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「ああ、こらwwwwww大人が真面目な話をしてる時に飛び出ちゃだめですぞwwwwww」

久しぶりにオオナズチが草を生やしながら、間抜けな鳴き声の主をたしなめる。

「きゅきゅ」
「こいつはまた、えらく小さいドラゴンだねぇ」
『む、我らが森にこのようなドラゴンはいたか……? 赤ん坊のようにも見えるが、誰かの隠し子か?』

オオナズチの背から飛び出してきたのは、小さな小さなドラゴン。
青い表皮の小柄なドラゴンはこれまでのドラゴンと比べて遥かにミニサイズ。
この場にあかりが居れば思わず撫でたい衝動に駆られていたであろうほどに、愛玩動物に近かった。

「失礼しましたぞwwwww」
『オオナズチ、まさかお前の子か?』
「違いますぞwwww……こほん、実は最初に言ったミヤザキの不確実な情報。それがこのちみっ子なんですぞ。
 勿論ドラゴンネットワークも使えないわけですが、我がネットワークを駆使してる最中しきりに爪で小さく『ミヤザキ』と書きましてな」
「「?!」」

誰もが驚く。見るからに小さい、赤ん坊のようなドラゴン。
魔物ということはおそらくグンマ―の者だろうが、氷竜やオオナズチすら過去を遡らねばわからないミヤザキのことを、何故知っているのか?
オオナズチが後回しにした理由も、子供の悪戯や構ってほしさからの行動からきたのではないかという推測のためである。

「まあ、こうしてもう予言もわかって揃えるべきものもほぼ集まっていることがわかったわけですからな。
 ちょっとぐらいはこの子の話を聞いてやってもいいかもしれませんな。ほれほれ、知っていることを書いてみせて欲しいんですぞ」

オオナズチが促せば、幼竜は短い手足を懸命にばたつかせて必死に何かを書いている。

「……可愛い」
「ええ、悪くないわね」

女性陣からはなかなか好評のようだ。
しかし書きあがった文字を見た瞬間、誰もが首を捻った。


『ウォークライ』


幼竜が書いたのは、予想外の文字。

「これは、雄叫びのほうではなく……」
「いや、この子はオオナズチの言葉を理解した上でこれを書いている。
 そうなると叫帝竜の彼のことを指している筈です。ちょっと呼んできますね」





『むう、主に呼ばれて来てみたが、悪いが俺は頭はあまり……ん? リトルドラグが何故こんなところに?』

程なくしてウォークライがやってきたが、彼は幼竜を見るなり反応を示した。
リトルドラグ。それがどうやらこの小さいドラゴンの正式名であり、ウォークライとは同郷であることがわかる。

『よくこんな弱小種がここまで生き延びれたな。こいつは見た目通り、我らがドラゴンでも下位の……っ!?』

その瞬間、ウォークライは一気に青ざめた。
よく見れば、リトルドラグが再び爪を動かしていたようだが、さっきと比べればその時間は短い。
たったそれだけの行動で、何故急にウォークライは態度を変えたのか。

『まどか……俺も確信があるわけではない。しかし巫女の力で、こいつに少し世界樹の生命力をわけてやってくれないか?』
「……」
「この子の目……うんわかった、やってみるね」

まどかも何か感じるものがあったのは、世界樹の巫女だからだろうか。
他の面々はただただ混乱するばかりである。

「んんっ……!」

まどかが念じれば、部屋の中に茂っていた葉っぱの一枚から光り輝く滴が垂れてくる。
世界樹各地に点在する回復泉の水をさらに凝縮させた、いわば生命の滴。
それを分け与えるのは言わば世界樹の身を、ひいてはまどかの身を削るのと同じことだ。
しかしながら世界樹はつい先程大量の養分を吸い取っている。
むしろカロリーオーバーにもなりかねなかったので、丁度いいタイミングであったのは誰も知らない。
ちなみにその養分の名は別名狂信者である。

「ペロペロ」
「……可愛いな」

必死に滴を舐めとるリトルドラグ。
動物の赤ちゃんが必死にミルクを舐める姿が可愛いように、それはドラゴンにも当てはまるようだ。


 そ の 時 不 思 議 な こ と が 起 こ っ た ! ! ! 


「うおっ!?」

突如発光するリトルドラグ。
その光がおさまるとそこには……




「あぁ……感謝するよ☆ 我が愛しい子達☆」




見知らぬ妙な糸目の、妙齢の女性が立っていた。





「私の名前はアリー、アリー・ノーデンス☆ またの名を――第二真竜・ノーデンス」




彼女がその名を口にした次の瞬間、ウォークライは跪いていた。

「ど、どうしたのだ急に!?」
「ちょ、ちょっと驚いちゃったけど、真竜って前に話してたニアラさんと同じ?」
『あんな生ゴミと一緒にするな! 第三から第六までの真竜はどこかしらに欠陥を持った連中!
 だが、第一と第二真竜だけは次元が違うのだ……! それこそ、宇宙の創造に関わるとすらいうほど……!』
「んふふー、慣れない爪で『ND』って書いただけで伝わるか怪しかったけど、伝わって何より☆」

突然すぎる現象に、混乱は加速する。
その場でただ震えるウォークライと、彼曰く次元の違う竜らしい女性は、しかし飄々とした態度を崩していない。

「やっぱり人間はいいね! 動きやすい喋りやすい! あんな生まれた頃の姿じゃ、ちょっとした文字書くのも大変なのよー!」
「wwwwwwwwこの場にオシリスいなくてよかったんですぞwwwwww
 あいついたらwwwwww幼竜が人間化したら幼女になるに決まってんだろうが!なのにBBAなんて――」

