義務
やはり、考えているうちに疑問に思えたので、今日は聞いてみることにした。
これを思うのは、おそらく、失礼極まりなく、罰当たりであり、聞くべきではなく、思うべきでもないのかもしれない。
しかし聞かずには居られない。
いわゆる神の法は、絶対的か?
「いきなり何をいい出すんだと思えば、君はまた奇妙なことを」
いや、ここの所たしか数ヶ月ほど、気になっていてね。極端ではあるが、その規則に従わなければ、死後よくない状況になる、といったら、それは強制である気がしないか。それが悪いとかよいとかの判断は私のはできないしできるものでもない。であるから、私は内容に対して言える立場ではないし、言ってもいない。
「喩えるなら、肉を食べてはいけない禁を破って、肉を食べたら下行きだと?」
でもそれがもし本当に、絶対であるならば、つまるところ、人間に自由は無いのか?いや、自由というのは違うかもしれないが、それは絶対の義務であり法だろう?生きている限り守り続けなければいけない。
「まあ、そういうところはあるな。というか、同じようなことを誰かが言ってたぞ」
いや、それは知らなかった。
なにか、先に言われてしまったようで、少し残念だ。その人物の他を知らないのに、それだけ合っているとは不思議な気分だ。まあ、そのような事は無数にあるだろうか。
「嫌な問題だよな。でもある教祖はある宗教からの離脱者だろう。むしろ前の宗教から見ての反逆者。でも、それは世界的な宗教になっているし、そう考えればどうだね」
それはそうだが。
「だとすれば、団体としての必要な法と、その神と呼んでいる存在-今信じているのはむしろ偶像で、真に示すものは別に居ると考えるのがよいと思うのだが-の法は異なるんじゃないかな」
確かに、集団自体は人が改変したものしか残っていない気がするな。まあ私の知る狭い範囲でだが。
「でも、預言者は居るとされる。それが真実なら、宗教の法も神の示された法と等しい」
しかし、どこかの宗教は、都合のいいように改竄している。まあ全てがどうかは、違うと思うが。
「そう考えてみればどうだ。その規則としての法は、人に都合のいいように捻じ曲げられていると」
ならばそこでこう考える。神の考えられた法は他にあって、それは人間には不可知だと。
「仮に世界が矛盾と苦悩に満ちているとしても、神がそうであるとは限らないし、むしろその論法はおかしい、とでも言いたげだな。否定はしないが。というか、できない」
ああそう言いたいね。私は常に何かと反対のことを言いたがるんだ。
「で、その知ることのできない法は、見えないところで動くと」
知りえないものが、どうして動いていることを、知りえようか。というかそう願いたい。
「是正されるべきものは知りえないところで正されると?」
それがいいと思う。
でなければ、報われない場合、それで終わる他無いのだろうか。
全ては報われただろうか。報われていないだろうか。
「平行線だな。片方は神は死んだと主張し、もう一方はそうでないと主張する。証明なんてできうるはずもないし、できてほしくも無いと?神の法、か。ニーチェもそれに触れて、変わったのか。思想家としての死を迎えた、といってもいい」
どうだろうな。そこは解かり得ない。私はそのいいがたい存在をとても許容範囲が広いと考えるからな。もし仮に、罰であると考えれば、私は、彼はおそらく言ってはいけない何かを言いそうになった為に、そうなった、と思うよ。
「で、君はそのように神の法なるものが作用すると?」
法、と断定するのがよくないか。もっと可変的で、間違わないためには、それ自身が変化する事もあり得るか。
「常に同じであれば、誰かが抜け道を見出すからな。もっともこれは人の話だが」
わかり得ないからこそ、いいのではないかい。
「分かりえないからこそ、夢があるし、支柱にも、糧にもなる、とも言える気がするな」
全てが分かってしまえば、何がよいのだろう。分からないからこそいい部分もあるはずだ。
「君らしく、君らしくないな」
不可知である畏れの対象がなければ、思い上がりやすい。それに未知が無ければ、消えゆくものは多い。
「全てを知りたいと思う君がそんなことを言うとは」
私の欲するのは全知というそのような畏れ多いものではないさ。ただ、知りたいと思う知識が全てほしい、
と思ったことはある。
私はこうして考えると、強欲だろうか。全てにおいて、過ぎる事はよくないだろうか。
「それが君の楽しみかい」
かもな。そうかもしれない。少なくともそのひとつではある。
「愉しみの無い所には何の得もない、か。そういう意味で言ったのか」
それもあるが、私程度に知りえてはいけないがするのさ。
「全知はありえないか。少なくとも知りえるところはあってほしくないと」
そうだな。それに、全てが理論的な意味で知り尽くされてしまえば、つまらないし、あぶない。
「知識が理窟が全てでは、危険で、それに、欠けている。そういいたいか」
私は人に話さないと考えが先に進まないのだろうか。
確かに、人と話したほうが、整理されやすく、欠陥も発見でき、考えも浮かぶのだが。
そんなことを思った。
また別の方向
「じゃあこういったことは思わないかな。生は契約だと」
契約か。契られた事は果たすべき、か。確かに。
「契約というか約束といってもいいし、とにかく何かを交わしたとするのは」
しかしながら、いつ契約はなされるのか。対象はどうなる。先は?いや、しかし私には分からないが。
「どうだろうな、それは分からない。だがしかし…」
少しお互いに考えてみる必要がありそうだ。
最終更新:2010年05月10日 21:11