「Lyrical」
意味=叙情詩調、叙情的な、感情豊かな、熱情的な、ひどく感激して、大喜びで、(歌声が)軽やかな
――――
「お腹の中……ユーノくんでいっぱい……」
「なのは、僕の欲望でこんなに汚してしまって……」
ギムレーという防壁に囲われた浦安市。
そこにある病室の一つでなのはは呟いた。
彼女の全身はユーノの放った白濁液塗れで艶めかしさが更に足していた。
恋人を汚し尽くしたことは、男であるユーノにしてみたら非常に強い征服欲が満たされていた。
股間の
マーラ様もディアラハンをかけられたかのごとく、ムクムクと再成長している。
「ここで時間が止まって、ず~っとユーノくんと気持ちいいことができたら良いのに……」
「ああ、そうだね」
結ばれた二人が望むは永遠……その願いは共通し、何度目かのキスを交わす。
「……だけど、もう時間切れみたいだ」
「ユーノ……くん!?」
だが愛し合う者への永遠への望みは届かない。
愛では混沌に勝つことはできない。
何かを悟ったようなユーノの表情と同時に彼の体は急速に獣化が始まる――
テラカオス化だ。
しかもこれまでにないレベルで強烈なもの、
テラカオスへの進化が始まろうとしていた。
その様を間近で見ていたなのはの表情が絶望で陰る。
ユーノがなのはと抱いたのもまた、最期の時を恋人と一緒に過ごしたかった意味があるのだろう。
「ッ……まずい! ブリーフ博士! 早く来てーー!!」
「え……? なんで萃香ちゃんがここに!?」
しかし、時間切れに絶望するにはまだ早かった。
予め霧化して浦安中で待機していた萃香が病室で具現化。
アナキンたちと薬を作っているブリーフ博士への最速と同時に、今にも暴れだしそうなユーノを抑え込んだ。
なのはは萃香が見張っていたことを知らないので、いきなり現れたことに困惑している。
さらに言ってしまえば萃香の鼻からはちょろっと鼻血が出ていた。
「お待たせしたぞいユーノくん」
「薬は今さっき完成したところですわ」
萃香によるナースコールを聞いたブリーフ博士とサラマンディーネが病室に急いで入ってきた。
博士の手の中には治療薬が入ったカプセルが握られていた。
なお、ユーノとなのはが夜の営みをしていた痕跡が随所に見受けられたが、今は緊急時なので無視した。
「ハ、ハカセッ……!」
「さあ、飲むんじゃ、ユーノくん。これでおまえさんは助かる!」
既に肉体の80%は獣化が進んだユーノ。
ブリーフ博士は怪物フェレットと化した彼の口にカプセルを放り込んだ……
病室の外にはアナキン、はやて、ギムレー、ツバサの四人がいた。
「アナキンさん、ユーノくんは助かるんやろか」
「助かるさ、なにせ僕と博士、サラが作った特効薬だからね」
「…………」
不安そうなはやてをなだめるアナキン。
そして他の仲間たちには教えていないとはいえ、アナキンこそ
テラカオス化ナノマシンを現代に復活させ、騒動を巻き起こした張本人であることを知るギムレーはジト目で二人を見ていた。
この場でアナキンの正体をバラさないのは先ほど彼と交わした密約と、大災害の黒幕は別にいるからだ。
密約を反故にすれば、両方に多大な被害が出る上に最悪“大災害”や“黒幕”に敗ける結果につながってしまう可能性がある。
そもそも、はやては自分とブリーフ博士以外の仲間を間接的に皆殺しにされているため、未だに精神不安定である彼女に教えたら最後、暴走する危険を孕んでいる……彼女だけでなく、他の仲間もアナキンとの衝突も発生するだろう。
せっかく主催との貴重なカードを手に入れたのに、ここで捨てると致命傷になりかねない。
アナキンを捨てるのは主催なしでこの窮地を乗り切れると確証を得るか、または彼が裏切る素振りを見せてからでも遅くない。
「しかし、驚きました。瘴気の正体が菌やウィルスじゃなくてとても小さな機械だったなんて」
「正確にはナノマシンだね」
