖してた僕が馬鹿みたいじゃないか」
そしてそんな怪獣超戦争の中で、レストは己の右腕に力を込めつつ道具袋の中から巨大な何かを取り出した。
「ついさっきまで普通の女の子だったまどかがあれだけ体を張ってるんだ。僕もやらなくてどうする。
今まで散々化物呼ばわりされてきたんだ。今更姿形が変わろうが大差ないし、こんな力ごときに呑まれてたまるか!」
それは、巨大な石版とも見える竜の鱗だった。
三竜の鱗の中でも特に鋭く頑強であり竜の力を蓄えたそれは、彼らも一枚しか持っていない逆鱗と呼ばれる部位。
この3枚を加工すれば最強の剣が生み出せ、三竜もその思惑からレストに託した素材なのだが……
「本当はこの使い方はしたくなかったけど……古代秘術――エーテルリンク!」
モンスターボールのものとは異なる、閃光。
誰もがその光に一瞬目を閉じ、そして再び目を開けた瞬間。
「なん……だと……!?」
誰もが、化物を見つけてしまった。
「はは、ここまで細かくエーテルリンクできるとは、これは風鳴翼の力の恩恵かな? うん――悪くない」
レストが発動した禁術は、魔物と人の融合魔法。
素体となる者に、変化したい対象の鱗の一枚でも掛け合わせるだけでその力の大部分を行使でき、完璧に同一の姿となれるものだ。
生きた者を融合素材として取り込むことさえ可能であり、術者の力が強ければそのまま相手の精神を殺して乗っ取ることもできる。
かつてのレストの怨敵はこの術を用いて人間から神となったが、今この場に降臨した存在はそれ以上だ。
大きく異なる点は、レストが竜の体そのものではなく人間の体を維持した言わば人竜であるということ。
各竜を模倣するのではない。神をも超える力を持つ彼の肉体をベースに、竜の力を加算させた姿。
三竜の中で唯一二足歩行が可能であり、大地を踏むだけで強固な氷の盾を生み出せる氷竜の強靭な脚と翼。
三竜の中で最も鋭く、全てを薙ぎ払い噛み砕く屈強な赤竜の剛爪と牙。
三竜の中で最も美しく、敵対者を翻弄する技を繰り出す荘厳な雷竜の角と長尾。
伝説の竜になるのではなく、その力の全てを掌握して従える。完全に人の枠から飛び出た化物。
「レスト様……」
「グオオン!」
事前に彼の奥の手の一つを聞かされていた従者二人でも、驚かずにはいられなかった。
エーテルリンク最大の弱点は、融合状態を長時間続けると元の姿に戻れなくなるという点だが、彼は最初からそれを考慮していない。
混沌の力に呑まれればどの道化物と化す。抗えても既に異常な力を持っている自分は化物と同義。
ただただ敵対者を撃滅するためだけに、その力は振るわれる。もはや人間に戻る気などはないのだ。
そしてサクヤが魔術書を持参したように、ウォークライもレストの助けとなるある道具を持参してきていた。
むしろそれこそが、レストにエーテルリンク発動のきっかけを作ったと言っても過言ではない。
ウォークライが人竜と化したレストの前に、どさりと何かを差し出す。
それは、死後かなりの時間が経過した屍であった。
死体の分際で黄金に輝くそれは不思議と力を放っている。
人はソレを――真竜ニアラと呼ぶ。
この世界樹、東京都庁において、一番最初に犠牲となったウォークライの元主人である。
野球チームに所属していた仲間の真竜に情けないと言われた、可愛そうな金ピカである。
並行世界においても色々と醜態をさらしていそうな雰囲気までする、残念なドラゴンの屍である。
これが一般の相手に対する贈り物であれば、こんな生ごみよこすんじゃないと憤慨されるところだろう。
「追加エーテルリンク――真竜ニアラ」
だがレストは、躊躇わずにその生ごみ(の鱗)とも融合してみせる。
ウォークライも内心ではこの生ごみが本当に役に立つのか不安ではあった。
やたらと派手好きであり、その脚から生えた青いよくわかんない部位は本当になんのためにあるのかとか疑念は尽きなかった。
さらに公式で出オチ、下品、無価値、醜い、最悪、邪魔、相当イタい、存在そのものが罪などとボロクソに言われる竜だ。
不安になるなという方が無理だろう。
「……どのパーツ出しても邪魔になるな。この王冠っぽい装飾だけでいいや」
案の定、融合完了したレストからの評価もいまいちであり、ニアラとの融合を証明するのは頭部の王冠っぽい部分のみ。
「――だけど能力は、今の状況下では最高だね」