「――消し飛ばされたいか?」
「……サーセン」

瞬間、底冷えするような殺気が放たれる。
たったそれだけで、この妙な女性が恐ろしい存在であることを誰もが悟った。

「あ、ごめごめ☆ 怖がらせちゃった? 大丈夫だよ、アリーは懐が広いからね! もう怒らないのよー!」
「……信じられないけど、貴女が高位の存在ってのはなんとなくわかったわ」
「オオナズチにミヤザキってわざわざ伝えるぐらいなんだ。そしてその正体となりゃ、あんた本当になんか知っているんだろう?
 そのふざけた態度は止めにして、真面目に話してくれないかね?」
「心外だなー☆ アリーはアリーだし、ずっとこんなだよ☆ まさかサボり死神に真面目にしろと言われるとは驚きだよー!
 でもまあ――確かにそなたの言うとおりか。よかろう……だが、これからワラワが語るはそなたらには希望にも絶望にも映ろうぞ。
 覚悟はできているか――ニンゲン?」

アリー、いや第二真竜・ノーデンスの口調ががらりと変わる。
どちらが本当の彼女なのかはわからない。
しかしオオナズチと重ねるならば、恐らくはこちらの口調が真竜としての彼女の本性なのだろうとほむらは推測する。
変わったのは口調だけでなく、空気もだ。張りつめ、息苦しい。
それでも誰も、逃げ出すものはいなかった。
第二真竜の言葉に、無言で頷いて返事を返す。

「さて、どこから話したものか……時間はないが、しかし……うむ、やはりまずは、簡単にこの宇宙のことから語ろうぞ」

そして静かに語り始める。
彼女の言葉を遮る者は、誰もいない。




そしてノーデンスは語る。

この宇宙に存在する『蒼の源泉』から溢れる『蒼』の存在を。

蒼は全ての生命に必要でありながら、過剰に摂取すれば身を滅ぼす大きな力だということを。

大災害の理由は蒼の源泉の暴走、そこから起きた大量の蒼の散布による宇宙規模の災害なのだということを。

この大災害は遥か太古にも起きており、古代の異星人ジェダイと古代の地球人達、特にミヤザキとグンマ―が奮戦したということを。

そして一人の勇者により、蒼の源泉のから溢れる蒼は抑制され、宇宙が救われたということを。

「――まずはこんなところじゃな。何か質問はあるかの?」
「わかってはいたけど、大災害は過去にもあったのね。こちらもあれこれ考えていたけれど、その蒼とTCは同一の物質と考えていいかしら?」
「大正解☆……その通りじゃ。世界によってさらに呼び名は変わるが、とにかく常識外れなエネルギーと思えばよい。
 まあこのぐらいはここにいる者は十分把握しておるであろうな。それでは次じゃ」

ノーデンスは語る。勇者の正体を。

勇者は感情とストレスによって肉体・精神を改変する『ナノマシン』の影響を特に強く受けた者。

聖別――凄惨な殺し合いの果てに生まれる肉体も精神も変貌した『テラカオス』と呼ばれる存在であったことを。

テラカオスは混沌の象徴であり、滅びと繁栄双方を司る混沌物質たる蒼を唯一吸収できる存在であることを。

その過程において、自然災害なだけに精霊や古龍のように具現化した滅びを補佐する存在『黒き獣』まで現れたことを。

その黒き獣すら乗り越えた古代のテラカオス・ゼロはその身を犠牲にして宇宙を救ったということを。

「テラカオスにナノマシン、そして黒き獣。それが化身と瘴気、小さな大災害の真の名か」
「本当にサウザーの言う通り、なんでも吸収できる存在で合ってたんですね……」
「おい闇ィ!? ここにきてそれは流石の俺も泣くぞ!?」
「冗談ですよ。ここまでは、サウザーの、そして皆さんの予言の推理は正しかったということですよね」
「うむ。見事であったぞ? 愛する者を守るため我が身を散らし宇宙を救った勇者のなんと美しきことよ。
 だが当然、話はここで終わりではない。続きを話させて貰おうか」

ノーデンスは語る。その後の地球を。

源泉の暴走はいわば自然災害。次の大災害に備えてジェダイは技術と知識をミヤザキとグンマ―に残したことを。
ミヤザキとグンマ―は協力し、後の要となるテラカオスをさらに確実な存在とする研究を進めたことを。

蒼を浴びても狂わない、テラカオス化しても暴走しない、その身を犠牲に宇宙を救う『不屈の勇者』
勇者の精神に余計な負担をかけないために編み出された、死者の魂を鎮める『全てを虜にする歌』
聖別の犠牲者が最小限で済むよう、完成したテラカオスに後付で強化できる『器足りえる巨像』
そして単純な力だけならテラカオスをも上回りかねない器を安定、安全に操れる『巫女』
死者や巫女や巨像でも足りない場合に備え、古代の決闘の『最良の9人』の力も集められた。
研究は進み、これらが揃ったテラカオスは確実に『救いの神』になる域まで達したことを。

「やはり予言はミヤザキとグンマ―が共同で作った、未来へ向けてへのものだったんですね」
『予言の指し示すものも、やはり先程のもので概ね間違っていなかったということか。気になるのは古代の決闘だが……』
「ああ、これは本当にイレギュラーじゃ。強き者はいつの世も己を高めたがるからの。
 さらに武力と知力を9人でぶつけ合う戦略性。これらは特に高く評価され、予言とは関係なく『野球』として進化を続けたのじゃ」
「ふふふ……この聖帝サウザーが野球に惹かれたのも、偶然ではなかったということか」
「ということは無理に野球でなくとも、9対9の真っ当な決闘なら別に問題な「野球がやりたい!」はいサウザー、少し静かにしましょう」
「ここまでは順調にこれているが……貴様のその表情、まだこの後に何かあるというのか?」