ブリーフ博士の研究でわかったことは日本中を覆っている目に見えない瘴気の正体は、極小の機械ナノマシン。
これが体内に入ることで適正のある存在が
テラカオスという怪物になることがわかった。
もちろん、主催であるアナキンは最初から知っているのだが、この場は初めて知ったようにはやてやツバサに答える。
ギムレーもまた、いちおう合わせるように答えた。
「……なるほど、首輪を取ったハズの仲間の名前が呼ばれたわけだ。
首輪はあくまで制限装置と盗聴器とオマケの爆弾に過ぎない。正しい首輪は体内に宿っていたナノマシン。
これ自体が出す識別信号で主催はどこにいても参加者の状態を把握できるんだ」
「首輪を取る意味がないというわけやあらへんけど、真に殺し合いから解放されるにはナノマシンをどうにかするしかあらへんのやね」
瘴気の存在を知った参加者はその正体がウィルスか呪いか何かと思っていたが、実際には肉眼では捉えられない機械。
ブリーフ博士が見つけた事実である。
「博士の薬のカプセルは、ツバサの親元である風鳴翼の腕から採取した変異した細胞を元に戻す薬、そしてナノマシンの停止コードも入っている。
ユーノの怪物化……これからは
テラカオス化と統一して言っておくか。
テラカオス化を解除することができる」
「すごいお薬やね……それを作ってまうブリーフ博士も」
「ああ、横で一緒に薬作りをしていたからわかるが、あの人は頭脳方面で怪物だ。
僕とサラは補助ぐらいしかできなかった。
あの人が祐一郎のような危険人物だったら、僕ら対主催はとっくの昔に終わっていてもおかしくはない」
改めてブリーフ博士の恐ろしさを実感するアナキン一同。
参加者から主催まで使っているホイポイカプセル一つとっても、あるべき質量保存の法則を無視しているのだから、その技術力は計り知れない。
「じゃあ、あのお薬を大量生産すれば、もっと多くの
テラカオス化した人を助けることができるんやね!」
「いや、あの薬はユーノ限定用に調整されて作られたものだから他の参加者に投薬しても意味がない」
「そうなんですか……」
「薬はあくまでユーノが君の吸収能力でも治せない能力を持っていたから作っただけだ。
君自体の力を高めるためにも他の参加者はなるべく因子吸収で治してもらいたい」
「確かに薬で治すと
テラカオス因子も消えてしまいそうですからね」
薬の力で
テラカオス化に苦しむ人を救うことができると思ったツバサだが、アナキンの言葉により俯く。
その様子を見たはやてが彼女の暗い表情をどうにかするつもりで別の良い話題を振ることにした。
「そういえばさっきホルスから聞いたんやけどギムレーさんは都庁の皆とコンタクトが取れたんやってな?
どうやら向こうは」
「うん、ああ。
二度手間をしたくないから、ユーノが治療されたら、全員に改めて詳細を教えようと思っていた。
向こうにいるオオナズチのおかげで沖縄の異常気象の正体、
聖帝軍が立川を焼いた本当の理由、ベルナドットが示したカオスロワちゃんねるの管理人の危険性もわかった。
特に向こうが予言の鍵となる
テラカオスと野球選手以外は手に入れていたのは大きい。
僕らは都庁の逆で野球選手と
テラカオス兼勇者であるツバサが揃っている。
早急な合流は確定だね」
「すごい! 短時間でそこまで行けるなんて」
予言の完遂までの道筋が見えてきたことに、暗くなっていたツバサの表情がパアッと明るくなった。
「しかしギムレー、ツバサ暗殺のために襲いかかってきた死者の件も含めて余談は許せないな。
なんとしてもツバサを護衛し、都庁と合流しよう」
「言われずともさ……まずはユーノの治療次第だ」
「今は
テラカオス化で余裕あらへんけど、彼の頭脳は有用や。
友達としても未来のためにもブリーフ博士には助けてもらいたいで!」
イチリュウチームが浦安から都庁へ移動するにはユーノの治療が不可欠であった。