「っ来るか人外! 総員構えろ! もう一度取り巻き共もろともメギドで焼き払え!」
「ゴアアアアアアァァァァァ!」
「たとえ微々たるものでも、レスト様を傷つける魔法は許しません!」
「うぐ!? ハ、ハザマ様! 俺達のスキルが全部使えなく……!?」
「なにっ!?」
身構える狂信者に対して、それよりも先にウォークライとサクヤが動く。
ウォークライの口から放たれたのは、かつてミケ・ザカリアスとニセアカギを都庁から追放したタイフーンハウル。
サクヤの手から放たれたのは、彼女の先制能力の一つである封印の波動。
双方共、相手のパッシブスキルを除いた全スキルを一定時間封じる強力な力を持っている。
さらにタイフーンハウルは付加効果が無くとも無属性の強力な全体攻撃であり、狂信者の隊列を乱すには十分であった。
そこに、竜の力を上乗せしたレストが襲いかかる。
赤竜の力『赤竜の猛攻』――物理・魔法攻撃力を約2倍に
氷竜の力『ミラーシールド』――連続使用はできないが、万能属性を含む全ての攻撃を無効化しカウンター
雷竜の力『古竜の呪撃』――与えたダメージの200%分体力を回復
そしてニアラの、真竜の力が発動される。
『キリングリアクト』――敵対者を死亡させた場合、即座に再行動が可能となる
『真竜ブレス』――使用者の魔法攻撃力依存の普通のブレス。ただし『無』属性
「ぐああああ! クラウザーさんばんざぁぁぁぁぁぁ……!」
信者の一人が呪撃を浴びて消し飛んだ――次の瞬間。キリングリアクト発動、Action+1!
即座に再行動、手に入れた竜の尾でまとめて一団が薙ぎ払われる。キリングリアクト発動、Action+1!
続いて人間の口から爆音と共にブレスが吐き出される。キリングリアクト発動、Action+1!
蹴り飛ばされ、殴り飛ばされ、引き千切られ、踏み砕かれ、裁断され、貫かれ……
キリングリアクト発動、Action+1! キリングリアクト発動、Action+1! キリングリアクト発動、Action+1……!
※
リアクト中は、同じような即座に再行動が可能になるか超スピードの能力を持ってでもいない限り、誰も割り込めない。
そして行動はあくまで1ターン内の再行動であるため、能力を知らない者は同一時間内で仲間が惨殺される光景を目の当たりにする。
「オオォ……!」
ウォークライは感動していた。これこそが、キリングリアクト本来の使い道であると。
折角の再行動時に最大体力の4%しか回復しないへちょい再生能力を使ってチャンスを捨てる馬鹿な元主人とは大違いであると。
数多の竜を屠り、数多の竜の力を自在に使いこなす彼にこそ、自分は仕えるべきであったのだと。
瞬く間に狂信者は死んでいく。
フォレスト・セルと神樹の力であれば、龍脈の龍を相手取りながら隙を見て狂信者の群れを全滅させることはできただろう。
しかしながら彼らはあまりにも強すぎ、手加減の仕方というものを知らず、攻撃範囲が広すぎる。
ハルマゲドンをこの至近距離で発動させた場合、確実に余波で世界樹に被害がでてしまう。
だがレストはそれに並ぶ力を持ちながら、かつての侵入者に見せたように手加減ができる。
強力無比な竜の力を上乗せしたとはいえベースは人間であるレストであり、その攻撃可能範囲はどうしても本家に劣るが、
逆にそれが世界樹に被害を出さないまま、相手だけを殲滅できる武器となっているのだ。
数千人の狂信者を相手にちまちまと殺していては時間がかかるが、その問題点もキリングリアクトが補う。
「っ!」
「ようやく、捉えたぞ人外!」
だがついに、リアクトタイムが終了する。
龍脈を身体の隅々まで巡らせ超速移動する大和の物理反射が、レストの攻撃を弾いたのだ。
「さすがに一筋縄じゃいかないか。できれば君らなんかの相手をするより、あの巨大な龍をどうにかしたいんだけどね」
「黙れ人外。貴様なぞに私達の邪魔はさせぬぞ。今しがたミザールは始末した。あとはクラウザーさんを生き返らせ……
最後のセプテントリオン、ベネトナシュを倒せば管理者ポラリスへの謁見が可能となる筈なのだ!」
「まあ、大和の管理者に頼んで世界をクラウザーさん主義に書き換える作戦が上手くいかなくても問題はないんだけどね。
クラウザーさんを理解しない者には全て僕が罰を下す。そうすればどちみちクラウザーさん主義の世界は生まれる!」
「そんなよくわからない世界は
ごめんだね!」