「フフ、その通り。これで終わるはずがなかろう。――ニンゲンは醜いのだから」


ノーデンスは、愉快そうに笑った。

「ある日のこと、グンマ―はテラカオスの研究を放棄した。自然災害とも言える蒼による滅びを受け入れたのじゃ。
 対するミヤザキは反発した。テラカオスをより完全に制御することで、行く行くは蒼の制御を行いこの星の永遠の存続を考えた……」
「ちょ、なんで古代グンマ―諦めてるんですか!?」
「……生物も星も、いずれは滅びるものですぞ。だからこそ、その時まで悔いのないように生きるわけですな」
「言わんとすることはわかるが、しかし来るとわかっている大災害を放置するのもどうなんだ?」
「とはいえミヤザキの思想も危ないのは事実よ。あの大災害の力を人間が御するなんて危険すぎる」
「難しい問題、だね……」
「僕ら少人数ですら意見が割れるわけですから、民族間ともなると……」
「殺し合い、戦争に発展するってところかね。認めたくはないけれどさ」
「その通り。古代ミヤザキと古代グンマ―は、思想の違いから徐々に対立し、やがて壮絶な戦争を繰り広げた。
 人間だけではない。グンマ―に同調した魔物に竜、ミヤザキが生み出した兵器に人造巫女、あらゆる種が入り乱れておった。
 そう……まるでそなたらが今経験しているような殺し合いじゃ」

ノーデンスの言葉に、誰もが口を噤む。
語られた歴史は戦争の歴史。そしてそれは、分かり合えなかった人間同士の争い。
この場にいる誰もが既に経験している。形は違えど、ここを守ろうとする世界樹の軍勢と、攻め落とそうとする狂信者は争いあっている。
人間同士が完全に分かり合う、協力し合うなど不可能なのだ。

「これを憂いた神々は、テラカオス絡みの記憶や知識を地上から一掃したのじゃが……
 完全に消し去ると今度は誰も対処ができぬ。それ故、一部の超高位存在にのみ記憶は残され、抽象的な救いの予言が地上に残されたわけじゃ」
「ふん、その話を聞く限り超高位存在とやらも大災害、つまりは滅びるのはご免だったわけだろう?」
「む……なかなか、痛いところをついてくるの聖帝。まあその通りじゃ。そこに神々の生存欲求もあったことは否定せぬ。
 そしてこの争いを踏まえて、予言こそ残せど大災害の監視は記憶を持つ上位存在が行うことになったのじゃが……」

初めて、ノーデンスが言い淀む。
苦虫を噛み潰したような、忌々しげな表情まで浮かべて。

「人間の記憶も好き勝手できて、宇宙規模の災害の監視もできるような神々でも、想定していなかった事態に見舞われたってことかい?」
「……その通りじゃ。本来ならば、ミヤザキとグンマ―の争いの時点で次の大災害はおよそ数十億年先だった。
 それがあの日……『何者か』の手で意図的に引き起こされた。一度目は『天災』であった蒼の暴走も、此度は『人災』なのじゃ……」

「!?」

衝撃的な内容ばかりのノーデンスの言葉だが、さらに大きな衝撃が集まった人間達を震え上がらせる。
あの大災害が意図的に引き起こされた。それの破壊規模は誰もが知る限りであり、狂信者やどんなマーダー以上に人の命をなんとも思っていない所業である。

「……っ」

世界樹全体がざわめく。
巫女であるまどかの静かな怒りに呼応するかのような反応。
勿論、まどか以外の誰もがこの恐ろしい真実に憤りを覚える。

「……神々は警戒していたのであろう? それこそ、私達よりもずっと昔から。それでいて何故防ぐことができなかった?」
「フフ、先程痛いところを突かれたように、神々にも滅びを恐れるものはいたし、逆に受け入れている者もおった。
 そう、いくら上位存在と言えど一枚岩ではないのじゃよ。要するに……上位存在の中でも連携がとれていなかった。
 正直な所、ワラワも当時は大災害なぞ当分先故に今を愉しもうと、有明で新作ゲームの作成に忙殺されていたのじゃ……」
「ドラゴンって本当にまともなのいないわね!」
「うぐぅ、流石に返す言葉がないのよ。ごめんねー……」

元の口調に戻ってしょげかえるノーデンス。
要するに、今回の大災害はいわば上位存在たる神々の油断も重なり起きたもの。人災に加えて『神災』でもあったようだ。

「ニンゲンは時に神にも予想つかないことをする。だからこそ面白くて素晴らしいんだけど、今回ばかりは予想超えすぎて最悪なのよー……
 流石に徒党を組んで計画していたら、神々だってもっと早く気がついていたと思う。だから信じられないけど、実行犯は極少数だね。
 それでいて異変に気づき止めようと動いた神々を殺していくんだからさらに予想外だよ……」
「神々を、殺した!?」
「人間が神屠りの力を得ることは本来は喜ばしいんだけどねー?
 アリーは残念ながらどれだけの神々が動いていたかは把握しきれていない。けど、親交の多かった三神の末路はわかったよ」