多くの者が仲間として彼の
テラカオス化の浄化を望んでいた。
ブリーフ博士が作り上げた薬だけが彼の治療への希望であった――
「……あれ?」
「ん?」
「どうしたんやツバサちゃん? アナキンさん?」
「フォースの流れが……」
「ユーノさんの
テラカオス因子は確かに消えていっているのに……これは一体」
ツバサが疑問を口にした直後、何者かに投げつけられるように病室の扉をぶち破って出てきた萃香とサラを皮切りに、安息は打ち砕かれた。
「な、なんだと!?」
病室の前にいたアナキンたちに戦慄が走る。
気絶したサラ、目を回している萃香を尻目に大慌てで病室に入るとそこには衝撃の光景が広がっていた。
病室にユーノやなのはの姿はなく。
代わりに巨大なフェレット似の怪物がブリーフ博士の頭を大きな腕で鷲掴みにし、今にも握りつぶさんとしていた。
『グルルルルル』
「やめろ……やめるんじゃ、……くん」
「まずい、ブリーフ博――ッ!」
一番前に出ていたアナキンがフォースの念動力で博士を救おうとするが、巨大フェレットはフォースの魔力を吸収して反射し、口から光弾として即打ち返した。
幸い、フォースの力は控えめにし、返ってきた光弾も威力が低かったのでソウルキャリバーで防ぐのは簡単であった。
「なぎゃッ」
が、アナキンが防いだ数瞬の内にブリーフ博士の頭は大きな腕によって無残に握りつぶされた。
栗の花の匂いが広がっていた病室が瞬く間に生臭い鉄のような香りに支配され、その病室の中心に赤い泉と頭を無理やり圧縮されて潰れたザクロのようになったブリーフ博士の死体が転がった。
【ブリーフ博士@ドラゴンボール 死亡確認】
「いやああああああああああああああああ、ブリーフ博士ぇーーーー!」
信頼していた科学者の死にはやては絶叫をあげる。
無論、博士の突然の死に戦慄したのはアナキンやギムレー、ツバサとて同じだった。
「ユーノの治療が失敗した!?」
「薬が効かなかった、そんな……まさか!」
思わず、アナキンの正体を唯一知るギムレーは彼に疑いの目線と殺意を向けかける。
博士と一緒に薬作りをしていたアナキンなら細工して治療させないことも可能だったから。
「待ってください! この人はユーノさんじゃありません!」
「なに!?」
「どういうことなんだ!?」
ツバサの言葉にギムレーは驚いた。
それどころか彼が疑っていたアナキンでさえ、本意から驚いていた。
「もうやめるんだ!」
『正気に戻ってください!』
「ユーノ! レイジングハート!」
先程は部屋が暗くてわかりづらかったが、フェレットの怪物の長い尻尾にはユーノとレイジングハートが捕まっていた。
さらに言えばユーノは全裸であることを除けば元の真人間の姿をしていた。
となるとユーノ以外の、この部屋にいるべき人間が
テラカオス化したことになる。
ということは……なまじ頭がいいだけにギムレーの中に嫌な想像が思い浮かぶ。
「ユーノ、その怪物はまさか!」
「……なのは、だ」
ユーノの漏らした言葉に、四人は戦慄し困惑する。
「なんでや?! ユーノくんはともかくなのはちゃんが
テラカオス化する兆候なんてなかったで!?」
(なのはの
テラカオス化は極陰性だ、
テラカオスになれるはずがない……九州ロボにいた時に確かに確認したハズだ!)
「ユーノ自体の
テラカオス化は確かに治ってる。薬のせいじゃないとしたら、一体どうやって……?」
「さっきまでなのはさんにはひとかけらの
テラカオス因子もなかった……どうして? なんでユーノさんの進行状態をなのはさんが引き継いでいるの!」
――――
この状況に至る経緯を解説しよう。
はやてが言ったとおり、高町なのはには
テラカオス化の兆候など一切なかった。
アナキンが覚えているとおり、なのはの
テラカオス化は陰性なのだ。
どれだけ殺し合いのストレスを与えても
テラカオス化などしない。
では、どうして?
