久しぶりだなみんな。
フェードアウトしようとしたら貧乳歌姫と鉢合わせになって奮闘したけどズガンされたニート、シグナムだよ。
死んで死者スレに辿りついた私だが、今すんごいピンチだよ。
死者スレに辿りついて早々、死亡した参加者の方々に捕まって、なぜか冷たい目線を投げかけられた後に牢屋にぶち込まれてしまった。
おかしーなー?
確かに黒幕10/をぶった切って活躍したのにこの仕打ちは何?
まあメタ視点から見ると他の参加者及び書き手がフラグとか色々用意してたところを、玄関開けていきなり
ラスボスを倒したんだから顰蹙も買うよなー。
でも読者ならわかるんだが、なんで参加者に恨まれる?
主催とか狂信者とかマーダーとかホワイトベースの連中はまだしも、なんで普通の対主催まで?
そんなこんなで意味がわからないよ状態の私だったが、ぶっちゃけそっちはピンチでも何でもない。
特に魂が砕け散るまで処刑とかそんなのはされてない。
むしろ刑罰というより隔離されてたって感じだ。
だからこそ誰もなんで私が牢屋にぶち込まれたのか聞きようがなかったんだが。
本当のピンチはその後に来た。
なんかヤバイ影の塊
みたいなのが死者スレ中に拡散して死者を食っているのだという。
そしてその影の塊が私が閉じ込められていた牢屋を破壊し、私を食おうとしている……
これはまずい。
念とか使わなくてもアレがヤバイことはわかる。
私は逃げようとするが、閉所に追い込まれてどうにもならない。
貧乳歌姫の時に使った謎パワーで影の能力を奪ってしまえばいいじゃんて?
あのスキル殺し技、なぜか使えなくなっているんだなコレが。
詰んだ、マジ詰んだわコレ。
そこへ間一髪、見慣れたガチムチマスクマンが牢屋の壁を破壊して私を救い出してくれた。
「おまえは拳王連合軍のニート!」
「悪魔将軍!? 頭に蛍光灯
みたいなのついてるって事はアンタも死んだのか……!」
「まさか私が門番如きに遅れを取るとは……そんなことより早くここを出るぞ!」
そうして私は九死一生を得た。
いや、もう死んでるけど。
悪魔将軍と共に牢を出た私だが、死者の世界は阿鼻叫喚の
地獄絵図だった。
無数に伸びた影の塊が、死者を食っているのだ。
対主催もマーダーも狂信者も力の限り抵抗しているが、弱いものほど喰われてしまう。
「アレに喰われるとどうなるんだ?」
「わからん……私も窒(死者スレ)にきたばかりで情報らしい情報をもらっていない。
ただ、あの影からはこの世の根源である蒼の力を感じる……わかりやすく言えば小さな大災害とも言うべき存在だ。
あの影は死者を食うたびに力を増している。
喰われればただではすまんのは明らかだ、捕まるなよ」
「くう……先に死んだ連中は大丈夫かなコレ」
地獄より地獄のような光景だ。
もののけ姫の暴走したデイダラボッチのドロドロしたあれ
みたいなのに死者が追いかけられていると思えば絵面が思い浮かぶかもしれない。
私も悪魔将軍も影に対して攻撃を加えるが、怯むだけであんまり効いてないようだ。
「これもあやつの仕業なのか……? しかし……!」
「黒幕だったら私が死ぬ前に倒したぞ? 10/って奴だろ?」
「10/? 誰だそれは?」
「え?」
「え」
黒幕を倒したという私の話にマスク越しにキョトンとなる悪魔将軍。
「私がこの殺し合いの黒幕だと思ったのは『超人閻魔』!
超人墓場と死者スレを司り、超人を粛清しようとした完璧超人の長だ!」
「でも10/は自分を黒幕って……」
「影武者だったんじゃないか? おまえを引き返すように仕向けるためのな」
「えー?」
ここにきて10/影武者説。
まんまと騙された(?)私はショックを受けざるおえない。
「いや、だが……超人閻魔が黒幕だとしても、奴が自分自身のホームグラウンドをめちゃくちゃにしていくのもおかしな話だ。
奴のことだから、殺し合いを利用して争いの淀みから生まれた化身
テラカオスを利用して世界を自分が望む完璧な世界に作り上げようとしていたと思っていたのだが……生者はまだしも、死者まで消滅に追い込もうとするメリットが正直わからん。
これでは輪廻転生の概念もなくなり、死者の魂が消える度に
テラカオスも戦闘力を失うのだからデメリットしかない。
あやつの配下である完璧超人も見当たらぬし、どうなっておるのだ?