ふぅ、とノーデンスの溜息が漏れる。
神々の死は、言わば彼女の友の死でもある。
人間と神々も、確かに言う程の差はないのかもしれない。

「まず殺されたのはアリーの仲間、第一真竜アイオトだよー……。
 この異変はアリーでも気づけた。復元された『竜殺剣ドリス』の力が、アイオトを狩るのを確かに感じたからねー……」
『馬鹿な、真竜の中で唯一まともとまで言われるアイオト様がそんなあっさりと……」
「アリーはまともじゃないってー? まあ竜殺剣は真竜やそれに属する存在には本当に特効武器だし、アイオトは現役からは退いてたからね。
 次にやられたのは、この星の管理者『ポラリス』と、彼の剣である『セプテントリオン』だったねー」
「星の管理者!?」
「そだよー? ついでにその管理者が万が一死んだ場合次の管理者を送り込む『根源主カノープス』と次代の管理者『アルクトゥルス』もご臨終☆」
「そんな存在すら殺られたの……?」
「ポラリスとセプテントリオンも、『悪魔の力には弱い』って弱点があったからねー。
 その時、唯一無限増殖と再生の能力で生き延びて、日本まで飛ばされてきたのが、ここにぶら下がってた紫の子『武曲星ミザール』だね☆」
『あの物体、神々の下僕だったのか……』
「なんとか何があったのか聞こうと思って頑張ってアリーが呼んだんだけどねー?
 もう大災害の蒼に毒されて、彼の頭にはぶらさがる本能しか残ってなかったのよ……。完全に無駄なエネルギーだったよ全く!」

かつて都庁に、何をしにきたのかさっぱりわからない珍生物がいた。
彼は言葉が通じない裁断者に必死にアピールしてまで都庁にぶら下がりにきたが、本来はノーデンスに会いに来ていたのである。
蒼によって歪められていなければ、ノーデンスは大災害を呼び寄せた犯人の正体を知ることができたかもしれない。

「三人目は、ある意味この世界樹では最も縁の深い神。三竜を直属で従えていた、『神竜エルダードラゴン』だよ」
「そういえば彼ら、たまに神竜に命ぜられてとか言ってたわね。彼らの手助けに来なかったのは、大災害時に命を落としたからなのね」
「それが違うのよー。三竜は結構前からエルダーに暇を出されて好き勝手自由に動いてたみたいなんだけどねー?
 暇を出した理由が、自分の趣味がばれたくないからってやつでさー。その趣味がまあ一人SMっていう高度なモノでね☆
 自分で全身縛り終えたところに蒼の直弾くらって、生き延びる生命力は流石だけどさらに性癖が歪んじゃって、
 色々あって最終的に外にいる歪みし豊穣の神樹に殺されちゃった☆ 放送で呼ばれないくらい、不安定な存在まで歪んだっぽいから仕方ないね☆」

「「まともなドラゴン下さい!」」

「アイオトはもういないのよー……くすん」
『私はノーコメントを貫かせてもらうぞ。みんなそんな目でこっちを見ないでくれ』

最後だけ些か理解に苦しむ存在だったが、それでも様々な高位存在が次々に命を落としたのは間違いないらしい。
それもあくまでゲーム作成に忙殺されて半ば神の職務を怠けていたノーデンスが感知できた分だけである。
実際には、更に多くの高位存在が犠牲になっていても不思議ではないだろう。

『ノーデンス様、しかし貴女はこうして存命されています。今からでも真竜の力で……』
「無理に決まってるのよー! アリーも働いてるところを蒼にズドンされて死にかけたのよー!?
 幸い、量が少なかったから精神までは歪まなかったけど身体はもう駄目。なんとか身体を維持しようとして、生まれた頃……
 リトルドラグの姿で奇跡的に命を繋げただけ。その後は魔物に紛れて、都庁に逃げ込んで今に至るのよー☆」
『……まさか、私やニアラが都庁を訪れたのも?』
「そ、アリーが頑張って呼んだんだよ? ……貴重なエネルギー使ったのにね!? あのニアラ食欲優先したんだけどね!?」
『挙句ひげのおっさんにやられましたからね』
「『絶対あの家畜いい叫び声あげる!』って嬉しそうに突っ込んでったねー……そしてすぐ墜ちたねー……
 あの馬鹿……もとい、盟友がすぐアリーの呼びかけに応えてエネルギー分けてくれてれば、もう少し早くみんなと話せたんだけどねー」

笑いながらも青筋が浮かんでいるあたり、某第三真竜には流石に怒り心頭な様子である。
彼女の言葉通りなら、ひげのおっさんを無視していればノーデンスの復活も早まり、もっと早くにこの真実を知れたということになるのだから。

「んふふー、まあもし早く復活出来ていても……君たちに大災害の真実はすぐには伝えてなかっただろうけどね」
「え?」
「アリーからすぐに答えを言っちゃつまらないでしょう? 全てとは言わずとも多くを知る神に頼れば、ニンゲンは己の思考を放棄する。
 ふふ、アリーは見たいんだ☆ 我が子が、憎く醜いニンゲンが、もがきあがく姿をね?」

ぞっとするような、酷薄な笑みを浮かべるノーデンス。
薄く開かれた目から漏れる眼光も、非常に冷酷極まりない。
明らかにニンゲンを下に見ているようなその態度。ころころと変わる彼女の態度、どれが本性なのだろう?