ブリーフ博士たちが薬を持ってくるまでになのはと
テラカオス候補者たるユーノは性交をしていた。
それは肛門すら使う、ディープなプレイだった。
しかし、その愛のための行為が行けなかった。
ユーノから放たれる精液の中身にも
テラカオス化を誘発させる細胞及び因子が入っている。
なのはは子宮に、肛門に、口に全身の肌に彼の精を浴びてしまった。
ほぼ全身を汚染されたと同じである。
されど、それだけならなのはは
テラカオス化しない。
先にも言ったとおりなのはの
テラカオス化は陰性、重度に進行していたユーノの射精とはいえ精子を浴びただけでは
テラカオスにはなれない。
もし浴びただけでなれるなら、序盤のホテルの時点で
テラカオス化が始まるだろうし、そもそも
テラカオスであるツバサが合流した時点で異変に気づく。
ユーノと浦安の病院で交わるまでは確かに彼女は人間だったのだ。
――しかし、世の中には例外たるものが存在する。
読者は四条化細胞たるものを覚えているだろうか?
四条貴音から生まれた
テラカオス化しない陰性の者ですら強引に
テラカオス候補者にしてしまう魔の細胞。
ツバサの前身たる善玉だった風鳴翼も、灰を浴びたら最後、問答無用で修羅に変えさせた。
クリスなど、幾人もまた四条下細胞により怪物と化している。「
ところが、ユーノは翼のように四条化細胞の塊である灰を浴びたり、肉を喰ったりはしていない。
では、どこで四条化細胞を得たのか?
読者には数話だけ振り返ってみて欲しい。
浦安にてユーノとツバサが合流した際、ツバサは彼を治療するために因子を吸収しようとして逆に吸収し返される失敗をした。
途中で止めたので吸われた
テラカオス因子自体は多くはなかったが、確かに吸収されてしまったのだ。
ツバサの中に眠る因子……風鳴翼が持っていた「四条化細胞の因子」を。
こうしてユーノの細胞にも四条化細胞が宿ったのだ。
幸い、時間はあまり経ってなかったの本能にも似たような感情でなのはは絶対襲わないようにしていたため、ユーノ自身が四条化細胞に侵されることはなく、それも薬によって浄化された。
ところが、四条化細胞に汚染された精を受けたなのはは違った。
テラカオス化が活発であったユーノの体内でツバサの体内では休眠状態だった四条化が活性化。
精子を通じて四条化細胞によってなのはは、
テラカオス化への反応が陰性から陽性に作り替えられるように肉体を、本人も気づかない内に作り変えられた。
しかも、ユーノが今まで進行していた
テラカオス化因子もそのまま引き継ぐ形で、なのはは
テラカオス候補者になってしまったのである。
ユーノでさえ恋人以外には抑えつけているとはいえない
テラカオス化を、彼よりも精神的に弱いなのはがいきなり受けて耐えられる道理はない。
そして彼女は野獣と化し、ユーノを捕まえ、サラと萃香に不意打ちを与え、ブリーフ博士を殺した。
全ては「愛の感情」がもたらした、惨劇。
――――
『オナカスイタナノ……ユーノクンイガイ、タベル』
「な、なのは……!」
怪物なのはは、亡骸となったブリーフ博士をさっそく大きな口で丸かじりした。
信じられないような瞳をしたユーノの表情が、口から飛び散ったブリーフ博士の血で赤く染まる。
「クソッ、状況の検分は後回しだ!
今はとにかく、なのはを止めてユーノを助けなければ!」
何がどうなってなのはがユーノがかつてなっていた怪物フェレットになっていたかは、今の切迫した状況では確かめることはできない。
被害を抑えるためになのはを止める方が先決だ、とアナキンは判断した。
「でも、どうやって!?