さらに割って入ってきたハザマの巨大な拳に対して、レストが拳を突き返す。
「無駄だ、魔神皇の力を舐めるな!」
「っ! 腹が立つなぁそのインチキスキル!」
だがやはり、物理反射のスキルがそれを防ぐ。
竜の力を加算させても、やはりこのスキルだけは突破することはできないということだ。
「メギドラオ「ミラーシールド!」っこの!」
「ふむ、どうやら厄介な盾のようだが、私の速度なら背後から盾が生成される前に「始原の印術!」ぐあっ!?」
ハザマがメギドラオンを発動するよりも早く、氷の盾が生み出される。
超速移動により盾が生成されきる前に大和が背後を取ったかと思えば、その場所へサクヤの印術が放たれる。
門番達と狂信者達の戦いは一進一退の攻防が繰り広げられていた。
「つくづく邪魔な連中だ……! 現れろ『邪神 ニャルラトホテプ』『天使 メタトロン』!」
さらにその場に、大和の携帯から呼び出された巨大な二体の大いなる存在が現れる。
「我は這い寄る混沌なり。顔無き者なり。クラウザーさん復活を切望する者なり」
「Y・H・V・Hは神などではない! クラウザーさんこそが唯一神である!」
真っ黒な顔無しの悪魔は邪神ニャルラトホテプ。全身メタリックな機械の大天使はメタトロン。
強大な力を持つ二体もまた、例に漏れず熱狂的なクラウザーさんの信者となっていた。
「大和、あまり悪魔は呼び出しすぎるなよ。それも微量とはいえ生体マグネタイトを消費するんだからな」
「わかっている。だが龍脈の力とて無限ではないのだ。出し惜しみせずに目の前の障害を排除する方が先だろう」
「次から次へと……! サクヤ、背中に乗って左右の警戒を頼むよ。ウォークライは後ろを!」
「りょ、了解しました!」
「グオオオオ!」
「「SATUGAIセヨ! SATUGAIセヨ! SATUGAIセヨ!」」
大和が邪神と大天使を従えて空を飛べば、レストも神獣と龍王を従えて空を飛ぶ。
空を飛ぶ必要もなく巨大な魔神皇ハザマはその両の手で獲物を捻りつぶさんとする。
地上からはSATUGAIコールが響き続け、さらに各サマナーも悪魔を召喚してハザマ達の援護へとまわる。
「ゴガアアアアアアア!」
「にっしゃあああああ!」
「セルちゃん、あまり無理はしないでね!」
「神樹、貴方もですよ?」
「わかってるっての! 少なくともあのオカマ野郎を殺すまでは意地でも死なねえ!」
その後ろでは、世界樹を締め上げる超巨大な地龍とそれに真っ向からぶつかる世界樹の権化達。
咆哮だけであらゆる生命体をすくみ上らせ、唸る鉤爪と蕾は見るものの心を折りに行く。
この殺し合いが始まって以降、大規模な戦闘は何回か起こっている。
また拳王連合の手により、多くの地域が壊滅的な被害を受けてもいる。
それに比べれば、現時点ではまだマシな状況だろう。
だがこうも規格外の化物が入り乱れた、誰もが近寄りたくないと思うような戦場は初めてだろう。
半数以上が殺害されてなお、初回よりも人数の多い狂信者のSATUGAIコールも相まって、そこは本当に悪魔の宴会場のようであった。
ただただ、モブ参加者はカオスロワちゃんねるへと書き込みをする。
自分程度が、いやもはやちょっと腕に覚えがある程度の人間が踏み入っていい領域ではない。
あれはそう、あれこそが魔界なのだと、誰もが思い、絶望する。
西も東も
地獄絵図。北は凍結、南はロボ化。
逃げ場無きこの世界の混沌は加速していく。
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1:東京と魔界が繋がった (1)
2:大阪方面避難誘導スレ(985)
※
【
二日目・8時45分】
【世界樹近辺】
○世界樹門番三人衆
【レスト@ルーンファクトリー4】
状態:ダメージ(微)、全属性吸収、物理&無属性攻撃88%軽減、攻撃無効化率50%、首輪解除、物攻4倍魔攻2倍、
テラカオス化制御中、エーテルリンク中
思考:従者二人を護衛しつつ、ハザマ達狂信者を全滅させる
※候補者の一人となりました。現在はその肉体と竜の力でテラカオスの力を制御していますが、なんらかの要因で抑えきれなくなる可能性もあります
※進行を抑えているため、テラカオス化が進むことによる新たな能力取得はできません
【聖煌天の麒麟・サクヤ@パズドラ】 状態:健康、レストに搭乗中、首輪解除、攻撃力1.5倍、被ダメージ半減