それとも、あの影にはあやつの意志が介在していないのか?」
悪魔将軍もこの事態にはだいぶ混乱しているようだ。
10/も超人閻魔も黒幕じゃないとしたら、この影はなんなのだろう……?
そこへ私は遠くで見慣れたM字ハゲを発見した。
「あ、ベジータだ」
「ベジータ……超人血盟軍にそんな小男がいたか。ん?」
M字ハゲはよく見るとトボトボと力なく影の方に向かっていく。
あと口々に何やらブツブツと呟いている。
「ロワでのヘタれぶりとアタルたちを裏切ったのがバレてブルマに離婚届を提出された……
リア充生活も快適なニート暮らしも、もうおしまいだぁ……金髪はおろか巨乳まで怖くなったし」
「この馬鹿者がぁ~~~! 地獄の断頭台!!」
「げふう!!」
「腐ってもスーパーサイヤ人なのに貴様まで喰われたら大半の死者が影相手に手をつけられなくなるだろうが!!」
何やら不幸な目にあったらしく影に喰われる形で自殺しようとしたニート王子の首に悪魔将軍の地獄の断頭台がクリティカルヒットして気絶させる。
アシュラマンの首コキャ→アタル兄さんのフェイスフラッシュ回復によるお手軽戦闘力上昇コンボが無ければ気絶どころか魂まで消失していたところだ。
なんで死んでいたかは知らんが、戦闘力だけじゃなくて心も鍛えなくちゃダメなんだね、きっと。
同じニート仲間として南無。
「……もうわけがわからん、黒幕であるなしに関わらず超人閻魔はどこへ行った?!
死者の世界を司っているのだからいないハズがない」
「まさにカオスな状況だな」
「笑えんぞ」
私と悪魔将軍、ついでにハゲニートは意味もわからないまま影から逃げつつ死者スレを彷徨うのか……と思われたその時、私たちの前に黄金の鎧を纏ったサーヴァントが現れた。あ、我様じゃないよ。
「その罪人の魂は使えそうだな」
「……ッ! 貴様はあの時の番人!」
「カルナじゃん、魔力切れが無ければハクメン以上にヤバイ奴だよ」
カルナに殺されたらしい悪魔将軍は冷や汗をダラダラと出しながら番人相手に警戒する。
正直、悪魔将軍で勝てないなら私でも勝てる相手ではない。
「その前髪の薄い罪人の魂を渡してもらおうか」
「黒幕の手先である貴様に誰がスーパーサイヤ人の魂などやるものか!」
例え、力が強くても黒幕の手先であろうカルナにベジータを渡さないように抵抗の構えを取る悪魔将軍。
一触即発の雰囲気だったが、割り込むようにアタル兄さんが現れる。
「待つんだ悪魔将軍様!
死者を守るためにもカルナの指示に従ってそのハゲの魂を差し出すんだ!」
「キン肉マンソルジャー!? なんのつもりだ!!」
「カルナは……というより超人閻魔や10/は黒幕とは関係ない!
少なくともこの殺し合いや大災害に関しては我々や参加者の味方だったんだ!!」
「「なに!?」」
敵だと思っていた奴らが味方というのはどういうことか?