なのはちゃんもユーノ同じくエネルギーを跳ね返す技が使えるみたいやで!?」
「それは……」
どうやら、先ほどフォースを跳ね返したように。
今のなのはにはユーノと同じ魔力・エネルギーを吸収増幅反射する技が使えるらしい。
これでは天魔王すら倒したアナキンのフォースも、世界の破壊者すら一撃粉砕したギムレーの魔法さえ危険である。
当然、ツバサによる
テラカオス因子吸収治療も受け付けぬだろう。
「簡単だ、私に任せろ」
「萃香!」
「さっきは油断と不意打ちで遅れを取ったけど、今度はそうはいかないよ!」
不意打ちを受けて倒れていた萃香が起き上がり、なのはに飛びかかる。
怪物なのはは長く鋭い爪で萃香を仕留めようとしたが、萃香は瞬間的に霧になって回避。
そしてなのはの後ろに回り込んで実体化、さらに鬼の超怪力で尻尾に絡められていたユーノ及びデバイスであるレイジングハートを救助した。
若干、痛かったのか怪物は悲鳴をあげる。
『ナノオオオ!?』
「ここは私に任せて行け! 大丈夫だ、おまえの女房を殺しはしない!」
「すまない、ありがとう……」
萃香に助けらたユーノは急いでアナキンたちのところに滑り込み、合流する。
怪物なのはは逃げるユーノには追撃は加えなかった。
ただし、その分逃がした萃香への怒りは大きいようだが。
『カエセ、ユーノクンヲ!』
さっそく尻尾や爪の攻撃、バインドによる拘束魔法をも、密と疎を操る程度の能力で霧化して躱していく萃香。
そして今度は背後に実体化し、目の前の怪物を凌ぐ怪力を持って背中から抑え付け、強引に床にダウンさせた。
『ナノオオオオオ』
「暴れんなよ、暴れんなよ……」
優勢たる萃香の様子を見て、ギムレーは考察を呟く。
「なるほど……魔力やエネルギーに関係ない物理攻撃は普通に効く。
そして回避や防御以外で一切の魔力を使わなければ、増幅反射技も使えない。
後は怪力に優れた者を宛てがえば捕獲も可能か」
ギムレーの言葉通り、拳などの物理攻撃は魔力を帯びてないので吸収できない。
さらに防御や回避のためのエネルギーは、流石に吸えないのようだ。
結論から言えば、怪物なのは(及び怪物ユーノ)が無敵なのは「エネルギー」を主体とした「攻撃」だけである。
捕縛するなら怪力で抑え付けるのが最良に思えた。
「ならば、物理攻撃にも優れた僕やアナキン、ツバサ、
イチローやナッパでも彼女を捕まえようはある!
はやて! 気絶したサラを連れて急いで
イチローたちを呼んできてくれ!」
この中では最も非力なはやてにギムレーは指示を飛ばした。
一方、はやては……
「ああ……ああ……」
「はやて、しっかりするんだ!」
「は、はいアナキンさん!」
はやては博士の死に未だにショック状態で動けなかったが、アナキンに激を飛ばされて持ち直し、意識がないサラを担いでなんとか部屋の外へと走っていった。
そして、ギムレー、アナキン、ツバサは武器を構える。
それを見て慌てるユーノ。
「ちょっと待ってくれ、彼女を傷つける気か?!」
「安心しろ、峰打ちに留める……ただ新しい薬を作り出すまで気絶はしてもらうけどね。
それよりもユーノは彼女に声をかけてやれ、『まだ』正気を取り戻せるかもしれない」
アナキンが言ったとおり、三人と萃香になのはを殺す気はない。
ただ、重度の
テラカオス化が進行しているため、手を抜けるほどの相手ではないと知っていた。
角度は違うが、それぞれ
テラカオスの危険性を知っているからこその行動である。
少なくとも無傷での捕縛は無理であると察していた。
とにかく、今は力に優れた者たちが必要であった。
大切な仲間たちのために――
――だが、『混沌』は常に人々の予測の上を行く。
シスの暗黒卿、邪竜、
テラカオスの申し子、そしてかつて
テラカオスの因子をその身に宿していた青年を嘲笑うかのように。
「よし、後はナッパたちが来ればコイツを捕まえることが――」
ズブッ
「え?」
怪物なのはを床に抑え付けた萃香の腕が、突然の違和感に襲われた。
まるでローションの塊の中に手を突っ込むような異様な感覚。
萃香が自信の両腕及び怪物なのはの体を見ると………
なのはの体が水色のスライム状に変化し、萃香の腕はその中に捕らわれていた!
最終更新:2019年02月11日 23:55