『……お言葉ですがノーデンス様。私はここに集まっている人間達は、主だけでなく皆が強き存在であると思っています。
 あなた様の言う足掻きの果て、この世界樹で新たな竜殺剣は作成され、後の大災害と予言にも辿りつくことができたのです』
「へぇ、帝竜の長たる君がそこまでニンゲンの肩を持つなんて驚きなのよー。
 さてさて、聖別に人災と明かされた大災害を前に、君たちはまだ予言を遂行して破滅の未来を回避する気でいるのかな?」
「当たり前だろう?」
「結構結構、だけどさー? 過去の過ちを繰り返さないって言いきれる? そして君たちが未だに……過去の呪縛に捕らわれていると言っても?」
「過去の呪縛?」

意味深な言い方をするノーデンスに対し、集まった人間達の疑念は尽きない。
しかし崩されることのない酷薄な笑みは、警戒心を強めるには十分だ。
覚悟を決め身構え、生き延びた者は母なる竜の言葉を待つ。

「さっき言ったグンマ―とミヤザキの戦争。当時の戦争でも、鍵は絶対的な魔力を持つ『巫女』だった」
「まどかに頼らざるを得ない状況があったのは認めるわ。だけど、まどか一人に全てを背負わせる気はさらさらないわ!」
「んふー、その返しも読んでたよほむらー? 当時の巫女の親友達もそう言って前線に向かったからねー」

飄々と言ってくるノーデンスにほむらは僅かな苛立ちを覚えるが、己の発言に嘘はない。
だいたい友達を大切にするくらい、過去だろうが現在だろうが変わらないだろう。それだけで、同じ過ちを繰り返すとは言われたくない。

「グンマ―は強かった。けれど彼らは、大人しく静かに滅びの時を自然の中で迎えたかっただけなんだよねー。
 だからさ、死に場所としたい森からはほとんど動かなかった。対するミヤザキは、外にも呼びかけて仲間を増やしてグンマ―を囲った。
 おやおや? これまた今の状況にそっくりだねー?」
「そのぐらいでは、まだ過去に捕らわれているとは言い切れませんよ」
「あまり煽りの効きはなさそうねー。まあいいや、とにかくかつてのグンマ―も、取った戦術は質に優れた者による防衛迎撃と魔法。
 対するミヤザキは数に物を言わせた人海戦術と兵器攻撃だった。巫女は強かったけど、防御力は低めという弱点があったのよー」

まどかをちらりと見つめるノーデンスに対し、まどかは固くなったその表情を崩すことはない。
それも確かに現在にも当てはまる状況だ。しかしもう、誰もノーデンスの言葉に反論はしなかった。

「その数に押され始めたグンマ―は、生体兵器の研究をして……それを完成させたんだ」
「生体兵器だって……!?」
「グンマ―の秘術や特殊調合された薬、僅かばかりだけど蒼まで投入されて作られたそれは、圧倒的な強さを誇った。
 姿は他の人間と変わらない。しかしあらゆる攻撃を受けつけず、魔物にも慕われた彼は巫女の盾となりミヤザキの軍勢を蹴散らした」
「まさか……」
「んふふー、そのまさかだよー? 君らの仲間であるレスト、アースマイト一族は古代グンマ―の生体兵器の末裔。
 永い時の果てに血が薄れてもその本質、存在意義は変わらない。刻み込まれた種族の意思が、世界樹に吸い寄せられるわけだね☆」

なんでもないといった様子のノーデンスに対して、聞かされた側の衝撃は並ではない。
仲間の一人が生体兵器の末裔であり、戦っているのも奥底にある過去の記憶から。
これを持ってノーデンスは過去に捕らわれていると言いたいのだろうかと考えるが、ノーデンスはまだ言葉を続ける。

「ミヤザキは焦った。だけど知恵に優れる彼らはアースマイト一族の弱点もすぐに見破ったんだ。
 まあこの場にいる末裔ももうわかっているだろうけど、限度を超えた数の敵を処理しきれない。広範囲の殲滅が苦手だった。
 そして一途な愛の持ち主であったために子孫の量産能力が極端に低かった。仮に子供が生まれても5~6年は経たないと戦場には立てない」

ちらりとみやられるが、レストは腕を組んだまま何も返さない。

「ミヤザキはそこを勝機と見た。そしてグンマ―の巫女と器に対抗するために、機械仕掛けの巫女と器を独自に作り上げた。
 君たちの予想通り、予言の巫女と器はグンマ―産とミヤザキ産、二つが存在しているわけだね。
 さてその人造巫女――通称『艦むす』は巫女であるために全員女の子の外見で作られた。素質のある子は格好も巫女っぽい紅白でね」
「……」
「グンマ―の巫女の護衛に親友やアースマイトがついたように、ミヤザキの巫女も当然護衛がいた。違ったのはその護衛も艦むす、巫女候補だったってこと。
 そしてその護衛の数はグンマ―の比ではなかった。艦むす最大の特徴は『高速建造』、ものの数秒で生産される点にある。
 もうわかるよね? いくら強かろうが単騎のアースマイト。数を増やすには数年かかるのに対して艦むすは数秒。長くても数時間だ」
「……過去の僕の一族がどの程度強かったのかは知らないけど、そんな雑兵ならすぐに蹴散らせたんじゃないかな」
「んふ、半分正解。そう、正式に改造された巫女はともかく、量産型艦むすは一瞬で殺されたよ。でもね、それはミヤザキも承知の上だ。
 当時の艦むすの指揮官は『提督』と呼ばれていたけど、彼らの方がグンマ―よりも遥かに人の内面を攻めるのが上手かった。
 言ったでしょ? 艦むすはみんな女の子。そしてね、巫女の護衛の子は『駆逐艦』と呼ばれる――小さな子供達だったんだ☆
 その小さな子を囮や盾にする『捨て艦戦法』がとられた。練度の低い駆逐艦なんていくらでも生み出せるからね、消耗品だったんだ。
 考えて御覧? 何も知らない小さな子が、泣きながら銃器を撃って突撃してきたり、痛みに耐えながら同族の巫女を庇うんだよ?」