装備:巨大棘鉄球×2、始原の印術書
【ウォークライ@セブンスドラゴン2020】状態:健康、飛行中、首輪解除、攻撃力1.5倍、被ダメージ半減
道具:余った真竜ニアラ
思考:レストの援護をしつつ、ハザマ達狂信者を全滅させる
※レスト直属の魔物のため、装備の恩恵によりステータスが上がっています
☆デビルサマナー狂信者軍
【狭間偉出夫@真・女神転生if...】状態:魔神皇ハザマ(第一形態)、物理反射、メギドラオン習得
装備:アームターミナル型COMP(悪魔数体入り)、サマナー狂信者(残り2500人)
思考:クラウザーさんを殺した世界に対して魔神皇として罰を与える
※クラウザーさん効果で原作以上のステータスとメギドラオンを手に入れています
※
ゲーム仕様ではないので、空しくランダマイザを繰り返す残念AIではありません
【峰津院大和@デビルサバイバー2】状態:ダメージ(小)メタトロンに搭乗中、万能耐性
コマンドスキル:メギドラオン、常世の祈り、吸魔
自動効果スキル:物理反射、全門耐性、真・龍脈の秘術
思考:世界樹連中のSATUGAI
※ニャルラトホテプ及びメタトロンが生存している限り、あらゆる攻撃ダメージを半減させます
※真・龍脈の秘術の効果により、邪神族の移動制限効果を受けてなお凄まじい速さで行動できます
【ニャルラトホテプ@女神転生シリーズ】状態:全属性半減
【メタトロン@女神転生シリーズ】状態:物理反射、風雷弱点、自動回復
思考:クラウザーさん復活のために大和に従う
※高位の悪魔ですが、やはり狂信者です
【世界樹・外部】
☆捕食者
【龍脈の龍@デビルサバイバー2】状態:健康、物理吸収、全属性耐性
思考:世界樹を破壊し、食い尽くす
※胴体の一部が外から世界樹を締め上げています
○バケモンとトレーナー
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】状態:ダメージ(小)、世界樹の巫女、世界樹と同化中
道具:支給品一式 その他不明、モンスターボール(フォレスト・セル)
思考:フォレスト・セルと神樹の援護、世界樹を守り抜く
※世界樹と同化状態のため、世界樹へのダメージを同じく受けます
※世界樹の王@世界樹の迷宮と同じスキルが使用可能です
【エリカ@ポケットモンスター】 状態:健康、衣服損傷、首輪解除
道具:基本支給品一式、モンスターボール×2
思考:世界樹の軍勢を手助けする
【歪みし豊穣の神樹@世界樹の迷宮4】(上)
【フォレスト・セル@新・世界樹の迷宮】(下)
状態:健康、激昂、ポケモン状態、首輪解除、ドッキング中
思考:世界樹と主人(エリカ&まどか)を守りつつ、龍脈の龍を始末する
※手加減ということを知らないので、現時点では世界樹付近への狂信者の群れに攻撃ができません
「負傷者の治療を優先! 準備が整い次第、外敵への迎撃を開始しろ!」
同刻、世界樹内部ではダオスが矢継ぎ早に魔物達に指示を出していた。
これまでにはなかった、世界樹そのものの突然の損傷。世界樹内にいながら出てしまった負傷者の治療。
そしてそれをやってのけた龍脈の龍への対応。彼にはやることも考えることもあまりにも多すぎた。
「おのれ、世界樹を傷つけた罪、万死に値する……!」
「伝令! 現在DMC狂信者と思われる大軍勢とレスト様達が交戦中!」
「やはり奴らか! レストに増援を送るべきか、しかし
天魔王軍に拳王連合との戦いを考えると……」
龍脈の龍は確かに目に見えたかつてない脅威である。
しかし敵は狂信者だけではなく、激情のまま全ての戦力をぶつけて万が一があれば、以後の戦いが厳しくなる。
レストの力を信じ、残る戦力を分けて、少なからず消耗しているであろう天魔王軍と拳王連合を同時に叩くべきか。
「狂信者が来たとなると、件の呉島とやらがこの世界樹の地下に到達している可能性も高い。
捕縛班からの連絡はまだか……?」
【世界樹内部】
○世界樹司令塔
【ダオス@テイルズオブファンタジア】状態:健康、物理攻撃無効、雷耐性低
思考:早急に今後の方針を固める。態勢が整いしだい、狂信者と龍脈の龍に対して世界樹頂上からレーザーによる迎撃
【メガボスゴドラ@ポケモン】状態:健康
思考:ダオスの援護。狂信者が接近してきた場合、ステルスロック
【世界樹連合他メンバー】状態:健康~ダメージ(?)