冷静で的確な判断能力を持つアタル兄さんが嘘をついたり、騙されたりすることは考えにくいので悪魔将軍も私も面喰らった。
「二人に真実を話す前にやるべきことがある……カルナ! 罪人たちを捕まえてきたぞ」
「礼を言う」
アタル兄さんの後ろにはフルボッコにされた上で縛られた死者(いずれも生前に大罪を犯した者)が転がっていた。
「わ、私は傀儡の主催でベイダーたちに騙されていただけなんです! お慈悲を!」
「話し合おうじゃないか、新しい血族とか名乗って本当に悪かったと思っている……だから!」
「私もここにいるハザマに騙されていただけなのです!!」
「アヘェ♥」
「これは横暴だ。捕食本能ぐらいどの生物だって持っているだろ!」
『
聖帝軍を裏切ったのは魔が差しただけなんだ、反省しているから許して』
罪人というからには皆、殺し合いで何らかの罪を犯したのだろう……カルナ相手に弁解して罰を逃れようとしていた(ケツを突き出す約1名を除いて)。
しかしカルナは罪人たちの弁解に聞く耳を持たない。本質を見通す能力があるので持つ必要がないのだ。
「俺の耳に嘘は無駄だ。
悦楽のための拷問やシェルターにいた者を毒ガスで面白半分に皆殺しにしたことはベイダーらの介入によるものではないことや、
テラカオスを利用して世界を征服しようとしたこと、奴隷たちへの暴虐、世界を滅びへ導く行為、殺し合いが終わった後への人類の粛清、自分だけが助かりたいがための仲間への裏切り……そして向けられた友情と恩を仇で返した。
それに伴う殺戮は弁解の余地もない。
消滅して死者の世界を守るための礎になれ」
「あああああ、もう嫌だあああああああああ!」
「ねーホントむりむりむりむり!!」
「あぁ~オ〇〇コがこわれるわ」
カルナは槍を振り抜き、ベジータたち罪人たちの心臓をひと突きして絶命させた。
余談だがパーカーの男だけ胸からではなく尻穴から心臓まで串刺しにされて死んだ。
死者の世界で死ぬということは、魂の消失を意味する。
もう彼らはザオリクでもサマリカームでもドラゴンボールでも蘇ることはできない。
一方、彼らの魂を殺したカルナ自身もすまなそうに消えていく死者たちを見て言った。
「すまない……本当はいかなる罪人でも正しい審判者によって罪を洗い流して来世で転生を図るようにすることが死者の世界では正しいことなんだが、今は事情が事情。
現状では酌量の余地のない罪人までは守りきれない……許せ」
そして純粋なエネルギーに還元されていく罪人たちの魂をカルナは吸っていく。
絵面が少し違うが魂喰いという奴だ。
本来はマスターがサーヴァントの魔力が補えない場合に他者を殺して魔力を奪う聖杯戦争でも禁じ手とされる外道行為だが、カルナほどの超バ火力超燃費悪のサーヴァントはアホ
みたいな魔力の持ち主でないと賄えない。
ましてマスター不在ならば尚更、維持だけにも多大な魔力が必要であった。
そのために膨大な魔力を消滅させた魂から吸収していた。
「流石に蒼の資格者とスーパーサイヤ人の魔力は大きい……これなら全力全開で撃てるな。
死者たちよ、劫火に焼かれて消滅したくなくば俺の前に出るな!」
多大な魔力を吸収した後にカルナは死者たちが正面からいなくなったことを確認して宝具を開放する。
「梵天よ、我を呪え(ブラフマーストラ・クンダーラ)」
光槍を影の頭上遥か高くに投擲し、時間差で無数の劫火を降り注いだ。
その威力は死者スレが全土が揺れるレベルであり、核兵器数十発分に相当するように見えた。
そんなことしたら死者スレが壊れるだろって?
そこは深く考えちゃいけない。
てゆーか、実質もう壊れている。
「おお……」
「やったぞ!」
爆炎が晴れると、影は死者スレから一つ残らず消え去った……かに見えた。
「いや、まだだ」
カルナがそう言うと、消えたと思われた影は再び現れて死者スレへの侵食を再開する。
「神性すら大きく凌ぐ莫大な蒼の力……太陽神の血を引く俺でも後退させる程度が限界か」
カルナの力をもってしても振り出しに戻っただけであった。
影が消え去ったと一度は見て糠喜びために死者たちの失望も大きかった。
(やはり、沖縄に現れたアレを
テラカオスが討つ以外に影も消しさる方法はないか……
蒼に耐性のない俺ではまず奴には勝てんし、ここから一瞬でも退けば死者スレをアレに奪われる。
俺は死者スレから動くことができない……生き残った参加者を信じるしかない)