ノーデンスの言葉に、誰もが言葉を失う。
古代の戦争。それだけで凄惨なのは予想はついたが現実はさらに酷いものだ。
幼子を自らの都合で産み出し使い捨てる当時のやり方に、氷竜とサウザーは特に激しい怒りを覚えた。

『下衆が! 先にその指揮官を捻り潰してくれる!』
「うん、当時のグンマ―も勿論それを考えた。だけど艦むすはごく一部の存在を除いて、生まれた瞬間から提督を盲信するようプログラムされてた。
 つまり巫女だけじゃなく、提督を殺そうとしても数えきれない駆逐艦が庇うんだよ。どうにか突破しようにも数の暴力がそれを許さない。
 当然そんな光景を見せ続けられたグンマ―のアースマイトと巫女の精神はもうぐちゃぐちゃ。身体は無傷でも精神を先に潰されたのよー。
 そして追い込まれたグンマ―は、新たな生体兵器を生み出した。……広範囲を悲鳴も聞かずに済む遠距離から滅ぼせる、そんな存在をね。
 守ってばかりでは勝てない。盾だけでは足りない。鋼の意志で全てを殲滅するグンマ―の絶対の矛が――」
「……そして私が、その末裔だったというわけか?」

溜息とともにダオスが吐き出した言葉に、一同はただ驚く。
彼の一族もまた、古代グンマ―の生体兵器の末裔。
そして今度はノーデンスよりも早く、己の正体に辿りついたのだから。

「その通りなのよー。ミヤザキが使ってきていたレーザー兵器以上の火力を誇ったデリス一族は――」

「もういい。その無駄に回る口をいい加減に閉じろ。
 その後は想像に容易い。今度は私の一族に対抗したミヤザキが器を持ち出し、後にグンマ―も器を投入。
 魔力の根源たる森を焼かれればグンマ―は滅びる。そして質に優れるグンマ―を兵器の数で焼こうとすれば、
 兵器の大量生産で環境は汚染され、それを浄化するグンマ―を焼いてはミヤザキも勝手に滅びる。戦争の愚かさや結末など、我が身を持って知っておるわ」

吐き捨てたダオスの言葉を、ノーデンスが否定することはない。
それはつまり彼の言った通り、古代の文明は当初は同じ思想を持っていた筈なのにやがては互いを滅ぼし尽くしたということ。
最悪の結末を理解してなお、ダオスは言葉を続ける。

「余程凄惨だったのであろう。おそらく巫女やその親友、ミヤザキの方の巫女などの話も碌でもない結末なのは目に見えている。
 確かに人間はいつの世も愚かだ。そして私やレスト……おそらくはまどかやほむらさえもが、過去の記憶の欠片からここに集ったのかもしれない。
 だが過去は過去であり、現在を生きる私達は過ちを正すために動くことができる。そうであろう?」

ダオスがぐるりと見渡せば、全員が頷いて見せる。
突き付けられた凄惨な過去。大災害を乗り越えたとして繰り返されるかもしれない過ち。
しかし今は過去とは違う。こうして過去の教訓も用意されているのだから。

「んふ、んふふふふー! いいね、やっぱりニンゲンは醜く愚かであり――そして愛しく美しい」

それに対してノーデンスは笑う。
今度は酷薄な笑みではない。心の底から嬉しいといった様子の、晴れやかな笑みだ。

「試すようなこと言ってごめんねー☆ ほんとはアリーもわかってたよ。
 全てのニンゲンが当てはまるわけじゃないけど、ニンゲンは誰よりも成長という素晴らしい可能性を秘めている。
 ニンゲンこそが、新たな宇宙を創る第七……もういいや☆ ここまで成長してくれた君たちが頑張る世界の方が楽しそうだしね☆」
「おい、今何か言いかけなかったか!?」
「なんでもないよ。ただ、この宇宙が終わるにはまだまだ早すぎるってだけなのよ。
 んふふ、脅すようなこと言っちゃったけど大丈夫。過去の話にも少しだけ救いはあるんだよね。
 あまりの惨たらしさに、一部のグンマ―の民に魔物や艦むすにミヤザキの民は一緒に戦地を離脱して共に生きることを誓った。
 それが現在のミヤザキとグンマ―の交流や、見滝原といった高度文明と自然が共存してる街の発展にも繋がっているんだ。
 そして今もそうだよ。君たちは見事に成長してくれた」

ノーデンスは嬉しげに、誇らしげに全員を見つめる。
まるで我が子の成長を喜ぶような、母の眼差しで。

「ダオスにレスト。古代兵器の末裔であり、艦むすとの戦争の記憶からニンゲンと機械嫌いが特に根深い君らも、今ではこうして手をとりあっている」
 氷嵐の支配者。君がグンマ―が第二の故郷と言っていたのは、さっきの戦争にうんざりして離脱した竜の末裔だからだよ。
 ……駆逐艦の保護し過ぎで、神々でも抹消できないレベルで子供好きが遺伝子に刻み込まれたみたいだけどね☆
 そして、まどか。最も濃いグンマ―の血。そして予言の巫女でありながら、それを越えたかもしれない子よ」
「え?」
「気づいてなかったのかい? 予言は巫女の祈りと器足りえる巨像。フォレスト・セルは像、生物としてカウントされてないんだ。
 過去の巫女もセルを操ったけど、そこに自我はなかった。だけど今ここにいるセルには、明確な感情が芽生えている。
 君は祈りの途中で、その優しさから内容を変えた。当時はそんな発想は出てこなかったんだよ。この時点で君は過去を乗り越えている。
 ただ気をつけて貰いたいのは、このセルはまだ過去の呪縛に捕らわれているってことなのよー」