思考:状況整理
※少なからず負傷者が出ています
※世界樹の一部が龍脈の龍の攻撃で損傷しました。まどかやフォレスト・セルなど一部の能力者にしか修復はできません
※三竜の結界が破られました。バスターガンダムの砲撃などが来た場合も世界樹が損傷します
――ほんの少し時は遡り、世界樹地下。
「っ! 今の衝撃は何!?」
「んんんwwwwwwまたやばい敵が現れたんですかなwwwwwww
だがあの封印の遺跡の化物にそれを下僕にするエリカ嬢がいればぶっちゃけ安心ですぞwwwww」
「あの子もえぐいもんマスコットにするわー……マスコットはやっぱりワイみたいにかわいくないと」
「いやいやwwwwwwマスコットなら強くてかっこよくて愛嬌もある我の方がむいてるに決まってるwwwwww」
「黙りなさい淫獣ども」
そこにはほむらと、それについてくる淫獣二匹がいた。
呉島貴虎なる人間の計画を阻止するために、多くの魔物が既にこの地下でスタンバイしている。
FOEもそこには加わっており、ほむらがわざわざここを訪れる必要はない。
だが彼女は、妙な胸騒ぎがしていたのである。
長年培った、まどか(世界樹)への危害を加えそうな気配というのであろうか。
とにかく直感だ。あえていうなら、魔物達の地下の定期報告が僅かに遅れていることぐらいである。
「だいたいなんで貴方達まで――っ!?」
そしてその直感は、当たってしまった。
目の前に転がっていたのは、無数の魔物の屍であった。
殆どが爆散しているむごい有様であり、黒焦げの屍も多く見られた。
そんな中で、希少な原型を保ったままの屍があった。
「この、魔物は……」
忘れもしない。銀色の巨大カニ、メタルシザースだ。
フォレスト・セル制御に向かった際にその姿は目にしており、また雷竜からその強さは聞かされている。
そのメタルシザースが、メタルシザースの群れが、おそらく何かに射抜かれて殺されているのだ。
【メタルシザース@世界樹の迷宮シリーズ】死亡確認
「貴方達、気をつけなさい。これをやったのは相当に厄介な相手よ……」
「これはwwwwwwはやいとこ戻って報告したほうがいいと思いますなwwwwwww」
「そうね。時間が惜しいし、私が魔法を使って……」
「あ、ちょっと見てみい! 生き残りの魔物がおるで!」
時を止めて帰還しようとしたほむらを、ケルベロスが止める。
見れば確かに、無数の屍の中で一つだけ、ぷるぷると震えている影が見えた。
「おいお前、何があったんや!?」
「ぴ、ぴきー……」
震える魔物は、実に弱弱しい声で鳴いた。なんとも庇護欲をそそる声で。
「っ!? ケルベロス! そいつから離れなさい!」
「え――?」
だがほむらは、その弱弱しい――媚びた声に聞き覚えがあった。
まるでまどかをおびき寄せるために、怪我をしたいたいけな小動物を演じてみせたインキュベーターのような。
そしてそれもまた、当たってしまった。
「ピッキー!」
震えていた魔物は突如として強者の顔を見せ、近寄ってきたケルベロスを灼熱の炎で焼き尽くしたのだ。
【ケルベロス(小)@カードキャプターさくら】死亡確認
「くっ……!」
「ほむほむ危ないですぞwwwwww炎なら我の霞ブレス乱射で鎮火する以外ありえないwwwwww」
「ピキ!?」
咄嗟にオオナズチが前にでてほむらを庇うと、灼熱の炎を吐いた魔物はぴょんぴょんと飛び跳ねていった。
「逃走確認ですぞwwwwwww」
「違う、あれは逃げたんじゃなくて……」
「む……本当に人型のインベスがいるとはな」
そこに現れたのは、美味しそうなカラーリングの仮面ライダー。
その手には機械仕掛けの弓を持ち、彼がメタルシザースの群れを下した存在と見て間違いないだろう。
そして……
(仮面ライダー……! こいつが、カオスロワちゃんねるに書き込んでいた少し抜けていそうな男、呉島貴虎!