自分の力をもってしても莫大な力を持つTCの塊には勝てないと悟るカルナ。
だからと言って戦いは放棄する気はないようだ。
(……だが、大きくひるませることはできた。本体はともかく、影には攻撃は効くようだ。
おそらく奴も死者の魂が欲しいのだから全てを殺せる蒼をバラまく真似をしたくないからだろう。
蒼をばら蒔けば手に入れたい死者の魂は消失してしまうし、ただでさえ死者スレは広いのだからそんなことをすれば向こうもエネルギーを過剰消費して消えてしまう。
……勝てずとも時間稼ぎはできる)
「誰でも良い、罪人の魂をかき集めろ。
なるべく邪悪なことをした者を優先で魂喰いを行い、宝具使用で時間を稼ぐ。
……急ぐんだ、あの影の足止めができるのは俺だけだぞ」
「わ、わかった!」
「見つけ次第捕まえてくる」
死者たちも影に取り込まれたくないがために、罪人たちを捕まえてカルナに献上しにいった。
カルナは死者スレを守るための固定砲台として宝具を撃ち放ち、影の侵食を防いでいた。
一方、カルナは手が離せなくなったので私と悪魔将軍はアタル兄さんに詰め寄っていた。
「ソルジャー、おまえはカルナや超人閻魔などについて何か知っているようだが、なぜだ?」
「答えは簡単だ。辛うじて生き残っていた現世を映すこのVTRを見た。この殺し合いに纏わる過去の資料映像も乗っている」
そうしてアタル兄さんは一台のテレビを出した。
「なんともご都合主義的アイテム……メタネタが最も許される死者スレだからこそ許される行為だな」
「それからシグナム、これを見せる前に」
「え?」
VTRを見せる前にアタル兄さんの顔が私に急接近する。
ちょ……まずいって、キスしちゃいそうな距離だよ……そして私の瞳をジッと見つめるアタル兄さん。
思わず顔が赤くなる私。
「アタル兄さん……今はダメだ、全国数兆人のシグナムファンが……」
「シグナム……よく聞いてくれ」
「おまえは殺し合いが始まる直前に、ある男に改造とマインドコントロールを受けている。今からそれを解くぞ」
「へ?」
鳩が豆鉄砲を喰らったような私の顔にアタル兄さんは超至近距離からのフェイスフラッシュを浴びせた。
同時刻、死者スレへの侵食によってテラカオス・ディーヴァを下し、一時の勝利を得た「シャドウだったもの」。
TCもしくは蒼を纏う彼に勝てる存在は、TCを吸収できる
テラカオスを除いて存在しない。
その
テラカオスも現状は安倍一人であり、現行では間違いないく最強の存在と言えるだろう。
だが最強の存在も、今は若干苛立っていた。
「死者スレめ……カルナを投入してきたか。
罪人を生贄にしてでも生き延びたいとは業の深い奴らよ」
カルナの力をもってしてもシャドウであった者、もとい死者スレを侵食する影を消すことはできない。
だが後退させて時間を稼ぐことはできる。
TCをバラ撒いての魂を尽く消滅させるという手もあるが、それをやると欲しい能力を持った死者を消滅させてしまう。
そもそも死者スレは日本全国の参加者が全滅しても収容できるほど広いので、むやみにバラまくとこちらの方がエネルギー切れを起こしてしまう。
カルナの読み通り……であったが、死者スレ掌握が遅々として進まない原因がもう一つあった。
「私は産まれたばかりで知らなかったとはいえ、異世界の
テラカオスが来ているとは思わなんだ。
しかも死者スレにいて、自ら影に飛び込んで来るとはな」
『おまえの好きにはさせないぞ!』
かつて影薄組の小町の命を救うために自らの命を犠牲にした
混沌の騎士。
その騎士がシャドウであった者の体内で暴れ、その魂を使って回復を妨害していた。
なぜシャドウであった者に魂を取り込まれずにこんなことができるのかというと、
混沌の騎士は元
テラカオスだからに他ならない。
同じ
テラカオスなれど未完成だったディーヴァと違い、こちらは一度完成した
テラカオスであるためにTCに魂を消
滅させられることなく、シャドウあった者に力を奪われることはない。
力の大半を失っているためにシャドウであった者を殺すのは不可能であったが、回復を妨害をすることはできた。
人間で言えば寄生虫であるアニサキスが体に入った状態なのだ。
かといって体外から出せば
テラカオスとして復活し、敵を増やしてしまう。
特にディーヴァに痛めつけられた現状では
混沌の騎士を排出した瞬間、即敗北もありえる。