そんな中で、ノーデンスが器足りえるフォレスト・セルに対して警告を促した。
わけがわからないと言った様子のまどかに対して、レストはようやく合点がいったとばかりにああと声を漏らす。

「そういうことか。さっき気になった矛盾点、器のフォレスト・セルがなんでテラカオスまで浄化してしまうのか……
 古代のグンマ―は自然死を望んでいた。大災害が近づくまでは穢れを除去し続ける救世主。
 けれど大災害が近づけば、器に入ったテラカオスの力を浄化して大災害を止められなくしてしまう、厄災になるってことか……」
「お見事なのよー。そう、フォレスト・セルが救済にして厄災と呼ばれる真の所以はそこなのよ。
 ここのフォレスト・セルはまだぴちぴちに若い子だけど、核のベースは古代のセルと一緒だからねー」

明かされたフォレスト・セルの真実に、一部がざわめきたつ。

「ま、待ってください! ということは、フォレスト・セルは予言の器でありながら予言を壊すということですか!?」
「そうなるねー。今のグンマ―に予言が遺されていなかったのも、当時の自然死派がどっかに破棄したからだし、
 フォレスト・セルという名の世界樹の核は細胞分裂で増えたから今もあちこちの地の底で眠ってるけど、
 始原のセルがアンチテラカオスのシステム組み込まれてたら、後の子も全部そうなっちゃうのよー☆」
「待て待て、あんな化物がまだ眠っているだと!?」
「世界樹の本数=深刻な環境汚染回数=フォレスト・セルの人数だからね。古代はテラカオス研究と戦争で汚染マシマシだったし。
 ダイジョブ、ここのセルよりは弱いから☆ まあ全部終わったら巫女に頑張ってもらった方が安全かもねー。
 さて話を戻そう。もう時間なさげだしねー☆」

意味ありげな言葉を残しつつ、ノーデンスは指を立てるとそのまま説明を続ける。

「さっきも言った通り、セルは相反する性質を植え付けられている。
 元々はテラカオス強化用。その口に入れられて舐めまわされると、対象者に絶対防壁セルメンブレンに近い障壁が施されるのよー。
 これは蒼にも一定の耐性を持つ障壁。テラカオスの蒼への耐性をさらに高めることで、より確実性を高めるためってわけだね。
 ここまでは問題ないんだけど、この舐めまわし防壁の後に余計なオプションが施された。それが……」
「お尻!?」
「まどか!?」
「そう、お尻。アリーも見たことないから詳細知らないけど、なんかもうすんごいテクニックでお尻やついでに乳首を刺激するらしいよ。
 テラカオスや候補者は、その因子を本能的に集めたがり手放すことを恐れる。だから快楽漬けにして頭を真っ白にしたところを……
 お尻からこう、争いの淀みで生まれたエネルギーから邪悪な力だの穢れだのなんだのをまとめて綺麗さっぱり吸い取られて浄化。
 そして吸い取ったものの代わりにフォレスト・セルのアンチナノマシン、テラカオス抗体もお尻に塗りたくられて腸壁より吸収。
 これが今のフォレスト・セルのシステムだね。質問あるー?」
「え、え、えっちぃのは嫌いですっ!?」

闇が赤くなって叫ぶが、無理もないだろう。
明らかになった器の巨像、フォレスト・セル・システム。
古代グンマ―の願望で途中から歪められたらしいが、正規の活用法でもアレに舐めまわされる運命は確定していたらしい。
結構な人数がグンマ―頭おかしいんじゃね?と思ったのは内緒だ。

「最初の効能も生きてるから、ここに入ったレスト・きらり・魔雲天はある程度までは蒼に耐えられるようになっているね。
 他のみんなも今から飛び込めば、同じく蒼への耐性は得られるだろう。だけど完全ではない以上、大災害までは耐えられない。
 それに入ったら少なくとも、もう抗体のせいでテラカオスになることはできない。滅びを待つことしかできなくなるって罠だね」



「つまり舐めまわしまではよく、その後に後ろから穢れや力を吸い取られてしまうのが不味いのだろう?
 ならば、前の方に抗体じゃない世界樹の力を注ぎこめば、逆にパワーアップできるんじゃないのか?」
「「……」」


思わずサウザーが再び思ったことを口にしてしまう。
文字通りの逆転の発想。後ろから吸い取られるなら前から注ぎ込め。子供のような解答だ。
しかし流石に今度は歓声もあがらない。

「い、いやー……その発想はなかったのよ……
 アリー的には、まどかのおかげでフォレスト・セルはただの道具じゃなくなってるから、穢れを吸い取るの我慢させるだけで、
 本来の器の役目果たせてやったねー☆ って話で締めるつもりだったんだけど……」
「サウザー、貴方の度を過ぎたえっちさの前に神様すらひいてるじゃないですかっ!?」
「へぶぁ!?」
『すまん聖帝、流石に擁護できぬ』
『女ならばともかく、男だと……俺の場合、この巨根が奴に扱かれるのか……おぞましい……』
「こいつで抜かないでくださいタグがつくこと間違いなしですな」
「い、いやしかし待て、サウザーの考えも一理あるのではないか?
 今の話を聞く限りでは、器の役目はテラカオスの耐久力の底上げのみ。ここに世界樹の力も注げば、更なる強化は間違いないだろう」
「た、確かにそうですけど……ま、前は流石に……恥ずかしいですよぉ……」
「いやー、オオナズチがグンマ―産なのもわかった気がするよ。大元の古代グンマ―が多分煩悩まみれだったんだね、うん」
「入ったことある僕だからいいますけど、お尻でアレなのに前の方に、それも注ぐってもう耐えきれる気しませんよ……」
「お尻よりも前の方がキモチイイの?」
「……まどか、全部終わったら一緒に保健の勉強をしましょうね」

