一番乗り
今日は近くまで来たので、あいつの店まで寄っていく事にする。
まあ、正確に言えば、店ではないが。
商売は順調か?
「なんだあんたか。冷やかしはお断りだよ」
いいじゃないか、たまには買うさ。で、今日は何を売っているんだ?
「今日は休業日さ」
ひどいな。売れそうも無い客には出しもしないか。
「ばれたか。ってのは冗談だけど、あんたの欲しそうな物は無いだろうな。何なら見てきなよ」
いや、そういうなら止めておく。
不況の煽りを受けているのか、実際にものが少ないようだったので止めた。
「やっぱでもさあー、商売ってのは人がやらないところに目をつけるのがいいよな」
なんでもそうだろ。
「人が気付く前に、流行になる前にやって、廃る前にやめる。もしくは、新しく流行を作る。そういう商売が出来ればいいとは思うんだけどなぁ。でも思いつかない」
それに、二番煎じはうまくいかない。
「まあ、食っていけない訳じゃないけどね。おこぼれもうまく拾えりゃ、いいもんさ」
それも大事ではある。
「でもやっぱり一番乗りっつうか、最初の奴は何だって得だよな。後には回ってこない。早い奴と要領がいい奴は得だな、どうしても」
でも失敗したとき、とんでもない目にあうのも早い奴だろう?
「はいはい、そうですね、っと」
彼を労るような言葉をかけたかったが、考え付きはしなかった。
やはり大変なのだろうな。
最終更新:2010年03月07日 15:28