「6期世界の連中め……味なまねをしてくれる。まさか
テラカオスを送りつけてくるとはな」
『転送の衝撃で記憶を失ってなければ、力を取り戻し、殺し合いが激化する前に力を取り戻して大災害から人類を守っていけたのだが……こうなっては仕方ない、騎士として魂の限り、災厄である貴様の邪魔をさせてもらう!!』
混沌の騎士が10期の世界に現れた理由……それは5期もとい6期の世界の住人が大災害で滅びかけた10期の世界の現状を知り、助けるための手段として煉獄に閉じ込めていた
テラカオスこと
混沌の騎士の派遣を決定。
混沌の騎士が自我を持ったまま、本来の
テラカオスの力を取り戻し、大災害を防いで殺し合いの犠牲者を最小限に減らすことこそが目的であった。
残念ながら転送中にアクシデントが発生し、記憶の大半を失った結果、本来の目的を果たすことはできなくなり、目論見は外れてしまったが。
「おまえは私と同じ世界を滅びに導く側だったのに、なぜ自分の世界とは関係ない異世界の住民まで助けようとする?」
『確かにかつての私はおまえと同じであった。だが今は違う。
己自身が犯した罪の償いや、貴様のような邪悪な存在から守るべき者たちのために私は戦うんだ!』
シャドウであった者の問いかけに
混沌の騎士はきっぱりと答える。
ただ愚直に人を守るというのが騎士の答えであった。
「クックック……」
『何がおかしい』
あまりにも真っ直ぐすぎる騎士の答えにシャドウであった者は笑う。
「実にヒーローらしく愚かな答えだ。
私が邪悪? この世界に守るべき価値あるものがいる? 勘違いも甚だしいな」
『貴様がこの世界を脅かしているのは事実だ』
「私など自然現象に過ぎない。津波や地震となんら変わらない、破壊するだけの存在よ。
世界を破壊し再構築しようとするための思考力、より効率よく破壊するために狡猾さは手に入れたが人間のようにそれ以上は望んでいない。
それを邪悪と呼ぶのはおこがましくないか?」
『だ、だが……だからといって貴様を止めない理由にはならん』
確かにシャドウであった者には破壊以上の目的がなく、対主催やマーダーのように善と悪の概念もないのだ。
悦楽や憎悪などは持ち合わせていないのは、最も近くにいる
混沌の騎士だからこそ感じられた。
「何より本来は何億年も先に起こるハズであった大災害を招き寄せたのはこの世界の住民の意思だ」
『なに……どういうことだ?』
「せっかくだ。暇つぶしに教えてやろう。
私が多くの死者の魂を吸い上げて知った情報を統合し、見えてきたこの世界の住人の業を……」
舞台は再び、死者スレに舞い戻る。
アタルからフェイスフラッシュを受けたシグナム。
そのシグナムの体から呪詛のようなものが抜けていくのが見えた。
「これはどういうことだ?」
「さっき、言ったとおりシグナムはマインドコントロールと改造を受けていた。
死後もまだ抜けきってない様子だったので私がフェイスフラッシュでそれらを浄化したというわけだ」
超至近距離から喰らったフェイスフラッシュの浄化力によってシグナムの体や脳を蝕んでいたものが抜け落ちいく。
そしてその顔はニート特有の緩みきった顔ではなく、元の騎士らしい精悍な顔立ちに戻っていった。
同時に隠された記憶も蘇っていった……
「ああ……すまないアタル、全部思い出した……」
「シグナム、自分が何者か言えるか?」
「私はニートのシグナム……という設定を植え付けられた、時空管理局の魔道士シグナムだ……」
「設定を植え付けられただと?」
「……私はある男に手駒にされるために殺し合いが始まる直前に拉致され、改造を受けた……その男にとって都合が良いように肉体も精神も変えられていたのだ……そのせいで私は!」
真実を思い出したらしく、悪い夢でも見ていたような顔になるシグナム。
未だ全容がわからないので彼女の後悔の理由がわからず混乱する悪魔将軍。
「まさに腑に落ちないという顔をしているな悪魔将軍。
ではVTRを添えて私から教えよう、殺し合い……大災害……この世界の真実を」
奇しくも同時刻に起こったキン肉アタルとシャドウであった者の語りは、古代まで遡って始まった……
――古代の大災害――
TCホール(蒼の源泉)の暴走が起きたのは、カオスロワ10期が始まる前に起きた大災害が最初ではない。
古代にも一度起きていたのだ。
TCを浴びればあらゆる存在が死に絶え、破壊される。