直前までの重々しい空気はどこへやら。
なんとも間抜けで弛緩したピンク色の空気があたりに漂っていた。

「あっはっはっはっ! いやいや、本当にニンゲンは面白いねー! もうとっくに神々の意思も予言も超えているよ。
 我が子の成長は本当に、なにものにも代えがたい最高の喜びだね☆
 ああ、愛しくて愛しくて――おや?」

バキリ

ノーデンスが笑った直後、その右腕に罅が入る。

「え?」
「あははー、ガタ来てる身体でこんだけ笑えばそうなるよねー」

気にする素振りも見せないノーデンスだが、やがて罅は全身に広がっていく。

「どういうことだい!?」
「言ったでしょう? 蒼にやられたって。消耗抑える幼竜の姿で誤魔化して、世界樹の力借りてここまで保ったけど……
 真竜の力を循環させる心臓を歪められたかなー? 見ての通り、過ぎた蒼は神様でも全く歯が立たないから気をつけてねー?」
「そんな、もう一度世界樹の力を!」
「無駄なのよー。その力は大切にとっておきなさい。でもさっきはありがとね☆ おかげで最期にみんなとお喋りできて楽しかったよ!」

満足気な表情を浮かべるノーデンス。
その表情に後悔は感じられない。

「何故、我らの前に姿を現した?」
「……私はノーデンス、育むもの。憎き醜き愛しき美しき我が子の行く末が気になった。
 そして君たちは私の期待に応えてくれた。いや、それ以上だね。みんなで協力して予言の謎を解くだけじゃなく、帝竜とも仲良くするとは」
『ノーデンス様……』
「ニンゲンだけじゃない。魔物やドラゴン、みんなが成長してくれた世界。まだ消えるには早いのよー。
 君たちがちゃんと過去の大災害を知っても前を見れるか試したかったのもあるけど……
 ――気をつけよ。此度の大災害を引き起こした者の正体はワラワもわからぬ。
 そして覚えておくのじゃ。もはやこの世に、神はいない。ワラワと同じく生き延びていたとして、その力は失われているじゃろう。
 神の想像を超えた悪意は、神の助けも無しに、神の想像を超えた成長を見せたニンゲン達が超えねばならぬ……」
「わかっているさ。みんなで、全てを乗り越えてみせるさ」
「そして、もし次の大災害があるなら。今度こそ、みんなで協力して後世にそれを残したいです」
「フフ……頼もしいの。さて……ここまでじゃな。どうか悪意ではなく、希望で摂理を今一度超えてみせてくれ。
 ワラワはそれを、無限にとうとうとつみ重なる影から見守ろう。そしてどこかまた、別の紡ぎにある世界で会おうぞ。
 さらばじゃ、愛しき子らよ。どうかその手で、成長の絶えぬ未来を――」


ノーデンスの全身が、ガラス細工のように粉々に砕け散る。
後には白い花びらのようなものが舞い落ちるだけで、そこに彼女がいたことを指し示すものは何も残されていない。

「……魂を感じない。ほんとに蒼、TCにやられると魂も何もかも壊されちまうみたいだね……」
「ならば尚更立ち止まれぬ。小さな大災害――黒き獣を討つにも、予言を完成させるためにも、テラカオスを見つけねばならない」
「そして、大災害を引き起こした存在の正体も、ですね」

知りたかった真実。
知りたくなかった真実。
知ってしまったからには、もう引き返せない。

「む!?」

そして突如空が暗くなる。
まだ誰もその存在を知らない邪竜ギムレーが顕現したのである。
彼の口から響いたのは狂信者と拳王への処刑宣告。
味方か敵か、まだわからない。
そしてこの直後に響くは定時放送。
多くの友や仲間の死の中に、障害であった天魔王軍全滅の報せもある。
時刻は18時。予言に辿りついた彼らは、どのように動くのであろうか。

二日目・18時00分/東京・都庁世界樹頂上】

【ダオス@テイルズオブファンタジア】
【レスト@ルーンファクトリー4】
【氷嵐の支配者@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女】
【音無小鳥@アイドルマスター】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
【オオナズチ@モンスターハンターシリーズ】
【小野塚小町@東方Project】
【サウザー@北斗の拳】
【ターバンのボイン(金色の闇)@ToLOVEるダークネス】
【ウォークライ@セブンスドラゴン2020】

追加思考:テラカオス及び大災害の黒幕の捜索

※全員が、救済の予言に対して目処をつけました
※フォレスト・セルには古代グンマ―の罠が残されていますが、まどかの独自の祈りにより回避可能となりました
 サウザーによる予言外のテラカオス強化プランが実施されるかは不明です



※以下の存在が、ロワ開始前に死亡しています
【第一真竜アイオト@セブンスドラゴンⅢ】
【北極星ポラリス@デビルサバイバー2 ブレイクレコード】
【ミザール以外のセプテントリオン@デビルサバイバー2ブレイクレコード】
【根源主カノープス@デビルサバイバー2 ブレイクレコード】
【アルクトゥルス@デビルサバイバー2 ブレイクレコード】
※放送で呼ばれていませんでしたが、以下の存在がロワ中に死亡していました
【神竜エルダードラゴン@世界樹の迷宮Ⅲ】
※以下の存在が、蒼により魂を砕かれ消滅しました。蒼に蝕まれ消滅したため、放送で呼ばれることもありません
【第二真竜ノーデンス@セブンスドラゴンⅢ】
最終更新:2018年06月26日 14:22