そうなると、さっきのぷよぷよがレベルが高いスライム……予想以上に厄介な相手だわ。それにしてもインベスって何よ?)
身構えつつ、ほむらはじりじりと後ずさる。
あの書き込みの内容を信じるのであれば、まだ究極邪龍が控えているはずだからである。
抜けた行動に反して、本当に高い実力の持ち主。これは報告をせねばならないであろう。
「ミツケタ。オマエ、マルカジリ!」
「なっ!?」
そんな時、凄まじい速度で天井をぶち破り骨竜が貴虎の頭上から奇襲攻撃をしかけた。
他のフロアを散策中だったのだろうが、仲間の死の気配を感じて救援に駆けつけたのだろう。
さしもの仮面ライダーも、完全な不意打ちで防御行動すらとれていない。
「真・双龍掌!」
「グォオオ……!?」
だがその完璧な奇襲をしかけた骨竜が、乱入者の拳によって吹き飛ばされた。
高い体力値を誇るはずの骨竜が、その攻撃を受けただけで四肢をもがれて息絶えてしまう。
【死を呼ぶ骨竜@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女】死亡確認
「骨竜!?」
「すまない、助かった。しかしまさか、こうも警備の手が回っているとはな……」
「はっはっはっ! まあ全てワシに任せておけ。ワシの可愛い娘を攫った不届きなインベス共など、一人残らずこの拳で粉砕してくれるわっ!」
「さっすがファガンさん! 俺達ドラゴンタイプの希望の星! マジかっけえっす!」
「グオオオオォォォォン!」
「ピキー!」
吹き飛ばされた骨竜を見やる余裕すら、ほむらにはなかった。
仮面ライダーの背後から現れたのは、スライムと、やはりいた邪龍。そして、書き込みにはなかった新たな二体の龍。
例の書き込みはリアルタイムのものではない。呉島貴虎一行には、新たな協力者が増えていたのだ。
一人は逞しい上半身と立派な角を持つ龍、星輝の黄龍帝・ファガン。
四神を束ねる長にして、龍の力を極限まで高める力を持っている。
彼はヘルヘイムの救援要請により駆けつけたが、実は都庁に娘が囚われているという情報も手に入れており、快く一行へ加わった。
そしてもう一人、こちらも同じく金色に輝く龍、グレイトドラゴンのシーザー。
強力なブレス攻撃と強靭な爪と牙を持つ最強種族であり、またその鱗は灼熱の炎も輝く吹雪もよせつけない。
スラリンと同じくとある国王に仕えており、親友である彼の頼みであるならばと、打倒ヘルヘイムの森を誓ったのである。
(状況は最悪……! まさか間抜け男が、三体のドラゴン引き連れてるなんて予定外ってレベルじゃないわよ!?)
「wwwwww………大ピンチですな」
(オオナズチ、早いとこ霧を出して。どうにか隙を見て、時を止めている間に逃げるわよ!)
○魔法少女と淫獣
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】状態:健康、疲労(小)
【オオナズチ@モンスターハンターシリーズ】状態:健康、角破壊
思考:隙を見て逃走、爆弾を仕掛けられる前に援軍を呼びたい
※貴虎が対主催だと気がついていません
☆残念な強者達
【呉島貴虎@仮面ライダー鎧武】状態:健康、斬月・真に変身中、財布と貯金が素寒貧
【究極邪龍・ヘルヘイム@パズドラ】状態:健康、防壁展開
【スラリン@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】状態:健康、LV99
【星輝の黄龍帝・ファガン@パズドラ】状態:健康、LV99
【シーザー@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】状態:健康、LV60
思考:インベス達を倒し、N2爆弾を起動させる
※全員が世界樹をヘルヘイムの森と誤認しています
最終更新:2015年04月07日 19:18