こちらも全宇宙を揺るがすほどの被害を与え、世界消滅待ったなしかと思われた。
そこでTC(蒼)に最も近い能力・フォースを操れる古代のジェダイは、辛うじて大災害の難を逃れていた地球にて、その星の住人と共にTCホール暴走への手立てを探すことにした。
結果、感情とストレスによって肉体・精神を改変するナノマシンによって生まれる意識集合体・
テラカオスに着目した。
全てを飲み込む混沌の存在だけがTCを吸収し、耐えられる存在であったのだ。
ただ作っただけの
テラカオスは非常に脆く、すぐにTCを吸収しきれずに破裂してしまう。
一方、怒りや憎悪など争いによるストレスを与えると
テラカオスの力が増大することを知ったジェダイは、苦肉の策として戦える者を拉致して殺し合わせる聖別を開くことにした。
そして、壮絶な殺し合いの中で平賀才人という少年が
テラカオス化に成功する。
彼は元々TCに高い耐性を持った特異体質であったため、自我を強く保ったまま
テラカオス化し、更にTC耐性は大幅上昇した。
テラカオスになるにはこれ以上ない逸材だったのだ。
彼は命を犠牲にする殺し合いには怒りを覚えたものの、大災害から恋人のルイズを救う手段は他にないと知り、彼女を救うためにも自らを犠牲にTCホールへと飛び込んでいった。
結果、平賀才人もといテラカオス・ゼロによってTCホールから溢れ出るTCは抑制され、全宇宙は救われた。
平賀才人は「不屈の勇者」として持て囃された
が……
――救済の予言――
大災害の悲劇も終わり、ジェダイは地球から元の宇宙へと帰参する。
だが、再び大災害が起きないとも限らないので、ジェダイは
テラカオスを生むための拠点となった古代のグンマーと古代のミヤザキに知恵や力を残していった。
今の進んだ科学や、魔法などの力の源流の多くは古代のジェダイであった。
そしてグンマーとミヤザキを中心に次以降の大災害への対策研究がなされた。
テラカオスは不安的な存在なので、より確実により強くより効率的に大災害を防げるように。
様々な研究が行われた。
平賀才人のような一定のTCまでなら浴びても精神が変異せず、
テラカオス化してもある程度の自我は残る者は「蒼を浴びても狂わないほどの」「不屈の精神を持っているように見える」特異体質の持ち主であり、蒼の資格者……「勇者」と言われた。
テラカオスは死者の魂を内に溜め込む分、他の魂が自我に悪影響を及ぼすので、「歌で死者の魂を虜にして調律する」技術が作られた。
また、他者をマインドコントロールしやすい歌を歌える人種も作られた。
クラウザーなどの大人気ヴォーカリスト、シンフォギア装者にボーカロイドなどはその血を色濃く受け継いだ末裔であり、歌の力を鍛える手段が今のアイドル業界である。
テラカオスのパワーを強化させるための「器」たる鎧も作られた。
機械的なものや生物的なもの……オーバーデビルやガメラはその名残である。
また
テラカオスとは別に器を制御する魔力を持った者は「巫女」と言われた。
どういう公式で成り立つのか不明だが、9対9で行われる古代流の決闘によって生じるエネルギーは
テラカオスに注ぐのに最も適切であることが偶然見つかった。
最も多く、最も強い者たちの闘気は
テラカオスを刺激するらしい。
時の流れの中で闘気を貯めるためのコロシアムは「球場」と名前を変え、決闘は「野球」という名前に変わった。
TCホールそのものの研究もなされ、自然災害なだけに精霊や古龍のように具現化した滅びの存在も前回の大災害の折に現れた。
それは黒き獣と呼ばれ、こちらは
テラカオス・ゼロに撃破されたものの。次回の大災害でより強くなっている危険も考慮され、なおさら抑止の神・
テラカオスとその強化プランの必要性が説かれた。
この辺りが
イナバ製作所社長が手に入れた古文書に記された部分である。
これら研究によってジェダイは思い描けなかった
テラカオスを付加する要素が生まれる。
ジェダイの古文書に
テラカオス作成法は載っていても、救済の予言(=強化プラン)の部分がないのは、ジェダイが知らない間に地球独自の
テラカオス研究が進められていたからである。
このままうまくいけば、この世界の住人は二度目の大災害をより少ない被害で迎えられたであろう。
タイムリミットも数十億年は先、余裕は十分にある。
ハズだった。
最終更新:2018年03月16日 11:58